B&Y

Mathieu Duraffourg
Bike Messenger
ニューバランス

Text Mikiya Matsushita
Photography Naoto Usami


Published August 13, 2021

Text Mikiya Matsushita
Photography Naoto Usami

Published August 13, 2021

買い物がスマートフォンでワンクリックで行えるようになり、それが手元に届くまでの速さにも次第に驚かなくなってしまっている。その背景には、“配達”を生業とする多くの人の存在がある。自らの脚でクロスバイクのペダルを回し、ヒトからヒトへモノを運ぶメッセンジャーのマチュー・デュラフォーさんもそのうちの一人。数多くの高層ビルを囲うように細い道が点在する東京において、自転車の機動力はときに車をも上回る。
日々、自転車を使い、荷物を運びながら、東京のさまざまな側面を目にする、マチューさんが教えてくれたのは、自由でいることの大切さ。車や電車での移動、スマートフォンでの友人との会話、便利だと思っていたそれらの行動は、実は自らの行動を制限してしまっているのかもしれない。仲間と一緒に組んだと自慢げに教えてくれた、オレンジのクロスバイクに乗りながら彼は、自由であることは楽しいことだと体現する。

メッセンジャー歴15年のマチュー・デュラフォーさんは、車よりも自由に移動できる自転車を使う。

Sneakers, Light Gray, New Balance for BEAUTY&YOUTH ¥17,380
Long Sleeve T-shirt, White, New Balance for BEAUTY&YOUTH ¥8,250

フランス南東部のアルプス山脈に囲まれた場所で生まれたマチューさんが履くのは<New Balance>の「2002R」をベースに<BEAUTY&YOUTH>が別注したモデル。安定したフィット感に加え、リフレクターなど高いスペックは同ブランドならでは。

Long Sleeve T-shirt, White, New Balance for BEAUTY&YOUTH ¥8,250

吸汗速乾性を備えた素材のロングスリーブTシャツ。ポリエステル100%だが、コットンのような柔らかな風合い。

“GRANDPA” Long Sleeve T-shirt, White, New Balance for BEAUTY&YOUTH ¥8,250
“GRANMA” Long Sleeve T-shirt, White, New Balance for BEAUTY&YOUTH ¥8,250

父親と似てアクティブな娘たちが着用するのも、マチューさんと同じTシャツのレディースサイズ。<New Balance>のアーカイブ広告を使用した“グランパ”と“グランマ”は70年代話題になったグラフィック。

“マチューズデリバリー!”と、撮影中に盛り上がったデュラフォー一家。マチューさんの背中を押すのは、陶芸家として活動する中村香織さん。

“SHOES” Long Sleeve T-shirt, White, New Balance for BEAUTY&YOUTH ¥8,250

バックプリントは全部で3型。前述した“グランパ”、“グランマ”に加え、ニューバランス創立以来の名作を並べた“シューズ”のグラフィック3型で展開する。

Sneakers, White, New Balance ¥16,280
Sneakers, Yellow, New Balance ¥16,280
Long Sleeve T-shirt, White, New Balance for BEAUTY&YOUTH ¥8,250

マチューの娘たちが着用するのは、「2002R」のホワイトとイエロー。デニムとの相性も◎。トップスに合わせていたTシャツには、Fun for Sport, For for NBをコンセプトにする<New Balance>のスペシャル企画9BOXのロゴがプリントされている。

Long Sleeve T-shirt, White, New Balance for BEAUTY&YOUTH ¥8,250

“Intelligence Choice”とは“賢い選択”の意味。メッセンジャーとして活動するマチューさんが自転車を使い、ものを運ぶのも、環境負担が問題視される時代において“賢い選択”のひとつかもしれない。

Q&A with Mathieu Duraffourg

Q: メッセンジャーという仕事について教えてください。

A: 簡単に言えば、荷物を運ぶ仕事です。一方通行や狭い道の多い東京で小回りのきく自転車を使い、その日のうちに届けたいものを運ぶ仕事です。

Q: 日本ではそこまでポピュラーな職業ではないと思いますが、メッセンジャーという仕事を選んだ理由はなぜでしょうか?

