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「ATTISESSION」ローンチの背景に見るMZ世代の飛躍

ヒト

2024.05.17

「ATTISESSION」ローンチの背景に見るMZ世代の飛躍

〝可憐さと自立心のある現代女性のためのワードローブ〟をコンセプトに、満を持して本日にローンチした〈ATTISESSION(アティセッション)〉。「BASIC」「CLASSIC」「ROMANTIC」「COUNTER ATTITUDE」の4つの要素を軸に、次世代へ向けたスタイルを提案する新規ブランドを担うのはMZ世代の3名。今回はディレクターの四谷 奈々可さん、PRの右田 舞花さん、マーチャンダイザーの長谷 沙羅さんに、〈ATTISESSION〉誕生の経緯、同世代メンバーでチームを構成する意義や葛藤、今後の展望について伺いました。

Photo:Takuya Maeda
Edit&Text:Shoko Matsumoto

〈ATTISESSION〉はMZ世代へ向けた新しい挑戦

--〈ATTISESSION〉誕生の経緯を教えてください。

四谷 自分の経緯と重なるところがあるのですが、2年ほど前に〈ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ(以下、BY)〉のWEB限定アイテムの企画を、当時ショップスタッフと兼務しながらダブルジョブという形で携わらせていただいていました。2シーズン終えた後に、新規ブランドを立ち上げる話をいただき、今回に至りました。

--どんなブランドなのでしょうか。

四谷 ユナイテッドアローズ社(以下、UA社)でもまだ狙えていない20代〜30代前半のMZ世代をターゲットにしています。そのなかでも自分の等身大のブランドになると感じているので、安価なものも世の中には多く展開されていますが、UA社が得意とする、長く使えて、高品質な製品、特に着心地にこだわりながら、トレンドも意識しています。


--〈ATTISESSION〉におけるそれぞれの役割を教えてください。

四谷 ディレクター職はブランドの方針を固める役割。シーズンテーマから商品作りが主な仕事です。今後はオリジナル以外のバイイングのブランド選定なども取り組む予定です。

長谷 マーチャンダイザーは四谷さんが提案する方向性やディレクションをもとに、商品構成を考えながら価格、数量など含めて戦略を立てていく役割になります。

右田 わたしはPRとして主に販促関連を担当しています。ルックの制作や、SNS運用、スタイリストさまへのリース対応などをおこなっています。

画像 ディレクターの四谷 奈々可さん

--〈ATTISESSION〉ローンチに向けての新プロジェクトに任命されて、感じたことはありますか?

四谷 プレッシャーはありました。ただ先ほどお伝えしたダブルジョブ期間では基本的にひとりで企画し、サポートしていただくような流れだったので、今回チームになったことでより自信がついたというか、安心して進められることがすごく楽しみでした。

長谷 BYのMDを今も兼任しているのですが、わたしもこのお話をいただいた時は、MDになって半年経ったばかりでした。正直なところ、かなり不安はありましたが、WEB限定アイテムで、ふたりがずっと奮闘していたのを見ていましたし、新しいブランドに携われる経験は貴重なので、単純に楽しみでもありました。ふたりがいるので、心強さも感じています。

右田 PRは5年目になるのですが、今までPRとして培ってきたことを活かすときがきたなと思いました。ブランディングにおいて販促はとても重要。いかにブランドに貢献できるかということを考え、責任感がさらに高まりましたし、身が引き締まる思いでしたね。

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--どのようなことを心がけてローンチまで取り組んでいったのでしょうか。

四谷 企画が立ち上がってから、ローンチまでは約一年と、タイトな期間でした。ゼロからイチを作ることは、社会人になって初めての経験ばかり。そのなかで探り探りやらせていただいたんですが、やっぱり迷ったときはBYのディレクターや上司などに相談させていただきながら、ブランドの軸を保ちつつ、ブレないようにと、試行錯誤。悩んだときはコンセプトや資料を見直す、ということを頻繁にやりつつ進行しました。

長谷 四谷さんが言ったように、短いスケジュールで新しいブランドを作るのはめまぐるしい日々でした。でも新しいブランドだからこそできる自由さがある。既存の概念にとらわれ過ぎず、学びつつやってきました。自由になりすぎると、目的を見失ってしまうこともあるので、これからもしっかりと明確な軸を持って、チームとして楽しんでやれたらいいなと思っています。

右田 感度的にも年齢的にも、今までUA社では狙ってこなかったターゲット層。そこに対してのアプローチの仕方は試行錯誤しています。新しいSNSの運用の仕方などを、既存のUAらしさを崩さないように表現することは、難しいながらもやりがいを感じています。うまくバランスを見ながら、発信できるように考えてやっていければと思っています。

画像 PRの右田 舞花さん(写真左)、マーチャンダイザーの長谷 沙羅さん(写真右)


同世代だからこそ実現できる自由な表現

--同世代でチームを組むことの良さや苦労などはありますか?

