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Kimiaki Eto
PAPIER LABO. Director
サンダルとアロハ

Text Takuhito Kawashima
Photography Naoto Usami


Published June 11, 2021

Text Takuhito Kawashima
Photography Naoto Usami

Published June 11, 2021

PAPIER LABO.は原宿駅から約3分の場所にある。決して広いとは言えないその空間には、店主である江藤公昭さんの審美眼にかなった紙とそれにまつわるプロダクトが並ぶ。本来なら併存するはずのなかったインドで作られた手漉きの紙、製缶所のつくるペンケース、サンフランシスコにある活版スタジオのポスターやポストカード。出自も作られた目的もバラバラであるにもかかわらず隣に並べられると、不思議となるべくしてそうなったように感じる。自らを“天邪鬼”と称する彼は、SNSや流りに頼ることなく、あくまで自分と信頼するパートナーたちの“眼”でモノを計る。頑固さと柔軟さの両方をうちに秘める江藤さんは、“雑貨”を通して見逃されつつある大切な何かを僕達にリマインドする。

Papierとはドイツ語で紙を意味する。パピエラボでは、紙や紙にまつわるプロダクトをセレクト。デスクワークもはかどりそうな、使っても見ても楽しいプロダクトが揃う。店主の江藤公昭さんはデザイナーとしてオリジナルプロダクトも手がける。

Sports Sandals, Light Gray, TEVA×BEAUTY&YOUTH ¥11,330

例えばこのハサミは、兵庫県小野市で四代に渡って鋏を製造する多鹿治夫(たじか)鋏製作所のもの。無駄のない装飾に加え、小さくて薄い形状なため、細かい細工が必要な作業にも適している。こうした国内はもちろんのこと、海外のプロダクトやオリジナルの商品までもが収まりよく並ぶように江藤さんが微調整中。

Sports Sandals, Light Gray, TEVA×BEAUTY&YOUTH ¥11,330

着脱が容易なバックル、通気性に富んだドライメッシュによって、履き心地のよさと快適さを追求した<TEVA>のストラップサンダル。パーツ毎に濃淡が異なるグレーを使用した<TEVA>のストラップサンダルは、ビューティ&ユース別注カラー。

Sports Sandals, Light Gray, TEVA×BEAUTY&YOUTH ¥11,330

ホールド感を高めたクロスストラップに加え、軽量でクッション性の高いEVAミッドソールはやみつきになるほどの履き心地。一日中履いても疲れにくく、急な階段の昇降も安心。

常連さんからは“神棚”として親しまれる店内の展示スペース。この日はスイスのBienvenu Studiosのポスターと立花英久さんのミニスカルプチャーがお客様を迎えていた。

夜まで明かり要らずの大きなワンルームでパートナーと暮らす江藤さん。ソファの右端が江藤さんの定位置で、朝と夜の時間は、ここで読書をしたり、新聞を読んだり。

Aloha Shirt, Pink, KONA BAY HAWAII×BEAUTY&YOUTH ¥18,480

「あんまり積極的に着てこなかったけど、部屋でアロハシャツ着るのも悪くないですね。本当に休んでる気分になれます」と撮影中に話す江藤さん。

Aloha Shirt, Pink, KONA BAY HAWAII×BEAUTY&YOUTH ¥18,480
Ankle Pants, Beige, BEAUTY&YOUTH ¥11,990

本格的なアロハの魅力を発信する<KONABAY HAWAII>のアロハシャツ。江藤さんが言うように、気持ちも休まるという意味では本物のリラックスウェア。

誕生日プレゼントにパートナーからもらったという黒曜石の鏃(やじり)などブックシェルフの上は、博物館のようにジャンルレスなものたちが並ぶ。

澄敬一さんのオブジェや青田真也さんのガラスボトル、時より風が吹くと心地より音色が室内に響くアーコサンティの風鈴、その隣にある山田愛子さんの小さなオブジェ。

Sports Sandals, Light Gray, TEVA×BEAUTY&YOUTH ¥11,330

むき出しの室外機の上には、不揃いな石たち。丸みを帯びた異なるグレートーンの石が置いてあるだけで、室外機の嫌な感じが緩和されている。

Aloha Shirt, Pink, KONA BAY HAWAII×BEAUTY&YOUTH ¥18,480

江藤さんのもとには、スタイリストや写真家、さらに建築家までもが訪ね、アドバイスを求める。それはみんな江藤さんの審美眼や着眼点を信じたり、頼っているからだろう。

Q&A with Kimiaki Eto

Q : パピエラボで取り扱っているもの、それにご自宅にも、“見たことのない”ものがたくさんありました。もの選ぶ際に、ご自身の感覚をとても大切にしているように見えます。

