
ウツワ
2019.12.26 THU.
新年を前に知っておきたい豆知識。十二支の物語と干支のこと。
2020年は子年。「十二支」における始まりの年です。新年が近づくにつれ、カレンダーや年賀状など、身のまわりに何かと「子」の字や、ねずみをかたどったものが増えていると思いますが、ふと、「そういえば、そもそも十二支って?」という素朴な疑問が。そこで、「十二支」の起源や、「十二支」に名を連ねようとする動物たちの熱い(?)物語、「干支」別のタイプ診断、干支にまつわる神社のお話まで、「干支」についてご紹介。初詣の列に並んでいる間の話のネタとしてもぜひどうぞ。
Photo:Wataru Kakuta
Text:Aya Kenmotsu
Illustration:Masashi Takeda
「干支」は「十二支」だけじゃなかった!
十二支とは、「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の総称です。1年ごとに順に割り当てられており、2019年は亥年、2020年は子年、となります。この「十二」という数字がどこから来ているかというと、紀元前十数世紀も前の古代中国の天文学から。当時、尊い星とされていた「木星」が、地球の外側にある天球を十二年で一周すると考えられていたことから、十二年を一つのサイクルとして、それぞれに漢字を配していったのです。
そして、古代中国では、「十二支」と同時に「十干(じっかん)」という考え方も生まれました。何が「十」かというと、太陽の数です。「この世には太陽が十個あり、それが順に十日かけて昇っては沈んでいく」という考えから、十をひとつのサイクルとする考え方もありました。ちなみに、十の太陽の名前は「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」です。
「干支(えと)」といえば「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」のことと思いがちですが、実は「十干」と「十二支」を組み合わせた60種類を「干支」と呼びます。その考え方の元には、十と十二の最小公倍数である六十を一周期とする「十干十二支」という概念があり、61年目には生まれた干支(暦)に還ることから、満60歳を「還暦」と呼び、長寿を祝うようになりました。あまり馴染みのない「十干十二支」ですが、「十干」と「十二支」それぞれの始まりの「甲」と「子」が重なった年となる「甲子(きのえね)」に完成したことから名づけられた「甲子園球場」など今でも身近なところで使われているのです。
動物たちの奮闘が楽しい「十二支物語」
「十二支」にはそれぞれに、動物が当てはめられています。なぜ動物なのか、なぜ「子」と書いて「ねずみ」、「丑」と書いて「うし」なのか…ということは、あまりよくわかっていないようですが、動物たちがにぎやかに登場する「十二支物語」は、日本各地に昔話として残っています。
昔々の、ある年の暮れ。神様が、動物たちにこんなお触れを出しました。
「1月1日の朝に、私のところに新年の挨拶に来なさい。1番から12番まで順番をつけて、順に1年交代で動物の大将にしてあげましょう」
そこで日本全国の動物たちは張り切って神様のところを目指し始めます。特に牛は、「私は足が遅いから」と、前日の夕方に出発。一歩一歩、着実に歩みを進め、新年の太陽が昇ったとき、最初に神様の前に現れ1番に…と思いきや、その背中からねずみがピョンと飛び降りて、「神様、新年おめでとうごさいます!」。ちゃっかり1番の座を獲得したのでした。
道中ずっとケンカをしていた犬と猿、本当は最初に神様のところに到着していたのに猪突猛進すぎて通りすぎ、結局12番目になってしまったいのしし、ねずみに「神様のところに行くのは1月2日だよ」とウソをつかれて「十二支」レースに参加しなかった猫(それで怒った猫は今でもねずみを追いかけ回している)など、楽しいエピソードも。
同様の物語は、「十二支」発祥の地である中国のほか、朝鮮半島や中央アジアにもあるそうです。
思い当たる? 「干支」別・タイプ判断
「十二支物語」でも描かれていたように、それぞれの年の名前になっている動物には、象徴的な生活や行動パターンがあります。そこから派生して、生まれ年別に人の性格や特徴をまとめた「干支占い」。簡単にご紹介しましょう。動物を想像しながら読んでみてください。


【子・ねずみ】用意周到な現実主義者
穏やかで素直な性格なので、人間関係も器用にこなすことができる。細かいところまでよく気がつき、整理整頓も好き。気が回るがゆえに用意周到で、物事を現実的な発想で解決していくタイプ。お金を貯めるのも得意。


【丑・うし】負けず嫌いの努力家
一つのことに打ち込むことができる努力家。十二支一の負けず嫌いで、これと決めたら押しと粘りでやり抜く。頭の回転も早く、仕事では親分肌のリーダーシップを発揮。堅実さもあり、温かい家庭を築くタイプ。


