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日本初上陸の韓国ブランド「s/e/o」と「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ」がコラボレーション

モノ

2024.08.02

日本初上陸の韓国ブランド「s/e/o」と「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ」がコラボレーション

個性を際立たせ、着る人のスタイルを表現してくれる韓国のブランド〈s/e/o(エスイーオー)〉が日本初上陸。そして〈BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS(ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ)〉とコラボレーションを果たします。ブランド創設者であり、デザイナー兼ディレクターを務めるのはCho Seohyunさん。ソウルにある自宅へ伺い、韓国のファッションについてや〈s/e/o〉のコンセプト、今回のコラボレーションに至った経緯や今後の展望について聞きました。

Photo:Mio Matsuzawa、Takeshi Wakabayashi
Interpret:Aiko Futamata
Edit & Text:Shoko Matsumoto

世界中から注目を集める韓国のファッション

—韓国では今どんなファッションが人気ですか?

「自分を着飾るためのファッションが好きで、いろんな情報をキャッチして自分なりに落とし込んでいく人たちが増えてきました。それぞれに似合うファッションを取り入れていくというところがあるので、“これが人気”とは断言しにくいですが、今、驚いていることとしては、2〜3年前までは海外でしか買えなかったようなブランドが、韓国に対して関心を持っていて、韓国に続々と店をオープンしている状態です」

—韓国のファッションが発展した理由はどこにあると思いますか。

「東大門などもそうですが、工場や昔ながらの卸問屋が発展していて、小さい規模からブランドを始められる環境があります。インフルエンサーでも簡単に始めることができて、どんどん新しいブランドも誕生しています。」

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—韓国と日本のファッション違いを感じていたら教えてください。

「日本のマーケット市場についてまで詳しく語ることはできませんが、昔からすごく感じているのは、日本はトレンドよりも、あるスタイルを長くキープしているということ。多様なスタイルを楽しむ人が多い印象です。たとえばアメカジやストリート、レースのあるフェミニンなルック、コミックなど。それぞれが着たいものを着て、それぞれが発展しています。文化的に深く根付いていると感じるんですよね。逆に韓国は、トレンドに反応しやすく、流行の入れ変わりが激しい。日韓ではトレンドに対する反応が違うなと感じます」

—韓国は流行のスピードがとても早いと感じます。そのなかでも〈s/e/o〉が長くブランドを続けていられる理由は何だと思いますか。

「ひとりだけの会社ではないので、商品を売っていくという意味では、やりたいことすべてができるわけではありません。ブランドとして、自分なりの競争力やイベント力をつけていかないといけないと常に感じています。ブランド創設から7年の間に、〈s/e/o〉を求めてくださる方がどんどん増えました。今回の〈ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ〉のように、コラボレーションの話をいただいたり、新しいことには絶えず挑戦しているので、それが続けられている理由だと思います」

着る人の個性を際立たせるブランド〈s/e/o〉

—あらためて〈s/e/o〉のコンセプトを教えてください。

「ベーシックを基本にしながらも、少し大胆なカッティングやおもしろいシルエット、常識では掛け合わせないような素材を組み合わせたりして、新しい洋服を作ることをメインにしています」
〈s/e/o〉のなかでも、パンツは特に人気のアイテム。(左)「“US”のロゴを斜めにデザイン。夏に軽くて楽に身につけられるようナイロン素材で制作。夏らしいカラフルなレッドも特徴。裾にはドローコードで絞ることができます」(右)「シーズンごとに発表して人気が高いのがカーゴパンツ。今回はカモフラージュパターンにして、履いた時のシルエットやカーゴ自体の形、フィット感にこだわっています」 〈s/e/o〉のなかでも、パンツは特に人気のアイテム。(左)「“US”のロゴを斜めにデザイン。夏に軽くて楽に身につけられるようナイロン素材で制作。夏らしいカラフルなレッドも特徴。裾にはドローコードで絞ることができます」(右)「シーズンごとに発表して人気が高いのがカーゴパンツ。今回はカモフラージュパターンにして、履いた時のシルエットやカーゴ自体の形、フィット感にこだわっています」
着るだけでレイヤードが完成するシャツ。「中は少し短めの着丈になっていて、一枚でもファッショナブルに着こなせます。一見普通のシャツなんだけれど、さりげないディテールを施しブランドのアイデンティティをよく表すアイテムになったと思っています」 着るだけでレイヤードが完成するシャツ。「中は少し短めの着丈になっていて、一枚でもファッショナブルに着こなせます。一見普通のシャツなんだけれど、さりげないディテールを施しブランドのアイデンティティをよく表すアイテムになったと思っています」
「一見シンプルなワンピースですが、斜めに入ったライン、裾に施したレース、大胆なカットが目を惹くバックスタイルなど、ヘルシーでセクシーなこだわりの一着に仕上がりました」 「一見シンプルなワンピースですが、斜めに入ったライン、裾に施したレース、大胆なカットが目を惹くバックスタイルなど、ヘルシーでセクシーなこだわりの一着に仕上がりました」
2年前にリリースし好評だった“US”シリーズを2024年SSにコレクションとして発表。「“私たち”という意味を込めて。コーディネートのアクセントになるキャップです」 2年前にリリースし好評だった“US”シリーズを2024年SSにコレクションとして発表。「“私たち”という意味を込めて。コーディネートのアクセントになるキャップです」
—ルックを撮る時に意識していることはありますか。

