B&Y

Shinsuke Kojima
Designer
トラベラーコート

Text & Edit Mikiya Matsushita (kontakt)
Photography Asuka Ito


Published December 3, 2021

Text & Edit Mikiya Matsushita (kontakt)
Photography Asuka Ito

Published December 3, 2021

世界中のアーカイブをソースに糸一本にまでこだわったテキスタイルを掛け合わせることを得意とするKAPTAIN SUNSHINE。どこか馴染みのある形の洋服でも着てみると古着のそれとはどこか違う。デザイナー児島晋輔さんの幅広い知識と自身の経験をもとに「エディット」された洋服はありそうでなかった、まさにそんな服。新しいものを生み出すのではなく、すでにあるものに自分なりの視点を授ける。そんなモノづくりが今改めて新鮮だ。

Coat, Navy, KAPTAIN SUNSHINE × BEAUTY&YOUTH ¥104,500

南青山にある<キャプテンサンシャイン>のオフィスには、膨大な量と種類の生地サンプルが並ぶ。

<キャプテンサンシャイン>が南青山にアトリエを移したのは一年前。「まだこの辺をあまり知らないけど・・・」と言いつつもお気に入りのレストランへ。

「ミリタリーの中でもクラシックで品のある海軍が好きです」と話す児島さん。

Coat, Navy, KAPTAIN SUNSHINE × BEAUTY&YOUTH ¥104,500

コートのボタンにも児島さんらしいこだわり。生地の雰囲気を損なわないためにプラスチックではなくレザーの力ボタンを使用。

Coat, Navy/ Medium Brown, KAPTAIN SUNSHINE × BEAUTY&YOUTH ¥104,500

<キャプテンサンシャイン>のフラッグシップモデルであるトラベラーコートの裏地にオレンジとサックスブルーを使用した今回の別注品。

長年探して見つけた車は、直線と平面による独創的なデザインが特徴の<FIAT>初代PANDA。

Coat, Medium Brown, KAPTAIN SUNSHINE × BEAUTY&YOUTH ¥104,500

襟元のチンストラップは、切りっ放しにすることで少しオレンジ色がのぞく。

「キャプテンサンシャインも何十年後かに古着屋に並ぶようなブランドにしていきたい」と話す児島さん。

Interview with Shinsuke Kojima

Q:まず初めに児島さんに撮影でも着ていただいたBEAUTY&YOUTHとのコートについて聞かせてください。

A:トラベラーコートは定番でキャプテンサンシャインの立ち上がりからパターンも大きくは変えず継続して作り続けているものです。ラグランスリーブの肩、広がりのある美しいドレープ感、チンストラップに比翼仕立て、さらに3つのフラップ付きポケットとオーセンティックなデザインと機能性を併せ持つコートです。しかし今回は、裏表の色を変えて作ってみました。とても新鮮で、BEAUTY&YOUTHらしさが出ていると思いました。

Q:「BEAUTY&YOUTHらしさ」とはどういうものだと思いますか?

A:キャプテンサンシャインで取引させていただいているなかでも大人のストリートをしっかりやっていらっしゃるブランドの一つかなと思います。トラベラーコートは私たちにとってフラッグシップモデルのような立ち位置ですので、そういったものを色で遊ぶみたいなこともストリート的な感覚ですし、裏地に使ったサックスブルーもBEAUTY&YOUTHを象徴する品のいい色ですよね。

Q:トラベラーコートがブランド当初から残り続けている理由は何でしょう?

A:超高密度に織り上げたダブルクロスメルトンの生地は、ハリコシがありながらも適度な軽さとしなやかさがありますし、とにかくバランスがいいんです。ルーズなサイズが主流になってもこれはあえて大きくは変えませんでした。普段スーツを着るような方もジャケットを置いてこれを羽織ったりもしていただけますし、女性の方にも着ていただいています。幅広い方に着ていただけるサイズ感ですし、ディテールもメンズのトラディショナルなものしか入れていません。そういう意味では、柔軟でありながらもブレないコートなのかなと思います。

Q:服作りのインスピレーションはどこから受けていますか?

A:コロナでここ2年ほど行けていませんが、展示会が終わった後に毎年インスピレーショントリップに出かけるんです。海外に行きロードトリップをしながら、次のシーズンのムードを探ります。今の自分が何を面白いと思って何に惹かれているのか、洋服だけでなくその土地の景色や人など様々なものから吸収しに行っています。

Q:今のムードについてはどう感じていますか?

A:ここ2年日本から出ていないので、試行錯誤していますが、日本はすごく古着が恵まれているので、改めて日本中の古着屋さんを見直したり、遊びも含めてネタ探しをしています。最近流れ的にはクラシックなムードに向かっているように感じますが、それはここ約2年、多くの作り手さんもアーカイブから掘ることしかできなかったのが理由の一つなのかなと思います。

Q:アーカイブをデザインソースにしたブランドは他にもいくつかあると思いますが、キャプテンサンシャインの強みは何でしょうか。

A:このコートのダブルクロスメルトンのように、素材から考え、提案することがキャプテンサンシャインの特徴だと思っています。例えば昔の重いコートを、重いまま作ろうとは思いません。違和感をどこまで残し、原料をどうするのか、そのレシピみたいなものは個人的に持っていますが、それを増やしたり既にあるものを試したり、そこに毎シーズン一番時間をかけています。僕のやり方は全くないものを1から作り上げるというより、過去にあった形のものをベースにしています。僕たちはそれを“アーカイブ”と呼びますが、メンズ服の一番ベーシックな部分にフォーカスして、今のムード感や僕の経験、そういったものと合わせながら再編集するんです。

Q:児島さんのキャリアはファッション誌の編集者からスタートされていますよね。考え方はデザイナーになった今でも変わることなく編集者というわけですね。

A:雑誌をやっていた時と考え方的には大きく変わりません。こういう撮影にはこういうカメラマンがいい、スタイリストがいいと考えるのと同じで、何と何を掛け合わせたら良いものができるか、面白いものができるのかを試行錯誤しています。ただ洋服の歴史は長いので扱う時間の幅は雑誌をやっていた頃より広がりました。

Q:すでにあるものを再発見し、“編集”、新しいものと提示する。

A:やり方としてはそうかもしれませんね。キャプテンサンシャインには定番の形がたくさんありますから。ファッションというとすごく大きいものに感じますが、そこまで壮大なことは考えずにやっています。自分に出来ることはやはり限られていますし、その範囲内で出来ることを全力でやろうと思っています。

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