ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ウツワ

2022.10.03 MON.

ユナイテッドアローズが地球の幸せのためにできること。
サステナビリティ活動「SARROWS」をローンチ。

「ファッション業界におけるサステナビリティ活動」と聞いて、どんなことをイメージするでしょうか。そして数あるファッション企業の中で、ユナイテッドアローズは、なにを課題に掲げ、どんなことに取り組み、どんなバトンを次世代へ渡していくのでしょうか。さて、この秋、ユナイテッドアローズでは自社のサステナビリティ活動を「SARROWS」と銘打って、新たにローンチ。「『SARROWS』とは、持続可能な社会に向けた活動の新レーベルのようなもの」。そう語るのは、サステナビリティ推進部の玉井 菜緒さん。「SARROWS」とは? その経緯と背景、そして活動内容について、詳しく掘り下げていきます。

Photo:Yuco Nakamura
Text:Maho Honjo

ファッション企業としてなにができる?
その扉を開くのが「SARROWS」。

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ーユナイテッドアローズ社の中に、玉井さんが所属する「サステナビリティ推進部」というものがあるのですね。なにをするための、どんな部署なのでしょうか。

文字通り、サステナビリティ活動を着実に推進して、積極的に情報発信し、いろいろな方に認知していただき、中長期的に企業価値を向上させていく--それが部のミッションです。メンバーやお客さまにサステナビリティの意識がしっかり根付いて、この部署がなくてもOKな状態にまでになる。それがゴールイメージです。

ーでは、具体的にどんなことをしているのか、ぜひ教えてください。

サステナビリティの推進というのは、メンバー、お客さま、取引先、株主…いわゆるステークホルダーと呼ばれる人々と一緒に行うもの。様々な業務を「地球と社会にとって持続可能かどうか」に照らし合わせ、関わる人の意識ややり方をアップデートしていく、そんな作業に取り組んでいます。常に各所、各方面との調整が必要になるのですが、大切にしているのは「いま、変化することでこんなことに繋がる」というメリットを説明していくこと。新しくて、明るくて、自分も社会も幸福になる…そんな世界を提示しながら、日々奔走しています。

ーとなると、「なぜ持続可能な社会を目指すのか」という問いを、一人ひとりが自分ごとに落とし込んで、腹落ちする必要がありますね。

とても難しい問いですよね。サステナビリティ活動を言葉で説明しようとすると、どうしても硬い内容になってしまいがち。もっと自然に興味が湧いて、活動への意欲が高まるようにするにはどうしたらいいか。そこを考え抜いてできあがったのが「SARROWS」です。

ー2022年10月3日、ユナイテッドアローズは自社のサステナビリティ活動を「SARROWS」とネーミングし、ロゴ化しました。「SARROWS」とは一体なんなのでしょう。

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ユナイテッドアローズは、地球に、社会に、なにをしていくか。それを「SARROWS」というレーベルに落とし込んだ、というとわかりやすいでしょうか。お客さまは我が社を「アローズ」と呼んでくださいます。その愛ある呼称に「sustainability」の「s」を載せて「SARROWS」に。これを冠にして、今後活動を広げていきます。

ーサステナビリティ活動をレーベル化! ファッション企業だからこその考え方、捉え方ですね。ファッションを愛するわたしたちにとって、その活動がグッと身近に感じられます。

そうなんです。不思議なことに「SARROWS」とネーミングすることで、感覚的にしっくりときて、浸透が早くなる。そのことを既に実感しはじめています。ファッション業界が同じ課題を抱える中で、「ユナイテッドアローズらしく行うには――」その扉が開いた気がしました。「SARROWS」とはわたしたちの合言葉であり、「この指止まれ」の目印であり、よりよい未来への扉。もっと肩の力を抜いて、わたしたちらしいクリエーションで取り組んでいきたいと目論んでいるところです。

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サステナビリティの数値目標を策定し、
確実に、一歩ずつ、よりよい未来へ。