A: 自分が東京に来たばかりで右も左も分からない時、まずはこの街を知りたいと思いました。しかし当時は自分の自転車も持っていなければ、自転車に詳しかったわけでも、競技をやっていたわけでもありません。それでも子供の頃から遊びに出かける時、自転車に乗っていたという記憶が鮮明にあり、ずっと身近な道具でした。そして実際にこの仕事をはじめたときは、自転車に乗って知らない道や建物を見ながら外で仕事することが楽しかった人です。

Q: 自転車を漕いでいるとき、目に映る景色について何か考えますか?

A: メッセンジャーという仕事柄、日常的に風景や景色にも目がいきます。配達するときに、もちろんスピードも大切ですが、自分で道を決められるのがこの職業のよさでもあります。同じ目的地でもときにはルートを変えたり。走り心地のいい道を選ぶことはとても大切で、仕事の楽しさを左右する。その走り心地の中にはもちろん景色の良さも含まれています。

Q: 東京という街は自転車の乗りやすい街ですか?

A: 他の国の都市に比べて、自転車に適した道は少ないかもしれません。それに車の数がとても多い。もっと自転車が走りやすい道を作れば、電車や自動車ではなく、自転車を使って通学や通勤する人も増えると思うんです。日本に越してきたばかりの頃、会社まで電車を使っていたのですが、ラッシュ時の人の多さに驚いてしまって……。一歩前に行くこともできなければ、自分の足さえも見えない。東京だと、自転車で通える距離に勤務先がある人も多いと思うので、自転車で通うことをおすすめしたいですね。環境にもいいでしょうから。

Q: 普段、車に乗ることもありますか?

A: 家族で移動するときにたまに使いますが、私も家族も含めて車があまり好きではありません。なので基本的には歩きか、自転車で買い物に行ってます。

Q: 車になくて自転車にある良さはなんでしょうか?

A: そもそも私は、車が便利だと思ったことがあまりないんです。止まりたい場所で止まれないし、ガソリン代もかかる。それに事故の可能性も高いので、不自由に感じてしまう。この仕事をしていると体力もつきますし、大体の場所は自転車で事足りてしまうんです。ちょっと極端ですが、先週末は6時間かけて山梨まで行ってきました。ものすごく気持ちよかったですよ。

Q: どういうきっかけで母国フランスを離れ、ここ日本での生活を始めたのでしょうか?

A: 最初は、旅の過程で日本に来たんです。その後、時間があったので沖縄に留学しました。それが約15年前です。その後結婚し、娘が生まれました。沖縄では今と違う仕事をしていましたが、東京に行ったら、私の中で日本をもっと知れる職業に就きたいと思っていたんです。娘が生まれたちょうどその日にメッセンジャーになりました。

Q: 今日もサイクルキャップとメッセンジャーバックというマチューさんのトレードマークを身につけてきて頂きましたが、道具に対するこだわりはありますか?

A: 僕が今日かぶっているサイクルキャップも背負っているメッセンジャーバッグも友人のメッセンジャーが作っているものです。そういう仲間であり、家族である人たちの作ったものからは彼らのアイデンティティを感じます。何より気心の知れた人の作るものを身につけるのはとても気持ちいい。自転車に乗るときに限らず普段から今日と同じような格好です。

Q: 今日の撮影にはマチューさんのご家族にもきていただきましたが、撮影の合間にも楽しそうにご家族で話しているのが印象的でした。

A: 私がそうであるように、子供たちにもやりたいことをやらせてあげたいと思っています。ただ、自分も脚を使って、ものを運んでいて、自分のパートナーも陶芸家で自分の手を使っています、子供たちも自分の身体を使ってできる何かを経験してくれればいいなと思っています。

Q:パートナーの陶芸家というお仕事についてはどう考えていますか?

A: 出会った頃から、素敵だと思っています。彼女の作るものも大好きです。僕にはメッセンジャーの友人がたくさんいるように、彼女にも陶芸家の仲間がいますし、彼らの存在はとても大切なものなのです。自宅でも彼らの作品が家にたくさんあります。メッセンジャーも陶芸家も、仲間意識がすごく強いんです。

Q: 毎日のように色々な場所を訪れていると思いますが、印象的なものを写真に収めたりしますか?

A: もったいないとは思いつつ、ほとんど撮らないんです。しかし心に残っている風景や景色はたくさんあります。でもそれを見たままに撮れないことが嫌ですし撮るとそれに満足してしまって私の場合は忘れてしまうので、写真はあまり撮らないんです。

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