B&Y

Soma Fujii
Singer & Actor
ラベンハム

Text Mikiya Matsushita
Photography Asuka Ito


Published October 22, 2021

Text Mikiya Matsushita
Photography Asuka Ito

Published October 22, 2021

俳優とシンガーソングライター。異なるふたつの顔を持つ藤井草馬さんは、長い間自らの未来について悩んできた。音楽と演技。どちらも幼い時から、憧れ続けたもの。多くの人が「どちらかに専念すべき」と、片方を選択すると知りながら、藤井さんは幼い頃から抱き続けたふたつの夢、そのどちらも続けることを選んだ。それは表現者としての自身を追求するために。そして、その答えは楽しむこと、好きなことを忘れないという素直な気持ちから自然に生まれたものだった。
オープンで人懐っこい普段とは違い、役に入れば妥協のない視線で鑑賞者を射止め、ギターを持てば、不安や迷い、そして希望をはらんだ繊細な歌を歌い上げる。決して今に満足することなく前に進み続け、ある時は来た道を戻る。迷いながらも進化を続ける彼が大切にする考えは、常に自分に正直でいること。

Jacket, Olive, LAVENHAM×BEAUTY&YOUTH ¥42,900

本格的に演技について学んだ大学の卒業制作で、演者と音楽を任され二足の草鞋をスタートさせた藤井草馬さん。劇団には所属せず、映画やミュージックビデオなどに出演。これからの更なる活躍が期待されている。

音楽を制作するのは主に自宅。部屋には音楽制作のためのギターとデスクトップの他にもピンクフロイドやデイビット・ボウイのポスター、藤井さんのお母さんが編集として参加していた音楽専門誌など、音楽に対する愛が伝わるものがたくさん並んでいた。

藤井さんが「ぜひ撮影場所に」と案内してくれたのが、多摩川の河川敷。子供の頃からの遊び場で、大人になった今でも友人とここでご飯を食べたり、散歩をしたりと藤井さんにとって大切な場所。

Jacket, Olive, LAVENHAM×BEAUTY&YOUTH ¥42,900

<BEAUTY&YOUTH>が<LAVENHAM>に別注したキルティングジャケットは、丸みのあるシルエットとボリューム感が特徴。裾は後身頃の長いラウンドカット。ジャケットのオリーブカラーが映える青空のもと、藤井さんはギターを聴かせてくれた。

Jacket, Black/Olive, LAVENHAM×BEAUTY&YOUTH ¥42,900

レイヤードしやすいノーカラーの襟元も<LAVENHAM × BEAUTY&YOUTH>の別注ポイントのひとつ。カラーバリエーションはブラックとオリーブの2色展開。

Jacket, Black, LAVENHAM×BEAUTY&YOUTH ¥42,900

礼儀正しく、人懐っこい性格の藤井さんが時折見せる、何か考え込んだような物憂げな表情からは常日頃、自分に真摯に向き合う藤井さんの誠実さを感じた。

Jacket, Black, LAVENHAM×BEAUTY&YOUTH ¥42,900

創業者のミセス・エリオットが世界初のナイロン製キルティングのホースラグを作ることに成功した1969年以来、<LAVENHAM>のキルティングジャケットは同ブランドの代名詞として今もなお、世界中で愛され続けている。

軽い着心地と優れた保温性は、肌寒い季節にぴったりのライトアウター。ガバッと羽織れるオーバーサイズな作りで、Tシャツからニット、パーカーまでインナーを選ばず着用が可能。クラシックなデザインと今の気分にも丁度合うサイズ感で、年齢も選ばない。

多摩川近くで育った藤井さんの回りには、映画や音楽制作、出版関係者などものづくりに従事する友人も多い。幼馴染の家で音楽制作をしたり、趣味であるスケートボードをしたりと、地元への愛も深い。

Interview with Soma Fujii

Q:藤井さんは音楽と演技、2つの分野で活動されていますが、まず音楽を仕事にすることになったきっかけはありますか?

