山田 杏奈

KEY PERSON

山田 杏奈

女優

2024.09.18

  • 山田 杏奈
  • 山田 杏奈

「秋冬の洋服が好きなので、スタイリング一つひとつに、ワクワクしました」
撮影終了直後に笑顔でそう話すのは、映画『正体』で、殺人事件の容疑者・鏑木の逃走事件とはまるで別世界の日常のなかで、桜井という青年として、鏑木と出会う女性・酒井 舞 (以下:舞)を演じる山田杏奈。光と影がグラデーションのように揺れる空間のなかで、トラッドなスタイリングを綺麗に纏い、目、表情、指先まで全身で表現するその画は、まるで1本の作品を観ているようで、撮影が始まった瞬間から惹き込まれる。
出演する最新作品への思いとともに、彼女の心境を紐解いていく。

山田 杏奈
山田 杏奈
山田 杏奈

同じ年代を生きる女性だからこそ、
等身大で理解しながら、
私と舞と監督で同じ方向を向いて挑んだ

「マジョリティな意見ではなく、酒井 舞という女性が “この人を信じたい” と思った気持ちを同じ年代を生きる女性として、等身大で理解することが大切でした」
殺人事件の容疑者として逮捕され脱獄犯として追われる鏑木が逃走中に出会った人々のなかで、舞はごく普通の日常を送り、事件に対しても傍観している女性だ。だからこそ「舞の目線を通すことで、見ている人たちも桜井さん(鏑木)に出会った気分になれる」と彼女はいう。
「フィルターを挟んで起きている出来事が自分の世界になったときに、普通の女の子がどう感じて行動するのか、舞が初めて主導的に動く強さや成長を描けるように意識しました」
出演を熱望していた藤井道人監督作品、いわゆる藤井組へ初出演となった本作。
「役や心情、セリフを理解できるまで監督が寄り添ってくださり、藤井さんと舞と私で同じ方向を向いて、安心して挑めたことが印象的でした」
主演の鏑木を演じた横浜流星さんの存在が、舞の心情を想像させる。
「流星さんとの共演は初めてでしたが、鏑木に通ずるまっすぐさ、真面目さ、危うさ、繊細さがお芝居をしている姿から感じられて、舞は桜井さん(鏑木)と出会ったらこういう気持ちになるだろう、という想像が自然とできました」

「信じ続けることって難しいですよね。
それでも、この人なら信じられる
と思ってもらえる人でありたい」

信じることが正しいのか、信じられないのはいけないことなのか、何が真実なのか、さまざまな感情が交差する本作。人との繋がりが薄くなりつつある今の時代だからこそ、「信じる」という感情について改めて考えさせられる。
「“信じているけど、仕方ないことだってある”と思うことで、傷つかなかったり、救われたりしたこともたくさんありました。だけど、もっと強く信じていたら何か変わっていたのかもしれないと思うこともあって…。信じ続けるって難しいですよね。私自身は、この人なら信じられると思ってもらえる人でありたいです」
彼女が演じた人物のなかで、記憶に新しいのが、『ゴールデンカムイ』のアシリパだ。壮絶な過去と過酷な環境のなかで強くまっすぐに生き抜くアシリパの目や表情に宿した強さは、彼女自身から溢れ出し、一瞬で惹き込まれてしまう。
「彼女が背負っているものなんて、私の人生とは比べものにならないですが、“自分の思いを通す”というゆずれない部分は、私自身も大切にしています。まだ全部は描けていないですが、アシリパと一緒に悲しんだり、強い気持ちでぶつかったり、それを今後も続けていきたいです」

山田 杏奈

「今日はあのカフェに行くから、
この色を入れてみよう」
そんなちょっとした
ファッションを楽しむ時間が大切

「ファッションで表現する自分らしさは…、まだ探し中です(笑)」
そんな会話から、撮影したスタイリング写真を見ながらお洒落の話に花が咲く。「特にニットを着られる秋冬シーズンのスタイリングが好き」と話す彼女が、今季に挑戦したいアイテムは、ロングブーツや着丈の短いコートだという。
「ロングブーツは今まで履いたことがなかったですが、今日の撮影で履いてみたら気になってしまって…。ニットにサスペンダーというスタイリングも新鮮だったので、やってみたいですね」
洋服が好きだという彼女は、コーディネートを考える時間を自分らしく楽しんでいる。
「その日に何をするか、誰と会うか、今日はこんなカフェに行くからこの色を入れてみようかな…。そんなことを考えながら服を選ぶ時間って基本的にすごく楽しいんです。これからもそんな時間を大切にできる人でありたいって思っています」

山田 杏奈
山田 杏奈

「来年どうなるかなんてわからない。
だからこそ、どんなことがあっても、
それを受け入れられる心とカラダの状態でいたい」

日々忙しく過ごすなかで、大切にしている時間があるという。
「少しでも休みがあれば、実家に帰るようにしています。離れて暮らすようになってから、両親と会う時間がすごく大切だと思っていて、実家に帰ることで心がリセットできる感覚があります。あとはお酒が好きなので、自宅で簡単なおつまみを作り、ゆっくりお酒を飲んでリラックスすることが多いですね」
10代から役者として活躍し、まもなく24歳を迎える彼女に、最後にどんな風に20代を駆け抜けたいか聞いた。
「毎年必死で気づいたら1年が終わるけど、あっという間に1年が経ったと思えるような充実した仕事をして、日常を過ごしていきたい。来年のことなんてわからないから、どんな仕事がきても、それを受け入れられる心とカラダの状態でいるようにしたいです」

山田 杏奈
山田 杏奈

山田 杏奈女優

2001年生まれ。俳優。2011年『ちゃおガール2011☆』オーディションでグランプリを受賞しデビュー。16年『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』で映画に初出演。18年に映画『ミスミソウ』で初主演を務め、その後多くの作品に出演。23年に主演を務めた映画『山女』(23年)、今年1月に公開された『ゴールデンカムイ』では、ヒロインのアシリパ役が大きな話題に。連続ドラマW 『ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―』が10月6日(日)22時放送・配信スタート。最新の出演作となる映画『正体』が11月29日(金)に全国公開される。

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映画「正体」

映画「正体」11月29日公開予定

原作は、染井為人によるサスペンス小説「正体」。殺人事件の容疑者として逮捕され脱走した主人公・鏑木慶一(横浜流星)が、間一髪の逃走を繰り返す488日間を描いている。事件を追う刑事又貫(山田孝之)が、日本各地で鏑木と出会った人々を取り調べるが、それは鏑木の人物像とはまったく別人のような姿。鏑木の正体とはいったい誰なのか?藤井道人監督が手掛ける、極上の逃亡サスペンスエンタテイメント。

  • 監督 藤井道人
  • 原作 染井為人『正体』(光文社文庫)
  • 出演 横浜流星、吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈、山田孝之
  • 配給 松竹

©2024年映画「正体」製作委員会
公式サイト https://movies.shochiku.co.jp/shotai-movie/

PhotographyTaro Mizutani/StylingMaki Kimura

KEY PERSON
ユナイテッドアローズが注目する、
その世界で影響を与えるKEY PERSONが
最新のスタイリングを纏う。
今の心境を語るとともに、自由に表現するその先に
内面に秘めた、美しさを映し出す。