Edit & Text Mikiya Matsushita (kontakt)
Published August 10, 2022
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Published August 10, 2022
「かっこいい服」ってなんだろう。BEAUTY&YOUTHがファッションの根本を見つめ直すところからはじまった連載企画。その答えは「人」にあると仮定した私たちは、多くの方々の元を訪ねては、彼らの着こなしに感心したり、ファッションに限らずさまざまなお話を聞いてきました。これまでに出演していただいた40人のみなさんは、肩書きや年齢はバラバラでも、自由で遊び心があって知的好奇心に溢れた方ばかり。彼らの着る服は、ハンガーに掛かっている時のそれとはあきらかに違う輝きがあって、撮影を重ねるうちに、はじめの仮定は確信に変わりました。フリープランナー・種市 暁さんの言葉を借りるなら「洋服とは何を着るかではなく、誰が着るか」。まさにそれこそが、PEOPLEを通して伝えたかったことでした。
今回をもって、PEOPLEはしばらくお休みに。それでも“人と服”の関係性について、これからもBEAUTY&YOUTHは考え続けます。またいつか、みなさんにビューティ&ユースな人たちをご紹介できる日のために。
テリー伊藤(ディレクター)
数十年という長い間、テレビを舞台に奇想天外なアイデアでいとも簡単に多くのタブーを覆してきた演出家のテリー伊藤さん。「笑えないと意味がない」。これまでずっとテリーさんが指針としてきたその言葉は、ファッションにおいても変わらないものだった。見たことのない生地のボトムスに、見たことのない色合わせ。ファッションは自由で楽しくて、面白いモノ。着飾るのは、誰かのためではなく自分のため。そうして生まれる“テリースタイル”は、着る本人だけでなく周りの人をも元気付け、忘れかけていたファッションの力を思い出させてくれる。「着たい服を着ないと死んでしまう」。そのまっすぐな言葉が、この複雑化した時代にとても新鮮に聞こえた。
Jacket, Navy, blurhms × BEAUTY&YOUTH ¥53,900 Item No.1276-599-2296
Cardigan, Beige, SON OF THE CHEESE × BEAUTY&YOUTH ¥19,800 Item No.1277-599-0483
Daichi Yamamoto(ミュージシャン)
イメージは、時に作品そのものの評価さえも変えてしまう。だからこそ多くの表現者が、セルフブランディングに注意を払い、コントロールする。そんな時代に、ありのままでいること。ミュージシャンのDaichi Yamamotoさんは、口数は少ないけれど、丁寧にゆっくりと言葉を選んで話をする。そして、どこまでも等身大で飾らない考え方を持っていた。そこにあったのはヒップホップのステレオタイプとは真逆の強さ。自分は自分にできることをする。「不完全な自分」を俯瞰して見つめ、思考し行動する。ここ数年で彼は、自らのステージも評価をも変えてきた。弱さを認めてこそ見ることのできる景色を彼は知っているのだと思った。
Shirt, Medium Brown, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥25,300
Shorts, Medium Brown, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH
Shirt, Black, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥24,200 Item No.1254-599-0500
Shorts, Black, DAIWA PIER39 for BEAUTY&YOUTH ¥19,800 Item No.12540599-0562
長塚 健人(ミュージシャン)
WONKのボーカルとして国内外で活躍する長塚健斗さんには、もうひとつの顔がある。それは音楽と変わらぬ情熱を持って、幼い頃から続けているという料理。飽き性だと自認する長塚さんがずっと続けてきた音楽と料理。なぜ飽きなかったのか? それは自分の作ったもので、直接誰かを幸せにできるから。一曲の歌と一品の料理がそれに触れた人の心を揺さぶり、思い出として残る。「あの歌よかった」や「美味しかった」のために、自身の探究心や興味関心を育む長塚さんがどこか羨ましいと思った。
DUAL PACK Polo Shirt, Beige, BEAUTY&YOUTH ¥8,800 Item No.1217-215-2193
小畑 多丘(アーティスト)
“ノリ”と“作りこみ”の間の話をしてくれたのは、現代アーティストの小畑多丘さん。ノリだけだともの足りない。けれど、作り込みすぎ(キメすぎ)もどこかカタいというかカッコ悪い。そのちょうど間に“カッコいい”があると。小畑さんとの会話から、物事をこれまでとは違った角度から眺めてみることの大切さを教わる。小畑さんの言葉を借りるのであれば、「すべてが“対”である」ということ。作ると壊す。形と空間。そしてノリと作り込み。今まで対極にあると思っていたものが交わるところに、新たな発見があるような気がした。
