#LIFESTYLE

Spring/Summer by UNITED ARROWS
次第に暖かくなり、日も伸び、いよいよ春の雰囲気です。そろそろ分厚いコートをクローゼットにしまい、気分を変えたくなる季節。そこで、「この春のユナイテッドアローズはこんな気分です」を知ってもらうために、特集を作ってみました。コーディネートサンプルでも商品解説でもありません。今、こんな洋服をこんな風に着たい。たくさんの写真たちを目の前に、ユナイテッドアローズ総括クリエイティブディレクターを務める松本真哉の話を添え、私たちが感じているムードをたっぷりお伝えします。
2021.3.19
Words by Shinya Matsumoto
松本真哉/1976年生まれ。1996年にユナイテッドアローズ入社後、渋谷や原宿の店舗を約6年経験し、バイヤーやデザイナー、BEAUTY&YOUTHレーベルディレクターなどを経て現職に至る。執行役員。
よく晴れた日はシャツが着たくなる
©︎Tommy Ton
©︎Dan Roberts for gq.com
©︎Elle US
「いい感じのシャツの着こなし写真を探していると、大概目に留まるのは袖をまくっている写真。こなれた感じもありますし、袖のまくり方に個性が出たりしますよね。もうひとつはよく晴れた昼間のシーンの写真です。意外にも夜に撮影されたものでいいシャツ姿ってあまり見つけられないんですよ。特に質のいいものや、ポプリンと呼ばれる生地とかは、陰影がきれいに出て生地感がすごくよく見えるんですよね。こうして客観的に見ていると、晴れた日こそシャツ着ようって思っちゃいますよね。天気とのコーディネートです」
Photo via: @oneday_odoc
Movie Still from Cul-de-sac(1966)
「それにこの2枚の写真を見ていると、”家でシャツ”っていうのもいいなと思うんです。Tシャツやスウェット以外の選択肢として、着ていて気持ちいいシャツっていうのは、家で過ごす時間が新鮮に感じられるかもしれません」
Photo via: @simplicitiycity
「80年代に流行したデザインですね。袖のボリュームに対して首周りが小さいというシャツ自体のバランス感がかわいいのもあるのですが、こういうタックインのムードも今参考にしたいです。胸ポケットまでタックインしちゃうんじゃないかってくらいの深さで」
Photo via: @simplicitiycity
「これもタックインの仕方が絶妙です。それからシャツの下にTシャツを着るか着ないかっていうのは社内でもよく話にあがりますが、どちらでもいいと思うんです。ルーツに沿うならシャツは一枚で着るのがセオリーですが、Tシャツやニットを着てスポーティにこなすのもかっこいい。これはTPO次第です。ちょっと女性の写真ばかりになってしまいましたが、今は、こうしたムードをメンズに取り入れたいっていうのもあります」
Tシャツはある意味勝負服
Photo via: Fashionmugging.com
©︎Scott Schuman for The Sartorialist
Photo via: ashleypittman.tumblr.com
Photo via: vogueguy.tumblr.com
「特に無地のTシャツって、いちばん誤魔化しが効かない服なんですよね。本当の意味での勝負服といえるかもしれません。だからこそ作り手側も着る側も細部にこだわっていきたい。なかでも大切なのはサイズ感ですね。ネックが伸びていたり緩いとだらしなく見えてしまいますし、袖幅でも印象はだいぶ変わります。“Tシャツなのに”きちんと感があるのがいいと思っています。あとはタックインしたときの裾の始末。体のラインがあいまいになるような、空気をたっぷり含ませたブラウジングは今のムードにあっていると思います。誤魔化しが効かない分、時計などのアクセサリー、それに写真のように手帳やコーヒーなど、手に持つ物までもがコーディネートピースになっちゃうのも、ある意味Tシャツスタイルの魅力かもしれません」
かしこまらないジャケット
©︎Dan Roberts for gq.com
Photo via: @asiatypek
Photo via: pinterest_coffeetempo
「テーラードジャケットって実は一番自由な着こなしが適う服なんじゃないかって思うんです。コートの中にも着るし、Tシャツやパーカを合わせてアウターとして着ることもできます。それにモノづくりの観点から言っても、選べる生地がほかのアイテムに比べても圧倒的に多かったりもします。シャツ生地からメルトン生地まで様々です。着こなしの面でも、前途のとおり中間的なレイヤード的役割かつ前開きの仕様なので、容易に体温調整もできる“便利服”として捉えることもできます。シーンを捉える社会性的な観点を除けば、便利服かつ自由にジャケットを着まわしている人が、やっぱりおしゃれに感じますね」
Photo via: @styledumonde
Photo via: @a_typelist
「ジャケット自体の抜き方もそうですし、ほかの要素での抜き方も大事。カーディガン感覚で着ていたり、スポーティな小物でハズしたり、かしこまって見えないジャケットの着方っていうのがムードとしてはいいと思っています」
ワントーンコーディネートの究極のカタチ
Photo via: @simplicitiycity
