B&Y

Manabu Shimizu
Sales Dept. Manager
セットアップ

Text Takuhito Kawashima
Photographs Reiko Toyama


Published March 26, 2021

Text Takuhito Kawashima
Photographs Reiko Toyama

Published March 26, 2021

「肩書きはなんでしょうね……。この際、“父”にしていただいてもいいかもしれません」と冗談交じりで話すのは、ユナイテッドアローズとビューティ&ユースの販売部を統括する、いわゆる“部長”の清水 学。しかし清水と話をしていると“部長”という肩書きがどこかしっくりこない。販売スタッフとして10年近く店舗に立ち接客をし、数々の店舗で店長も務めてきた。同じ現場をかつてともにした後輩のスタッフからは「店長なんですが、どちらかといえばお父さんみたいな存在に近い」と言う。だからこそ“父”。
 撮影当日、天気もあいまって湘南エリアならではのヘルシーな空気感と、家族と遊ぶ清水の姿からは自然体なかっこよさが溢れでていた。こんな“父”になりたいなとしみじみ思う日だった。

Q&A with Manabu Shimizu

Q: この前とあるアートディレクターの方に話を聞いていたんです。彼は「僕たちはある商品を100%から120%にできない。でも世の中には100%のものを無駄な装飾やデザインを施すことで60%に見せてしまっているものがたくさんある」と言っていたんです。ユナイテッドアローズとビューティ&ユースの販売責任者としてこの話についてどう思いますか?

A: デザインにおける話は専門ではないのでなんともいえないですが、ものの魅力を100%伝えるためには伝える“場所”と“人”が大切だと思います。どうすれば商品がそもそも持っている魅力を100%引き出せるのだろう?とは私もよく考えていることです。

Q: つまりそれはお店作りってことですか?

A: 店作りもそうですし、スタッフの育成も同じです。洋服を魅力的に見せるのは、お店側の役割だと思うんですね。場所と人。洋服を魅力的に見せるためには、スタッフが魅力的に伝えることをやりがいとしている場所でなければいけないと思うんです。こうしたムードのようなものは、お店に入れば気づくことです。「あ、なんかここいいなぁ」とか……。当然、お客様のために店を作るのですが、同じようにスタッフのためにも店を作っている。そうすると必然的に商品自体の魅力が伝わりやすくなってくると思っています。

Q: ユナイテッドアローズに入社し25年。その約半分の時間は店舗で働いていたとか。具体的にそれらのお店で“ムード”を作るためにどのようなことをされていたのですか?

A: スタッフのそれぞれの強みを活かるように役割を持ってもらい、個人の責任のもと、力がきちんと発揮できるような環境を整えることに徹していました。例えば、2014年に南青山にオープンしたエイチ ビューティ&ユースというお店では、店長を務めていたのですが、その時には各スタッフに決裁権を持たせていました。スタッフの中には、お誕生日のお客様にお花をプレゼントしたり、ちょっとしたサプライズでお祝いしてあげたり……。しかしこれも自分が作ったとは思っていません。本当にメンバーみんなで一緒にその店独自のムードを作っていったんです。

Q: 約四半世紀アパレルに携わった仕事をされていますが、「洋服がもたらす豊かさ」についてはどう思いますか?

A: 洋服を着るから豊かになるっていうよりも、装い以外にも仕事やプライベートが充実している人が着るからこそ、その人らしいファッションを楽しめるものだと思っています。そのものを着るからっていうよりは、その人が着るから豊かに見えるんだと思います。

Q: PEOPLEというメディアがコンセプトにしている「何を着るかじゃなくて、誰が着るかということ」に行きつくわけですね。今日のジャケットとパンツのセットアップにNIKEのスニーカーを合わせているのにも、“らしさ”を感じました。

A: 昔からスーツを着るにしてもスニーカーは外せなかったですね。それもそういうパーソナルなこだわりを持っている人に対して昔から憧れを持っていたからなんです。私も真似から始まりましたが、自然と染み付いてしまったっていう感じです。自分にはこの感じが合っていたんだと思います。

Q: 何をしている時が一番楽しいですか?

A: お客様が楽しく買い物してくれるお店を作ることがやりがいであり、それが一番嬉しいですかね。

Q: 話をお聞きして思ったのが、自分の幸せを自分から感じるのではなくて、他者から感じているという一貫性です。

A: 幸せな気持ちでお店に立っていないと人のことは幸せにできないと思ってはいます。

Q: それは家族に対しても同じことが言えると思います。「家族サービス」っていう言葉は好きですか?

A: それを言ったら妻に怒られます(笑)。サービスとかではなくて単純に家族といることが楽しいですし、むしろ家族サービスをされている側だと思っているぐらいなんです。

Q: 趣味はサーフィンと聞きました。

A: 睡眠に勝るスッキリ感がサーフィンにはあります。今朝も30分くらい入ってきたんですが、数本波乗れただけでも1日のテンションが上がる感じがあります。あと健康に気をつかうようになりました、特に食に関してですが。趣味とはいえないかもしれないんですけどね。

Q: 今後挑戦してみたいことはありますか? こんなお店を作りたいとか。

A: 先ほどの話ではないですが、ウェルネスやサスティナブルに焦点を当てたライフスタイルショップをこの湘南のローカルコミュニティでやりたいと思っています。湘南というエリアの特性も合わさって、いいコミュニティを形成し、そこから発信すること、発信すべきことがたくさんありそうだなと思っています。

Keep reading

More

A collection of people with
beautiful and youthful minds

PEOPLEはBEAUTY&YOUTHが大切にする“美しさ”と“若さ”の両方を持つオトナたちを紹介するメディアです。ときに知的で、ときに無邪気で、ときにラフで。年齢や職業にとらわれることなく、美しさと若さをまとうことが生活を豊かにするというファッションの本質を伝えます。