
ヒト
2017.09.25 MON.
生まれ変わるユナイテッドアローズ 原宿本店が創り出すもの。
25周年を節目に新たなスタートを切った、<ユナイテッドアローズ 原宿本店>。掲げる一つの大きなコンセプトが“UNITEDARROWSONE(ユナイテッドアローズワン)”です。そこにはどんな意味があり、具体的にどのような進化を遂げているのか。ヒト、モノ、ウツワのそれぞれの視点から、リニューアルを支えた今回のキーマンに取材を行いました。新しいステージを迎えているファッションシーン。時代とリンクし、そして新しい価値を創造するために、<ユナイテットアローズ 原宿本店>が創り出すものとは?
Photo:Takahiro Michinaka
Text:Jun Namekata(The VOICE)
大切なのは、相思相愛でい続けること。
[ ヒト=接客サービス ]
ユナイテッドアローズ 原宿本店 セールスパーソン 三浦綾佳 × ユナイテッドアローズ 原宿本店 セールスパーソン 竹中博敬
ー25周年を迎えた<ユナイテッドアローズ 原宿本店>。メンズとウィメンズが一つの館に統合され新しいスタートを迎えましたが、お二人の中で心境や心構えの変化はありましたか?
竹中:基本的なサービスという点においては大きく変わることはありません。いつも頭にあるのは、商品の魅力を我々販売スタッフが伝えなければいけないという思いです。それは商品説明に限らず、お客さまにとって必要な情報をいかに提供できるかという意味です。
三浦:商品説明をするだけの接客にならないよう、お客さまに寄り添うこと。これは今までもこれからも変わりません。
竹中:どの方も何かご縁があって出会うことができたお客さまです。時間をかけて関係性を築いていきながら、願わくはずっと相思相愛でいたい。そしてそうあれるよう、一人ひとりのお客さまとおつきあいをさせていただきたいと思っています。
三浦:お店にいらしていただくだけでもよいですし、気軽に立ち寄っていただける温かいお店にしたいですね。
ーメンズとウィメンズの境界線を超えた品揃えが展開されていますが、その点に関してはいかがでしょうか。
竹中:メンズフロア、ウィメンズフロアの行き来が以前よりもフリーになるぶん、やはり勝手は違ってくるのだと思います。女性のお客さまにも積極的にメンズフロアにいらしていただきたい。その逆もあるかと思います。そこに関しては今まで以上にチームで連携しながら、充実したお買い物環境をつくっていければと思っています。
三浦:女性のお客さまは、スタッフとの会話を楽しみながらショッピングをされるケースが多いんです。メンズとウィメンズが統合されたことで、より幅の広いお買い物環境を作ることができましたので、コミュニケーションもさらに深めていければと思っています。
竹中:その点、ご夫婦やカップルでいらしていただくお店としても魅力的になったと感じますね。また新しいご縁があることを楽しみにしています。
さまざまな垣根を超えていきたい。
[ モノ=商品 ]
ユナイテッドアローズ ウィメンズバイヤー 浅子智美 × クリエイティブディレクション担当 上級顧問 栗野宏文
ー<ユナイテッドアローズ 原宿本店>の品揃えのポイントとは? 今までとこれからの違いなど、お二人の考え方をお聞かせください。
栗野:1990年7月、渋谷の明治通り沿いにユナイテッドアローズの一号店を出店しました。メンズ、ウィメンズのウェアから雑貨までを集積したショップでしたが、そういう意味では原点に立ち戻ったということになります。もちろん、新しい要素を加えながら、進化して。
浅子:ネイビーブレザー×スラックスにパンプスを合わせるといったようなメンズライクスタイルをユナイテッドアローズ ウィメンズでは大切にしてきました。それがメンズ館とウィメンズ館に分かれ、時代に合わせる形でフェミニンなアイテムも増えましたが、今再びメンズ館と統合されました。ある意味、基礎に立ち返ったことで、もともと大切にしてきたメンズライクスタイルを提案し、さらに進化して商品を提供できると感じています。
