#HEALTH

ようこそ、VEGAN FOODの世界へ

Served by Yoko Koike(SUNPEDAL)

アパレル業界では“サスティナブル”という言葉を生産者はもちろんのこと着用者も無視できない世の中になっている。生産者は環境への負担が少ない素材や生産方法を積極的に選択する。着用者もまた、見た目の美しさやかっこよさだけでなく、それがどこで作られ、どのような環境で生産されているのかなどのものづくりの背景を知った上で購入し、所有することの責任を持つ意識が大切になっている。このサスティナブルマインドと呼応し注目されているのが、肉や卵や乳製品などの動物性食品に頼らないヴィーガンフード。今回はそんなヴィーガンの最新事情について、そしてその楽しみ方をヴィーガンフードクリエイターの小池陽子さんに聞いてみた。

2021.5.31

Text Takuhihto Kawashima
Illustration Yu Yokoyama
Photography Erina Takahashi

小池陽子/ヴィーガンケータリング専門店のSUNPEDAL主宰。母の影響で玄米を炊いたり、添加物に気をつけてきた幼少期を経て、大学時やイギリス留学時にベジタリアンフードに興味を持ちはじめる。帰国後にヴィーガンレストランに就職。独立後の2018年にSUNPEDALをスタート。ヴィーガン、砂糖不使用、100%天然由来着色、化学調味料も使用せず、さまざまな国のスパイスやエッセンスを取り入れた無国籍料理のケータリングをする。かつてのヴィーガンフードを覆すような豊かな味わいはもちろん、小池さん自身のパーソナリティーに魅了されるファンも多い。

2種のレンズ豆スパイスカリー稲荷寿司 豆腐ガーリックマヨのせ

 

 

 

パースニップとひよこ豆出汁のココナッツミルクポタージュ ビーツのソース

 

 

 

SUNPEDALヴィーガンバーガー

 

 

 

ヴィーガンシェパーズパイ

 

 

 

SUNPEDAL ナッティチーズィーケーキ

 

 

 

フュージョンブリトー

 

 

 

SUNPEDALエナジーボール

 

 

 

サラダや豆やお米や穀物……どこか地味なイメージがあったヴィーガンフードは現在バリエーションも豊かになり、稲荷寿しからバーガー、さらにケーキにまで、ものすごい進化を遂げているらしい。肉や魚、乳製品だけでなく、出来合いの調味料やアガベシロップなどの甘味料も使用せず、採れたての旬な野菜に工夫を凝らしさまざまなプロセスを経て作られたこれらの料理を手がけたのは、東京・渋谷区にアトリエを構えるケータリングを専門に活動するSUNPEDALの小池陽子さん。「以前はカフェやレストランなどの飲食店で働いていたのですが、天候などのどうしようもないことにより、せっかく作っても食べてもらえないことを経験してきました」という彼女は依頼を受け、人数分の料理を作り現場へ本人が直接届けるケータリングサービスを中心に活動。スタイリストやアスリートなどから指名されることも多い。「ケータリングであれば決まった量しか作らないですし、無駄が出ません。しかもレストランやカフェと異なり、現場ではヴィーガンの方もいらっしゃれば、ヴィーガンでない方もいらっしゃいますので、初めてヴィーガンフードを食べるという方にも食べていただき、さまざまな反応をいただきます。その声が新しいメニューを開発するためのインスピレーションにもなっています。特にここ最近は、環境問題の観点からもヴィーガンフードが着目され、そして認知されてきたからか、多くの人に食べていただける機会が増えたように思います」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「身体の健康のこと、動物のこと、そして環境や宗教のことがSNSなどのオープンな場所で議論されるようになり、ヴィーガンフードがさらに注目されるようになりました。とても大切なことですし、嬉しく思います。しかしそれ以前に、私にとっては野菜や穀物だけを使った料理で『え、こんな感じなの?』とか『こんなに美味しいの!?』と視覚的にも味覚的にも楽しんでもらえることが何より大きなモチベーションとなっています。ケータリングの依頼をいただいた撮影現場で編集者さんに言われて嬉しかった言葉があります『ヴィーガンフードはまだまだ知らないことも多く、色々な野菜が入っているから、どんな野菜なんだろうとか、どんな調味料が使われているんだろうとか、自分が口にするものについて考える時間を与えてくれると同時に、現場での会話のきっかけになる』と」。

 

 

 

 

 

 

例えばレストランを検索する。イタリアンやフレンチ、和食に中華と、さまざまな料理の選択肢が存在する。そんななかで小池さんは「ヴィーガンという選択肢を増やして欲しい」という。
「時代的に自分のことばかり考えていた世の中から、例えば環境問題のことを考えたりと利他的に生活する機会が増えたと思います。その原因や現状について知ること、そして知った上で“自分がいい”と思った方法でそれらの問題について考え実行することが大切なように思います。ペットボトル、エコバック、再エネ新電力切り替えなど……細かいことでもやれることはたくさんあります。そんな中で私がポジティブなことで何を伝えられるかというと、料理の楽しさであったり、ヴィーガンフードのポテンシャルです。SUNPEDALの料理を口にした瞬間、頭で考えるより先に『美味しい!』と体が反応することが、食の楽しさであり、ストレスなく続けられることだと思います。しかもそれが環境の負担にならないとなれば“現代的な選択肢”だと思うんですね」

 

 

 

小池陽子/ヴィーガンケータリング専門店のSUNPEDAL主宰。母の影響で玄米を炊いたり、添加物に気をつけてきた幼少期を経て、大学時やイギリス留学時にベジタリアンフードに興味を持ちはじめる。帰国後にヴィーガンレストランに就職。独立後の2018年にSUNPEDALをスタート。ヴィーガン、砂糖不使用、100%天然由来着色、化学調味料も使用せず、さまざまな国のスパイスやエッセンスを取り入れた無国籍料理のケータリングをする。かつてのヴィーガンフードを覆すような豊かな味わいはもちろん、小池さん自身のパーソナリティーに魅了されるファンも多い。