Text by Takuhito Kawashima
Photographs by Gottingham
Published February 1, 2021
Text by Takuhito Kawashima
Photographs by Gottingham
Published February 1, 2021
ここ数年、ライブハウスから活動の領域を広げ、ギャラリースペースでのインスタレーションや美術館でのパフォーマンス、さらには劇場でコンテンポラリーダンサーと舞台作品を発表する。つまり、“ラッパー”や“ビートメーカー”という肩書きが、どこかしっくりこない環ROY。着飾ることをするわけでもなければ、ワルぶる様子もない。どこか文化的で知的な、それでいてオタクのような存在。文学とされているもの、音楽とされているもの、パフォーマンスアートとされているもの、狭間で環ROYは踊る。
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Q&A with Tamaki Roy
Q: 表舞台に出る表現者として身だしなみについてはどう考えていますか?
A: 生きているかぎり、髪も髭も延々と伸びてくる。なので、なにかに集中している時はとても億劫です(笑)。20代の頃は頭髪をセットしたりするのも気恥ずかしくて、坊主か長髪のどちらかでした。着飾っていないありのままでいたいみたいな自意識が強すぎたんですよね。近頃は社会化してきました。ちゃんとしようって気を付けるようになってきています。とはいえ時計とかアクセサリーを付けたいって気持ちには至ってないですね。
Q: 見た目を整えるというのは環さんの中でどういうことですか?
A: あんまり考えたことなかったんですけど、これを機に真剣に考えると、自己保存の最適化ってことなのかもしれないですね。そういう意味でファッションも技術なんだと思います。人ってどうしても視覚情報を優先してしまうので、繁殖相手として、協働相手として相応しいかどうか、見た目が先入観として入ってくる。だから綺麗にしといたほうがいいですよね。極端にいうと、クジャクとかそういう方向で頑張ってるわけだし(笑)。
Q: 音楽の話に引き寄せると、世界的にもヒップホップやラップミュージックは、どの音楽ジャンルよりもファッションと結びついている気がします。それも“目立つ”ことが重視されるからだと思いますか?
A: そう思います。ラッパーってミュージシャンだけど、ミュージシャンではないんです。音楽はもちろん大事だけど、ラッパー自身を取り巻く要素も多分に評価の対象になっている。それはファッションだったり、生まれ育った環境や地元だったり、ラッパーのパーソナリティを含めて言葉を聴いている。固有性がすごく重視されるんです。そういう価値観が、現代的な消費サイクルによって先鋭化した結果、ここ10年くらいで、首や顔に躊躇なく刺青を入れる人が増えたんじゃないかなって思ったりします。
Q: 環さんの場合の固有性について。先ほど仰っていた「社会化して、気をつけるようになってきた」ということはラッパーのそれとはまた違う意図があると思います。実際、今日お会いしたときの服も、カーキのニットに黒のスラックスでした。自身の服はどう選んでいるのですか?
A: そうですね。端的に、自分の固有性をルックスで示したいって欲望は希薄です。むしろ、自分の創作物でのみ自身の存在を受容されたい。けど、そんなことはあり得ないんですよね。音楽はコミュニケーションで、視覚情報もコミュニケーションの一部なので。だから“美しいに越したことはない”ってちょっと消極的な観点で服を選びます。あくまで主観ですが、“パッと見は普通”のなかで上質なものを選びたいって気持ちがあります。よく見ると形が良いとか、素材がいいとか、作り手が試行錯誤した痕跡が見える服は着ていて気持ちがいいです。大量生産、消費とは違った、作り手の意思に気づくことができると嬉しくなる。それにそんな服を着ると、自分が纏う空間自体が、洗練されたようにも感じられる。つまり整うってことなんでしょうね。
PEOPLEはBEAUTY&YOUTHが大切にする“美しさ”と“若さ”の両方を持つオトナたちを紹介するメディアです。ときに知的で、ときに無邪気で、ときにラフで。年齢や職業にとらわれることなく、美しさと若さをまとうことが生活を豊かにするというファッションの本質を伝えます。