栗野:今までは、例えば<ドリスヴァンノッテン>や<J.W.アンダーソン>など、同じデザイナーが手がけるブランドを、メンズとウィメンズで別々に買い付けをしていました。しかし新しくなった<ユナイテッドアローズ 原宿本店>では、常にメンズ・ウィメンズのバイヤー同士がコミュニケーションを取り合って、ピックアップするアイテムを選定しています。それは大きな変化ですね。
浅子:ウィメンズの商品でもメンズにも提案できるとか、メンズの商品をウィメンズのフロアで展開するとか、そういったことを考えながらバイイングができるようになったことは非常に大きな変化ですし、面白い取り組みだと思います。
栗野:これはまさに同じ館で両方出せるからできること。さらに僕としては、ジェンダーフリーだけでなく、カテゴリーフリー、エイジフリーも提案していきたい。本当はシーズンもフリーにしたいくらいです。とにかく既成の概念を取っ払った提案にしていくので、これからもっと面白くなると思いますよ。
浅子:メンズ、ウィメンズを分け隔てなく見ていただきたいです。その方が絶対に楽しいですから。今はまだスタートしたばかりで全てが見せられていない状態。これからもっとファッション要素の濃い、面白い取り組みを展開してくので、期待していてほしいです。
全てひとつのユナイテットアローズ。
[ ウツワ=店舗 ]
ユナイテッドアローズ クリエイティヴ・ディレクター 鴨志田康人 × ユナイテッドアローズ 原宿本店 ディレクター 小木基史
ー1992年に完成した<ユナイテッドアローズ 原宿本店>。スペインの建築家、リカルド・ボフィルがデザインしたこの建物は話題になりました。
鴨志田:世界的に有名な建築家がいち洋服店のお店を手がけるというのは、世界的にも稀でした。洋服ではなく、建物を見にいらっしゃる方もたくさんいましたから(笑)。単純に洋服を販売するスペースではなく、気持ちよく快適に過ごすことができるスペースを提供する。そこにいること自体気分がいい。そういった、それまでにない価値観を創造できたショップだったと思います。そしてそれは今後も大切なことだと思っています。
ーリニューアルを迎え変わったこと、変わらないことを教えてください。
鴨志田:もちろん館自体は変わりません。ただ中身は常にマイナーチェンジしています。今回はオープン当初がそうだったようにメンズとウィメンズが一つの館に入ったことが大きな変化。よりコンパクトに濃い表現ができるように進化したと思っています。
小木:2010年に<ユナイテットアローズ&サンズ>がスタートして、2014年にそれをリニューアル。そして今回<ユナイテットアローズ 原宿本店>がスタートしました。ここ最近は3〜4年のサイクルで変化を迎えています。それは血液循環の早い原宿という土地において必要なこと。さらに3〜4年後の進化を見据えてのリニューアルであるつもりです。これまで別々だったメンズとウィメンズが一つのカテゴリーに収まったことはとても大きいですし、ジェンダーに関わらず、カテゴリーフリー化、ジャンルフリー化はこれからもっと進むのではないかと思っています。
鴨志田:女性のためのフロア、男性のためのフロアというジェンダー的な考え方ではなく、純粋にムードを重視した空間演出になっているのも特徴です。
小木:B1から3Fまで全フロアを見て回っていただいて面白いストア構成になっていると思います。また各所にあるアートピースにも注目してほしいですね。それがあることで、その空間にちょっとした違和感が生まれたりしている。
鴨志田:気持ちいいだけの空間では飽きてしまいますから。そこにアート的なノイズが入ることで、よりツイストの効いた空間になっていると思います。
小木:<ユナイテットアローズ 原宿本店>はファッションとしての確かな提案性がある場所にしたいと思っています。いかに濃く、新しい提案ができるか。
鴨志田:もっとパーソナルであり、コアであり、レアである。新しい価値をここから創造していければと思っています。
25年前、そこにはユナイテッドアローズのはじめの一歩があり、そしてすべてがありました。一度はメンズとウィメンズと分かれましたが、またこの場所でひとつになった。より密度の高い、内容の濃いユナイテッドアローズとして。それは進化であり、次なる新しいスタートを切るための回帰でもあります。時代とシンクロし新たな時代を創造する<ユナイテッドアローズ 原宿本店>に、ご期待ください。