モノ
2026.03.06
随一のオーセンティック。至高のネイビーカラーで刷新されたUAオリジナルスーツ。
ユナイテッドアローズ(以下UA)からリリースされるネイビースーツが、2026春夏シーズンから一新。“現代に相応しいクラス感を漂わせる、UAが考える最もオーセンティックなモデル”をコンセプトに掲げ、究極の社交着ともいえるネイビースーツを素材から見直し、UAオリジナルの一着が誕生しました。今回は、UAメンズ チーフバイヤーの豊永譲司さんにお話を伺い、製品の特徴や制作時のこだわり、プロダクトの完成までの背景を深掘ります。
Photo:Yuko Sugimoto
Text:Hisamoto Chikaraishi(S/T/D/Y)
創業当時から大事にしていたネイビーの存在
「日本ではブラックのスーツがフォーマルとして一般的ですが、スーツのルーツであるヨーロッパではネイビー=濃紺のスーツは正装としても着用されています。フォーマルな装いは本来、自分のために着るというより相手を引き立て、敬意を表すためのもので、そこで用いられるネイビーは人との調和や誠実な印象を作る、他に代えがたい色。UAも渋谷に第1号店を出店した際に、創業メンバーが揃ってネイビーのブレザーを着用してお客様をお迎えした歴史があります。それ以来、UAは店舗に欠かすことなく、ネイビーのスーツはその時代によって進化し続けてきました。
また、UAとして『スーツを進化させていくことが自分たちの使命』と捉え、多様化するニーズとライフスタイルに合わせて常にブラッシュアップを図っています。そのためこの2026年春夏シーズンに、UAの顔でもある『レギュラーモデル』のネイビースーツを、現代的でオーセンティックな一着に一新することにしました」
薄い肩パッドを入れて凛々しい姿を演出する
「今の時代の流れとして、リラックスやコンフォートという“着ていて楽”がキーワードになっていると思いますが、その一方で、仕事のプレゼン、結婚式といった、ここ一番の場面で着るスーツの役割を見直すべきだと思い、大リニューアルを決意しました。結果、企画から開発まで2年をかけて、我々のこだわりを詰め込むことができました。
まずはレギュラーモデルの形についてです。UAのスーツは基本的に肩パッドを入れていないのですが、今回、スーツ本来の“体の補正”という機能を持たせ、凛々しい印象とともに長く着られるように薄い肩パッドを入れました。それにより、首の吸い付き(上衿のフィット感)やしっかりした肩のフォルムから、やや絞ったウエストに流れるシルエット、胸の立体感が生まれ、着た姿を美しく見せます。また同時に、2つボタンの下のフロントカットの開きはこれまでより狭くしていて、控えめな印象に仕上げています」
「近年、日本の季節が四季から二季になっていると言われるほど、気候が極端になっている中で、一年中どんな時でも安心して着られる素材感を目指し、一から生地を作りました。生地は、Super130sの2/94で織られた、目付280gの上質な綾織のウール地です。この生地を作るにあたって、『染色』、『紡績』、生地を織る『織布』、最後に加工を行う『整理』という工程があり、すべて日本で行い、高い品質を実現しています」
6色の繊維を混ぜ、至高のネイビーを創造
「私たちがオリジナルのネイビーを作るならとことんこだわって、糸になる前の繊維の綿の状態で染める『トップ染め』を行おうと考えました。これは工程と時間がかかるクラシカルな方法で、現在は生機(きばた。未加工の生地)を染める『反染め』が一般的です。ただ、『トップ染め』を採用することで、複数の色の繊維をブレンドして、唯一無二のUAネイビーができる。何度も試行錯誤を繰り返した結果、6種類の色を掛け合わせて、新しいUAネイビーを生み出すことができました。出来上がるまでの2年は、ほぼこの色出しにかかったといっても過言ではありません(笑)」
─今回使用したトップ染めの見本を見ると、黒っぽいネイビーや紫がかったネイビーなど合計6色が入っていますが、いちばん驚いたのはブラウンです。
「どの色をどのくらいの割合で使うかをすごくこだわり、そしてすごく悩みました。特にブラウンは、UAのショッパーにもありますように、お客様との繋がりを表すブランドカラーであり、皆様が抱く“UA感”の象徴として私たちも大事にしたい色ですので、どうしても入れたいと考えていました。加えて、ネイビーはどこに着て行っても通用するフォーマルな色ですが、その中にどこか着る人のアイデンティティになる要素を入れたいと思うのが、私たち洋服屋でして。そんな思いで作り始めて、最初はブラウンを入れすぎて失敗してしまったのですが、その経験から2%という割合を導き出しました。
UAネイビーでスーツをより身近な服にしたい
「現在、フォーマルな場面で着用する服はほとんどスーツだと思います。ビジネスシーンに加えて、結婚する前にパートナーのご両親にご挨拶に行く時や、お祝いの席を訪れる時、友達の結婚式に参加する時に、礼儀を重んじながら、ときに自信や勇気を持つスイッチとなるスーツは、個人的に素敵な装いだと思っています」
─豊永さんが考えるスーツ選びのコツは?
「今まで私が話したことは一旦忘れていただき(笑)、まずは気になるさまざまな形や価格帯のスーツを着てみること。もちろん限度はありますが、そうすることで今の自分が求めている一着がわかります。それこそ、UA以外のブランドが出しているスーツも見てみてください。それぞれが独自の哲学を持ってスーツに向き合って作っています。ただ、その中でもUAは、皆さんの選択肢に入るスーツを必ず提供していますので、ぜひお店に試着しにご来店いただきたいです。スーツは伝統的な装いでルールも大事ですが、自分の体がどう感じるかが重要だと私は考えています」
「『スーツってやっぱりカッコいい』、『スーツ選びって楽しい』と思ってもらえるようなラインナップをこれからも増やしていきたいです。“ここに行くから着なきゃいけないもの”ではなく、スーツはもっと身近で愛着が湧く洋服であるというふうにマインドが切り替わると、スーツの選び方や着方の面白さに気づいていただけると思います。今回の新しいUAネイビーも、その一着になることも想定しています。ここからさらに広げて、同じ糸を使ったブレザーを作ったり、このネイビーを採用した配色でニットを作ったり、UAネイビーのアイテムをどんどん進化させたいと考えています。ぜひ楽しみにしていただきたいです」
INFORMATION
PROFILE
豊永 譲司
UA メンズ商品部メンズチーフバイヤー
1983年生まれ、神奈川県出身。文化服装学院卒業後、ユナイテッドアローズに入社。ウィメンズのショップからキャリアをスタートし、2010年にディストリクト ユナイテッドアローズでセールスパーソンとアシスタントバイヤーを兼任する。2013年よりユナイテッドアローズのバイヤーを務め、現在に至る。