#HEALTH

自転車って、そんなにいいんですか?

Bicycle by Ryosuke Nagaoka (PETROLZ)

自転車がある生活は、爽快なのだろう。健康的だし、エコ。
でも、雨が降ったら? 汗をかいたら? と、不便さもよぎる。
無類の自転車好きである
音楽家・ペトロールズの長岡亮介さんに聞いてみた、
「自転車って、そんなにいいものですか?」

2020.11.27

Photography Satomi Yamauchi
Edit Satomi Yamada

長岡亮介/神出鬼没の音楽家。ギタリストとしての活動の他に楽曲提供、プロデュースなど活動は多岐にわたる。ペトロールズでは歌とギター担当。

車も所有されているとのことですが、長岡さんはどんなとき自転車に乗っていますか?

 

気持ちのいい天気の日かな。荷物を運ぶ必要がない仕事のときとか、できるだけ乗るようにしてます。昔、ライブするのにお台場のZepp Tokyoまで乗っていったことがあるんですけど、あれは失敗でしたね(笑)。行きはよかったけど、帰り道の途中で雨に降られちゃって。

 

その時はどうされたんですか?電車に乗せて帰れるんですか?

 

スタッフに迎えに来てもらいました。ステージでは大勢のお客さんの前で照明を浴びながら演奏していたのに、そのあとずぶ濡れになるという(笑)。タイヤを外して専用の袋に入れれば、電車に乗せることもできますよ。その時は残念ながら持っていなかったんですが。

 

自転車にハマったきっかけは、そもそもなんだったんですか?

 

新しいものが好きだった父の影響でしょうね。自転車も好きで、僕も小さなときからコースターブレーキが付いたBMXとか、20インチのタイヤを履いた子ども用の小さなロードバイクとかに乗らされてましたけど、なかでも10歳の頃に与えられたマウンテンバイクにはすごくハマったんです。自分で改造したりして。ギターを始めるまでは、チャリンコ一筋でした。

 

 

 

自転車に乗ると、いいことってありますか?

 

都心の移動は車より断然速い。あと、一人きりになれるところ。誰もいなければ熱唱したり、たまに泣いたりもします(笑)。気持ちいいですよ。電車じゃできないですからね。曲が浮かぶこともあります。

 

いい自転車って、どう選んだらいいですか?

 

いつものモノ選びと同じように、自分がカッコいいと思う自転車を選ぶといいんじゃないですかね。いまは安くてもいい自転車ってたくさんありますよ。

 

長岡さんが「カッコいい」と思う自転車ってどんなのですか?

 

乗っている人との相性が大事だと思うんです。その自転車が好きで大切にしているっていうのが強く出ていることが、やっぱり一番カッコよくて。たとえそれがちょっと変だったり汚かったりしても、その人の個性が自転車に映っているとカッコいいなと思います。

 

 

 

 

そう考えると、服を選ぶ感覚に近いですね。

 

そうですね。好きな服を着てテンションが上がるのと、好きな自転車に乗ってテンションが上がるのは、同じようなことだと思います。

 

仕事に似合う自転車もありますか?

 

クラシックな英国車とか、スーツで乗るとやっぱりカッコいいですよ。自転車って乗っているときも、押して歩いているときも自分の一部のように見えるじゃないですか。だから、似合うか似合わないかで選ぶといいと思うんですよね。僕はまたちょっと違って、そのプロダクトがカッコいいかどうかで選んでしまうタイプで。オタク気質なんですよね。それだと服と自転車がチグハグになる可能性はあるんですけど(笑)。でも、まずは好きな服との組み合わせで自転車を選んで、なにかひとつお気に入りの箇所を作ってみる。たとえばカッコいいと思ったベルを付けるだけでもいいし、「あの靴買っちゃった」っていう気分でタイヤを変えてみるとか。ファッションと同じ感覚で自転車に乗ってみたら、楽しいんじゃないかなと思います。

 

汗をかくときはどうしてますか? 自転車に乗ったときのデメリットも気になってしまいます。

 

デメリットをいわれると難しいですね。でも、汗をかくことは恐れないでほしい。人間はそもそも汗をかく生き物なんですから。暑くても走っていればそんなに辛くないし、エアコンに慣れ過ぎるのはよくないですよ。自転車は、自分の身ひとつで、ほかのエネルギーを必要としないからよくて。環境に対しても貢献できているなと思えるし。デメリットは置いておいて、ちょっと高価だなと思っても、日常を共にするものとしてまずは好きなものに乗ってみてほしいです。ある程度ちゃんとした自転車なら、漕いだ分だけスッと前にいく。それが気持ち良くて、どこまでもいけるんじゃないかって感じられるんです。

 

 

長岡亮介/神出鬼没の音楽家。ギタリストとしての活動の他に楽曲提供、プロデュースなど活動は多岐にわたる。ペトロールズでは歌とギター担当。