スーツのボタンはいくつ開ける？どこを留める？意外と知らないボタンマナーの基本

2025.02.10

意外と知らない、スーツやジャケットの正しいボタンマナーとは？実は誤った着こなしをしている方が多い、ボタンの留める場所や開けるシーンの使い分け。そんなスーツ&ジャケットの装いの盲点をきちんと押さえるために、上着のボタンの数やシングルブレストやダブルブレストなどの形、さらにはシーンによって微妙に変化する、ボタンの正しい留め方や開け方について解説します。

INDEX

立っているときはボタンを留めるのが基本

まず大前提として知っていただきたいのが、立っている状態では、基本的にジャケットのボタンは留めておくということです。スーツやジャケットは、ボタンを閉めた状態で美しい着姿となるように仕立ててあるため、きちんと正しい見た目となるようにボタンを留めて着こなすのが大前提。ただし、ノータイでインナーにニットを合わせるなど、ビジカジスタイルでカジュアルに着崩している場合においては、立った状態でもボタンを開けてリラックスして装っても問題ありません。

着席時にはボタンを外してもOK

実は知らない方が多いのが、座っているときはボタンを外すということ。着席時はスーツの胴回りがつっぱってジャケットが美しく見えないこともあり、ボタンを外すのが基本となります。ただし、ダブルブレストのジャケットの場合は、着席時もボタンを留めたままとなります。

「2つボタンシングル」は一番上を留める

ビジネススーツに最も多く見られる「2つボタンシングルブレステッド」のジャケット。こちらのジャケットの前を閉めたいときは、一番上のボタンを留めます。ジャケットの最も基本的な着方ですが、意外と２つともボタンを留めてしまう方が多いので注意しましょう。

「3つボタン段返りシングル」は真ん中を留める

シングルジャケットのなかでもボタンが３つあり、第一ボタンのボタンホールがラペルの中で折り返っているものを「3つボタン段返り（だんがえり）」と呼びます。こちらは、真ん中のボタンのみを留めて着用します。稀に昔の洋服で、段返りになっておらず一番上のボタンも留められる３つボタンのスーツがありますが、そのようなものは上２つのボタンを留めて着るのが基本となります。

「6つボタンダブル」は右側真ん中のボタンを留める

ダブルブレストスーツの王道である「6つボタン」のジャケットは、右側真ん中のボタン（写真のように相手から見ると左側）を留めて着こなします。また、ダブルのジャケットは、男性と女性では前合わせが逆になり、男性は左側が上、女性は右側が上となりますので、こちらも間違えないようにしましょう。

「4つボタンダブル」は左側下のボタンを留める

同じダブルブレストのスーツでも、「４つボタン」のジャケットのものは留めるボタンが異なるので注意が必要。右側下のボタン（写真のように相手から見ると左側）を留めるのが正しい着方となります。
ちなみに、同じ４つボタンでも、４つのボタンが正方形に配置されているように見える「ニューポート型」と呼ばれるジャケットは、右側上のボタンを留めることになります。アメリカスタイルのブレザーなどに稀に見られるジャケットの型で、もし着用する場合は間違えないようにしましょう。

「ベスト着用時」は上着のボタンは全て開ける

また、ベストを含めた３ピーススーツを着用する際には、ジャケットのボタンは留めず、常に前を開いた状態が基本となります。無理にジャケットの前を留めると、ベストを中に着込むため胴回りが窮屈となり、ジャケットの生地がつっぱってしまい美しくスーツを着ることができなくなります。こちらも間違いやすいポイントなので注意しましょう。また、その際にベストのボタンは、一番下のみ開けたままにします。

微差こそ大差！ボタンマナーを知り正しい装いを

ボタンマナーというと、かなり細かいポイントに聞こえるかもしれません。しかし、明確なルールがあるスーツの装いにおいては、このような着こなしの微差こそ、大きな見栄えの違いに繋がります。基本を踏まえた装いで、好印象なスーツ姿をぜひ実践してください！

橋本慎司

フリーエディター

1989年生まれ、沖縄県出身。ドレスファッション雑誌『MEN’S EX』の編集部を経たのちフリーランスとして独立。ビジネススーツやオン・オフのジャケットスタイルなどを紹介する誌面やWEB記事を手がける。1950〜60年代米国のアイビーファッションを好み、学生時代よりスーツをビスポークオーダーし愛用する。