ヒト
2018.10.26 FRI.
ツイード×自転車の祭典。
「Tweed Run Tokyo 2018 feat.Denim」をパパラッチ!
雲ひとつない秋晴れのもとで開催された「TWEED RUN Tokyo 2018」。今回は、西日本豪雨で被害を受けた、尾道を拠点とする「Denim Run Onomichi」(Tweed Run Tokyoの兄弟イベント)とともに、中国地方のデニムをクローズアップ。イベントタイトルに「feat. Denim」が加わりました。当日は、ドレスコードのツイードに、さりげなくデニムを合わせる強者も多数。着こなしのポイントから自転車へのこだわりまで、ハイレベルなおしゃれスナップをお届けします。
Photo:Takahiro Michinaka
Text:Maho Honjo
澄み渡る空の下、日本が世界に誇る「Tokyo」をクルーズ!
ツイードをおしゃれに着こなし、自転車で街を楽しく安全に走る「ツイードラン」。ツイード発祥の地であるロンドンで始まり、ニューヨーク、フィレンツェ、シドニーなど世界各地で開催される国際的なイベントが東京に上陸したのは2012年。今年で7回目を迎えました。
今回のスタート&ゴール地点は、渋谷・宮下公園交差点近くの「渋谷キャスト ガーデン」。続々とツイードをまとう洒落者たちが集まり、賑わいを見せはじめます。朝食も提供され、香ばしいコーヒーの香りが漂うと、少しくつろいだ表情を見せる参加者も。開会の挨拶が終わると、いよいよグループごとにスタート!
渋谷から青山、千駄ヶ谷、代々木公園を巡って、また渋谷へ。秋の爽やかな風を感じながら都心をゆっくりと走るのは、新たな気づきがあるという声も多数。ゴールしたあとは、用意されたヘルシーなフードとドリンクでティーパーティーをしながら、デニムに関するトークセッションも伺えるという優雅なひととき。7回目ともなるとコミュニティもでき、おしゃれについて、自転車について、参加者同士で情報交換を楽しんでいる様子。恒例のベストドレッサー賞発表でクライマックスを迎え、大盛況のうちに閉幕しました。
「皆さまの着こなしレベルがどんどん上がっている」とは、実行委員長・栗野さんの弁。こだわりを極めた参加者のスタイリング、どうぞご覧ください。
ベストドレッサー賞
江川宇倫さん/会社員
ツイードのジャケットとボトムス、そしてアーガイルのハイソックス。正統派のコーディネートに、フリーマーケットで見つけたカンカン帽とチェコスロバキアのカメラなど、古い時代の小物を加えたのがポイントです。この自転車は<ラレー>のDL1というモデルで、71年物。ライトはガスで火を灯しているんです。トラディショナルでいて、どこかノルタルジーを感じさせる。そんなスタイルを意識しました。このイベントは3年前から気になっていたけれど、実は今回が初参加。来年以降も楽しみにしています。
小林紗代さん/良品計画 スタイリングアドバイザー
このジャケットとパンツは、無印良品の再生ウールを使ったツイードアイテム。ウールにほんの少しポリエステルをミックスすることで、強度が加わったのが特徴です。今回のように自転車で走る、おしゃれでアクティブなイベントにはぴったりだと思ったんです。帽子は<オーシバル>、スカーフは<マニプリ>、胸元のロゼッタは<ジラフ>のもの。ピアスはゴールド、リングはシルバーと異素材を組み合わせました。素材をミックスすることで生まれる奥深さを全身で表現してみました。
ハリー杉山さん/タレント
今日は、全身オリーブトーンの<ポール・スミス>でキメてみました。ツイードは重厚なイメージがあるけれど、このブランドは生地や色みに軽さがあって、モダンに仕上がるのが楽しいんです。そこにドット柄のネクタイを添えて、ひとさじの遊び心をプラス。僕が育ったイギリスでは、祖父から父へ、そして僕へ、洋服を譲っていく文化がありました。一方、通っていたウィンチェスターカレッジでは、自分流のおしゃれを楽しむ文化もあったんです。王道を守りながら、個性も発揮する。それが僕らしいスタイルかなと考えています。
