ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

地元に戻って面白いことを。再会が紡ぐ異業種コラボレーション。

ヒト

2023.11.16

地元に戻って面白いことを。再会が紡ぐ異業種コラボレーション。

アパレルと飲食。業種という枠を越えたコラボレーション企画を立ち上げたのは、〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング(以下GLR)〉でのキャリアを地元・福岡からスタートさせた稲尾 圭佑さん。2005年に入社後、九州・四国エリアを中心に5度の異動を経て15年ぶりに福岡へ戻った彼の信念は、失敗を恐れず前に進み続ける精神です。今回のプロジェクトが実現したのも、きっとそんなマインドがあってこそ。自分と正直に向き合う稲尾さんが発信する地元の魅力、そしてコラボレーションを通して見えてくる自身の想いを伺いました。

Photo:Go Tanabe
Text:Masaki Hirano

うまくいかないことを前提に、挑戦を楽しむことが成果になっていく。

ーまずは稲尾さんがユナイテッドアローズ社(以下、UA社)に入社されたきっかけを教えてください。

稲尾:元々キッズウェアに興味がありまして、キッズを取り扱っているセレクトショップはないかと色々探していたところ、地元である博多に〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング(以下、GLR)〉があることを知りました。27歳の頃ですね。それでお店に足を運んだところ、イメージ通りドレスからカジュアル、そしてキッズまで幅広く展開していて、もうその時点で「あ、ここで働きたいな」と思いました。ある意味、直感でした。

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ーそれが2005年ということですね。なぜキッズウェアに興味があったんでしょうか?

稲尾:遡ると実は教師になりたかったんです。ただもちろん洋服も大好きで、大学生のときに教職とアパレル職のどっちに進もうかなと考えました。結果的にアパレル職を選択したのですが、キッズウェアを取り扱っているお店なら、子供たちとも接することができるのではないかなと思いました。

ー入社後、販売員としての心境の変化などはありましたか?

稲尾:博多店を経て長崎店で働いているときに、初めてキャリアアップしたいと思うようになりました。そこでの店長との出会いの中で「店長の仕事って素晴らしい!」と感じることがあったんです。当時、わたしはショップメイクと接客教育という役目を任されていたのですが、メンバーやお店の成長を見ていて、今度は自分が店長としてマネジメントをしたり運営に関わりたいという気持ちが強くなり、新店の店長の公募があったタイミングで手を挙げました。それが高松店でした。

ーなるほどですね。そんな稲尾さんが日頃お仕事をする際に心がけていることはなんでしょうか?

稲尾:3つありまして、1つ目が「チャレンジし続けること」、2つ目が「楽しむこと」、3つ目が「感謝の気持ちを持つこと」です。社会に出てからいろいろな選択を迫られる日々だったんですが、それでもとにかく進まないと何も始まらないというのが信念にありまして、チャレンジし続けることを大切にしています。ただ挑戦するからにはその場面を楽しむこと。そうすることで、周りからのアドバイスを受け入れられたり物事を柔軟に考えることができるのかなと思います。辛そうにしていても、それは少し違うなと。そして最後に感謝することです。一人では何もできないので、周りのサポートやお客さまの支持などに対して感謝を忘れてはいけないというのは常に思っています。

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ーまさにその通りですね。例えば、うまくいかないときはどうやって気持ちを整えていますか?

稲尾:うまく行かないことの方が多いですが、それを前提にチャレンジしています。最初からすべてがうまくいくとは思っていないので、モチベーションが下がることはあまりないですね。失敗することよりも、失敗したときにどう軌道修正するかを意識しています。もちろんダメージは受けますが、それでも諦めずに続けることで何かしらの成果が出るのかなと感じています。


ーでは、稲尾さんの仕事に欠かせない愛用品を教えてください。

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稲尾:〈GLR〉別注の〈オロビアンコ〉のペンケースと〈クロムハーツ〉のダガーリングです。ペンケースは研修などが増えてきた頃に購入したもので、もうぼろぼろですが、チーム作りや自分やメンバーの成長のために苦楽を共にした、言わば相棒です。UAモンキーと息子からもらったキーホルダーもずっと着けています。ダガーリングは長崎店にいる頃に昇格のお祝いで自分に購入しました。やってきたことが認められた瞬間の記憶や喜びをいまでも思い出しますね。

人と人との繋がりから生まれ、思いが込められた商品。

ー以前から〈GLR〉が続けている、地方の魅力の再発見を目的とした活動「THINK LOCAL」についてお伺いさせてください。ご自身の考える「THINK LOCAL」とは、どういったものでしょうか?

