ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ヒト

2021.01.07 THU.

東京から松山へ。新たな挑戦によって見出したリアル店舗の理想像。

11月7日、〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング〉の四国2店舗目となる松山エミフルMASAKI店がオープン。コロナ禍における新店舗運営という難しいミッションに店長として果敢に挑んでいるのは、なんと東京出身のセールスパーソンである森田 浩介さん。これまで都内の数々の店舗で確かな実績を残してきた彼が松山行きを自ら志願したのは、働き方やライフスタイルの多様化という波をキャリアの分岐点と捉えたから。「挑戦してこそ学びや気づきが得られる」。そんな信条を掲げる森田さんはいま、松山での新しい生活、そして新しい仲間たちとともに、接客業の本質を追い求めています。

Photo:Taro Mizutani(bNm) Text:Kai Tokuhara

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「挑戦するならいま」と、松山への転勤を決意。

—森田さんは2013年の入社以来、東京で数多くの店舗で働かれたそうですね。

はい、会社の中でもかなり異動が多いほうだと思います。最初の品川店からはじまり〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング(以下、GLR)〉では計6店舗で仕事をさせていただきましたが、品川ではビジネスマン、お台場は外国人観光客、二子玉川ならファミリーといったように、メインとなるお客様の層が店舗ごとにかなり異なる中でセールスパーソンとしてのスキルを磨くことができたことはいまの自分の原点になっていると思います。その後エリアコーチとして〈ワークトリップ アウトフィッツ グリーンレーベル リラクシング〉のウィング新橋店と八重洲店の店長を兼任してからは、店舗が常に健全な運営をできるよう環境チェックやスタッフのマネジメントにも注力してきました。

—今回〈GLR〉の松山への出店が決まった際には店長就任を自ら志願されたとお聞きしました。そのように住み慣れた東京の街で地に足をつけてキャリアを築いてこられた中、地方都市への転勤を決意された理由とは?

先ほど申し上げたように生まれ育った東京のいろいろな店舗でこれまでさまざまな業務、役職を経験させてもらいましたが、その過程で最も学んだのが「挑戦の大切さ」でした。ふとしたときにそれをあらためて強く実感したと同時に、「果たしていまの自分はなにかに意欲的に挑戦できているのか」、「この先も変わらず東京だけで働き続けて学びを得られるのか」という思いに駆られたんです。そんな折、松山への出店の話が持ち上がっていると聞いて、直感的に「いまの自分にはこれだ」と思って手を挙げさせてもらいました。それが今年の8月。その後はとんとん拍子で話が進んでいって9月にはオープン準備のために松山に移りました。妻が快く賛成してくれたことも大きかったですね。

—決意した裏には、実のところコロナ禍の影響もあったのでしょうか?

少なくからずありました。やはりコロナを機に生活を見直し、地方へ移住する人が増えたという話題に対して自分なりに関心は持っていましたから。もしかしたら2020年というタイミングでなければこういう決断はできなかったかもしれませんね。

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コロナ禍に負けない、地域に根ざした接客を。

—松山という街に抱いていたイメージ、そして実際に移り住んでみて感じた印象は?

それが松山についてきちんとリサーチする間もなく異動がスムーズに決まったので(笑)、正直なところ事前知識は道後温泉があって、みかんや瀬戸内海で獲れる海の幸が美味しいらしいという程度でしたが、いざ来てみると想像していた以上に肌に合いましたね。コンパクトで海が近く、路面電車の走る風景に、どこか昔1年間住んだサンフランシスコに近い空気を感じました。またファッションに関しても、意外なほどいまっぽい服をおしゃれに取り入れている人が多いという印象を受けましたね。元々地方に来たからといってのんびり過ごしたいと思うタイプでもないので、すぐに「これは働きがいがありそうだな」と新しい意欲が掻き立てられました。

—9月に松山に移り、11月のオープンまでの2カ月間、新店舗の店長という責任ある立場でプレッシャーもあったと思います。どのような心掛けとともに準備に取り組まれたのでしょうか。

なにより新店舗のスタッフ8人中4人が未経験者というのはこれまでで初めてのことでしたので、彼らの教育には特に力を入れたつもりです。もちろん多くのスタッフに同時に一から教えるのは大変でしたけれど、研修先の〈ビューティ&ユース 松山店〉で日に日に驚くほどのスピードで彼らが成長していく姿を見られるのは本当に頼もしかったですね。

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—中でもスタッフたちに重点的に伝えているような、森田さんならではの“接客の心得”とは。

