UNITED ARROWS GOLF THE GREEN MEETING 2026 AUTUMN / WINTER No.05

Designed for Performance テーラーメイドが考える、ゴルフウェア。

Designed for Performance テーラーメイドが考える、ゴルフウェア。

「ゴルフクラブなら、飛距離や弾道などの数字で性能を語ることができます。では、ゴルフウェアの“パフォーマンス”とは何でしょうか。
1979年の創業以来、革新的なプロダクトでゴルフの可能性を押し広げてきたTaylorMade。
その探究心は、ゴルフウェアのものづくりにも息づいています。スイングを妨げないこと。
季節や環境によるストレスを軽減すること。ゴルファーの気持ちを高めること。ゴルフ専業ブランドだからこそ考える、
ゴルフウェアのあり方とものづくりについて、TaylorMade Apparelのキーマンである加藤さんと中村さんに話を聞きました。

創業者ゲイリー・アダムスと、1979年に誕生したメタルウッド

創業者ゲイリー・アダムスと、1979年に誕生したメタルウッド。木製ウッドが主流だった時代に新たな選択肢を提示したこの一本に、TaylorMadeのものづくりの原点があります。

1979年、一本のメタルウッドから始まったTaylorMade。当時主流だった木製ウッドとは異なる素材を採用した革新的な一本を原点に、素材や構造の可能性を追求しながら、ゴルファーのパフォーマンスを支えるプロダクトを生み出してきました。
そのものづくりへの姿勢は、クラブだけでなくアパレルにも通じています。ただし、飛距離や弾道といった数字で性能を示せるクラブとは異なり、ゴルフウェアの価値は簡単には数値化できません。TaylorMadeにとって、ゴルフウェアの“パフォーマンス”とは何なのでしょうか。

メタルウッド

TaylorMadeが考える「ゴルフのパフォーマンス」とは、どのようなものでしょうか?

中村 : クラブやボールであれば、飛距離が伸びた、スピン量が変わったといったように、性能を比較的わかりやすく示すことができます。ですが、ゴルフウェアは着たからといって直接飛距離が伸びたり、ゴルフが上手くなったりするものではありません。
だからこそ、僕たちが大切にしているのは、ゴルファーに余計なことを考えさせないことだと思っています。スイングしたときにウェアが突っ張る、汗をかいたときにベタつく、冬に寒さが気になる。そうした小さな違和感があるだけでも、ゴルファーの意識はプレー以外のところへ向いてしまいます。それらをできる限り取り除き、自分のゴルフに集中できる状態をつくることが、ゴルフウェアにおけるパフォーマンスだと考えています。そのためにストレッチ性や着心地を考え、生地を選び、縫製やカッティングまで設計していく。さらに着ることで気持ちが高まったり、「今日はやれそうだ」と思えたりする役割もあると考えています。僕たちはゴルフウェアを「身に纏うギア」と表現していますが、クラブと同じように、ゴルファーが信頼してプレーに臨める存在でありたいと思っています。

加藤 : ゴルファーの動作を少しでもスムーズにするという考え方は、ゴルフウェアだけでなく、バッグやグローブなどにも共通しています。直接スコアにつながるものではなくても、ゴルファーが余計なことを考えずにプレーできる。そのためのものづくりという考え方は共通していると思います。

ソフトグッズプロダクトアジアアパレルマネージャーの中村優友さん

ゴルファーのプレーを起点に、素材選びから機能、シルエットまで、TaylorMadeのアパレルの商品企画に携わっている、ソフトグッズプロダクトアジアアパレルマネージャーの中村優友さん。

実際のゴルフウェア設計にどのように反映されているのでしょうか?

