髙石 あかり

KEY PERSON

髙石 あかり

俳優

2025.10.09

吹き抜けの窓から降り注ぐ光を纏いながら、頭から指先まで全身を使って遊び、存在感を放つのは、現在放送中のNHKの連続テレビ小説『ばけばけ』のヒロイン・松野トキを演じる髙石あかり。いちばんの夢だったという『朝ドラヒロイン』に抜擢され、撮影が進み公開へ。彼女はいまどんなことを感じて、見つめているのか。作品の魅力とともに、その現在地を紐解く。

髙石 あかり
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衣装は役を知る手がかり。
大きな存在だからこそ、
普段は素でいたい

「自由に空間を意識しながら、ポージングなのか、そうではないのか。そんな境目を楽しんでいました」
モードでありながら、繊細さと強さが融合し、どこかコンテンポラリーな雰囲気を含んだ冬の最新スタイリングを纏い、千変百様に遊び尽くすさまに触れ、これが髙石あかりという俳優なのか、と息を呑む。
「撮影中は、自分で表現方法を考えることも楽しかったですし、声をかけていただいたポージングのアイデアが新鮮で学びにもなりました。普段からメンズライクなファッションを着ることが多く、今回の撮影で着用したオーバーサイズのウールコートやデニムを使用したスタイリングはとても好きだったので、自分でも挑戦したいです」
一軍で溢れているというワードローブは、彼女がいちばん素になれる世界が詰まっているという。
「衣装を着ると演じる人物が“こんな服が好きなんだ”と、役を知ることができたり、日常でもスカートを穿くことで女性らしくなったり…、洋服から受ける影響は大きいです。私にとってファッションは、役を知る手がかりであり、大きな変化をもたらす存在だからこそ、普段は素でいられるファッションを意識しています」

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朝ドラヒロインはいちばんの夢。
その気持ちを持ち続けながら、
作品への愛と自信で溢れている。

どんなにつらい境遇でも好きなことに全力で、前を向き続ける 『ばけばけ』のヒロイン・松野トキという役柄について、「これまで演じてきた役でいちばん自分に近い存在だからこそ、作るのではなくその場に起きていることを全力で感じて演じている」と語る。「『朝ドラヒロイン』は小さい頃からのいちばんの夢」という彼女にとって、放送を目前に控えたいまの心境は(取材時9月下旬)夢をいだきながらも、自信へと変化している。
「朝ドラヒロインへの想いは持ち続けています。いまは、スタッフ、出演者全員がモデルの小泉八雲さんとセツさんのことを深く知り、愛することに自信を持っているからこそ『ばけばけ』という作品を早くお届けしたいという気持ちでいっぱいです」
そう語る表情から、作品への愛情だけではなく、撮影に関わる人や環境すべてへの愛と感謝に溢れている気持ちが伝わってくる。
今作の舞台となった松江(島根県)は、『ばけばけ』ムード一色。地元の協力のもと、撮影現場はあたたかい雰囲気に包まれているという。
「地元の名産でもあり物語を彩る『しじみ汁』や、モデルの小泉八雲さんの代表作『耳なし芳一』や『雪女』といった名作怪談をテーマにしたクッキーなど、ユーモアに富んだケータリングを地元の方が用意してくださったことは、とても印象に残っています。オーディションで出会った瞬間から、“この人たちと仕事がしたい”って思って、日々その想いは更新されていて、ともに仕事ができる喜びを噛みしめています」