何事も相手の立場に立って考える、自分よがりな接客をしない、お客さまがどういう服を求めているのかということをきちんと会話しながら探していきましょうということをスタッフには常々伝えています。しかし、それはぼくが自分自身にもあらためて言い聞かせていることなんです。例えば松山ではほとんどのお客さまが車で来店されるように東京とはライフスタイルそのものがかなり異なりますし、気候も違いますから、アウターひとつとっても求められるアイテムが首都圏の店舗とはかなり差があります。そのあたりをきちんと理解しながら地域に根ざした接客を心掛けていきたいですね。

—コロナ禍における新店舗の運営という点でも課題は多いと思います。この先、まだまだ難しい時期が続く中でどのようなスタンスで接客に臨むべきだと捉えていますか?

これは松山でも東京でも、他の都市でも同じだと思いますが、今はお客さま一人ひとりの目がよりシビアになっていると言いますか、多くの方が本当に必要な服、本当に気に入った服だけを購入されるイメージですので商品力のさらなる向上が何よりも不可欠だと感じています。また接客面においては、マスクによって表情が伝わりにくく、常にお客さまとの間に一定の距離が必要になりますので、親しみやすさや元気の良さという〈GLR〉の本来の強みを発揮しづらい環境にはなっています。しかしそれでもぼくたちの接客を信頼して来てくださるお客さまもたくさんいらっしゃるので、制約が多い中でもどう工夫すれば良い接客ができるのかを日々模索しながら見出していきたいですね。

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こんな時代だからこそ、地元から愛される店作りを追求したい。

—森田さんご自身のライフスタイルについても少しお聞きします。松山に移り、東京の暮らしではなかったような新しい気づきはありましたか?

本当に些細なことなのですが、時間にゆとりが生まれましたね。東京では片道1時間ほどの電車通勤だったのが、松山に来てからはほぼ近距離の自転車移動になったので純粋に1日の中で自分のために使える時間が増えました。朝は毎日家でハンドドリップコーヒーを淹れ、しっかり朝食を取り、遅番の日は出勤前に本を読んだり自転車をいじったりもします。休日も妻と家でゆっくり過ごし、時々自転車で出掛けるくらい。東京で毎日忙しなく過ごしていた日々が嘘のように時間がゆっくりと流れていますね。とはいえ、その心地よさに慣れてしまってはダメだなと思っています。もちろん生活するからにはしっかりと松山でのライフスタイルは楽しみつつ、時間ができた分、今後の仕事のキャリアもしっかり考えながら、きちんと危機感を持って仕事に取り組まなくてはいけないなと感じています。

—具体的に、今後についてはどのようなビジョンを描いていますか?

複数店舗のマネジメントや店舗だけではなくブランドそのものに携わる仕事など、チャレンジしたいことはたくさんありますが、ほんの半年前だって松山に来ることになるとは思ってもみなかったわけですから、この先も自分がどの道に進んでいくのかはそのときになってみないとわかりません。ただひとつ言えるのは、今回の異動のように面白そうだなと思ったことに怯まず挑戦していきたいですし、この松山エミフルMASAKI店での業務においてその足掛かりになるようななにかを掴みたいと思っています。

—ずばり、松山エミフルMASAKI店を今後どのような店に作り上げていきたいですか?

ありきたりな答えかもしれませんが、「地元の方々が愛着を持ってくれるような店にしていきたいね」とスタッフたちともよく話しています。そのためには、なんでもネットで買えるこの時代だからこそリアル店舗の強みである“ヒト・モノ・ウツワ”のクオリティを高い次元で求めていかなくては。そしてお客さまの家族構成やライフスタイルも踏まえた心の通った商品提案ができるように。願わくば、いま頑張ってくれているオープニングのスタッフたちが、地元のお客さまから「◯◯さんがいるからグリーンレーベルに行きたい」と思われるような素敵なセールスパーソンに成長していってくれると嬉しいですね。

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PROFILE

森田 浩介

2013年に入社し、〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング 品川店〉に配属。その後アクアシティお台場店、渋谷店、二子玉川店勤務を経て、2018年、スーツラインに特化した〈ワークトリップ アウトフィッツ グリーンレーベル リラクシング ウィング 新橋店〉のオープンに伴い店長に就任。翌年にはエリアコーチとして八重洲店の店長も兼務。現在は、11月7日にオープンしたばかりの〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング 松山エミフルMASAKI店〉で店長を務めている。

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