中村 : TaylorMadeアパレルでは、デザインより先にゴルフウェアとしての機能性を考えます。デザインやトレンドはもちろん大切ですが、一番ブレてはいけないのは、ゴルフをするためのウェアであるということです。トップスで特に重要視しているのが、肩甲骨周りです。スイングでは肩甲骨周辺が大きく動くので、そこに十分な可動域がないと、ゴルファーは違和感を覚えます。そのため、どの程度のストレッチ性が必要なのか、どのようなパターンが適しているのかを考えながら設計しています。例えば、背中を二重構造にして内側にストレッチ性の高いパーツを配置することもあります。それを隠すのではなく、あえて外から構造がわかるようにして、デザインとして見せることもあります。いわゆる機能美のような考え方ですね。

加藤 : クラブ開発と共通しているのが、適材適所で素材を使うという発想です。クラブでは一つの製品の中で複数の素材を組み合わせますが、ゴルフウェアでも同じように、通気性が必要な場所にはメッシュ、より大きく動く場所にはストレッチ性の高い素材、軽さが必要な場所には軽量素材と、それぞれの役割に適した素材を配置します。一着を一つの素材だけで考えるのではなく、マルチマテリアルで最適な構造をつくる。そこは、ギアブランドであるTaylorMadeらしい考え方の一つかもしれません。

ソフトグッズプロダクトアジアディレクターの加藤耕さん。

TaylorMadeのアパレルを統括し、ブランドが大切にするパフォーマンスを軸に、商品開発から新たなスタイルの提案まで、そのものづくりを牽引する、ソフトグッズプロダクトアジアディレクターの加藤耕さん。

ゴルフウェア開発にあたって、どのような検証を行っているのでしょうか?

中村 : クラブのように何百回と試作することは難しいのですが、限られた開発期間の中でも細かな調整を繰り返していて、場合によっては0.5cm単位でパターンを調整します。見た目ではほとんどわからないような違いでも、着たときのシルエットや動きやすさには影響するからです。特にパンツのシルエットは難しく、僕たちが「ベーシックシルエット」と呼んでいる、多くのゴルファーにとってきれいに見えて、なおかつ動きやすいパターンをつくるために、数年をかけました。さまざまな身長や体型のデータに当てはめて「ここに負荷がかかっている」「逆にここは余分ではないか」といったことを3Dによるシミュレーションで確認しながら、調整していきます。
実際のサンプルだけでは検証できる体型や回数に限界がありますから、3Dデータを駆使してできるだけ多くのゴルファーにフィットするシルエットを追求しています。また、プロからのフィードバックも大切にしています。プロは基本的にシャツインしてプレーするため、スイングしても裾が出にくいように着丈を調整したり、ジャケットの襟が首に当たるという意見があれば、その部分を低くしたりします。新しい機能を足していくというより、トッププレーヤーが感じる細かな違和感を拾いながら、既存のものを少しずつアップデートするといった積み重ねも、TaylorMadeのゴルフウェア開発では大切にしています。

3Dシミュレーション
3Dシミュレーション

3Dシミュレーションによって、スイング時にウェアへかかるプレッシャーを可視化。
負荷が集中する箇所や生地の余りを確認しながら、ゴルファーの動きを妨げないパターンやシルエットを追求しています。

オリジナルの素材そのものを開発することもあるのでしょうか?

中村 : あります。「T-ICE」という素材を開発した際には、素材メーカーの開発拠点まで足を運び、開発担当者と直接話をしながら、一からオリジナル素材をつくりました。日本には四季があり、ゴルファーが直面する環境もシーズンによって大きく変わります。冬は寒さがあり、春には風が吹き、夏になれば強い日差しや暑さ、汗への対策が必要になります。ただ、機能をたくさん搭載すれば高機能なウェアになるとは考えていません。大切なのは、その機能によってゴルファーにどのようなメリットがあるかです。「こんなにたくさんの機能があります」と伝えるのではなく、ゴルファーが快適にプレーするために、この機能がある。そこを大切にしながら素材を選び、必要であれば素材そのものから開発しています。

冷却の「T-ICE」
保温の「T-HEAT」
温度調整の「T-CONTROL」

ゴルファーに余計なことを考えさせない、という発想から生まれた、TaylorMade独自の機能素材。冷却の「T-ICE」、温度調整の「T-CONTROL」、保温の「T-HEAT」など、季節や環境に応じた機能によって快適なプレーを支えます。

TaylorMadeはパフォーマンスを追求する一方で、ファッションやスタイルも大切にしていると思いますが、その背景にはどのような考えがあるのでしょうか?