Photo via: @simplicitiycity
©︎alamy stock photo
Photo via: @simplicitiycity
「いわゆるテーラードのジャケットではないセットアップというのが台頭してきています。考えてみるとここ何年かはワントーンコーディネートっていうのが主流にあり、それが極まったのがこのセットアップスタイルなのかなと思います。セットアップってそのまま着てしまっても9割方コーディネートが完成してしまうんですが、基本的なルーツはユニフォームですから着方によってはやっぱり制服っぽく見えてしまう。ユナイテッドアローズでも品揃えしていますが、そうならないような着方や着ていく場所などに注意が必要です。ある意味とてもクリエイティブな服です」
スウェットは楽に扱えるニットのように
©︎gettyimages
Photo via: @simplicitiycity
©︎gettyimages
Photo via: @simplicitiycity
「ユナイテッドアローズでもスウェットは注目しているアイテムです。かつての粗野な感じのスウェットもいいのですが、次第に生地も改良され、スウットの見た目もかなり多様になってきました。おすすめしたい着方は、Tシャツの上に重ねるのはもちろんですが、インナーにシャツを合わせるっていう着方ですね。ニットを合わせるところにスウェットを持ってきている、みたいな少しかしこまったイメージですね」
Photo via: @simplicitiycity
Photo via: @simplicitiycity
「個人的にいうとパーカさえ着ておけばなんとかなる……っていう安心感があります。コートやジャケットをレイヤードするときなんかは特にそうかもしれません。ジャケット同様に、暖かい季節はアウターとして、また寒い季節はインナーとしても通年活躍するアイテムですね」
Photo via: @paulbinam_
「上下スウェットで色気が出るっていうのがいいですよね。自然体でさらっと着ている姿はいつまでもかっこいい」
スニーカーやサンダルを履くように革靴を
Photo via: mailmailmin.tistory.com
「白ソックスやスポーツソックスに革靴という組み合わせは改めて新鮮に感じています。ジャケットとムードは近いですが、あまりかしこまった感じではなく、あくまでスニーカーを合わせる感覚での革靴ですね。私がユナイテッドアローズに入社した1996年頃も白ソックスと革靴という流れがありまして、面接のときにテーブルの下から見える面接官の足元が5人中4人その合わせで……、「かっこいい!」って思ったのを現在でも覚えています。
Photo via: @simplicitiycity
「ここのところ黒の革靴が主流でしたので、茶靴も新鮮ですね。ローファーにはスニーカーでは出しにくい華奢できれいな足元見せられる側面があるんです。普段ならサンダルを合わせるところにもローファーをもってきたいですね」
Photo via: @janaawadd
Photo via: robin-lam.tumblr.com
「足元に必要以上の存在感がいらないときってあるんですけど、そういう時はやっぱり革靴がいいんですよね。これはディテールの多いスニーカーだとなかなか適わない表現なんです」
主役と脇役
Photo via: @asiatypek
「ひとつのコーディネートにメイン級のものがたくさんあると結局うまくいかないことが多いんです。写真の彼女は編集者で、ストリートスナップの常連です。派手な服もよく着ているのですが、大体主役級のアイテムはひとつくらいで、ちゃんと脇役的なベーシックアイテムを他で使って上手にまとめている印象があります。最近は太いパンツが主流になっていますが、全体的にボリュームを出すよりは、ほかのアイテムはややコンパクト気味なサイジングのほうが合わせやすい。この場合足元も華奢なシューズのほうがいい。何が正解っていうことではないのですが、ひとつセオリーとしてはあると思います」
贅沢品としてのコットン
Photo via: ushistorians.wordpress.com
Photo via: @simplicitiycity
Photo via: @simplicitiycity
Photo via: @simplicitiycity
「しばらく素材のトレンドも化学繊維やウールに傾倒していましたが、最近はまたコットンという素材も見直されているようなムードがあります。サステナブルな観点からも最近は良い面と悪い面の双方から様々取り沙汰されているコットンではありますが、この写真たちのようにコットンだからこそ生まれるナチュラルな雰囲気は、改めて今のようなシリアスな世の中の状況からみてもなんだか魅力的ですよね。綿製品は洗いがかかると経年変化していくし、生地の縮みによるパッカリングと呼ばれるような独特のシワもコットンならではの表情。生活するための服として合成繊維にすっかり慣れ親しんでいる今、コットンがある種、贅沢品や嗜好品という位置づけになっていくかもしれませんね」
松本真哉/1976年生まれ。1996年にユナイテッドアローズ入社後、渋谷や原宿の店舗を約6年経験し、バイヤーやデザイナー、BEAUTY&YOUTHレーベルディレクターなどを経て現職に至る。執行役員。
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