Swing Top, Black, DAIWA PIER39 × BEAUTY&YOUTH ¥33,000 Item No.1225-599-9419
Easy Trousers, Black, DAIWA PIER39 × BEAUTY&YOUTH ¥23,100 Item No.1214-599-8083
坂口 恭平(ジェネラリスト)
「今日漫画を書きたいと思ったら、漫画を書ける人生が自分にとっての自由」と話すのは文筆家、画家、音楽家、建築家など多様なフィールドで活躍する坂口恭平さん。職種や業界に捉われることなく、さまざまな分野において幅広い知識や経験を持つ彼は、ジェネラリスト(万能人)として呼ばれ、日本だけでなく『The New York Times』で一面を飾るなど世界的にも注目されている。「自由とは徹底した研究と綿密な計画を完璧に調整することで成り立つもの」。つまり自由は自分で掴み取ることのできるものであるということ。学び、考え、試行錯誤を重ねることで、何者にだってなれる可能性を坂口さんは提示してくれた。
Shirt, AURALEE for BEAUTY&YOUTH ¥37,400 Item No.1274-599-0751
足立 二郎(クリエイティブディレクター)
長きに渡り、BEAUTY&YOUTHのディレクターとして活躍した“ジェリーさん”こと足立二郎さん。自宅に並ぶ、横尾忠則さんの骸骨絵皿やエンツォ・マーリの林檎などジャンルも出自も異なるアート作品の数々。「デザインするうえで社会とのリンク、ソーシャルマインドを常に意識しています。アートや音楽にはそれらが反映されている」。だから洋服以外のものにも触れ続ける。時代時代の社会性が色濃く反映されるアートに向き合うことで時代の流れを感知し、世の中で変化し続ける微かな“気分”をくみ取るセンスを磨いてきた。 “精神的な若さと永続的な美”をコンセプトに据え、社会の動きに注視することでアティチュードを追求する姿勢は今もなお、スタッフたちに脈々と受け継がれている。
長場 雄(アーティスト)
要素を極限まで削ぎ落としたシンプルな線でのドローイングスタイルで知られるアーティストの長場雄さん。2014年の『POPEYE』9月号のサンドイッチ特集の表紙には、ネイビーの線で描かれた絵に、文字は「サンドイッチと……」だけ。この衝撃的な表紙を飾ったことを皮切りに現在では個展や広告などで幅広く活躍する。どこか力の抜けたアイコニックなスタイルは長い時間をかけ試行錯誤した末に完成したもの。長場さん自身は、まるで子どものような無邪気さを持ちながら時々、物事の本質を鋭く突くようなことを口にする。「フェアトレードも環境配慮も大切。でもお気に入りの洋服を長く大切に着るのは環境にだって良いはずですよね」。たくさんの情報に溢れた今、大切なことこそシンプルであることを教えてくれる。
Short Sleeve Shirt, Navy, BEAUTY&YOUTH ¥1,1000 Item No. 1216-299-2801
和光 大(プロサーファー/トラベラー)
10歳でボードに跨り、高校時にはオーストラリアへ留学。20歳からプロの世界で活躍するプロサーファーの和光 大さん。今では、サーフィンのコーチングやレッスンを開講するほか、スノーボードや登山、キャンプをはじめ、幅広いフィールドで活動を続ける。
サーフィンをはじめとするアウトドアアクティビティを通じて世界中を旅する中で、自然と対峙し、さまざまな人や光景を見てきた彼が辿り着いたのが、“ウェルネス”というシンプルな思考。素直に生きて、自分が満たされることをする。そんな自然体な彼に、人は魅了される。
種市 暁(フリープランナー)
ブランドのディレクションやPR、時にはモデルもこなし、どんな洋服でも自分のものにしてしまうフリープランナーの種市暁さん。ファッションだけでなく、長年続けるサーフィンや最近始めたスノーボードなど、自身の興味のままに軽やかに動き回るその姿勢は、軸があるのに柔らかくどこかファジー。ジャンルに固執せず、常に全体を見渡して自分が何をすべきか考えている。だから多くの人からみて、種市さんが何者なのかわからないし、彼も特定の何かになろうとはしない。自分に素直に、仕事とプライベートの垣根も曖昧に、遊ぶ。種市さんは言う。「洋服は何を着るかではなく、誰が着るか」。自由な発想と素直な好奇心を持ち続ける日々の先にこそ、“らしい”着こなしが生まれる。
ISLND & Ryota Ishii(Sound Sports)
