ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ヒト

2016.10.28 FRI.

「The Tweed Run Tokyo 2016」STYLE REPORT.

「ツイード」をドレスコードに、自転車で街を走ることで、安全走行の重要性やファッションの楽しさを発信していく「The Tweed Run」。英国が発祥地のこのイベントは、日本でもすっかり秋の風物詩として定着してきました。今年も去る10月23日(日)に東京で「The Tweed Run Tokyo 2016」が開催されました。

Photo:Takeshi Wakabayashi
Text:Masato Kurosawa

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2009年にツイードの国、イギリス・ロンドンで開始された「The Tweed Run」。日本でも今回で5回目を迎える「The Tweed Run Tokyo 2016」には、今年も多くの参加者が集いました。年齢も性別も国籍も職業もバラバラな参加者たちは、思い思いのツイードスタイルに身を包み、プロメッセンジャーの先導のもと東京の街を回遊。例年以上に天候にも恵まれ、代々木〜原宿〜外苑前と、東京のカルチャーが色濃く反映された都心を、意気揚々と駆け巡りました。途中の休憩時間でも、ゴール後のティーパーティでも、皆さん自転車やファッションについて語り合っていた様子。初対面でも同じ志のもとに集った仲間。刺激を与えてくれる出会いも、このイベントの魅力のようでした。今回はその参加者たちの独創的なツイードスタイルを、スナップ形式で紹介いたします。


ベストドレッサー賞受賞
松浦まみさん/フォトグラファー

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「シマシマ好きなので、全身ストライプとボーダーで統一。色も極力、ネイビーとイエローに限定しました。ツイードランというだけあって、ツイードをメインにしたいところですが、私はあえてストールだけツイード素材を選んで、アクセントとして表現しました。いつもはロードレースなどに参加しているんですが、ファッションを楽しみながらゆっくり走る自転車イベントは初体験。今回ひとりで参加したのですが、皆さんが今日の自転車やコーディネートについていろいろ話しかけて下さって、寂しい思いをせずにすみました(笑)。素敵な出会いがたくさんあって、とても充実した時間を過ごせました。ぜひまた来年も参加させていただきたいです」


Michael Riceさん/俳優

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「もともとロードレーサーだったこともあって、自転車に乗ること自体は当然好きだったんですが、ファッションとリンクして自転車を楽しめるのはとても新鮮でした。ツイードジャケットに合うように千鳥格子のサイクリングショーツ、ジャケットと同系色のソックスをセレクトしているのがポイント。チーフ代わりにバナナを挿しているのもこだわりです(笑)。全体の雰囲気がポップになるし、もし途中でエネルギーが切れたら食べられるし(笑)。自転車も、友人が手掛けている〈ラジカル〉というブランドにオーダーした特注マシン。塗装していないスチールフレームの素朴な風合いは、ツイードにも見事にマッチしてくれました。このイベントに参加できたことで、30台以上所有している自転車の中でも、思い入れの深い一台になったと思います」


井上康裕さん/会社員

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「中学生の頃から40年以上に渡って自転車を愛し続けているので、このイベントを知った時は絶対参加したいと思っていました。念願が叶って幸せです。今日乗っているのはコレクションの中でもかなり古い年代の物で、おそらく1910年代にベルギーで作られたもの。クラシック自転車好きなら誰もが知っている、ハンモックサドルを採用した〈ペダーセン〉という自転車です。このサドルはその名の通りハンモックのような揺れが生じるので、街中を走るのは少し難儀しました。ファッションのコンセプトは『できるだけお金をかけない』ということ。ベーシックなアイテムを、奇をてらわずに着こなしたつもりです。強いて気を使ったポイントを言うなら、ドレスコードに抵触しないように、裏地にツイードを貼られたキャスケットを被っていることですかね(笑)」


清水麻里さん/メッセンジャー

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「昨年も参加させていただいた時はあまりお洒落をせず気恥ずかしかったので、今年は気合いを入れました。ツイードジャケットを羽織ってループタイをしめて、ツイード地のメッセンジャーバッグを背負って…というところまではクラシックでよかったのですが、いつも仕事で使っているスポーティーなロードバイクには少しミスマッチで、若干後悔しています。都内を自転車で走るのは仕事柄慣れっこですが、こうやってお洒落をしてゆっくりと景色を楽しみながら走る機会はなかなか無いので、とても新鮮で、改めて自転車の楽しさに気づかされました。次に参加させていただく機会があったら、ツイードにマッチしたクラシカルな自転車に乗りたいです」


(右)Jackie Villevoyeさん/デザイナー
(左)Julien Villevoyeさん/会社代表

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(右)「『The Tweed Run』については、イギリス本国で開催されているころから知ってはいましたが、実際に参加するのは今回が初めて。色々な方と交流できてとても刺激を受けましたね。ヴィンテージのツイードセットアップの中に、自分でデザインした〈J-B-J(ジュープ・バイ・ジャッキー)〉のフリルシャツを着用して参加できたのも、思い出に残りました」
(左)「実行委員長の栗野さんに誘っていただき一緒に参加しました。母国のオランダと街並みがまったく異なる東京の街を自転車で走れるのは、とても興味深かったです。ファッションのポイントは、母のJackieがデザインしている〈J-B-J〉のフラワーモチーフが刺しゅうされたタイ。パンツの裾をソックスにインして、騎手のようにアレンジしています」


