ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ヒト

2021.10.28 THU.

当たり前が当たり前ではなくなったいま、接客を通して伝えたい想い。

2012年入社後、4度の異動を経て現在10年目へ突入した小川 真名人さん。新天地である〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング〉コクーンシティ さいたま新都心店では、店長でありながら飾らない人柄で、風通しの良いお店づくりを志す。コロナ禍でオンラインショッピングの需要が更に高まる中、小川さんが改めて見つめ直した実店舗の魅力についてなどを伺いました。

Photo:Eri Morikawa
Text:Sota Nagashima

丁寧であたたかみのある接客を目指して。

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―まずは小川さんが入社を決めたきっかけから教えていただけますか?

両親共にアパレルの仕事に携わっていたこともあり、昔からアパレルの道に進むことは自然と頭の中にありました。大学生のときには服好きの友人たちと、色々なセレクトショップや古着屋をまわるようになって。〈ユナイテッドアローズ〉はスタッフの方もかっこいい人が多くて、素敵なお店だなと思っていたんです。しかも、そのスタッフの方たちはみんな、学生の自分にもとても丁寧で、同じ目線で対応してくれる感じがして。自分もここで一緒に働いてみたいと思ったのがきっかけです。

―そこから就職活動を経て、新卒で入社されたということですね。

そうです。その就職活動のタイミングが、東日本大震災のときだったんです。一時はどうなってしまうんだろうという不安な期間があったのですが、そういうときに人事の方がより丁寧に接してくれて、こういうあたたかみのある会社で働きたいと思うようになりました。

―大変な時期の入社を経験し、現在10年目になると思うのですが、自分自身の中で変化はありましたか? また、世の中に対してはいかがですか?

コロナの影響もあって、いま時代はすごく変化していると思います。お客さまの洋服への価値観は、趣味嗜好で買う物から、より具体的に「あそこに行くときの服が必要だから買おう」などと、必要最低限で十分というような思考に変わってきている気がします。


後ろ向きではなく前向きに、こんな時代だからこそできる接客を。

―洋服の買い方といえば、オンラインで購入する方も増えていると思います。そういった時代の中で、リアルな実店舗の魅力はなんだと思いますか?

ただポチッと物を買うだけではなく、それを買う理由だったり付加価値を付けられるところだと考えています。それが心のこもったおもてなしだったり、実際対面しないとわからない温度感も肌で感じていただける。あとは、オンラインではなかなか難しい、コーディネート提案ができるところが実店舗のいちばんの強みだと思います。着こなしや着まわしなど、我々がプロフェッショナルとしてやっている部分が、お客さまに伝わると良いなと思います。少しでもお客さまの参考になるように、自分たちも日頃からファッションを楽しみながら提案できるよう努めています。

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また、いまのお店は8人という少ないメンバーで運営しているのですが、チームワークやお店の雰囲気を良くすることで、ふと寄りたくなる空気感を作れるように意識しています。このコクーンシティ さいたま新都心店はまだオープンしたばかりで、スタッフのメンバーとも一緒に働き出して間もないのですが、すごく仲が良く和やかな雰囲気です。

―コロナ禍などによりオンラインの需要も更に高まっている中、実店舗に立っているからこそ感じられた経験はなにかありますか?

以前のお店でコロナにより休業していた際に再開を待ってくれていたお客さまがいらっしゃったり、「ネット社会になってもわたしは店頭で買いたい」とか、「着ないと分からないよね」とか、「自分に似合う物がわからないからスタッフさんにおすすめして欲しい」という様々なお声をいただきました。後ろ向きではなく前向きに、こんな時代だからこそできる接客や、おもてなしはたくさんあるのだろうなと日々考えさせられています。いまの時代に合った接客を自分も含めてチーム一丸となって模索しています。

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―このコロナ禍が、ある意味実店舗での接客の大切さを再認識する機会になったのかもしれませんね。

おっしゃる通りです。そもそもこんな状況なのに、お店まで足を運んでくれるのが有り難いですね。これまで、この〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング〉という看板のお陰で、自然とお客さまが入店してくれるということに、つい当たり前になってしまっていた部分もあったと思うんです。でも、そうではない状況になって、接客できる有り難みを感じ、熱量もさらに増していると思います。絶対にお客さまになにか良い思いを持ち帰っていただきたいです。販売目線だけではなく、単純にお客さまに喜んで欲しいという気持ちが強くなっています。


関わるすべての方にワクワクと喜びをシェアし続けられるお店。

―そういった時代の変化の中で、小川さんならではの接客のポリシーは何ですか?

自分はエンターテイナーだと思って、接客中に一回はお客さまに笑っていただいたり、微笑んでいただけるように心掛けています。どの瞬間でも良いのですが、例えばちょっと気分が落ちていて、お洋服を買って気分を上げたいという方に、僕と話せて良かったなと思えてもらえたら嬉しいなと思っています。

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―そういった接客スタイルは先輩の背中を見て覚えていったのでしょうか?

それこそ入社した最初は先輩たちの真似をして覚えていき、そこから何人もの先輩の良いとこ取りをして、自分らしい接客スタイルを形成していきました。

―この〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング〉コクーンシティ さいたま新都心店を、どんなお店にしていきたいですか?

