ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ヒト

2021.02.18 THU.

持ち前のセンスと発信力を生かして踏み出す、販売員としての第一歩。

2020年に新卒入社し、同年オープンしたイウエン マトフ 横浜店の販売員として店頭に立つ近藤 舞弥さん。苦難の時世もなんのその、むしろだからこそと、きっぱり前だけを見ています。SNSを通じて多くの人へ情報を届けることも、日々の仕事のひとつ。とりわけ、ウェブライターの経験がある彼女は、ブランドの世界観をあまさず表現することに、惜しみなく知恵を注ぎます。とはいえ、一方で「あたたかみのあるコミュニケーションが、なにより楽しい」と、生身の接客体験をこそたっとぶ。笑顔の下に隠れた、熱くフレッシュな想いを伺いました。

Photo_Masataka Kougo
Text_Masahiro Kosaka(CORNELL)

来客の少ないときだからこそ、一人ひとりを大切に迎えたい。

ー2019年にローンチしたウィメンズレーベル〈イウエン マトフ〉。現在近藤さんは、2020年夏にオープンしたばかりのイウエン マトフ 横浜店で販売員として働いていますね。〈イウエン マトフ〉というブランドについて、簡単に教えてもらえますか?

まず、ブランド名は“優美な”という意味をもつ古語「いうえん」と、“纏う”を古語読みしたときの「まとふ」とを掛け合わせた造語です。フェミニンモードを軸に、女性らしいやわらかさの中に、力強い雰囲気やディテールへのこだわりをしのばせた個性的なアイテムを多く展開しています。横浜店は、ブランド初の単独店です。

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ー2020年に新社会人という門出に立ったわけですが、コロナウイルスの影響もあって、早くも難しい局面に立たされたことと思います。昨年は、どんな風に働いていましたか?

6月24日に横浜店がオープンするまでは、与えられた課題に自宅で取り組んでいました。クラウドの学習アプリを使って動画研修を受けたり、リモート学習をしたり。お店がオープンしてからも、来客数は限られたものでした。でも、むしろそうした状況だからこそ、一人ひとりのお客さまを大切に迎えようという気持ちになれたのかもしれません。また、普段忙しい店頭ではきっと経験できないであろう販売以外の業務も、早い時期から経験できています。

ーそもそもの話ですが、どうしてアパレル業界を志したのですか? 服飾の学校に通っていたのでしょうか?

いえ、これまでは短大で英語を学んでいました。ただ、将来的にファッション関係の仕事に就きたいとは、実は小さな頃から考えていたんです。家族みんな洋服が大好きで、特に5歳上の姉からは、お下がりの洋服をもらったりしていて、洋服の好みもかなり影響を受けました。幼稚園児の頃には、リカちゃん人形や、着せ替えをして遊べるゲームに夢中でした。その後も、かなりざっくりとしたものですが、手縫いで洋服を作ったりもしていて。高校は、ファッションを学べる学校に入学。洋服をデザインしたり、ファッションショーをしたりと、そこで学んだことも、いまに繋がっていますね。

ーかねてから、この道に進みたいとはっきり考えていたのですね。数多くあるアパレルの中でユナイテッドアローズを選んだ理由はありますか?

会社説明会の終盤に、過去にお客さまから贈られたというサンキューレターがスライドで流されたんです。それを見てすごく感動して。お客さまを大切にしていて、同時にお客さまからも大切にされている会社なんだなと。その後の選考でも、わたしの内面をしっかりと見てくれている印象を受け、入社を決めました。


一枚の写真で、いかに伝えたいことを伝えるか。

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ー就職活動をする中で、自分の大切にしていることとマッチする企業を見つけたというわけですね。アパレル企業ということであれば、とりわけ、なりたい職種があったわけではないのでしょうか?

最終的にはプレスになるのが夢です。昔から目立ちたがり屋で(笑)。とはいっても、根暗でシャイなので、派手なことをして目立ちたいというのではなく、洋服を通じて多くの人に影響を与えてみたい。そんな風に思っています。

ーそれは、たとえば過去に誰かに影響を与えた経験があって、その楽しさや喜びを知っているからということでしょうか?

そうかもしれません。高校時代の文化祭では、まわりの友達を巻き込みながら、先導を切ってショーを作りあげました。また、大学時代のアルバイトの経験も、プレスの仕事に活かせるのではないかと考えています。

ーというと?

大学時代、ファッションや美容などを扱うライフスタイルウェブマガジンで、2年間ウェブライターのアルバイトをしていました。トレンドを読み取ったり、街中で面白い情報を見つけたりしながら、記事を作成していました。一重まぶたの子に向けて書いたメイクの記事や、大学新入生に向けて書いた記事など、なかにはかなり大きな反響をもらった記事もあって。すごく刺激的で、やりがいのあるお仕事でした。

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ーたしかに、プレスの業務には、そうした経験と地続きのものもありそうですね。いまは販売が主な仕事だとは思いますが、店頭においても、ウェブライターの経験を活かして行っていることはありますか?