四谷 同世代だからこそ、いいねと思える感性や、これはちょっと考えたほうがいいんじゃないか?という価値観は近しいので、商品の進捗もスムーズにいくことが多いなと感じます。たくさん情報を吸収できる世代でもあると思います。その分、考えをしっかり持っているからこそ、ぶつかるまではないですが、いい意味で話し合いを重ねながら進めていくことができます。

長谷 ブランド自体が20代〜30代前半をターゲットにしていることもあり、〈ATTISESSION〉はまさにその世代のチーム。四谷さん、右田さんのアンテナも強いので、同じ感覚の人たちとチームを組めているというのは、心強いです。強いて苦労というなら、まだ経験が浅いところでしょうか。でもそこは先輩方や周りの方々にフォローしていただけていますし、チームとして動けている感覚なので、楽しくやっています。

画像 パンツはウエスト部分にアジャスターを付けたり裾の内側にスナップボタンを施すことで、シルエットやサイズ感を調整することができる。

右田 ルック制作やクリエイティブ関連のスタッフであるカメラマン、ヘアメイクさんなども、同世代でチームを組んでいるので、近しいマインドやムード感で動けるのがすごく楽しいです。モデルひとり決めるにしても、すごく時間をかけている。そのこだわりが若さのパワーでもあるし、こだわりが強いゆえに意見の擦り合わせやPRとしてどうまとめるかというのは、エネルギーを使います。でもその分素敵なビジュアルが作れていると思うので、楽しみながら作っています。

--お互いの活躍をどう見ていましたか?

四谷 仕事はもちろん、取り引き先や外部の方との関わり方の姿勢など、いろんな面で勉強させていただいて、学ぶことがたくさんあります。ディレクターだから人一倍責任を背負わなければいけないと勝手に思っていたのですが、ふたりがすごく協力的で助かっています。ふたりの姿勢を見ながら、わたしも刺激をもらってがんばろうという気持ちです。

長谷 私は昨年まで関西にいて、なかなかおふたりに会う機会はなかったのですが、以前からSNSでの活躍を見ていました。上京してブランドに参加することになり、ふたりの動き方、クリエイティブなところ、スピード感に刺激を受けるし、心強く感じています。

右田 もともと四谷さんとはWEB限定の企画をしているときから一緒に動いていたのですが、ブランドがスタートしてから、ディレクターという立場もあり、より責任感が増したように感じます。たとえばSNSでの発信もどんな打ち出し方をしたいのかを明確に伝えてくれるので、やりやすいです。長谷さんは、MDになって一年とは思えないくらい頼りがいがあります。安心してお任せできるので、私もPRとしての仕事を全うできるのですごくありがたいなと思っています。