七野李冴さん/モデル
実はこれ、父親のジャケットなんです。そこに<VAN>のメンズ靴下を忍ばせて、トラッドカルチャーへのオマージュを表現したつもりです(笑)。そこにレースブラウスを合わせて、私らしいフェミニン&マスキュリンスタイルに仕立てました。カラーデニムを選んだのは、ストレッチが効いていて、快適に走れるだろうと思ったから。両手が空くウエストポーチでより快適なランができ、これも大正解でしたね。秋晴れの中で自転車を走らせるのは気分爽快。また絶対応募したいと思います。
戸井田淳さん/ユナイテッドアローズ セールスパーソン
ライトブラウンのジャケットに、チャコールブラウンのベスト。ツイードをレイヤードして、グラデーションに仕上げたのが今日のポイント。そこに、自転車のワッペンが楽しいキャップとワークパンツを合わせて、ラフな雰囲気をプラスしました。自転車はアメリカ製の<リベンデル>。クラシックなデザインだけど、現代の部品を使っているので、とにかく快適なんです。前輪に自転車専用のパニアバッグがつけられるのもお気に入り。自宅近くの川沿いをよく走るのですが、都心を駆け抜ける気持ち良さはまた格別。次回もぜひ参加したいです。
西垣美奈さん/ベイクルーズ デザイナー
ジャケット、パンツ、Tシャツまで、今日着用しているのは、すべて自分がデザインしたアイテムなんです。ポイントはキーカラーの赤。パンツはもちろん、<エルメス>のヴィンテージバッグも赤でそろえました。モンクストラップの靴は<チャーチ>、サングラスはフランスのハンドメイド。クラシカルに偏りすぎないよう、あえて時計はアップルウォッチを選びました。この自転車は、イギリス製の<アレックス・モールトン>。ハンドルをM字型にしたり、ブレーキを手首側から回したりなど、フルカスタマイズしてやんちゃに仕上げた自慢の愛車です。
森口德昭さん/GQジャパン エディター
今回のツイードランは、「feat. Denim」。インナーには<リーバイス>のセカンドのGジャンを、ボトムスには大阪の<インク>の個性的な染めのテーパードデニムを合わせました。時計は<オーデマ・ピゲ>、フェイスと自転車の車輪をイエローでリンクさせたのもポイントです。サメ革部分がインディゴカラーの<フローシャイム>の靴は、デニムとの相性が抜群なんです。ベルトと靴下は<ブルネロ・クチネリ>で、グローブの赤と揃えています。ちなみにこのジャケット、ツイードに見えて実はツイードプリント。自由度の高いデニムと合わせるなら、あえてこんな外し方も粋かなと思ったんです。
増田晋作さん/ユナイテッドアローズ&サンズ バイヤー
昨年は正統派のブリティッシュスタイルで参加したので、今年はリラックスしたムードに仕上げました。ポイントは、ツイードのベストをキーアイテムに、<ナイキ>のネオンカラーのスニーカーや、<ステューシー>のロンドンストア限定のバゲットハットなど、ストリートテイストのイエロー小物を加えたこと。スエードのバッグは<5525ギャラリー>と<ポーター>のコラボレーションアイテムです。自転車は<GT>のオールブラック。ギアが細かくチェンジできて、結構スピードも出るタイプ。今年で4回目の参加になりますが、安全第一で楽しませていただいています。
左:市川奈緒子さん/自営業
中央:前田典子さん/モデル
右:菊地ゆかさん/スタイリスト
ツイード生地でも、ポンチョを選んで少し外したスタイリングに仕上げました。足元はピンクとグレーのバイカラーオックスフォードシューズ。ドレスコードを守りながら、程よくエッジを効かせるのが好きなんです。(市川さん)
今日のコーディネートテーマは「パリジェンヌ」。ペールピンクのツイードセットアップに、バッグ、ネックレス、バレエシューズなど小物はすべて<シャネル>でそろえました。表参道はシャンゼリゼ、代々木公園はブーローニュの森。そんな視点で眺めながら、東京を新鮮に感じた1日でした。(前田さん)