山田円爽さん/セレクトショップ スタッフ

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「1年前に大阪から上京してきたばかりで、それほど東京の街について詳しくなかったので、自転車に乗りながら街の空気感を堪能できて、とても新鮮でした。もともとツイードとコーデュロイが大好きだったので、今日はプレーンなツイードジャケットに合うコーデュロイパンツをセレクトし、牧歌的なスタイルにまとめています。ネックレスに見えるこちらは、実は5円や50円玉を重ねたもの。コーディネートに変化をつけるアクセとしても使えるし、万が一財布を落としたりしても、電車賃くらいにはなるかなと(笑)。ラフな雰囲気になりすぎないように、パンツとシューズを大好きなネイビーで統一しているのもポイントです。」


多田亮平さん/BEAUTY&YOUTH アシスタントバイヤー

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「ツイードがドレスコードと聞いて、クローゼットを探してみたら、ベストがでてきました。色と素材で英国カントリー風にしてみました(笑)。英国製の〈カンゴール〉のハンチングを被ったり、英国感のあるボーダーソックスを合わせたりと、ブラウン系でまとめています。普段はBMXに乗っているんですが、カスタムしすぎていて、あまりに服装とミスマッチな気がしたので、今日は彼女の自転車を借りてきました。ホイールの色使いがなんとも個性的ですが、意外と今日のスタイルと馴染んで見えて、心おきなく都内を走れました。暑すぎず寒すぎず、天気も絶妙だったのでとにかく気持ちよかったです」


Matthew Iretonさん/タレント、レポーター、ラジオDJ

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「いつも出演しているNHKの番組でこのイベントを取材させていただくことになって、リポーターに任命されました。アメリカ生まれの東京育ちで、英国とは関わりが薄いんですが、ツイードアイテムを身につけると、不思議とブリティッシュな雰囲気にまとめられたと思います(笑)。千鳥格子のジャケットと相性のいいヘリンボーン地のキャスケットを被り、ウール地の蝶ネクタイを合わせているのもこだわりどころ。ロールアップしてソックスをのぞかせて、とことんクラシックなスタイルを追求しました。参加者みんなでこういう格好をして東京を走った時に、道行く人たちの視線を集められるのも面白かったですね。異文化交流もできるし、ぜひまた来年も参加したいです!」


janさん/ミュージシャン

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「父のように慕っている、滋賀県長浜市のファッションブランド〈アトリエ デン〉のデザイナー北山さんに誘われて初めて参加しました。普段から愛用している〈ビアンキ〉の自転車で都心を走るのは、凄く気持ちよかったです。この自転車のアイコンともいえる、チェレステ(碧空)カラーとマッチするツイードバッグを合わせているのがポイントで、ツイード素材のサイクルクリップも北山さんに作ってもらいました。タイドアップしても堅苦しくならないのは、ツイードならではの魅力なのかもしれませんね。またチャンスがあれば北山さんや滋賀県の仲間たちと一緒に参加したいです」


井口信悟さん

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「大のクラシック自転車好きで、全部で14台ほど所有しているんですが、今回乗っているのはその中でもかなりの年代物。1920年代のイギリス製の自転車で、装飾性のないレトロな外見が、何とも言えない趣があり気に入っています。『The Tweed Run』は、今まで名古屋で2度参加させていただいているんですが、東京はまた全然街並みが違って興味深かったです。何と言うか街が華やかで、どこを見ても絵になるんですよね。その街並みに負けないように、イタリア製のゴーグルをポイントにしたり、オールソールをしながら10年ほど履き続けているサドルシューズを合わせたりと、ファッションも気合いを入れました」


野崎智子さん/モデル

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「昔からイギリスのファッションも音楽も大好きだったので、このイベントは本当に心が躍りました。ツイードはファッションの定番マテリアルだと思うんですが、正直自分のワードローブにはツイードアイテムがなくて、今日は高校を卒業して以来、久しぶりにツイードを身にまといました。コーディネートのポイントは、華美な印象を与えない、さりげないレイヤード。代官山の『Vinivini』で買ったヴィンテージのシャネルのベストをコートのVゾーンから少しだけのぞかせたり、レーススカートをコートの裾から少しだけ出したり。ツイードの素朴な表情を活かして、できるだけシンプルにスタイリングしました。自転車を漕ぐには適していませんが(笑)、愛らしいエナメルシューズを合わせているのもこだわりです」


T-MICHAELさん/デザイナー

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「天気が良すぎて暑いのが少し難点だったけど、走っている最中に風が吹くととても気持ちよかった。ツイードのジレとパンツを含めて、すべて自分でデザインしたアイテムを身につけて走れたのも嬉しかったです。ブリティッシュグリーンが大好きなので、自転車も靴も色を揃えました。バッファローホーンのアイウエアは、自分でデザインしたものを、ドイツの職人に手作りしてもらったもの。天然素材だけあってツイードの風合いともマッチするし、形も飽きがこないから、とても気に入っています。また参加できる機会があれば、今日のスタイルに負けないくらいこだわりを詰め込みたいです」