A:両親が若い頃からとにかく音楽が好きで、母にいたっては音楽専門誌で編集者をしていました。小さい頃から音楽が身近にある環境で育ち、自然と音楽が好きになっていたんです。スケボーばかりをしていた高校生時にたまたま観たスケートビデオのBGMに、両親がいつも聞いていた音楽が流れてきたことがありました。家で聞いていた音楽がより輝いて聞こえて、こんなにかっこいい音楽だったんだと気づいたことをきっかけに、自分でも音楽を掘るようになりました。

Q:役者を目指すようになるのは、それより後ですか?

A:小学生の時にアクション映画を見てから俳優を目指すようになったので、音楽よりも先ですね。その気持ちは学生時代も変わらずあって、大学に進学するときも、本格的に役者の勉強ができる学校を選びました。大学4年間は、友人と一緒に映像を作ったりしていく中で、作品を作るという事の魅力を知ることになります。

Q:音楽と演技、どちらかを選択し、片方をあきらめてしまう人も多いと思います。

A:自分自身、役者としてやれているなという実感のない状態で音楽をやりだしたので、もちろんこれで良いのかと考えたこともありましたし、やっている今も難しいと思うことばかりです。ただ結局、自分には好きなアーティスト、監督たちがいて好きな作品があります。そういうものを作っている人たちがいるということがすごく励みになるんです。自分も作ってみたい、作っていきたいという気持ちが強いので今はあまり深く考え過ぎずに、それぞれを大切にやってみようと素直な気持ちでいます。

Q:俳優またはミュージシャンとして作品を作り、それを受け取った人にどのように感じてもらいたいですか?

A:作品を通して、自分の中にある自らを縛り付けている思考から解放したいと感じることが多いです。それぞれの中にそういう見えない何かによって抑圧される瞬間がきっとあると思っていて、うまくは言えないですが聴いた人や見た人が今までよりも世界が広く見れるような、そして心地よく生きていけるような作品を作っていきたいと思っています。

Q:人からどう見られたいか考えますか?  

A:もともと人の目を気にしてしまう性格だったので、人前に出て何かをするときにアガってしまったり、心がざわついたり、それによって自由になれない感覚があって。ただ表現することを始めてから、自分の自意識と対峙することが多くなりました。表現に対して没頭できた時に初めて「人から見た自分」から、「自分から見た自分」へ目線をシフトできるようになってきたかもしれません。今は自分軸で物事と接することをすごく大切に考えています。

Q:演技と音楽に共通する点はありますか?

A:見る時間や聞く時間が、作る側にも受け取る側にも流れているという点で似ている部分があると思います。あとは人前やカメラの前で、自らの気持ちを持って何かを発信していくという点でもやっていることは近いかもしれませんね。

Q:自らのアイデンティティについてどう考えていますか?

A:自分の事は今でも完全には理解できないことが多いですし、常に流動的に変化しているように感じます。自分にしかない性質がアイデンティティならば、それが何なのかを問うことが作品を生み出していく事に繋がっていきますし、それを考えながら作品を作っていきたいです。

Q:今日のインタビューを通して「自分に正直であること」をとても大切にしているように映りました。

A:自分に正直な人を素直にかっこいいなと思います。他の事ばかり考えていると、自分の優先順位がどんどん下がっていってしまうし、それに自分で気づくのが難しかったりする。自分自身が感じてきた事が、今はある種の原動力になっていますし、それを忘れずにこれからも大切にしていきたいです。

Q:最後に、大人になるとは、どういうことだと思いますか?

A:聴く曲の趣味が変化したり、好きだったものに飽きたり、そういう時間の変化と蓄積を感じることが大人になることなんじゃないかと思います。具体的にどういう事なのか自分にはまだわかりませんが、沢山の時間を経験して、わからなかった事がわかるようになることも、逆にわからなくなっていく事も大人になっていく事なのかもしれないです。
それに自分がかっこいいと思う大人ほど、子供の頃の記憶や心を大切に持っているなと思いますね。

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