メンバー全員でディスカッションをして決めた共通ビジョンとして、「関わる全ての方にワクワクと喜びをシェアし続けられるお店」を掲げています。先程お話したような社会の変化の中でも、変わらずお客さまに楽しみを提供し続けていきたいと思っています。それは、ただお客さまのためだけではなく、例えば配送業者の方や関わる全ての人たちにそういった気持ちで対応しようという意味です。例えばいくら接客は素敵でも、メンバーや取引先さまにはそうではないというのは悲しいなと感じていて。メンバーともその想いは合致しているので、頑張って実現し、あたたかみのあるお店を作っていきたいです。

―そんな小川さんの仕事道具としてなくてはならない必需品を教えてください。

入社当初は、渋谷店にてドレスの担当をさせていただいていました。そこの先輩方にいろいろと教えてもらっている際に、「時計ならやっぱり〈ロレックス〉が良い!」というアドバイスをいただき、当時の自分に見合った金額感の時計を買いました。職業柄、時計は身近なアイテムですし、常日頃付けている必需品ですが、特に思い出深い、自分にとって大切なアイテムのひとつです。

ペンは転勤の送別品などでいろいろな方々からいただくことが多いです。お客さまに伝票を書く際にも使っていただくものなので、ちゃんとしたものをと、常に携帯しています。このペンで字を書いていると、昔のメンバーやもらった人の顔を思い出すこともありますね。

ポケットサイズのメモ帳は、メンバーとの小さな約束などを絶対に破りたくないので、店頭でポロッと話したことでも必ずメモをするようにしています。また、このお店は新しいコンセプトのお店で、今後どういった商品を扱っていくかをトライアルしているところがあるので、お客さまにリアルなご意見をいただいた場合に正確に本部に伝えられるように必ず持ち歩いて、何か気になったことは逐一書くようにしています。

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―ペンやメモは、店長という役職になられる前からも必需品でしたか?

元々入社セットとして、1年目のときにメジャーとペンとメモ帳と名札という4点セットをもらっており、自分の中ではこの10年間ずっと欠かせないセットですね。

―初心を忘れないという意味でも必要なアイテムということですね。

本当にそうですね。1年目のときと、いまとでもメモする頻度は全然変わっていないと思います。


オンとオフの切り替えは、なにも考えない時間を作ること。

―プライベートについてもお聞きしたいのですが、最近夢中になっていることや、日々熱中している趣味などはありますか?

サーフィンです。まだはじめて5年程なので、そんなに長くはないのですが、どっぷりハマってしまいました。元々海は好きで以前から興味はあったのですが、なかなかはじめる機会がなくて…。そんなとき、たまたま当時のお店のメンバーがやっていたので連れて行ってもらったら、めちゃくちゃ楽しくて。絶対に続けたいと決意して、その日の内にウェットスーツを手に入れました(笑)。高松で働いていた頃は、高知県や徳島県へ車で5時間かけてサーフィンをしに行っていたくらいです。

―元々身体を動かすことがお好きだったんですか?

最近あまり走れてないのですが、ランニングにもハマっています。元々サッカーをやっていたのですが、ちゃんと走り出したのは自粛期間中です。自分の決めた目標を達成する瞬間をすごくリアルに感じ取れるのがいいんですよね。今日は昨日より成長していると感じたり、少し仕事にも通ずるものがある気がします。辛い瞬間もあるけれど、もう一踏ん張りするような精神面の強さをランニングを通して高められているなと感じています。

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―忙しい毎日を送る中で、オンオフの切り替えにもサーフィンやランニングは大切な要素ですか?

そうですね。オフのリフレッシュといえば、まずサーフィンです。波がなくても海に行くだけで、気持ちが浄化されますね。サーフィンしているときは、仕事のこともプライベートのこともなにも考えていないので(笑)。ランニングしているときも同じで、なにも考えずひたすら走って汗をかいてスッキリしています。


自分の成長だけでなく、一緒に働いているメンバーのひとつの指針になるように。

―最後に小川さんが今後挑戦してみたいことや目標を教えてください。

まずは高生産性店舗という新しいコンセプトを掲げるお店に関わらせていただいているので、それを成功させていきたいというのが第一です。もうひとつは、〈カリフォルニアジェネラルストア〉という、ウェルネスやサステナブルをテーマにしているお店にもダブルジョブで働かせていただいています。

―そういった働き方もあるんですね。

お店と本社や、同じブランド内の兼任などはいままでもありましたが、ブランドを超えてというのははじめてだと思います。今回そういった新しい試みにチャレンジできるチャンスをせっかくいただいたので、〈グリーンレーベル リラクシング〉と〈カリフォルニア ジェネラル ストア〉、それぞれのブランドに良い影響を及ぼすような働き方をしていきたいです。自分の成長だけでなく、一緒に働いているメンバーにもそういうキャリアアップの一例を示せたら良いなと思っています。

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PROFILE

小川 真名人

2012年入社 ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング 渋谷店配属。 都内店舗をいくつか経験し、その後、高松店に転勤異動。2021年 新店コクーンシティ さいたま新都心店に店長として異動し、現在はカリフォルニアジェネラスストアにもダブルジョブとして勤務している。

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