
ヒト
2022.07.15 FRI.
若手社員が取り組む新しい挑戦。同世代に向けた、アイテム開発プロジェクト。
〈ユナイテッドアローズ〉渋谷スクランブルスクエア店の販売員として店頭に立ちながら、この夏より〈ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(以下BY)〉のWEB LIMITEDアイテムの製作に携わることになった四谷 奈々可さん。そして四谷さんのチームメイトとして、PR担当に抜擢されたのは、右田 舞花さん。ともに20代の若手コンビがタッグを組み、ふたりと同世代である若年層に向けたWEB LIMITEDアイテムのプロジェクトに取り組んでいます。今回は7月15日から発売される新商品のお披露目のタイミングで、商品づくりの背景やアイテムに込めた想いやこだわりを伺いました。
Photo:Masataka Kougo
Text:Riho Abe
20代の若手コンビが、
WEB LIMITEDアイテムづくりの中心メンバーに。
−現在も店頭に立ち、販売員としての顔を持つ四谷さん。そして将来はバイヤー志望とお聞きしました。今回、WEB LIMITEDアイテムの商品づくりに携わるお話を聞いたとき、どう思いましたか?
四谷:わたしは将来バイヤーになることを夢見て、文化服装学院の流通科を卒業後にユナイテッドアローズに入社しました。今回のお話は、正直志望しているバイヤーとは少し違う分野ですし、想像していなかったお仕事なので不安はありました。ですが、何でもやってみたい! という好奇心旺盛な性格なので、楽しんでやらせていただいています。学校では洋服を作る授業もあったので、その経験を活かしながら取り組めているのかなと思います。
―現在はどんな動きで、プロジェクトを進行していますか?
四谷: 商品づくりは、生産の方に助けていただきながらお取引先様と二人三脚で進めています。販促面はPRの右田さんに。ビジュアル撮影などの世界観づくりは、わたしと右田さんの二人であれこれ話し合いながら進めています。
―同世代の右田さんがPR担当とは心強いですね。右田さんは最初このプロジェクトのお話を聞いて、どう思いましたか?
右田:四谷さんが作ったアイテムをPRできると聞いて、わたしもとても嬉しかったです。実はこのプロジェクトの話が出る前から、四谷さんがバイヤー志望でオフィスの仕事に興味があるという話は聞いていました。今回は洋服を作る仕事ですが、この話を受けて「チャンスだよ!」と彼女に話をしました。わたし自身、もともとダブルジョブで、店頭の仕事とPRの仕事を兼任した後にPRになったこともあって、共感する部分がありました。
店頭に立っているからこそ反映できる、
お客さまのリアルな本音。
―現在四谷さんは、お店と商品づくりの仕事は半々くらいの割合とお聞きしました。店頭でお客さまと近い距離感でコミュニケーションが取れることで今回のプロジェクトを進める上で役に立った点はありますか?
四谷:お店には、年齢問わずファッション好きな方がたくさん来店されるので、いろんなお話を深堀りできるように心掛けています。ネットで気になったアイテムを目掛けて来店してくださったお客さまには、「何がきっかけで気になってくれたのですか?」と聞いてみたり。また、“いま”欲しいアイテムだけではなくて、“これから”欲しいものにも気に掛けて、このプロジェクトに繋がるような会話を心掛けました。
―具体的に今回のコレクションに落とし込んだアイデアはありますか?
四谷:パンツをハイウエストではくことはここ最近の定番ですが、「次は腰ばきしたい気分だよね」とお客さまと話したことがきっかけで、腰ばきできるパンツを作りました。あとは店頭で「どういう着方ができますか?」と聞かれることが多くて、意外と着まわし力を気にされているお客さまは多いのだなと気付きました。今回作ったアイテムは、どれも幅広い着まわしが想像できることはもちろん、コレクション内のアイテム同士でもレイヤードが楽しめるようなアイテムになっていると思います。
―他にお二人の経験が生かされたと感じた場面はありますか?
四谷:昨年の〈BY〉のオリジナルでは、オーバーサイズのTシャツが多かったのですが、今年はコンパクトなTシャツが着たくて、いま着ているような着丈が短いTシャツを作りました。実際に今季はコンパクトなTシャツの試着が増えたんです。お客さまに「コンパクトなTシャツはどうですか?」と尋ねると「最近のトレンドだよね。今年はこういう感じですっきり着たい!」と言われて。自分が作ったものと、お客さまが同じテンションでいることを確かめられて嬉しかったです。
自分たちの”可愛い” “欲しい”を信じて。
同世代に向けたアイテム開発。
―今回のコレクションのこだわりを教えてください。
四谷:ベーシックだからこそ、シルエットとサイズ感にはとことんこだわりました。1サイズ展開のアイテムもありますが、「高身長のわたしが着るとちょうどいいけれど、小柄な方だとどうだろう?」と、別の先輩に着ていただいて採寸を詰めたり、ちょっとした身幅や着丈などの微調整を何度も行いました。あとは、自分でTシャツのロゴを描いたり、現在開発中のシアープリントTシャツには、以前わたしがロンドンや東京で撮り下ろした写真を使ったり、デザインにもこだわっています。
シルエットだけではなく、ロゴデザインにも四谷さんのこだわりが光る。小さい頃に観た映画の原作からとった有名な一節です。有名だからこそ一見わからないように単語の頭文字だけ残したり、フォントもそれぞれで変えたりして暗号風に。