肩書きの異なる同世代4人から構成されるクリエイティブコレクティブ〈Sound Sports〉のISLNDさんとRyota Ishiiさん。彼らが作り上げる作品の多くは、文脈や感情が削ぎ落とされていながら、シンプルというにはどこか違う不思議な雰囲気がある。「よくわからない」けれど、目と耳に残り続ける……そんなヴィジュアルやサウンド。デジタルネイティブとして、彼らはさまざまな国で起こるモノやコトをSNSを使いトリップし続けてきた。だからこそできる現代的で新しい表現がある。ミックスして削ぎ落とす。その工程をシビアに追求することで見た人や聞いた人に何かを考える余白を与えることがSound Sportsの世界観だった。
Sneakers, White, New Balance for BEAUTY&YOUTH ¥14,850 Item No.1431-499-8503
中山 英之(建築家)
気鋭の建築家として知られ、東京芸術大学でも教鞭を振るう中山英之さん。住宅建築に限らず、未完の建築「くさはらの大きな扉」や紙に石のテクスチャーを印刷して組み上げた「かみのいし」を制作したりと、建築業界では特異な存在として注目を集める。そんな中山さんにBEAUTY&YOUTHのコンセプトである“永続的な美と精神的な若さ”を体現する建築とは何か聞いた。その答えは、「造られた当時の機能を失ってもなお、美しい風景として残るもの」。それは例えば、ローマ時代の水道橋や闘技場など。なんとも大きいスケールの話だと感心しながらも、そんなフィールドで活躍する中山さんがワクワクするのは、事務所仲間との雑談中に新しい考え方が見えた時だという。誰の日常にも起こり得ることをスケールアップさせて考える。その自由な想像力が羨ましく感じた。
Wide Basque Shirt, Black/ Red/ Dark Green, BEAUTY&YOUTH ¥7,700 Item No.1212-175-7464
川辺 素(ミュージシャン)
日本のインディー・ロックシーンの中枢として欠かせない存在になっているロックバンド「ミツメ」のメインボーカル・ギターをつとめ、ほとんどの楽曲の作詞を手掛けるのが川辺素さん。文学や映画にも造詣が深く、メディアへ寄稿する文筆家としての一面を持つなど、マルチな才能の持ち主。そんな川辺さんが大切にし続けているのが、 “余白”。感情の余白、考える余白。それは、ミツメが曲の意図を前面に出さないことにもつながる。そうした感覚が、独特の抜け感として彼の着こなしにも現れていた。
Coverall, Light Blue/Off white, Needles × BEAUTY&YOUTH ¥28,600 Item No.1253-599-0418
平山 昌尚(アーティスト)
特殊な画材や素材を用いるわけではなく、ボールペンやマーカーなどの身近なモノで身近なコトを作品にしていくアーティストの平山昌尚さん。これまで国内外で個展を開催にするほか、スイスの出版社・Nivesから多数のアートブックを出版したり、スペイン発のインテリア雑誌『apartamento』などでもたびたび作品がフィーチャーされるなど、世界中の人々の心を掴んでいる。ユーモア溢れる視線で、ヒト・コト・モノを切り取り、シンプルな手法で記号化していく平山さんの作品には、時代を超越する力がある。
川端 雅之(インテリアクラフトマン)
独学で自宅を改築し、その優れた空間センスで内装の仕事も請け負う川端雅之さん。そんな彼は、ひとたびカメラを向けられればモデルとしての顔も見せる。明快な肩書きを持たず、ジャンルを横断した幅広い活動を続ける彼には、人生の選択をする上で一貫した決まりがあった。“不快と感じる環境に自らを置くこと”。それは、過去の自分を超え、物事をより多くの視点から捉えられるようにするための選択だという。ひとつの職業や関心に捉われず、自分自身と対話しながら自分のための時間を過ごしていくこと。当たり前のことに真摯に向き合う姿勢にスタイルを感じた時間だった。
藤井 隆行(ファッションデザイナー)
「デザイン画が上手いわけでも、パターンが引けるわけでもない」。それでも洋服で表現を続けるための努力を誰よりも徹底してきたデザイナーの藤井隆之さん。洋服を道具として捉え、そこにどんなファンクションがあるべきかを試行錯誤する。だからnonnativeの洋服はブランド誕生から20年以上が経った今でも色褪せない。緻密に計算された形。そこには加飾な要素は存在せず、全てのデザインが適切な機能性の上に成り立っている。だから藤井さんの作る洋服は“気の利いた服”としてたくさんの人を魅了する。買った瞬間には分からないかもしれない。着て、洗って、自分のものにとして馴染んだ時に、これまで見えてこなかった魅力に気がつく。そこまでがモノ作りの人間としての責任だと、藤井さんは考えている。
DAIWA PIER39 For BEAUTY&YOUTH
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PEOPLEはBEAUTY&YOUTHが大切にする“美しさ”と“若さ”の両方を持つオトナたちを紹介するメディアです。ときに知的で、ときに無邪気で、ときにラフで。年齢や職業にとらわれることなく、美しさと若さをまとうことが生活を豊かにするというファッションの本質を伝えます。