ーさて、そのサステナビリティ活動の三本柱として「Circularity」「Carbon Neutrality」「Humanity」を据えたのですね。

2020年4月に設定した指針を基に、よりお客さまの関心が高い分野を重点活動カテゴリーとしました。それぞれの進捗度を測る指標を設定し、目標数値も掲げました。まずひとつが「Circularity 循環するファッション」です。大量生産・大量消費・大量廃棄を、適量生産・適量消費、そして廃棄ではなく、それらをリユース、リサイクルして循環させていく。現在当社の<商品の廃棄率>は1.0%ですが、2030年には0.1%まで減らす目標です。並行して、リサイクル材などを使用した<環境配慮商品の割合>をさらに増やしたい。2022年春夏商品ではまだ2.0%という数値を、2030年までに50%にすることが目標ですね。お客さまの意識の高まりとともに、展開を増やしていきます。
その他、着なくなった衣類の回収を積極的に行って、お客さまにもその循環を実感してもらうことをはじめています。

ーそして次なる「Carbon Neutrality カーボンニュートラルな世界へ」とは?

全産業が取り組むべき社会課題で、当社はグローバル基準となる「パリ協定」に準拠した高い目標値を掲げました。省エネや再生可能エネルギーへの切り替えを推進し、<CO2排出量の削減率>を2030年に30%削減を目指します(※Scope1,2の目標。Scope3は15%削減目標)。また、<再生可能エネルギーの割合>つまり、再生可能エネルギーを使用する店舗やオフィスの拠点数の割合が50%になるよう呼び掛けていきます。当社でお買い物を楽しむことが脱炭素のアクションに繋がり、お客さま自身の満足度も上がる。そんなことを伝えていけたらと思っています。

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ーさらに「Humanity 健やかに働く、暮らす」。これは前述のふたつを比べて、グッと身近に感じます。

そうですよね。結局はこれがすべてのベースなのかなと思っています。わたしたちは、店舗でのお客さまとメンバーのあたたかなコミュニケーションを重要視していて、そこで生まれる幸せな空間と時間をとにかく大切に思っています。そこで掲げているのが<従業員エンゲージメントスコア>、いわゆる「ここで働く幸せ」の数値をアップさせること。それはつまり、「お客さま満足」を生みだす原動力です。現状の70%を、2030年には80%にまで上げたいと思っています。同様に、サプライチェーンに関わる人々の人権や労働環境も重要です。<行動規範同意書の取得率>を同じく100%にします。働く環境が幸せなものになると、商品のクオリティアップに繋がります。どんなところで作られ、どうやって運ばれ、どんな風に提供されるのか。そこに関わる人々の幸福度を上げることで、お客さまの満足度も上がる。その循環を徹底していきたいのです。

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ーまた、今期より「ESG DATA BOOK」の公開をはじめたのですね。

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を合わせたもの。これから企業が長期的に成長するためにこの3つの観点が必要とされていて、従業員のダイバーシティから商品の廃棄率まで様々なデータを明記しています。これは主に投資家の方々に向けたもの。毎年公開していくので、当社の成長を見てもらいやすくなります。外部に公開することで指摘や刺激があり、「SARROWS」の促進にも繋がると考えているんです。


「SARROWS」の可能性は無限大。
手を携えて未知なる活動を広げていく。

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ー今後、アパレル企業として、環境問題、社会課題にどのように責任を果たしていこうと考えていますか?

「Circularity 循環するファッション」「Carbon Neutrality カーボンニュートラルな世界へ」「Humanity 健やかに働く、暮らす」という三本柱が固まったので、その数値目標に向けて、あらゆるアプローチをかけていこうと思っています。

ーそのために「SARROWS」が生まれたのですよね。

抽象的になってしまいますが、新しい未来、それも持続可能かつワクワクする未来への扉を、「SARROWS」を通して開けていきたい。「SARROWS」というものを、ファッションに落とし込むのでも、コミュニティと考えるのでも、フィロソフィーの源にするのでも、その可能性は無限大です。その先には、いまより自分らしい自分、健やかな暮らし、穏やかな人間関係、そして次世代に繋ぐ創造的な文化など…、それらすべてが見えてくるはず。ファッションの楽しさに加えて、働き方、暮らし方といった生活文化を提案する企業として「SARROWS」というネーミングを掲げました。「この指止まれ」と声を掛けて、賛同してくれる方々と、扉の先へと歩いていけたら…。そんな風に考えています。

PROFILE

玉井 菜緒

1999年、株式会社ユナイテッドアローズに入社。情報システム部門にてコミュニケーションツールの企画・運用を担当後、2004年より同社の社会・環境活動の推進に従事する。同分野に携わって19年目で、現職はサステナビリティ推進部 部長。

JP

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