#TRAVEL
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何を良しとするかは人それぞれ違うもの。ファッションがそうであるように、旅にも各々のスタイルがある。お洒落を楽しみたくなるバーや地産地消の食、“何もしない”を叶えるもてなしまで。自分らしい視点で楽しむ旅。さまざまな道のプロに聞いた、心に残るホテルとグッドサービス。
2022.7.6
Photography Taro Hirayama
Edit & Text Mikiya Matsushita (kontakt)
Photo Kiyoshi Nishioka
「土地の食材を土着の調理法で味わう」
by 原 太一(PATH/LIKEオーナーシェフ)
ume, yamazoe / 奈良
https://www.ume-yamazoe.com/
東京・富ヶ谷にある<PATH>や白金の<LIKE>に行くたびに、見たことのない食材の組み合わせに驚かされる。日々、さまざまなインスピレーションを元に料理を生み出す原さんにとって、旅は大きな気づきを与えてくれるものだそう。
「近年、地産地消が大きなトピックになっていますが、〈ume, yamazoe〉は、ごく自然な流れとして宿のご近所さんや、地元農家の野菜を使い、その土地に古くから根付く調理法で料理をしていて、それが本当に美味しい。“ちょっと不自由なホテル”というコンセプトの通り、ラグジュアリーホテルのようなおもてなしはないけれど、料理から他のサービスまで、言葉を交わさずとも感じる温かさがある。そんな心地いいサービスを体験して、自分の店でできることを考えさせられました。ここで味わった満足感は、その瞬間だけでなく、長い間僕のなかに残っているんですよね」
「“部屋に向かう”にまで込められたもてなしの心」
by ルーカスB.B.(PAPERSKY 編集長)
Hotel K5 / 東京
https://k5-tokyo.com/
トラベルライフスタイルマガジン「PAPERSKY」の編集長を務めるルーカスさんは、旅慣れているだけあって各地のホテルに詳しい。数々の旅を通して、編集者としてのユニークな眼差しで見つけた“グッド”には、これまで気が付かなった発見がたくさんある。
「どれだけラグジュアリーなホテルでも、意外と廊下は普通だったりしますよね。薄暗かったり、ものが何もなかったりするのは、くつろぎの演出なのかもしれないけれど、〈Hotel K5〉には、リラックスした雰囲気が流れています。広い廊下には、色鮮やかな磨りガラスを通して陽の光がたっぷりと入って、そこに東京の下町のように植木鉢が並んでいる。意味もなくそこにあるベンチに座りたくなってしまうような居心地の良さがあるんです。“部屋に向かう”という何気ない行為さえ特別に感じさせるのは、客室や料理など全てのサービスへのこだわりを象徴しているようです」
「スカーフを巻いて、ボヘミアンに決めたくなる場所」
by 鴨志田 康人(ユナイテッドアローズ クリエイティブアドバイザー)
The Carlyle, A Rosewood Hotel / ニューヨーク
https://www.rosewoodhotels.com/en/the-carlyle-new-york
ディレクター/バイヤーとして長年国内外を飛び回ってきた鴨志田は、プライベートでもさまざまなところを訪れる旅行好き。これまで宿泊してきた数多くのホテルから、今回は装いの視点でお気に入りのホテルを紹介してもらった。ちょっとお洒落をして楽しみたい、特別な場所。
「セレブリティに愛され続けてきた由緒あるホテル、〈ザ・カーライル〉のべーメルマンス・バー(Bemelmans Bar)、僕のお気に入りの場所です。雑誌『ニューヨーカー』の表紙で有名な画家、ルドヴィッヒ・ベーメルマンスの手による壁画に覆われた空間は、開業した1930年代当時からさして変わっていないのであろう、時間が止まっているかのように優美な佇まい。ここに行くときは、当然ながら装いにも気を使いたくなる。リネンのスーツなんか違和感なく似合ってしまうし、首元にスカーフを巻いてボヘミアンにキメれば、ジャズエイジの時代にタイムスリップできそうだ。そんな気分になれるバーは、成熟した街ニューヨークの中でも貴重な場所なのです」
「刻々と変化する自然に出会う」
by 徳江 順一郎(東洋大学准教授 ホスピタリティ研究者)
箱根強羅 白檀 / 神奈川
https://www.byakudan.co.jp/
サービスについて調べているうちに「ホスピタリティ研究」という耳慣れない学問に出会った。国内外さまざまなホテルを視察で訪れる徳江さんは、ホスピタリティとは何かを日々研究しながら、その成果について実際にホテルと話し、サービスの向上へ貢献している。
「ホスピタリティという分野は、おもてなしと同じ意味に捉えられていますが、実は少し違います。やや荒い言い方をすれば、お客様のわがままに応えるのがおもてなしだとしたら、ホスピタリティはお客様をとりまくあらゆる関係性をマネジメントして、お客様が想像もしなかったことを提供したりすること。〈箱根強羅 白檀〉は、季節や天気、時間によって全く違う自然の豊かさを感じることができる。遠く相模湾を望む部屋や、箱根連山を眺める部屋。異なる景色を持つ部屋で過ごす静かな時間はとても有意義ですし、リピートしても毎回違う感動があります。箱根という土地柄、ワーケーションにもとても便利で、いつもと違う場所で仕事や考え事をするのもたまには良いかもしれませんね」
「“何もしない”をするために」
by 二村 毅(スタイリスト)
椛Momiji / 長野
https://momiji.haku.ba/index-jp.html
スタイリストとして長年第一線を走り続ける二村さんは、いつだって新しいことを教えてくれる。物知りで、興味のままに国内外を旅してきた二村さんが思う、本当の贅沢とは。
「旅行に行くと、せっかくだし…と色々と予定を詰め込んでしまい、疲れ切ってしまうことってありますよね。僕が家族と白馬を訪れる際の定宿である〈椛Momiji〉は、とにかくゆったりとした時間が流れていて、宿を営む朋子さんとジュリアンさん夫婦とのコミュニケーションも心地いい。ときには、夜ご飯で出てくるこごみを一緒に採りに行ったり、夜になると星を見ながら一緒にギターを弾いたりすることもあるけれど、基本的には放っておいてくれる。僕にとっては“何もしないこと”が旅行での一番の贅沢だと思っていて、そうさせる雰囲気がありますね。夜はリビングにある薪ストーブ前が僕の定位置。これまで、そこで読んだ本で浮かんできたアイデアがいくつもあるんです」
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