感度の高い次世代へ向けたスタイルを提案

--商品のこだわりについて教えてください。

四谷 シーズンテーマを設けて、ムードボードを作成し、商品化しています。2024SSのテーマは90年代〜00年をフォーカスして、当時のムード感を再現。コンセプトでもある現代女性のためのワードローブを落とし込んでいます。より気負わずにおしゃれを楽しめるよう、エフォートレスをアップデートし、レイヤードとミニマルさの絶妙なバランス感を、スタイリングで表現しています。
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四谷 ブランドを象徴するアイテムとして掲げているアイテムのひとつ、デニムをメインに、マニッシュながらサイズバランスが絶妙なシャツを合わせたコーディネート。デニムは今回3種展開していますが、これはなかでもストレートの形。着古したようなウォッシュ加工にベージュを載せているので、こなれ感があります。フロントはダメージを入れず、バックデザインの裾にだけ踏んでついたような自然な加工を施しているので、カジュアルすぎずに一枚で決まるのが、このデニムの特徴かなと思います。足もとには女性らしいヒールのシューズでバランスを取りました。
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右田 普段からヘルシーな肌見せが好き。このトップスがまさに、素材はカットソーでカジュアルなのですが、ワンショルダーデザインが絶妙な塩梅。とても気に入っているので、トップスをメインに、ボトムはきれいなクリーンな印象のネイビーを。シルエットはボリュームがあるので、コンパクトなトップスとのバランスがかわいいんです。ベルトは付属なので、つけ替える必要がなく、出かけるときにすぐ履けるというのも重要なポイント。足もとはヒールで。女性らしさを小物で調整しました。
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長谷 〈ATTISESSION〉ではワークやミリタリー要素のアイテムを、上品な素材で落とし込むなど、相反するバランス感で提案しています。このオールインワンは四谷さんも好きなアイテムで、定番になりそうな予感。チンストラップで衿の巻きかたのアレンジもできますし、アジャスターでウエスト部分のシルエットを変えられる、着る人によってムードを変えられる一着です。生地感はきれいめだけど、デザインはメンズっぽいので、レースのインナーやヒールなどを合わせて女性らしくまとめました。
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四谷 (写真左・左)それぞれ単品でもインパクトのあるデザインですが、いろいろな着方を楽しんでもらいたいので、レイヤードしやすい洋服を提案しています。シアーなミニワンピースを、カットソーと合わせるのもトレンドのひとつ。アメスリにも合いますし、下にレギンスやバイカーショーツなどを合わせるのもおすすめです。(写真左・右)チューブとしても、パンツとのレイヤードもトレンドなので2WAYで着用することができます。チューブトップのサイジングも難しいと思うのですが、サマーニットにすることで着心地も柔らかく、涼しい。デザインとなっているリボンで体型に合わせて調整することが可能です。デザインはトレンドを意識しながら、機能性にもこだわっています。(写真右)ワイドデニムでレングスも長め、少し裾に生地が溜まるようなサイジング。ワンウォッシュなのでハリがあり、シルエットもきれいに出ます。ストリート感はありながら、カジュアルすぎずきれいめなシャツと合わせても決まります。腰で落として履いても、〈ATTISESSION〉らしいムードです。

仕事への真摯な姿勢がチャンスを呼び込む

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--〈ATTISESSION〉を通して感じる、仕事のやりがいについて教えてください。

四谷 まず何事も、目的を持って取り組むと楽しいと思います。わたしはもともと「ディレクターになりたい」「バイヤーになりたい」というビジョンがあったので、それが行動にスムーズに繫がったのかなと感じます。今与えられている役割に関係なく、いろんなことに取り組んで追求することが、自己実現への近道なのかなと感じます。

長谷 私も20代半ばくらいから「MDをやりたい」「興味がある」と声を上げていました。並行して店舗のVMDだったり、店の戦略を組んだりしていたところを、きちんと見ていただけていたのだと思います。やりたいことを口に出して、行動してみるというのは、すごく大事かなと思います。

右田 私も、プレスになりたいと思ってUA社に入社しました。最初はショップスタッフからスタートしましたが、もともと発信することが好きだったので、SNSの見せ方などを工夫したりしていました。プレスに声をかけていただいたのも、ショップスタッフとして真摯に仕事に取り組んでいたところを、きちんと見ていただけていたのかなと思います。UA社には、若手にもチャンスが巡ってくる機会があります。だからこそ、基礎的な部分をしっかり学んだり積み重ねながら、これからも自由に取り組んでいきたいです。〈ATTISESSION〉はまだ新しいブランドですが、期待してもらいたいです。

PROFILE

ディレクター 四谷奈々可

ディレクター 四谷奈々可

1998年生まれ。文化服装学院のファッション流通科を卒業後、株式会社ユナイテッドアローズ入社。2022年春夏よりBY内にてWEB限定ラインの商品企画を行い、2023年6月にBY商品部へ異動。

PR 右田舞花

PR 右田舞花

1995年生まれ。2017年入社。BY新宿ウィメンズストア、BY渋谷公園通り店にて2年半の販売経験後、PRに異動。現在はリース対応やルック制作のプレス業務を担当。媒体のスナップでも活躍中。

マーチャンダイザー 長谷沙羅

マーチャンダイザー 長谷沙羅

1993年生まれ。2015年新卒入社。関西店舗で販売を経験後、大阪店在店で販売戦略部として地方店のVMDを2年弱担当。2023年2月にBY商品部へMDとして異動。

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