B&Y

Daichi Yamamoto
Musician
セットアップ

Text & Edit Mikiya Matsushita (kontakt)
Photography Asuka Ito


Published March 16, 2022

Text & Edit Mikiya Matsushita (kontakt)
Photography Asuka Ito

Published March 16, 2022

できないことをできないと認め、自分の劣っている面を劣っていると受け止める。そうしてありのままの自分で生きていくことのむずかしさを私たちは知っている。
そういった前提の上で、ミュージシャンのDaichi Yamamotoさんと話をした時、その飾らない考えと、ていねいにそしてゆっくりと言葉を選ぶ姿をみて、妙に納得したことを覚えている。それはおそらくDaichiさんの歌からヒップホップのステレオタイプとは大きく異なる“強さ”を感じていたから。
ここ数年で彼は自らのステージも評価をも変えてきた。それでもなお、「不完全な自分」を俯瞰して見つめ、思考し行動する。弱さを認めた向こうにある景色を彼は知っている。

Shirt, Black, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥24,200

トレードマークでもあったドレッドヘアーをカットしたDaichiさんは高校生ぶりのアフロスタイル。

Shirt, Medium Brown, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥25,300
Shorts, Medium Brown, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥20,900

ゴールドのピアスやシルバーのブレスレット、リングでスタイリングに個性をプラスする。

Shirt, Black, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥24,200
Shorts, Black, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥19,800

サファリシャツにショーツ、<パラブーツ>のシャンボードのトラッドな合わせもDAIWA PIER39の合繊素材を使用したセットアップにし、現代的にアップデートすることで都会的な印象に。

Shirt, Black, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥24,200
Shorts, Black, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥19,800

<DAIWA PIER 39 for BEAUTY&YOUTH>のブラックカラーはリネンのように柔らかくとろみのある素材感が特徴。DAIWA PIER39を象徴する大きなポケットなど、バッグを持たずに外出できるディテールはタウンユースにも適している。

Shirt, Medium Brown, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥25,300
Shorts, Medium Brown, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥20,900
Shoes, Brown, BEAUTY&YOUTH ¥19,800

Jazzy Sport Music Shop Tokyoは京都に拠点をおくDaichiさんも東京に来た際よく訪れる場所。

Shirt, Medium Brown, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥25,300
Shorts, Medium Brown, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥20,900

ブラックとは一転、ブラウンは同じ合繊素材でもシャリ感のある触り心地が特徴。自然の中はもちろん、街中でもよく映える。

Shorts, Black, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥19,800

制作中は音楽のことだけに集中するため、洋服はパターン化させるというDaichiさんにとってもセットアップはスタイリングが手軽で便利なアイテム。

「制作するうえで住む街は大切、そこでみた景色や人がそのまま歌詞になります」とDaichiさん。いつか東京でも制作したいと話をしてくれた。

Shirt, Black, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥24,200
Shorts, Black, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥19,800

Daichiさんの物思いにふけるような表情はとても印象的だった。

4月1日に恵比寿のリキッドルームにて行われるワンマンライブの開催を発表したDaichiさん。さまざまなジャンルを越境しながらこれからも活躍の幅を広げていく。

Interview with Daichi Yamamoto


Q: 今日こうしてお話しする機会をいただきましたが、とても落ち着いて慎重に言葉を選んでいるような印象を受けました。人と話すのは好きですか?

A: 誰かと対面で話をするのは好きですが、得意とは言えないかもしれません(笑)。誰かと話している時、なんで今その話をしているのかがわからなくなってしまうことがよくあるんです。もっと話せるようになりたいなといつも思っているのですが。

Q: 一方で、作品を見ると多くのアーティストさんを客演に招いていますよね。そこのコミュニケーションについてはどう考えていますか?

A: 作曲するときは曲を作るという行為そのものがコミュニケーションになります。お互いに共通の目的がはっきりしているので、そこに関しては上手くやれていると思います。

Q: Daichiさんの作品の特徴のひとつとして、今のお話のようにコミュニケーションが得意じゃないことや、自分に自信がなかった時期など、コンプレックスとして隠してしまいがちなことでもありのまま歌詞につづられていますよね。

A: もちろん自分を大きく見せる音楽も好きで自分でも描いたことがあるんですけど、しっくりこなかったんです。

Q: しっくりこないと言いますと。

A: それをやると、その大きくみせた自分で居続けないといけないと思うんです。そのエンタメ性を楽しめないとダメなんだろうなと思っていて、それが自分には合いませんでした。実際そんなキャラでもないのにそれをやり続けると、ある種プロレス的なノリになってしまう。だとしたら自分には何が書けるんだろうと、そこから始まっているのでありのままの自分や思っていることをそのまま伝えるようになりました。

Q: 自分に対しての自信は変わりましたか?