マスキュリンなイメージのあるツイードを、レディライクに仕上げるべく、選んだのはファンシーツイード。ボトムスは細みのブラックパンツを合わせ、細ベルトでキュッとウエストマークしたのもポイントです。おしゃれとランをアクティブに楽しむ。こんな素敵なイベントに参加できて幸せです。(菊地さん)
柴田浩士さん/介護士
このツイードジャケットは<ケント>のもの。そこにタータンチェックのパンツを合わせて、チェックオンチェックを楽しんでいます。ハンチング帽もグリーンにして統一感を出しつつ、蝶ネクタイと靴下は赤にして差し色に。シャツは白を選んで清潔感を意識しました。自転車は<ルノー>。ネイビーのボディに映える真っ白なロゴが爽やかでしょう。ちなみに車は<プジョー>に乗っています。ファッションはブリティッシュ、乗り物はフレンチ。テイストをミックスさせながら、優雅にランを楽しみました。
田中美帆さん/みん転会議 メンバー
メランジツイードのジャケットとパンツを軸に、グリーンの小物を差してコーディネートを組み立てました。ベストとタイツ、そして女性らしくピアスもグリーンに。友人のジュエリーデザイナーに天然石のマラカイトでつくってもらったんです。バッグはエコファーのチェーンポシェットを選んで、柔らかさをプラスしました。私は、「東京を、世界で一番、自転車に優しいまちへ」をテーマに活動している「みんなで、たまには自転車交通安全の未来を語り合ってもいいんじゃないか会議」、略して「みん転会議」のメンバー。こんなおしゃれな啓蒙活動があるのはすごく喜ばしいこと。ずっとずっと継続してほしいですね。
パク ヨンホさん/パターンナー
自らパターンを引いてつくり上げた、セルフメイドのツイードベストです。胸元はややラウンドネックにして、ドット柄のネクタイが少しだけのぞくように仕上げました。今回のテーマに合わせて、ボトムスはデニム。その流れで、ストラップがブルーの時計をピックアップしました。またネクタイに合わせて、靴下はグリーンを選んだのもポイント。チーフは赤をチラ見せしています。いろいろなカラーを合わせても統一感があるのは、ロイヤルブルーの自転車<ジャイアント>のおかげかも。学生時代から7年ほど乗り続けている、見目麗しく、さらに頑丈な相棒なんです。
山本佳奈さん/看護師
このツイードのパンツ、実はメンズなんです。今回のためにダークトーンのツイードパンツを探していたのですが、レディースではなかなか見つからず。だからこそ女性らしさをプラスしたくて、赤のニットを合わせました。さらに襟元にはスカーフを。シャツの襟がのぞくよりエレガントかなと思ったんです。昨年、尾州のツイードランに参加し、あまりに楽しかったので、今回初めて東京に参加しました。コースはアップダウンがあってなかなかハードだったけれど、ゴールしたときの気分は爽快。今後もぜひ各地で開催してください。
栗野宏文さん/Tweed Run Tokyo 実行委員長
今年で7回目を迎えた「ツイードラン」ですが、昨年の台風から一転、秋晴れのもとで開催できたこと、すごくうれしく感じています。東京の街を知ってもらおうとはじまったのちに、スピンオフして尾州や尾道でも開催されてきたイベントなのですが、どこでやるにしても地域性が反映された社会性のあるイベントとなれたら意義深いと考えてきました。だから今回、西日本豪雨で被害を受けた中国地方の職人さんたちとコラボレーションできたのは自然な流れでしたね。
今後はそういう流れをさらに広げていきたい。たとえば京都や大阪、もしくはどこかの小さな町でも「ツイードランをやりたい」という方がいたら、応援して、盛り上げたいです。だから日本各地で「ツイードラン」の小さな芽が出るのを期待しています。
それにしても、年々参加者の着こなしレベルが上がっているのには驚くばかり。僕の今のファッションキーワードは「なじみ感」。洋服は、買って、着て、終わりではありません。いかに自分になじませて、スタイルにまで昇華させるかが重要だと思うのですが、その「なじみ感」のレベルがすごい勢いで上がっている。その事実を目の当たりにした7回目でした。