#LIFESTYLE

Nice Clothe by UNITED ARROWS
ふと、なぜ自分は今着ている洋服を選んだのだろうかと疑問に感じた。その答えは至ってシンプルで「かっこいい」から。‘’かっこいい‘’や‘’かわいい‘’はとても便利な言葉で、さまざまな意味を内包している。それは時に正反対の印象を持つ2つであっても、同じ一言で片付いてしまうのである。そんな便利な言葉に頼りすぎてしまった今、どこをどのように見て洋服を判断するのか、どこをみて洋服を計るべきなのか、そんな疑問への解決方法としてユナイテッドアローズが紹介する洋服の、細かいけど見逃せない視点と印象。
2021.10.15
Text Mikiya Matsushita
Photography Taro Hirayama
友人や街ですれ違う人、テレビに映る著名人。日常的に人の着ている洋服を“かっこいい”と思う時、私たちは洋服の何を見て、それを思うのだろうか。少し記憶をたどってみると、“品がいいな”と思ったり、“色気があるな”と感じたり、かっこいいの中にはさまざまな印象が存在している。当然、似合っているから、みたいなことはあるのだろうけれども……。一度打ち合わせの席で「松下さんはやはり品のいいニット着ていますね。ちゃんと目立てがされている」と言われたことがあった。そんなやりとりから考えられるのは、“品がいい”や“色気がある”という印象というのは偶然起こるイメージではなく、洋服のディテールによって引き起こされる、ある種の作用のようなものなのかもしれないということだ。
もしも、その作用を引き起こせるとしたら……。つまり洋服から引き出される印象をコントロールできるとしたら……洋服選びは俄然スマートになるし、スタイリングがもっと楽しくなるはず。たとえばトップスの印象の決めどころのほとんどは、胸より顔に近い位置にあるディテールだと聞く。これは単純に人と対面する際、目に入るのは顔に近い部分ということが理由にある。分かりやすい話、Tシャツならネックの詰まり具合で印象は変わる。ネックの詰まり具合がゆるいとリラックスした印象を受けるし、キツめだとある種のきちんと感が出るといったように……。
洋服の見方はもちろん人それぞれだが、洋服を選ぶ際に、自分を“どう見せたいのか”を少し考えてみるとどうだろう? 今までなかった新たな視点が加われば、それまで選ばなかった新鮮な洋服に出会えるかもしれない。
今回は、ジャケットやシャツ、ニットに加え、番外編としてパンツやベルト、靴下に分けてこんなディテールが与える○○な印象を、ユナイテッドアローズの洋服を使って紹介します。
ラペルのステッチでクラシックvsモダン。
「ジャケットの印象を左右する要素はいくつかあります。フォーカスされることが多いディテールで言うなら、ラペルの形はもちろん幅や、ゴージラインの高さ。あとはポケットの形状などですが、今回着目したいのは、ラペルのステッチの有無。AMFステッチやピックステッチと呼ばれるものですが、これが施されたジャケットは、クラシックで正統的な印象を与えます。それに対してステッチ無しのジャケットはよりすっきりとして若々しい印象に。ステッチには装飾的な意味合いもありますので柄物を取り入れたVゾーンが似合いやすかったり、逆にステッチが無いものはそのミニマルな印象を生かしたシンプルなスタイリングに相性がいいと思います。もちろん合わせ方はお好みによってですが、ステッチひとつで印象はだいぶ異なるので、ジャケットを選ぶ際に気にしたいポイントのひとつです」
写真左
スーツ¥90,200(ユナイテッドアローズ)BUY NOW
シャツ¥25,300(エリコ フォルミコラ)BUY NOW
タイ¥17,600(フランコ バッシ)BUY NOW
写真右
ジャケット¥137,500(カルーゾ)BUY NOW
セーター¥17,600(ユナイテッドアローズ)BUY NOW
襟の開き具合で印象をコントロール。
「ストライプやチェックなどの柄、サイズ感や生地感など新しいシャツを選ぶポイントはさまざまあると思いますが、やはり見逃せないのは襟ですよね。襟は印象を大きく左右する最も代表的なディテールです。カジュアルシャツで言えばレギュラーカラーを基本とした場合、開きが大きくなるほどカジュアルで開放的な印象になります。カプリシャツのようなリゾートシャツはその代表ですね。加えて、ネックポイントが高ければクラシックな印象、低ければカジュアルでリラックスした雰囲気が出ますし、襟のやわらかさはシャツ自体の雰囲気に直結することが多いと思います。第一ボタンを留めて着ないとしても、留めてみたときの印象を確かめてみると、よりそのシャツの雰囲気をつかみやすいかもしれません」