【寅・とら】慎重かつ大胆な純愛派
最初は用心深く、よし! となったら驚くほどの行動力を発揮。静かなたたずまいの中に大きな野望を秘めている。独立心も旺盛なタイプ。恋愛においてはピュアで情熱的であるため、一大ロマンスを繰り広げる人も。


【卯・うさぎ】利口な愛されキャラ
利口で、ユーモアにあふれているので、人に好かれやすい。器用で芸達者、多趣味で、交友関係も幅広いので、孤独とは無縁な人生を送れる。清潔な人が多く、好感度も高い。合理主義で、理想を追求する面あり。


【辰・たつ】感性豊かな“不器用真面目”
想像力・創造力ともに豊かで、前例にとらわれることなく才能を発揮する人が多い。人柄は飾り気がなく不器用なので、初めはそっけない印象を与えがちだが、真面目さを理解してくれる人からは大いに重用される。


【巳・へび】行動力のあるリーダー
生まれつき気品を宿し、神秘的なムードを漂わせる。遠慮深くありつつも、貪欲な向上心と行動的な一面を発揮して、さまざまな分野でリーダーとして信頼される。物事を先まで見越して綿密に計画することも得意。


【午・うま】理知的で几帳面な行動派
十二支一エネルギーにあふれた、行動的な性格。これとなったら真っすぐ走っていく。頭の回転が早く、理知的で几帳面。陽気でサバサバしており、喜怒哀楽を素直に表現するところも愛され、友人も多い。


【未・ひつじ】優しく温和な平和主義者
穏やかな性格で人当たりがやわらかく、集団の中にいることを好む。忍耐力もあり、さらに勤勉という芯の強さももっていて、コツコツと実績を積んでいくタイプ。親切で思いやりがあり、多くの人に好かれる。


【申・さる】天真爛漫で正義感も強い
話し上手でやることも早い。天真爛漫でユーモアもあり、コミュニケーション能力が高いので、人の中にいて魅力を発揮するタイプ。正義感が強く、曲がったことが嫌いなのも特徴で、それが高じて論争好きな面も。


【酉・とり】ロマンチストな天才肌
頭の回転が早く、天才肌。回転が速すぎてせっかちな面も。情緒豊かでそのバランスがよく、人当たりの良さもある。完璧主義である一方で、大きな夢を見るロマンチストの一面もあり、特に芸術面で才能を発揮。


【戌・いぬ】律儀で忠実な人気者
忠実で忍耐力があり、責任感も強い。義理人情に厚く、心を許した相手とは長く深い関係を続けていく。派手なことは好まないが、親切で世話好きなので、自然に周囲に人が集まってきて、リーダー的な存在に。


【亥・いのしし】生真面目に突き進む!
まさに猪突猛進、生真面目で正直者なので、周囲からの信頼も厚い。お人好しで涙もろく、人情家。初志貫徹で一つのことをとことん究めようとするため、広い分野で大きな成果を残す人が多い。恋愛では一途。
初詣は運気を上げる「干支詣で」へ!
さて、年が明けたら初詣。2020年は新しい「十二支」の始まりということもあり、その年の「干支」に縁のある神社へ「干支詣で」に出かけてみてはいかがでしょう? 子年なら、関東で有名なのは、神奈川県横浜市の「戸部杉山神社」。創建652年という歴史ある神社で、本殿の前には狛犬が鎮座していますが、さらにその手前で大きな「狛ねずみ」がお出迎えしてくれます。
なぜ「狛ねずみ」なのか。それは、この神社の御祭神(祀られている神)である大国主命(おおくにぬしのみこと)が、一匹のねずみに命を救われたという物語が『古事記』によって伝えられているからです。そのため戸部杉山神社の「狛ねずみ」は、大国様としても知られる大国主命とおそろいの打ち出の小槌を手にしています。
この「狛ねずみ」、ユニークなのは台座が回転するようになっているところ。男性は本殿に向かって右のオス「狛ねずみ」を時計まわりに、女性は左のメス「狛ねずみ」を反時計まわりに1回転させながら、願掛けをすると良いのだそうです。
また、十二支は古来より縁起のいい動物で構成されているので、その年の干支アイテムを身につけたり、玄関先に飾ることは縁起が良いとされています。また、干支を敬い感謝することで、開運にもつながります。
新年を迎えたらその年の干支アイテムに替えて、新たな気持ちで一年を過ごしてみてはいかが?
ユナイテッドアローズが毎年春夏シーズンのスタート時に店頭で配布していた、その年の干支をモチーフにデザインしたピンバッジ。※現在は終了しております。
身近にありながらも、意外に知らなかった「干支」の世界。2020年、「十二支」も新しくスタートする節目の年です。どうぞ新鮮な気持ちでお迎えくださいね。