
モノ
2016.05.06 FRI.
Hとモノ「PIZZA SLICEのHOW TO ENJOY PIZZA」
2013年に誕生したアメリカンスタイルのピザ屋「ピザスライス」。オープンするや、手軽に味わえる“カット売り”のピザが評判になり、またたく間に人気店に。このたび表参道の「H BEAUTY&YOUTH」の地下に、2店舗目がオープンしました。今回は、オーナーの猿丸氏をたずね、その美味しさの秘密をお伺いしました。
Photo:Lisa Mogami
Text:Noriko Ohba
“カット売り”のPIZZAを気軽に毎日楽しんで欲しい!
「ピザスライス」のピザは、直径50cmの大きなピザを8分の1にカットし、 “ホール売り”ではなく、1ピースからの“カット売り”をしているのが大きな特徴。開店前、オーナーの猿丸さんは、ニューヨークのピザ屋で2年間修行したのだそう。「それまでピザ屋さんで働いたこともなかったのですが、アメリカンスタイルのピザ屋を日本でやりたい、本場ニューヨークで勉強するなら、まだ間に合うと思い立ったのが25歳のときでした」
なぜ、アメリカンスタイルのピザを日本に広めたいと思ったその理由とは? 「僕、今もそうですけど、昔はもっとすごく太っていたんですよ(笑)。食べることが大好きで、なかでもピザは好物中の好物。日本の宅配ピザもよく食べていましたが、中学生のときに行ったアメリカ旅行でピース売りのピザに、衝撃を受けたんです。
ひとりでもいろんな味が楽しめるし、少ないポーションで食べられるスタイルがすごく気に入って。同時に『どうして、こういうピザ屋が日本にはないんだろう』と疑問に思ったことも覚えています。今思えば、そこが始まりですね」。
さくっとしたクリスピー感がクセになる。
そして、渡米。「アメリカでは1カット3ドル未満から手に入るピザは、日本で言うなら、コンビニでおにぎりを買うような、町の至るところで売っているたこ焼きのような、身近な存在。日本での認識とは違いますが、新しいスタイルとして、東京でも定着させることができるんじゃないかと思ったんです。安くて、毎日食べても飽きないピザ屋があったら、学生や忙しく働く人たちに気に入ってもらえるはずだと」。
気軽に毎日、飽きずに食べられる。その言葉通り、『ピザスライス』では、1ピース390円から売っています。その魅力は、何と言っても生地のクリスピー感。もっちりとした分厚い生地のナポリスタイルとは違い、薄い生地でパリッとした味わいを楽しむのが、アメリカンスタイル。
「ピザスライス」の生地も薄めで、外側にはさくさくっとした食感、内側にはほんのりやわらかさも感じられます。そこに濃厚なトマトソースとたっぷりのチーズを乗せて、オーブンで焼き上げて完成。最後まで感じられるパリっとした食感はクセになり、外国人のリピーターも足しげく通う本格味。
「ニューヨークにいたときによくスタッフや友達に言われたのが、『日本は、何を食べても美味しいけれど、自分の国の料理を食べたいと思ったときに、どのお店も日本風の味付けになっていて、それが残念だ』という言葉。
これがすごく印象的で、自分がお店を出すなら、できるだけNYの味を再現しようと思っていたのですが、実はレシピはかなり自己流で練り直しています。生地の固さひとつとっても、アメリカ人と日本人では真逆というくらい好みが違うんですよ。アメリカ人は、肉にしてもパンにしても、アゴが痛くなるくらいの、豪快に噛みちぎるような固さが好み(笑)。
対して日本人の多くはもっちりしていたり、ふわふわとした触感が好き。この溝をどう調整したらベストか、試行錯誤して、ギリギリのところを狙いました。トマトソースは、テイクアウト後でもおいしく食べられるようにハーブを入れて時間をかけて煮込み、甘みや濃厚さを出しています。味については、オープン後も調整し続けているので、開店当初の味に比べるとだいぶおいしくなっているんじゃないかな(笑)」
PIZZAとスパイスの好相性も満喫したい。
チーズやソーセージ、ガーリックなど現在8種あるメニューは、どれもシンプル。ニューヨークでは、具だくさんのピザよりもシンプルなものが人気だとか。「僕自身も、あらゆるピザを食べてきて、今ではチーズピザしか食べないというくらい、シンプルなものが好きです。その分、好みのスパイスで風味を変える楽しみが増えるんです」と猿丸さん。
各テーブルには、レッドペッパーやガーリックパウダー、オレガノ、ブラックペッパーの4種のスパイスが用意されています。辛みを足したいときは、ぜひレッドペッパーを。ピザにタバスコという王道の組み合わせは日本独特のもので、アメリカではレッドペッパーで味を引き締めたり、ピリっとした旨味を加えのるが定番だとか。
「個人的な好みなら、『ペパロニスライス』には、レッドペッパーとガーリックパウダーが最高。『チーズスライス』は、シンプルさを楽しみつつ、途中でオレガノを入れても美味。いいアクセントになりますよ」とのこと。
新たにオープンした表参道店では、この人気の2品ももちろん展開しますが、「女性の好みに合う新たなメニューも企画しています」と猿丸さん。また、新店舗では、ドリンクに新たなメニューも加わります。「ピザとの相性抜群の、カシスを使ったお茶をぜひ試してほしいですね。現在、ピザに合うコーヒーについても研究中なのですが、コクや酸味の効いたものよりも、浅い焙煎がマッチするのではと、今試作を重ねている最中です」。
気持ちのいい高い天井と白を基調とした内観で、地下とは思えないほどの開放感が漂う表参道店。ランチで友人と訪れたり、小腹がすいたときにひとりでフラッと立ち寄ったり、ディナーでお酒と一緒に楽しむにも重宝するはず。表参道に遊びに来たら、アメリカンスタイルで味わう『ピザスライス2』へ、ぜひ。
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