中村 : 個人的な体験ですが、以前アメリカへ出張した際にPGAツアーの試合を見る機会がありました。そのときに印象的だったのが、若い人たちがすごく自然にゴルフ観戦を楽しんでいたことです。スポーツとしてのゴルフそのものが、すごくかっこよく見えました。一方で当時の日本では、ゴルフに対してまだ少し「年配の人が楽しむスポーツ」というイメージが残っているように感じていました。そこで、もっと日本でもゴルフがスタイリッシュで、かっこいいスポーツとして見られるようになったらいいなと思いました。TaylorMadeはゴルフに特化してきたブランドですから、僕たちがかっこいいものをつくり、発信することで「ゴルフっていいな」と思ってくれる人を増やせるのではないか。ゴルフウェアはそのためにできることが大きいと思っています。

加藤 : 僕たちとしてもコアなゴルファーだけではなく、これからもっとゴルフを楽しみたいという人たちにも選んでもらえるブランドでありたいと思っています。ゴルフウェアとしての機能は大前提ですが、それだけではファッション感度の高い人たちには届きません。洋服としてトレンドを捉えたり、「これを着たい」と思えるスタイルを提案したりすることも必要です。ゴルフに対する真面目な姿勢は変えずに、ファッションとしての魅力も持つ。その両方が大切だと思っています。

中村さんがアメリカ出張の際に訪れたPGAツアー会場で目にしたゴルフを楽しむ人々の姿
中村さんがアメリカ出張の際に訪れたPGAツアー会場で目にしたゴルフを楽しむ人々の姿

日本のゴルフについて改めて考えるきっかけとなったという、中村さんがアメリカ出張の際に訪れたPGAツアー会場で目にしたゴルフを楽しむ人々の姿。

ユナイテッドアローズとのコラボレーションは、TaylorMadeのゴルフウェアにどのような変化をもたらしましたか?

中村 : この取り組みを始めた背景にも、ファッション感度の高い方たちにTaylorMadeを知ってもらいたいという思いがありました。
企画を始めた当時は、ゴルフギアブランドとファッションブランドが本格的にアパレルを一緒につくることは、今ほど多くなかったと思います。そういう意味でも、ユナイテッドアローズとの取り組みは僕たちにとって大きなチャレンジでした。一緒にものづくりをするようになって、ロゴの大きさや位置、一つの素材から複数のアイテムを展開してセットアップとして見せる考え方、ゆったりとしたシルエットなど、それまで僕たちにはなかったファッションの視点を学びました。ただ、ユナイテッドアローズから出てくるアイデアを、そのままゴルフウェアにできるとは限りません。例えば、ツイード素材を使いたいというアイデアをもらったとき、本物のツイードではゴルフウェアとして必要なストレッチ性を確保できませんでした。そこでツイードをスキャンし、その柄をストレッチ素材にプリントすることで、見た目と機能性の両立を図りました。ファッションのアイデアを、どうすればゴルフウェアとして成立させられるか。そこにTaylorMadeが持つ素材や加工、ものづくりの背景を掛け合わせることが、このコラボレーションの面白さだと思います。

テーラードジャケット
カーディガン

TaylorMadeとユナイテッドアローズのコラボレーション初期に生まれたテーラードジャケットとカーディガン。ゴルフウェアとしての機能性に、ファッションの視点を掛け合わせることで、新たなスタイルを形にしました。カーディガンには「ラウンドは4時間でも、その関係は生涯続いていく」という、ゴルフはプレーヤー同士の関係性を繋ぐ力になるというメッセージが記されています。

コラボレーションを象徴するアイテムは何かありますか?

