How do youwear Caruso?

カルーゾ、どう着る？

スタンダードを着る

「少し前の丸の内では、無地のネイビースーツにストライプのネクタイを合わせている方が多かったように思います。しかし最近では、たとえばネクタイですと、アクセサリー感覚で着用されている方も多く、さまざまな色柄を目にすることが多くなりましたし、またスーツをとってみてもカジュアルなセットアップをお求めになる方も増えていたり、ビジネススタイルの多様化を感じています。そんな流れのなか、私が選んだのが、カルーゾのAIDAというモデルのスーツです。カルーゾの最もスタンダードなモデルになりますが、薄いパッドで仕上げられたナチュラルなショルダーラインや肩先の丸みを帯びたフォルムなどが特徴的であるのと同時に、全体的な印象はとても端正です。軽快でモダンな印象と品の良さが共存したスーツと言えると思います。今日はこの色目がきれいな生地のブルーグレーをいかすために、色数を少なめにスッキリとまとめてみました」

懐の深いパンツだからこそ

「カルーゾはパンツに関しても自社で生産をできる工場と技術を持っているので、ジャケットと同様に非常に高いクオリティで、安心して着用いただけるものになっています。特にパターンや仕立ての妙だと思うのですがウエストのフィットが非常にいいんです。このパンツに関しては、やや腰回りにゆとりのあるクリーンなテーパードシルエット。今まではピリッとしたシャープなスラックスに、構築的なジャケットを着用することが、ある種王道で、“かっこいい”あり方でしたが、洋服のカジュアル化が進み、ドレスのスタイルも多様になってきた中で、カルーゾはとても時代にフィットしていると思うんです。ドレスダウンした肩肘張らないスタイルにも対応する懐の深さを感じます。このパンツも革靴はもちろんですが、ローテクなスニーカーを合わせても“かっこいい”んです。ジャケットは表生地を2枚貼り合わせた無双仕立てで、まるでシャツジャケットのような軽さがあり、きれいなこのジャケットとの相性もまたいいんですよね」

機能性スーツにも品

「ラペルまわりにステッチが無くミニマルな表情が特徴のスーツです。微細な部分ですがこういったディテールの変化ひとつでもスーツの印象はとても変わります。よりミニマルなコーディネートが様になるんですよね。さらに生地には機能がぎゅっと詰まっていて、 これはカルーゾのエクスクルーシブの“ウディニ”という生地になります。特徴はなんと言ってもハイツイスト（強撚）ウールを使用しているので、生地に弾力性があってシワになりづらく回復力も高い。また、縦にも横方向にもやや伸びる特性もあるので肩まわりの動きやひざの屈伸運動にも効果的です。機能素材は今や一般的になっていると思いますが、テーラードをベースに服作りを続けてきたカルーゾだからこそ、生地の上質さを損なわずにそれを表現している。スーツにも機能性を求めるお客様の声を店頭でも聞くことが多くなりましたので、機能性と品のよさを併せもつこのスーツを提案させていただいています」

欲求が満たされる6B

「アンコン仕立てで、生地がカジュアルな6Bダブルは、イタリアらしいリラックス感を残しつつ、だけども“ちゃんと見える”感じを見事なバランスで実現している、まさにカルーゾらしいアイテムだと思います。クラシックすぎることなく、コンテンポラリーな佇まいに仕上がっているのも、個人的にお気に入りのポイントです。ダブルだとどうしても堅苦しくなりがちななか、柔軟な生地と仕立てのおかげで、ドレスダウンした時の雰囲気は理想的で、シングルだとどこか物足りないと思ってしまう私も十分満足して着用できるアイテムなんです。ワントーンで仕上げると言うよりも、春はちょっと色合わせを意識したコーディネートを楽しみたいと思っているので、ブルーのシャツにグレーの5ポケットパンツを合わせてみました。こうしたカジュアルな合わせを楽しめるのも、カルーゾならではないでしょうか」

不器用に見えるけど、実は器用

「私はスーツをユニフォームや制服と同じ感覚で着るのが好きなんですが、ある意味、完成されたデザインで変化の少ないスーツをどのようにして、自分の気分や季節感、さらにTPOに寄り添うものにしていくのかを考えるのもものすごく楽しい時間です。こんなに着回しが効くアイテムはほかにないと思うんです。ただスーツであれば何でもいい訳ではないんです。だからこそ、カルーゾのAIDA。タイドアップしても、ニットポロやクルーネックのニットでもサマになる汎用性の高さは、カルーゾの真髄だと思います。このシャドーチェックのネイビースーツも、肩のラインのやわらかさや軽い着心地だからこそ、ネイビートーンでまとめても、重厚感が抑えられ、程よくモダンに見える。これはひとえにカルーゾが時間をかけて培ってきたテーラーリングの技術と時代感を反映するセンスが細部にまでたっぷりと詰め込まれているからだと思います」

色々な街の温度やリズムに馴染んでしまう

「バイヤーとして海外へ行く機会が多く、カルーゾの魅力を訪れた旅先で体感しています。それはある意味無味無臭というか、パリやロンドン、東京といった街の温度感やリズムに馴染める中庸的なデザインのバランス感覚。その感覚はこのブランドならではだと思います。実はこのセットアップはアンコン仕立てのBUTTERFLYをベースに2Bで作ってもらったUAのエクスクルーシブモデルなんです。生地にはこの春夏シーズンに新たに登場したコットンの”ウディニ”を使っていて、ウールのウディニと同様の特徴と独特の風合いも持っています。今年の春は、ネイビーというよりも、どこか赤みを抜いたブルーを着たいという気分でいます。そんな気分にもフィットする色をカルーゾは提案してくれるんですね。今日合わせたグリーンのシャツはノータイで。白いリブソックスを合わせるなどして、どことなくパリっぽい軽やかな色合わせで、ドレスダウンを楽しんでみました」

極めて自然体なダブル

「歴史のあるブランドですが、今まで培ってきた技術やクラシックな仕立てをベースにしながら、古い慣習や常識に固執することなく時代感や空気感を察知し、"今"のドレススタイルを追求しているのがカルーゾというブランドだと理解しています。そんなカルーゾらしく、現代のコードレスなスタイルを表現したのが今日のコーディネートになります。当然タイドアップでもバッチリ決まるジャケットですが、私の場合は、モックネックセーターにスカーフを合わせてみました。そしてあえてハーフサイズ程度大きめのサイズ感でジャケットを選び、ゆったりとリラックスした雰囲気での着用を楽しんでいます。シワになりにくい生地でケアがラクなためデイリーな着用が楽しめるので、このダブルジャケットは重宝しています」

たまには贅沢して気分を上げたい

「とにかく色ですね。この絶妙な色のディナースーツはなかなかほかではお目にかかれないのではないでしょうか？　スタンダードなディナージャッケットとなると黒かネイビー、白というのもありますが、夏のフォーマルという解釈のもと、これはリネンシルクを使い、さらに茶色とグレーの中間の色を使うことで、エレガントに個性的に提案しているところがなんともカルーゾらしく、遊びゴコロが効いていますよね。その分、趣味性が強いアイテムとも言えますが、だからこそ袖を通すとものすごく気分が上がるんです。贅沢ですよね。タイドアップはもちろんですが、今回のようにTシャツや、あるいはセーターなどを合わせてドレスダウンして着るのも本当にかっこいい。二次会などのカジュアルなパーティだったらこれで行きたいですね。ディナースーツなので本来は夜ですが、今であればデイフォーマルに使ってもいいかもしれません。こういったアイテムに出会えるのもカルーゾの良さだと思います」