インスタグラムの更新については、ウェブライターとしての経験が活かされている実感があります。ウェブマガジンでは、サムネイルやタイトルをいかに工夫するかで、記事の閲覧数が大きく変わります。だから、お店のインスタグラムにおいても、「いかに一枚の写真で伝えたいことを伝えられるか」を、常に意識しているところです。特に<イウエン マトフ>には、生地のディテールやカラーリングにこだわったアイテムが多いので、どこをどんな風に見せればより魅力が伝わるかを、試行錯誤しています。

ー店頭で実際に商品を手に取ることが難しいいまだからこそ、そうした細かい配慮が、ひいてはブランディングにも繋がっていきそうですね。

そうですね。ただ、そうしたとき、同時に店頭接客の大切さにも思い至ります。ウェブマガジンでは、文字や画像でいかに商品や情報を魅力的に伝えるかがすべてでした。でも、限られた文字数では限界もある。一方、対面のコミュニケーションであれば、時間をかけてじっくりと伝えられるし、洋服以外のことで話が弾むこともあります。人と話をすることが個人的にも大好きなので、そうした熱のこもったコミュニケーションを気兼ねなくできる世の中に、早くなればいいなと願っています。

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“鉄は熱いうちに打つ”。いつまでも目標を持ち、意欲的に働いていたい。

ーアルバイトしていた頃も、現在はインスタグラムなどの業務を通して、商品や情報を魅力的に発信することを続けてきたというわけですね。そうしたことは、プライベートにおいても同様ですか? たとえばSNSやブログなどを通じて、個人的になにかを発信していたりしますか?

特に発信はしていないのですが、趣味でコラージュアートを作っています。写真のモチーフをもとにイラストを描いて、そこに野菜の画像を組み合わせたりした、けっこうヘンテコなものが多いのですが…(笑)。変なものと変なものを組み合わせることで、意外といいものができあがるんじゃないかと思っていて。

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イラストを描くときは、LINE CAMERAのアプリを使うのだとか。iPhoneの小さな画面上に、指を使って緻密な線画を器用に描いていく。

ーかなり独特の世界観ですね(笑)

はい、よくそう言われます(笑)。あとは写真を撮るのも好きで、高校生の頃に祖父からもらったYASHICAのカメラを愛用しています。iPhoneでももちろん写真を撮りますが、フィルムカメラの場合は、撮ってすぐに確認できないので、できあがるまでの期間が楽しいんですよね。旅行に行くときや散歩をするときに持ち歩いては、風景や友達を撮ったりして、過ごした時間を記録しています。

ーiPhoneとフィルムカメラで、撮る対象も変わったりしそうですね。フィルムカメラを使いはじめたことで、これまで行かなかった場所に足を運ぶようになりましたか?

たしかに、なんてことのない空や、道端の植物といったものもよく撮っています。これまで以上に田舎も大好きになりました。また、お花を撮るようになってからは、常に部屋に花を飾るようになりました。

8_72A2839メイクとファッションの掛け合わせも、〈イウエン マトフ〉のテーマのひとつ。近藤さんのこだわりは、洋服に負けないような、キラキラと明るいメイクをすること。「今日はオレンジ色をベースにメイクしました。洋服のトーンに合わせて、日によってメイクを変えています」。

ー洋服のことについても聞かせてください。普段はどんなアイテムやスタイルが好みですか?

もともとはカジュアルなアイテムが好きで、ヴィンテージショップや古着屋には、いまでもよく行きます。

ーそうなのですね。〈イウエン マトフ〉の洋服に触れるようになってから、洋服の捉え方やファッション観は変化しましたか?

これまでは、「こんなスタイルは似合わない」とか、「こういうアイテムは着ないだろう」とか、手に取る洋服のジャンルを自ら狭めてしまっていました。でも、ここで働きはじめてからは、いろんな洋服を着ることに抵抗がなくなった。特に〈イウエン マトフ〉は色にこだわっているブランドなので、色物を着る機会はぐっと増えましたね。自分の中では、〈イウエン マトフ〉の洋服を着ると、スイッチが入るような気がしています。本気になりたいときとか、ちょっと特別な日に着たくなります。

ー最後に、今後の目標について聞かせてください。プレスになるのが夢とのことでしたが、具体的にはどんなキャリアアップを思い描いていますか?

入社前は、「3年以内にプレスになる」なんて考えていました(笑)。でも、実際に現場に立ってみると、まだまだ学ぶことが山ほどあるなと実感しています。とはいえ、“鉄は熱いうちに打て”ともいいますし、目標もモチベーションも常に高く維持していたい。たとえプレスになれたとしても、その中で新しいことに挑戦し続け、いつまでもワクワクするような働き方をしていたいです。

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PROFILE

近藤 舞弥

2020年4月入社。ユナイテッドアローズ 丸の内店で先行アルバイトを経験し、イウエン マトフ 横浜店へ配属。現在はPRを目指しつつ、店頭接客と販促活動をしている。

JP

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