シャツ¥17,600(ユナイテッドアローズ)BUY NOW
「ドレスシャツでは、襟は必然的に気にされる方が多いと思いますので、ここで着目したいのはカフスのフィットです。手首にピッタリとフィットしたカフスと、空気をはらみふわりと広がる袖のコントラストからは男性の色気が漂います。ジャケットの袖口からチラリと覗く時も、ジャケットを脱いでシャツ一枚になる際も、カフスというのは意外と人の目にさらされるディテールです。もちろんご自身でシャツをあつらえれば、自分の手首とカフスが完璧にフィットするシャツを手にすることができますし、ユナイテッドアローズの既成品ではカフスは台形状にしていて、なるべく手首にフィットするようにつくっています。」
セーターが醸す上品さの秘密。
「前提としては、ニットを着ているというだけでどこか上品な雰囲気が出ますよね。カジュアルアイテムで品の良さが演出できるというのはニットならではです。ではこのニットらしさをもっとも象徴しているディテールというとファッションマークがあげられると思います。これはネックや袖、肩などのパーツのつなぎめにある減らし目の跡を指しますが、ここが凄くきれいに仕上がっているとテンションが上がりますよね。いまではデザイン的要素も兼ねている場合もありますので、ニットの印象を左右するディテールと言えると思います。逆にリンキングではなくパーツを縫い合わせている場合は、Tシャツやスウェットシャツなどのカットソー、あるいはニットソーと呼ばれるものになりスポーティな印象ですね」
セオリー通りにシューズと同色で。
それでも、たまにはパンツと同色。
「スタイリングのセオリーとして、ベルトとシューズの色は同色で揃えるということは広く知られていると思います。一方でここ最近はサイドアジャストのパンツやイージーパンツなど、ベルトレスなスタイルも非常に目にするようになりました。ジーンズをベルトレスで履く感じもいいですよね。上半身と下半身を分断しない感じは、全体的にすっきりとした印象が演出できます。そこでベルトとパンツの色を合わせるというのもいいんじゃないかなと思います。ベルトがないと不安っていう場合もありますからね。」
ベルト¥15,400(レグロン)BUY NOW
立ち姿勢を美しく見せるパンツの曲線。
「メンズのスタイリングにおいて全体的な印象を決定づけるのは下半身であることが多いと言われます。パンツとシューズのバランスによってキャラクターが出ますよね。また、パンツのシルエットはなかなかごまかしが効かないので、お気入りのパンツを見つけることは自分らしさを見つける近道と言えるかもしれません。シルエットやレングスで語られることが多いパンツのディテールですが、ここではヒップラインのお話を。ドレスのパンツは基本的には立ち姿がいちばん美しく見えるようにつくられていて、パンツ自体にウエストからヒップにかけてのきれいな曲線を描く工夫がされています。ユナイテッドアローズではこれを取り入れてつくっているカジュアルパンツがいくつかあります。自分ではなかなか見ることができない後ろ姿ですが人からは良く見られる部分ですので、ご試着の際はぜひチェックしてみるといいと思います」
パンツ¥15,400(ユナイテッドアローズ)BUY NOW
ソックスは目立ちすぎる事なく。
「カラーソックスでスタイリングにアクセントを入れるというのもありますが、上品さを演出するという前提においては印象に残らない靴下ほど印象がいいと言えるかもしれませんね。靴下“だけ”に目がいってしまう場合は、何かが浮いてしまっている可能性があります。極端な例ですが、すごくいいスーツと革靴にスポーツソックスを合わせていたらちょっと幻滅してしまいますよね。ドレススタイルではシューズかパンツの色に合わせるというのがセオリーとしてありますが、全体の洋服のトーンに合わせたり、色を拾ってまとめていくと悪目立ちすることなく全体に馴染んでいくと思います。靴下ひとつで全体が台無しということもあるので、かなりこだわりたいポイントですね」
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