A: 昔に比べれば少しはマシになったかなと思います。自分で昔作った曲も恥ずかしくて消そうと思ったこともありましたが、今はそれも自分だと、そう思えるくらいにはなりました。

Q: それは周りからの見られ方や評価が変わったことも大きいですか?

A: 見られ方ではあんまり変わってはいなくて、思い描いていたものが自分の手によって実現できた時に、もう少し自分に自信を持ってもいいのかもしれないと思うようになりました。昔から否定されることにすごく敏感だったんです。でも考えるだけじゃなく実際に行動に起こすようになって、周りから何か言われてもネガティブにならなくなりました。間違っていてもいいから発言すること、まずは挑戦してみること、そこから前より自信がついたように思います。

Q: 自信がついてから大切に感じることも変わりましたか?

A: 最近思うようになったのは、気づかない間(あいだ)に心のなかで止めてしまっている言葉や考えがたくさんあるということです。そういうものほど大事なことも多くて、それをしっかりすくい上げることを大切にしています。

Q: それは作品と日常生活どちらでも言えることでしょうか?

A: そうですね。これを言ったら良くないとか、これを言ったらかっこ悪いだろうなとか、普通に人と会話していても今これは言わない方がいいかもと思ってしまうことがあるんです。口に出すのは当たり障りのないことで、でも本当は頭の中で違うことを考えている。本当はこう思っているのに、口では違うことを言ってしまっている。最初の話にも通じますが、そういうことを正直に伝えていくコミュニケーションの形成はすごく大切なのかなと思っています。

Q: パンデミックの期間、制作に没頭していた時間も長かったとお聞きしましたが、何を感じましたか?

A: もちろん必要なことですけど、社会生活や人との関わりがなくなって、「何が目的でみんな生きているんだろう」と感じました。

Q: その状況の中完成させたのが、去年リリースしたアルバム「WHITECUBE」ですね。Daichiさんの作品からはどこか業界そのものをとても俯瞰して眺めているようなそんな視点を感じます。タイトルも美術用語からとった言葉ですよね。

A: 真っ白な部屋に作品を置くことで政治的な文脈を抜きにして、純粋に作品を鑑賞する場所という意味があります。コロナ禍で色々なものから隔離されているという状況、作品自体をフィルターなしで見て、聞いてもらうということもありますが、どこかでギャラリーの真っ白な壁にものが飾られることに対してあまりよく思っていない部分もありました。いくつかのプラスとマイナスのレイヤーができて良いタイトルだなと思ったんです。

Q: 収録曲の中には「分断されている世の中で」という印象的な歌詞もありました。

A: SNSを見ていてもアルゴリズムで自分の欲しい情報ばかり出てきますよね。それで考えがだんだん偏って分断されていくみたいな話を結構前から聞いていたんですが、パンデミックが起こってからそれがアウトブレイクし、形として見えた気がして。肌感覚でそれを感じました。

Q: 実際に隔離された環境で制作し、人とのつながりが少なくなった状況でどのようにモチベーションを維持していましたか?

A: 業界関係なく色々な人のインタビュー動画を見て・・(笑)

Q: 映画やドラマのようなストーリーのあるものではなくインタビューなんですね。

A: 自分はこうしていていいのかなと、不安なんだと思います。それで自分と同じような立場に置かれた人がどう考えて物事を選択するのかを知る。例えばミュージシャンのBIM君とか近い人のインタビューを見て「あ、考えていることが一緒だ」とか思うと安心するんです。

Q: 憧れの人はいますか?

A: フランクオーシャンとケンドリックラマーですね。彼らはどの作品にも一貫した美意識がある。僕は頂いた仕事をやるかやらないか迷ったときに「OKチェック」というのをするんです。それは彼らふたりが自分と同じような状況に置かれたときどう選択したのかを調べるんですが「あ、フランクはこうしたのか」と、それが判断基準になることもあります。

Q: オリジナルであることを追求する人が多い世界にいながら、そのスタンスをおおやけに話せるのもDaichiさんならではだと思います。

A: オリジナルかどうかにあまり執着していないというのもありますが、周りのアーティストさんが嫌がることでも自分がいいと思えばやります。それはヒップホップじゃないって考え方もありますけど、だとしたら正統派のヒップホップは得意な人に任せてしまおうと。代わりに自分は自分にできることをやればいいんじゃないかって。

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