スーツの中にニットを着るのはあり? ニットの種類別の着こなし方
スーツに合わせるニットの選び方と、着こなしのポイントをご紹介します。ノータイでもきちんとした印象を残しながら、リラックスして着られるスーツ×ニット。ただ、仕事で着てもよいのか、どんなニットを選べばよいのか、迷うこともあるでしょう。ニットを合わせてよい場面・避けたい場面をはじめ、スーツに合うニットの特徴や襟型別の着こなし、上品に見せるひと工夫を解説します。
スーツ×ニットが向く場面/避けたい場面
スーツのインナーにニットを着るのは、一律にマナー違反というわけではありません。
ビジネスカジュアルが認められた職場や、社内で過ごす時間が長い場面なら、無地のニットも選択肢に。
ドレスコードが緩やかな会食やパーティー、レストランや観劇などオフの日にスーツできれいめな装いを楽しみたいときにもぴったりです。
ただし、ニットは本来カジュアルなアイテム。冠婚葬祭など、礼装のルールが優先される場面も不向きになります。会社の式典や面接、重要な商談など、改まった装いが求められるシーンでは、シャツとネクタイが基本となります。
仕事で着られるかどうかは、職場のルールだけでなく、その日に会う相手や用件によっても変わります。判断に迷ったら、シャツとネクタイを着用するようにしましょう。
スーツにニットを着るメリット/デメリット
スーツにニットを取り入れる魅力は、きちんとした印象を残しながら、ノータイでリラックスして着られること。シャツとネクタイの代わりに柔らかなニットを合わせると、スーツの堅さがほどよく和らぎ、肩の力を抜いた着こなしを楽しめます。
また、肌寒い時期には、あたたかさを補えるのもうれしいところ。薄手に編まれたメリノウールやウール・カシミヤ混のニットなら、ジャケットの内側でかさばりにくく、厚着に見せずに防寒にも役立ちます。
スーツに合わせるニットは無地の「ハイゲージ」が基本
スーツに合わせるニットは、編み目が細かく、表面が滑らかな「ハイゲージ」から選ぶのがおすすめです。なかでも薄手の無地なら、ウールスーツの上品な生地感とも釣り合い、ビジネスにも取り入れやすいでしょう。ストライプやチェックのスーツに合わせても落ち着いた印象で着こなせます。
一方、ざっくりとした編み地や大きなケーブル柄は、カジュアルな印象が強くなります。こうしたニットは、柔らかな仕立てのスーツや起毛感のあるセットアップを使った、休日の装いで楽しむとよいでしょう。
スーツに合わせるニットの襟型別4スタイル
同じニットでも、襟型によってスーツの見え方は変わります。軽快に着たいのか、落ち着いた雰囲気にしたいのか。目指す装いに合わせて、ニットの基本型となる4種類をご紹介します。
クルーネックニット:シンプルな丸首で、スーツを軽快に
最も王道となる丸首の「クルーネックニット」は、スーツを軽快に着たいときの定番。襟元に装飾がないシンプルなデザインで、軽い仕立てのシングルスーツやイージーセットアップによく合います。
写真のようにチャコールグレーの上下に黒を重ねれば、リラックスした雰囲気のなかにも落ち着いた印象が残ります。スーツの色柄やシルエットを生かしながら、気負わずニットを取り入れたい人にもおすすめです。
モックネックニット:ジャケットの襟首が汚れにくいのも◎
襟を折り返さず、首の付け根に沿って少し立ち上がる「モックネックニット」。丸首よりも肌の露出が控えめで、ノータイのスーツ姿に落ち着いた印象を添えられます。首の後ろがジャケットの襟に直接触れにくいため、汗や皮脂による襟汚れを抑えられるのもうれしいところ。
タートルネックほど首元にボリュームが出ず、すっきりと着られるので、日常のビジネスカジュアルにも取り入れやすいでしょう。
タートルネック:秋冬らしさと落ち着いた雰囲気を演出
秋冬のスーツには、長い襟を折り返して首元を包む「タートルネックニット」も好相性。ジャケットのVゾーンから高い襟がのぞくことで、ノータイでも落ち着きのある装いになります。起毛感のあるウールスーツやコーデュロイのセットアップに合わせれば、季節らしいあたたかみもひとしお。
写真のようにグレーの上下へ明るいグレーを重ねると、シックな色合いのなかにも柔らかな表情が生まれます。
また、首元の肌の露出が少なくなるため、ビジネスシーンでも取り入れやすいのもポイントです。
ニットポロ:襟付きでビジネスシーンにぴったり
ポロシャツ型の襟と短い前立てを備えた「ニットポロ」は、ノータイでもきちんと見せたいビジネスシーンにおすすめです。ニットの柔らかな着心地を楽しみながら、襟付きならではの上品さも保てます。
ネイビーやグレーのスーツに、黒や濃紺など落ち着いた色を合わせれば、ビジネスカジュアルにぴったり。
襟はジャケットの内側に収め、胸元のボタンを開けすぎずに着ると、品よくまとまります。
スーツ×ニットを上手に着こなすコツ
カラーニット:胸元に彩りを添えて、地味に見せない
シャツやネクタイを使わないスーツ×ニットの着こなしは、シンプルなぶん、配色によっては地味に見えてしまうことも。そんなときに取り入れたいのが「カラーニット」です。いつものネイビーやグレーのスーツも、ブルーやパープルなどを胸元に差すことで、表情のある装いを楽しめます。
鮮やかな色に抵抗があるなら、くすんだグリーンや深みのあるボルドーを選ぶのもおすすめ。靴やバッグは落ち着いた色でまとめると、ニットの色を引き立てながら、スーツらしい上品さも保てます。
ポケットチーフ:カジュアルな装いにドレッシーな印象をプラス
ニットを合わせてスーツの堅さを和らげつつ、ドレッシーな雰囲気も楽しみたいなら、胸ポケットに「ポケットチーフ」を添えてみましょう。襟元がシンプルな着こなしに華やかさが加わり、会食や休日のレストランにも似合う装いになります。
まずは、さまざまな色のスーツやニットに合わせやすい白から。胸ポケットからチラリとのぞかせるだけでも、さりげなくエレガントな印象を添えられます。
柄物を選ぶ場合は、ニットと共通する色が入ったものを合わせると、全体にまとまりが生まれます。
きちんと見えて、気負わず着られるスーツ姿へ
スーツの品のよさを残しながら、少し肩の力を抜いて着たい。そんな気分に寄り添うのが、ニットを合わせた着こなしです。かしこまりすぎず、ラフにもなりすぎない。その日にふさわしいきちんと感と、自分が心地よく過ごせるリラックス感を意識して、スーツとニットのほどよいバランスを見つけてみてください。
橋本慎司
フリーエディター
1989年生まれ、沖縄県出身。ドレスファッション雑誌『MEN’S EX』の編集部を経たのちフリーランスとして独立。ビジネススーツやオン・オフのジャケットスタイルなどを紹介する誌面やWEB記事を手がける。1950〜60年代米国のアイビーファッションを好み、学生時代よりスーツをビスポークオーダーし愛用する。