(左)[ニットカーディガン]
〈BY〉では珍しいショート丈のニットカーディガンは3色展開で。ボタンを閉めたら1枚着で、外せば羽織りとして着られる。
(右)[ワンピース]
ポケット付きで機能性もありつつ、ハイブランドのような上品なシルエット。Tシャツやキャミソールをレイヤードしたり、シャツを羽織っても素敵。


(左)[ニットタンクトップ]
ニットベストとチューブトップのセット。「こういう着こなしをしたいけれど、インナーを気にされる方が多いので、あえてインナーとセットにしてみました」。別々使いもできるので着まわし力も抜群。
(右)[シャツ]
オーバーよりはコンパクトなシルエットで、キレイめにな印象で着られるシャツ。女性らしいシルエットと質感で上品な雰囲気に。
「ワンポイントのデザインは、胸のフロントよりバックスタイルで目立たないくらいで着るのがいまの気分」。描かれた数字は、七夕生まれの四谷さんのラッキーナンバー「7」や生まれ年である「1998」から100年続くという意味を表す「2098」など、それぞれ四谷さんの熱い想いが込められている。
―お二人の同世代に向けたアイテムが中心と伺いました。若年層に向けて、何か意識したことはありますか?
四谷:若い世代にとって金額はとても重要です。〈BY〉のオリジナルは、学生の方だと値段が少し高いと感じる方もいます。ですが、安価すぎると、すぐダメになってしまい毎年着てもらうのは難しい…。ユナイテッドアローズ社の素材の良さやこだわりは維持しつつ、単価をできるだけ下げられるように頑張りました。
―こだわりを維持しつつ価格を抑えるのは、やはり大変でしたか?
四谷: お取引先様に商談へ行き、相談や交渉を重ねることも、わたしにとってすべて初めての経験だったので、正直大変でした。「パンツを1万円以内で作りたいです」と言ったら、「1万円!?」と上司は驚いていましたけど…。でも、1万円を超えてしまうと若い世代に広く届けられないと思って、わがままを聞いていただきました。
―では、PRの右田さんがこだわったことはどんなことですか?
右田:いままでPRとしてのわたしの役割は、ディレクターの意向や表現したい世界観をどれだけ忠実に再現し、それをどうやって広めていくかということでした。今回はいままでとは異なるやり方で、ビジュアルディレクションから携わっています。上司に「二人が好きな世界観を表現していいよ」と任せていただけたので、「可愛い!」「これがイケてる!」という、わたしたちのテンションを大切につくり上げていきました。プライベートで遊んでいるときも「ルックのモデルはあの子がいいよね!」「こういうイメージで撮りたい!」「こういう服が欲しい!」と、どんどん夢が膨らんでいって話が尽きないんです(笑)。
―先輩、後輩という関係でありながら、プライベートでも仲の良いお二人。お互いの感覚を信じていままでインプットしたことを、このプロジェクトでふんだんに反映しているんですね。
右田:プライベートでもよく一緒にいますね。好みは全く一緒というわけではないけれど、お互いの好みは理解し合っていると思います。わたしは、四谷さんが表現したい世界観を表現できるようにサポートしつつ、お客さまに何がどう響くのか、どうしたら魅力的に思ってもらえるのか。SNSやPinterest、雑誌のアーカイブを見て、たくさん勉強しています。
四谷:ネット上で写真を見て、「可愛い! 欲しい!」とお客さまが判断するのは一瞬だと思うので、きちんと目に留まるようにビジュアルづくりにもこだわりました。
―ちなみに、いま考えている発信のアイデアはどんなことですか?
右田:インスタライブはもちろんのこと、Instagramのリールや〈BY〉では初挑戦になるTikTokもやってみたいと思っています。若い世代が自然と目に入るような媒体での表現にチャレンジしたいですね。
業種の垣根を超えて、
同世代でひとつのムーブメントを作りたい。
―最後に、今後お二人がチャレンジしてみたいことはありますか?
四谷:商品づくりのプロジェクトは、きっと滅多にいただけるお話ではないと思います。今回せっかく貴重なチャンスをいただいたので、どんどん前向きにアグレッシブに動いていきたいです!
右田:PRや発信のプロになりたいです。このプロジェクトについては、ビジュアルのディレクション部分も担いながらできることはわたしにとっても新しい挑戦。作る側が素直な気持ちで楽しんでいたら、きっとそれが表現されて共感が生まれるのかなと思います。二人のグルーブ感を大切にしながら、続けていきたいです
―お二人のこれからの活躍を楽しみにしています。
右田:ちょうどいま、同世代の子たちがさまざまなフィールドで活躍していて。ブランドを立ち上げたり、写真や絵などクリエイティブなことをやっている子がすごく多いんです。今回のルックの撮影も、同世代のカメラマンさんとヘアメイクさんにオファーしました。社内外の垣根を越えて、お互いでいいところをたくさん吸収しながら、みんなで一緒に盛り上がりたいなと思います。雑誌のアーカイブを見ていても「この時代のファッションやカルチャーって、楽しそうだな」と高揚することがあって。わたしたちも同世代でそんな一時代を築きたいと思っています。
INFORMATION
PROFILE

四谷 奈々可
2020年入社、BY渋谷公園通り店配属。現在ユナイテッドアローズ渋谷スクランブルスクエア店にて勤務2022年1月より本社BY商品部のダブルジョブ活動をはじめ、今回新たに商品開発+販促に挑戦中。店舗ではビューティ&ユースストア インスタアカウントの運営も担当している。
@nanaka_yotsuya__by

右田 舞花
2017年入社。BY新宿ウィメンズストア、BY渋谷公園通り店にて2年半の販売経験後、PRに異動。現在はリース対応やルック制作のプレス業務を担当。媒体のスナップでも活躍中。
@migita__by