稲尾:個人的な見解になりますが、どういうことをやっているのかを知った上で、それぞれが自分なりの理解を持って良いのかなと思っています。私も自分の考えを踏まえながら「THINK LOCAL」を店舗側から何かできないかなと思い、色々企画しています。

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ーそれが今回の飲食店「COMATSU」とのコラボレーションということですね。どういったきっかけや経緯があったのでしょうか?

稲尾:今回15年ぶりに地元に戻ってきまして、「COMATSU」で働く大学の友人にひさしぶりに会いました。そういえば自分達が社会人になるときに「稲尾くんは洋服屋、俺は飲食屋。お互い偉くなったら何かやろうね」なんて話をしていたのを思い出して、そこから何か取り組もうという流れになりました。「COMATSU」のコンセプトが “人が輝けば店が輝く 店が輝けば街が輝く” というもので、対して〈GLR〉のコンセプトが “Be Happy 〜ココロにいいオシャレな毎日〜” というものです。そこが融合する企画、そしてお互いの得意なジャンルを掛け合わせてお客さまやスタッフをハッピーにする企画を形にしたいなと思い、約1年半かけて、Tシャツ、キャップ、エプロン、缶バッジ、ステッカーなどを〈GLR〉と「COMATSU」のコラボレーションという形で制作しました。

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ー制作にあたって、こだわった点などはありますか?

稲尾: “人が輝けば” というワードや、“Be Happy” という言葉が人に向けられているように、「COMATSU」にも〈GLR〉にもお店があってお客さまがいらっしゃいます。このお店や人との繋がりを大切にしたいという思いから企画がスタートしていて、まずは中で働く人たちのモチベーションが上がるアイテムを作ろうということで、飲食店のスタッフが毎日着けるエプロンを制作しました。また「COMATSU」の社長さんが「出会い」や「一期一会」 という言葉を非常に大切にされていたので、それをキーワードにイラストレーターのイソガイさんに今回のイラストを描いていただいています。いろいろな人の思いが詰まった企画、そしていろいろな人との繋がりから生まれた企画という部分で、“出会い”や“思い”を込めた商品になっています。

画像 「COMATSU」取締役の高尾さん、森さんと最終打ち合わせ。実は3人は大学の同級生でもある。

ーコラボレーションを経て、どのような感想をお持ちですか?

稲尾:わたしは店頭で商品を提供するということを20年近くやっていて、今まではできたものをお客さまに提供するという立場だったんですが、幸いにも初めてモノづくりに携わることを経験させていただきました。お店に展開するイメージを話し合いながら形にしていく楽しさというのを実感し、今回のアイテムも人との出会いあっての商品なので、すごく素敵だなと感じています。

地元に居ながらも成長できるような前例やレールを作っていきたい。

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ーご自身の地元である福岡、そして博多エリアに感じる魅力について教えてください。

稲尾:博多は “九州の玄関口” と言われているように、県外や海外から多くの方が来てくださってはいるものの、15年前は正直言うとオフィス街というイメージが強くありました。でもひさしぶりに戻ってきたらファッションであったり飲食であったり、博多にも新しい賑わいができていて、そういった変化をとても嬉しく感じています。福岡の人たちは福岡のことを褒めてもらえるとすごく喜ぶんです。そういった地元の人たちの明るさや暖かさが魅力のひとつだなと思います。

ーでは最後に、今後の展望について教えてください。

稲尾:わたしがUA社に入社したときは、本社に行くことがキャリアアップだと思っていたのですが、店舗数が増えるに連れて、本社に行くだけではなく地元に戻ってそこでキャリアアップしたいというように、価値観にも変化が生まれているように感じます。今回自分がやらせていただいたようなことが、キャリアアップのモデルケースのようになって、地元に居ながらも成長できる前例やレールになれば良いなと思っています。そして「COMATSU」とは今回の企画で終わりではなく長く関係を続けていき、仕事を通して他業種や福岡の街を盛り上げていきたいなと思っています。

PROFILE

稲尾 圭佑

稲尾 圭佑

2005年入社。地元・福岡で販売員をスタートしたのち、九州・四国エリアを中心に5店舗での勤務を経験。自身のキャリアアップのため、長崎店、高松店、大分店の立ち上げに従事し、高松店より店長に就任。15年振りに再び〈GLR〉アミュプラザ博多店へ異動となり、ブランドを通して街の活性化にも力を注いでいる。

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