長坂 寛さん/会社員

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「英国人を気取って全身をクラシックなアイテムで統一。〈キャラダイス〉のツイード地サドルバッグを着けたり、英国製の懐中時計を懐に忍ばせたりと、気づかれにくい部分にまでこだわり抜きました。今回初めて参加したんですが、これだけ攻めた服装でもみんなと一緒に街中を走っていると恥ずかしさがなくなり、クセになってしまいそうです。ツイードは冬場毎日のように着用している私的定番素材なので着慣れているつもりだったんですが、自転車を漕ぐという運動要素が加わると、少し暑く感じましたね(笑)。次に参加する時は少し軽装にします」


荒川恵里さん/飲食業

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「一年ほど前に、友人からこのイベントについて聞いた時から絶対参加したいと思っていました。この日のためにコツコツ服やアクセを買い集めていたので、参加できて感無量です! 主役のツイードジャケットは六本木の蚤の市で見つけたもの。理想の色とサイズ感に巡り会えた時は嬉しかったですね。スカーフやゴーグル、キャスケットといった小物類も、このツイードジャケットの雰囲気に合うものをセレクトしました。自転車は友人からの借り物なのですが、懐中時計がハンドルに固定されていたり、レトロな雰囲気に仕立てられていたりと、今日のイベントにはピッタリだと思います。体力づくりのため自転車通勤に変えて、自宅と職場の約6キロの道のりを走っていたので、疲弊せずに完走できました」


Alexander Helleさん/クリエイティブディレクター

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「今回で3回目の参加なのですが、やっぱりこの時季に自転車で走ると適度に暖かくて最高に気持ちいいですね。ノルウェーでは、いま冬真っ盛りで、とてもこんな軽装では自転車に乗れません(笑)。今日はパートナーのT−MICHAELと共同でデザインしている〈ノルウェージャン レイン〉のアイテムを着て街を走ったんですが、改めて自分たちの服に惚れ直してしまいました。コンフォート、ファンクション、スタイル…この3要素をバランスよく備えたアイテムは、自転車に乗っても不快感がないし、見た目もセンスフル。今後もこうしたアイテムを作り続けていきたいです。レトロなアイウエアと、〈グレンソン〉と共作したウォータープルーフシューズも、クラシックな服装とマッチしていたと思います」


樋口 繁さん/サイクリスト

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「フランスの名門〈アレックスサンジェ〉に100万円かけてフルオーダーした、自慢の自転車で参加しました。オーダーしてから1年半も待ちましたが、他の参加者の方からお褒めの言葉をいただけて、おかげで報われました(笑)。それから自転車好きなら誰もが知る〈イデアル〉というサドルも、気づいた方々にお声掛けいただけて幸せでした。ファッション的には、この日のためにマッキントッシュのケープを新調。脱いでも洒脱に見えるように、サスペンダーを使用しているのがポイントです。フランスものが好きなのですが、上手く英国に寄せるように趣向を凝らしました」


星野智子さん/織物作家

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「栃木で開催されているツイールランには2度参加させていただいたんですが、東京で開催されている『The Tweed Run』は今回が初めて。やっぱり街並みがまったく違いますね。栃木は空気がゆったりしていているのに対して、東京は壮観というか…。都会を思い切りお洒落して走るのは、とても気持ちがよかったです。ボルドーカラーが好きなので、要所に取り入れたり、〈リコー〉のフィルムカメラをアクセとして使ったり、古着屋さんで見つけたハットピンを飾ったりと、細かな部分まで神経を配って、自分なりのツイードスタイルを実践しました」


栗野宏文さん/ UNITED ARROWS、The Tweed Run Tokyo 実行委員長

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「秋の名物イベントとして定着してきましたが、今回は例年以上に天気に恵まれ、皆さんが気持ちよさそうに走っている姿を見られ、非常に嬉しく思います。代々木や原宿、外苑前という、見慣れた都内の中心地も自転車に乗りながら見るととても新鮮でしたね。ツイードという伝統的なマテリアルをキーワードにお気に入りのファッションに身を包んで走れるのはこのイベントの醍醐味です。ちなみに今日の服装のテーマは茶と赤。『色を制する者はお洒落を制する』という信条のもと、いつもコーディネートを決める時は、まず色から決めているのですが、今日は〈J-B-J(ジュープ・バイ・ジャッキー)〉のタイからわずかにのぞく赤と、自転車の赤をマッチさせているのもポイントです。ジレとパンツはその〈J-B-J〉とユナイテッドアローズが共作している〈J-B-J.PJ(ジュープ・バイ・ジャッキー・プロジェクト)〉のアイテムですが、持ち味の刺しゅうを取り入れた味わい深いデザインは唯一無二。価値ある服と共に走れて幸せでした」


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