中村 : 最初のシーズンにつくったテーラードジャケットは、象徴的なアイテムだと思います。それ以前にもTaylorMadeでジャケットにチャレンジしたことはありました。ただ、僕たちはゴルフウェアを中心につくってきたブランドなので「なぜTaylorMadeがテーラードジャケットをつくるのか」という説得力を持たせることが難しかったんです。でもユナイテッドアローズと一緒につくることで、そこに明確な意味が生まれました。ユナイテッドアローズが持つテーラリングやシルエットの知見に、TaylorMadeの機能性やスポーティーなディテールを掛け合わせる。例えば背中側をラグランスリーブにしたり、止水ファスナーを採用したり、内側をシームテープで処理したりしました。テーラードジャケットであってもTaylorMadeがつくる以上、パフォーマンス性を担保したい。その考え方はこのアイテムに表れています。
また、カーディガンも印象的でした。ゴルフの歴史を振り返れば非常にオーセンティックなアイテムですが、当時の僕たちにはそれを現代のゴルフウェアとしてつくる発想がありませんでした。ユナイテッドアローズからの提案をきっかけに、昔ながらのゴルフアイテムを、素材やシルエットによって現代的に見せる。そうした考え方は、現在のTaylorMade アパレルにもつながっていると思います。

ちなみに、この秋冬のコラボレーションではどのような提案をしていますか?

中村 : 2026年秋冬は、「ARMY & NAVY」をコンセプトに、ミリタリーの要素を取り入れたコレクションになっています。なかでも象徴的なのが、MA-1をモチーフにしたフライトジャケットです。このアイテムもユナイテッドアローズとのコラボレーションだからこそ実現できたものだと思います。ただ単にミリタリーのデザインを取り入れるのではなく、POLARTEC®のフリースをレイヤリングするなど、スポーツウェアとしての要素もしっかりと組み合わせています。フライトジャケットにフーディーを重ねることで、ミリタリーの雰囲気がありながら、ゴルフウェアらしいスポーティーなスタイルとして提案しています。

2026年秋冬コレクショ
2026年秋冬コレクショ
フライトジャケット

2026年秋冬コレクションを象徴するフライトジャケット。ミリタリーの要素を取り入れながら、POLARTEC®フリースのフーディーとのレイヤリングでスポーティーなスタイルを提案。コラボレーションならではの一着です。

こうした経験を経て、TaylorMade Apparelはこれからどのように進化していきたいと考えていますか?

加藤 : ブランドとしては、これからオーセンティックな方向性をより大切にしていこうとしています。TaylorMadeはゴルフ専門ブランドですから、PGAツアーに代表されるようなゴルフというスポーツの基本や文化を大切にしたゴルフウェアは、これからも軸になっていくと思います。ただ、それだけではなく、日本のゴルファーやファッションの感覚に合わせて、チャレンジできる部分もあると思っています。インラインではTaylorMadeらしい本質をしっかり守りながら、限定的なコレクションなどでは遊び心やトレンドを取り入れていく。そうしたバランスは大切にしていきたいと思います。

中村 : 僕も、ゴルフというスポーツへのリスペクトは絶対に変えてはいけない部分だと思っています。ただ、オーセンティックを突き詰めるだけでは、昔ながらのトラッドなスタイルになり、今のゴルファーにとっては少し古く見えてしまう可能性もあります。大切なのは、ゴルフの歴史や文化をきちんと理解し、リスペクトしたうえで、そこに今の時代のかっこよさや遊び心を加えていくことだと思います。TaylorMadeがこれまで大切にしてきたパフォーマンスを軸にしながら、ファッションの視点も深めていく。そして、ゴルフに真剣な人にも、これからゴルフを楽しみたいという人にも「着たい」と思ってもらえるゴルフウェアをつくっていきたいです。

TaylorMadeの哲学や、社員一人ひとりが大切にすべき価値観を記したカード

TaylorMadeの哲学や、社員一人ひとりが大切にすべき価値観を記したカード。ブランドが目指す姿やものづくりへの姿勢を共有し、その思想を起点にまた新たなプロダクトやアイデアが生まれていきます。

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