A : 一言で言うと、天邪鬼な性格だからでしょうね。誰かがいいと言ったものをそのまま買いたくはないですし、みんなが見ていないモノを見たくなってしまったり……。それだけに、何も情報がないところで買ってみて、それがよかったときの喜びは大きい。お店で取り扱っている売り物もそういう観点で選んでいます。他で取り扱ってなければいいものだとは思いませんが、いいものが他でなかったら自分で探すようにしています。

Q:最近骨董にはまって、骨董市に足繁く通っていたとか。

A : コロナ禍で、ご飯を家で食べることが多くなったのもあってか、食器が気になりはじめたんです。現存の作家ものもいいのですが、誰が作ったのかが不明な、主張がないデザインの器の方が普段使いしやすいので骨董を買い集めていました。情報が少ないのもハマってしまった理由の一つです。断片的な情報に頼りつつも、手にすればするほど骨董に関する知識も深まってくる感覚があります。「あ、これいいな」と思うポイントが次第に自分の中で分かってくるんですね。すると、さらに選ぶ楽しさが増してくる。

Q:「好きなものがはっきりしていてずっと変わらない」とおっしゃっていましたが、そこにはルールはあるのでしょうか。

A:洋服だと自分が似合うものばかりを選んで、それを変える気になかなかならないのですが、飽き性なので今まで避けてきたものも取り入れていきたいという気持ちはあります。今回のアロハシャツもスタッフさんにオススメされなければ、普段はトライしないのですが、実際着てみると、意外といいなと思いました。食わず嫌いはよくないですよね。モノ選びのルールみたいなものは特にないのですが、まずはモノとしっかり向き合うことは大切にしていますね。

Q : 最近は、見た目だけでなく、生産背景について考えながら買い物をすることが大切になっています。そうして左脳で買い物をしていると、本来買い物は本能を使う行為だったはずとも思ってきました。まずはトキメキがないと、大切にしたいとも思わない。江藤さんも本能的・感覚的に、お店に置くものや自宅で共に生活するものを選んでいるのですか?

A : そうだと思います。お店で取り扱っているものに関してはできるだけ、工場を見たり、現地を訪ねたりしていますが、その他のものは、実際に自分の目で生産背景を見ているわけではないので、想像することってどうしても難しい。なので感覚というか、直感というか、本能に頼るしかない。例えば、食べ物で考えるとわかりやすいと思うんです。日本酒やワインなんかはいくら説明があっても、その通りは感じないですし、昨日はイマイチって思っても、次の日に飲むと美味しいと思うことが多々あります。それって誰かに教えてもらえたりする情報ではないんですよね。結局感じるのは自分の舌。そういう感覚は、服に関しても同じだと思います。情報過多になってしまい、バイアスがかかり、しっかりとモノと向き合えない状態になっている。それが嫌でインスタグラムもツイッターもできるだけ見ないようにしているんです。

Q :それらを使わずしてどのように情報を集めているんでしょうか。

A : お店にあるものはオンラインで見て仕入れたり、展示会に行ってオーダーすることもほとんどしていなくて。知り合いが「この感じ好きでしょ」とお土産で持ってきてくれたり、教えてくれたりするのがほとんどです。売れる・売れないはあまり考えずに、縁があればやってみようかなと。

Q : 江藤さんから見て、かっこいいと思うのはどういう人ですか?

A : 自分でかっこいいと思わずやりたいことをやっている人、何かその人にしかないスタイルがある人だと思います。幸いなことに、僕の周りにいる友人や一緒に遊びに行く人はそういう人が多いです。自分で選択していない人は見ているとわかりますよね。

Q : ドイツに取材で行ったとき会った方がミニマリストで、なぜモノを持たない生活をしているのか聞くと、「モノを所有する責任感に縛られたくない」と言っていました。その後東京の先輩にその話をすると、「別に責任感を感じなければいいだけじゃない? 仏陀は俗物的なものを排除するため、街の景観が見えるところで修行したんだよ」とおっしゃっていました。江藤さんはモノを所有することに対してどう考えていますか?

A : 僕はモノに対して責任を感じたりもしますが、その責任感が嫌ではない。それどころか心地よかったりもするんです。この前友達伝えで「大地震がくるから気をつけて」と言われたときも、半信半疑で聞いていたのですが、家にある骨董品などの貴重なもの、自分の手中で途切れさせてはいけないものをパートナーと梱包したんですね。そのとき、モノとの距離感も再認識できましたし、そう思えるモノを持っていることは僕にとって心地いいんです。

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