髙石 あかり
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大切なのは
そこに生きようとすること

観るものを一瞬で惹きつける演技力。幼い頃から「俳優になりたい」と周囲に語りながらも、特に演技力を磨くために何かを実践してきたというわけではなかったという。
「外でひたすら走っていたような幼少期を過ごしていました(笑)。出身でもある宮崎の地元地域は、すれ違ったら誰でも挨拶して仲良くなるような雰囲気なので、私も幼い頃から知らないお店に入っては、初めて出会う大人たちとフランクに喋ったり、可愛がっていただいたり、たくさんの方々と出会って、関わる機会が多かったので、感情は豊になったのかもしれません」
目立つことも大好きで、人前に出ることやステージに立つということに憧れていたが、芝居への興味が深くなるにつれて、手探りながらも演じることに夢中になっていった。
「昔もいまも全力で芝居に取り組んでいますが、いまは少し冷静さを持ちながら、撮影に取り組めています。すごくリアルなお芝居をされる素晴らしい俳優の皆さんに引っ張られてお芝居をしようとするのではなく、そこに生きようとすることを大切にしています」

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着用アイテム
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自分と対話する度に気づく、
「芝居が好きという大きな灯」

忙しい日々のなかで大切にしているという、自然と触れ合う時間。
「自分と対話できる瞬間がいちばん生まれるのは自然のなか。特に山や滝が好きで、自然に触れていると、“私はこうしたいんだ”“私が好きなものはこれなんだ”って現在地を整理できるので、時間を見つけては出かけるようにしています。今は大阪に住んでいるので、大阪でふらっといける山や滝を開拓しているところです」
自分と対話する度に必ず存在するという「芝居が好きという大きな灯」。この先もずっと、いまの熱量を持ち続けた俳優でいたいと語る。
「幼い頃からいまでもずっと持っている、芝居が好きだという火は灯し続けること、関わる人たちへの感謝と尊敬をしっかりと言葉で伝えていくことは忘れないようにして、変わらない自分であり続けたいです」

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髙石 あかり俳優

2002年生まれ、宮崎県出身。俳優。2019年より俳優活動を本格化。2021年に主演を務めた映画 『ベイビーわるきゅーれ』 が大ヒットし同作はシリーズ化。2023年には、出演作品の演技が評価され、『第15回TAMA映画賞の最優秀新進女優賞』を受賞。近年の主な出演作にドラマ 『御上先生』 (25)、『アポロの歌』 (25)、『グラスハート』 (25)、映画 『私にふさわしいホテル』 (24)、『遺書、公開。』 (25)、『ゴーストキラー』 (25)、『夏の砂の上』 (25)など。ヒロインを務めるNHK連続テレビ小説 『ばけばけ』 は現在放送中。

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NHK連続テレビ小説 『ばけばけ』

連続テレビ小説 『ばけばけ』放送中

明治時代の松江を舞台に、文化の違いや貧困を乗り越え、怪談好きという共通点を通して、2人の絆が描かれる物語。モデルは松江の没落士族の娘・小泉セツとその夫で 『怪談』 で知られる小泉八雲。脚本は 『阿佐ヶ谷姉妹のほほんふたり暮らし』 で知られる、ふじきみつ彦。
幼い頃から怪談話が好きなちょっと変わった没落士族の女の子・松野トキ (髙石あかり) に、舞い込んできた住み込み女中として働く話。奉仕することになったのは、トキと同じく怪談話が好きな異国から来た英語教師・ヘブン (トミー・バストウ) 。お互いにつらい境遇を経験し、言葉や文化の壁に悩みながらも、夜な夜な怪談話をして、心を通わせいく。

  • NHK総合 月~土 午前8時~8時15分 ほか
    ※土曜は一週間のふりかえり
  • 作 ふじきみつ彦
  • 音楽 牛尾憲輔
  • 出演 髙石あかり、トミー・バストウ/吉沢亮 ほか

公式サイト https://www.nhk.jp/p/bakebake/ts/662ZX5J3WG/

PhotographyTaro Mizutani/StylingSaeko Sugai

KEY PERSON
ユナイテッドアローズが注目する、
その世界で影響を与えるKEY PERSONが
最新のスタイリングを纏う。
今の心境を語るとともに、自由に表現するその先に
内面に秘めた、美しさを映し出す。