B&Y

Andy Spade
Creative Director
BDシャツ

Text Takuhito Kawashima
Photo Jeremy Liebman


Published September 10, 2021

Text Takuhito Kawashima
Photo Jeremy Liebman

Published September 10, 2021

「ずっと僕のワードローブにあるアイテムの一つがオックスフォードのボタンダウンシャツ。オックスフォードって本当にタフでね。古くならないというよりか、着続けているとさらにかっこよくなる。僕の場合は、ポケットには自分のイニシャルや "666 "などのモノグラムを入れてカスマイズしている」と自身が長年着用し続けるシャツについて語るアンディ・スペードさん。J.CREWの広告や、ルームウェアを展開するSLEEPY JONESを手がけるなど、お世辞にもニューヨークという競争社会でバリバリ仕事をするクリエイティブディレクターとは思えないカジュアルな空気感と親近感は、BEAUTY&YOUTHがアイコンにする一人です。

「ボタンダウンシャツを着るようになったのは、とあるきっかけがあって。僕は小さい時に西海岸へ引っ越して以来、“ザ・ウェストコースト”の文化で育ってきた。それこそ使われていないプールを見つけては、そこでスケートばかりしていた幼少期でさ。<Op>のコーデュロイのショートパンツに<ハンテン>のTシャツに<バンズ>なんかを合わせてね。でも大人になって、ニューヨークに引っ越してきたとき、社会に出るわけだから、きちんとした格好をしなくちゃいけないだろ。“きちんとした格好”と言っても、当時のコピーライターとかって本当に過度にドレスアップしていたし、アートディレクターも自分自身をアートディレクションしすぎていた風潮があった。そんな彼らのように自分を偽って装うことはしたくなかった。変に着飾るのではなく、自分らしい身だしなみで仕事をしたいと思って、今のスタイルになったんだ」と2004年の米GQ誌で話すアンディ・スペードさん。

いい時代のアメリカのテイストをクリエイティブの軸にするアンディ・スペード。彼自身の装いにもそれが現れている。

“アンディさんらしいスタイル”。それこそオックスフォードのボタンダウンシャツにデニム、<クラークス オリジナルズ>のデザートブーツという装いである。よっぽど格式高いパーティーとなると、デニムがスラックスになったり、シャツの上にはグレーかネイビーのジャケットを着たり(たまにレジメンタルのネクタイも)することもあるが、いつでもどんな場所でもアンディさんの“大人カジュアル”なスタイルは変わらない。このスタイルこそ、アンディさんにとって正装であり、ユニフォームであるということ。

撮影は、アメリカン・ファイン・アートの教育を目的にするナチョナルアーツクラブにて敢行。アートにも造詣が深いアンディさんらしい場所。

過去にさまざまな雑誌の取材で語っているように、1964年生まれのアンディさんが影響を受けているファッションが、60年代のアメリカの一流大学に通うアイビーリーガーと呼ばれる大学生たちの装い(アイビールック)や1980年代の予備校生たちの中で流行したプレッピースタイルにある。どちらもカジュアルさとアカデミックさが同居する品のよさがある。そんな両スタイルに共通し、そしてアンディさんもまた愛着し続けるのがオックスフォードのボタンダウンシャツ。

アーカイブを理解しつつ、現代的な装いに仕立てていく洋服の作り方をするBEAUTY&YOUTH。ボタンダウンシャツもレーベル創業当初から作り続ける、いわゆる定番アイテムである。そんなボタンダウンシャツに、昨シーズンから再熱のムードを感じる。なぜ今なのか? それは例えばアイロン不要のような“イージーケア”と呼ばれるアイテムに代表される化学繊維のツルツルとした質感の生地を最近色々なショップで目につくのがあるかもしれない。そんな質感とは、ある種真逆をいくのがオックスフォードという若干ゴワっとした生地。しかしオックスフォードは着れば着るほど、“パッカリング”と呼ばれる縫い目の間にできるシワが出てくる。この様子こそコットンにしかない経年変化。アンディさんが言う「着れば着るほど、かっこよくなる」という理由の一つ。彼のように袖を綺麗にロールアップするのではなく、あえて無造作に。ボタンも上まで閉めないで、1、2個外す。こうしたナチュラルで気負っていない“チル”な雰囲気が今は新鮮に見えてくる。

Oxford Button-down Shirt, BEAUTY&YOUTH ¥11,990

アンディさんのようなカジュアルさとアカデミックな雰囲気はそのままに、今季の気分は、そんなボタンダウンシャツをカットソーのように着ること。それに合わせてサイズXXLまで展開する。

上品だけどリラックスした雰囲気を出すためにフィットやシルエットも現代にアップデート。いわゆるカチッと見える感じではなく、シャツもカットソーを着るような気分で、ドロップショルダーにしたり、バスト周りを極端に大きくするなどの改良を施した。また通常のシャツの背翼やポケット位置を低めに設定。しかしダラしなく見えないように着丈はやや短めに調整している。

Oxford Button-down Shirt, BEAUTY&YOUTH ¥11,990

BEAUTY&YOUTHのネームの下には染料の元となった花の名前がプリントされている。ガーベラのホワイト、ログウッドのダークグレー、シナモンのベージュの3色を展開。

さらに今シーズンのBEAUTY&YOUTHのボタンダウンシャツはカラーパレットも特徴。“優しい”印象を与えるペールトーンはボタニカルダイを採用し実現。エシカルな生産方法ということだけでなく、ボタニカルダイならではの、はっきりとしない淡い色味は、ベーシックカラーのニットやパンツなどとも合わせやすく、秋のワードローブとして新たに加えたい一着となっている。

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