「一番重要視しているのはスタイリングです。今はオフラインストアがないので、なるべく多くの方に多様性を見せられるよう工夫しています。色やトーン、自分たちの商品に合うモデルのムードをシーズンごとに決め、写真の撮り方も、照明やスタジオなど写真家と相談しながら詰めて作品作りをしています」
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—新しいものを生み出す時に、インスピレーションはどこから得ていますか。

「関心を得るのは、日常にある本当に些細なことです。たとえばソウルの小さな小道で見たものや、コメディに関わらずユーモアのあるものに惹かれます。元々はいろんなことを経験しながら、自分のものにしようとしていました。今はあまりにも情報過多で、逆にそことは距離を置いて、どちらかと言えば自然なものに興味があり惹かれています。たとえばこの業界にいると、まったく新しいものを見つけるということはなかなか難しいけれど、ただ自然については、いつどんな時に見ても美しさを感じます。なので最近は自然のほうにフォーカスをあてて、インスピレーションを得ています」

—休日は何をされていますか。

「今回、自宅にみなさんを招いた理由でもあるのですが、パーソナルなことをお話するためには、自分にとって楽な場所であり、多くの時間を過ごす場所がいいと思いました。休みの日も含め、大部分の時間を家で過ごしているんです。特に、ゆっくり座りながら、花を愛でたりお気に入りの花器を触ったりするのが好き。休みを取る時は“よし、休むぞ”と決めて、しっかり休む時間を取らないといけないタイプ。雑貨を集めることも趣味で、好きなものを眺めています」

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—素敵なものがたくさんありますが、どういう基準で選んでいますか。

「基準は特にないのですが、自分のなかで“かわいいな”と感性が響いたものをピックアップするようにしています。家具は逆にモダンなものが多いので、そのなかにかわいいものや面白いものをミックスしながら、普通には見えないように、個性的な組み合わせでレイアウトしています」

—ご自宅のインテリアも、〈s/e/o〉のアイテムも、意外な組み合わせが印象的です。クリエイティブと普段の生活も近い感覚なのでしょうか。

「インテリアも洋服もそうですが、何かポイントになるもの、普通には見えないような、少し個性を感じられるような組み合わせを考えたいといつも思っています。同じジャケットを着るにしても少し崩したり、インテリアもシンプルななかに面白いポイントを置いたり、色を足してカラフルにしたり。共にユーモアを大事にしています」

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〈s/e/o〉と〈ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ〉のタッグ

—今回〈ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ〉とコラボレーションすることになった経緯を教えてください。

「〈ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ〉のバイヤーさんが私のインスタを見てくださっていて、韓国に来られた際に、オフィスに商品を見にきていただきました。わたし自身〈ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ〉は関心が高いブランドだったので、商談していく中で自然に決まりました。〈エイチ ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ〉が日本で一番好きなショップです。行くたびにいつも買い物をします」

—コラボレーションでこだわったところを教えてください。

「今回に限らずではありますが、〈s/e/o〉の洋服を作る時に、同じシルエットでもおもしろさのある素材を組み合わせることで新しさを出したいと考えています。今回のチューブトップに関しても、通常はウーブン素材をメインに使いますが、ダイマル素材を採用しました。デニム素材も加工にこだわり、素材感で私たちらしさを表現しました。カットソーも、スタンダードながら目を惹くロゴがポイントです」

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—今回、日本初上陸となるわけですが、どんな方たちに届いてほしいですか。

「世界に色々なものがあるなかで、何を見て感じ選択するのかは個人の自由だけれど、流されることなく自分を持っている人。自分たちのアイデンティティ、自分だけのカラーや個性を持っている方に手に取ってもらえたらうれしいですね。ブランド自体も、着る方法はすごくたくさんあって、“この人がこういう風に着ていたからこうだ”というような正解はありません。自分の好きなように着てほしい。日本の方はそういう方が多いと思っているので、多くの方に届いたらうれしいです」

—今後〈s/e/o〉をどんなブランドにしていきたいですか。

「もともとは私が着たい服を表現するために始めました。ただ、環境に流されずに続けていくことはすごく難しいということも実感しています。けれど、今またあえて自分が着たいものを作ることがブランドのアイデンティティになっていくんじゃないかと思っているので、それはブレずに続けてきたいと思っています。同僚もいい仲間に巡り合え、みんなと同じ方向を向きながら目標に向かっていっている。その姿をたくさんの方に知ってもらえたらいいなと思います」

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—個人的な展望はありますか。

「自然にすごく興味があるので、緑が豊かなところで暮らしたいなと思っています。また来年には〈s/e/o〉のオフラインショップをオープンさせたいと思っているので、それが実現できたらさらに自分自身も成長できるのではないかと思っています」

—最後に、日本のファッション好きの方にメッセージをお願いします。

「今、ソウルより面白い場所はないんじゃないかと思っています。ソウルほど、一度にたくさんのことを経験できる都市はなかなかない。ファッションなら狎鴎亭や聖水でおこなわれているポップアップをたくさん覗いてみることをおすすめします。ソウルはシティだけれど、景福宮のような伝統的な建物が混在しているので、街としてもおもしろいですよ。また今回のコラボレーションは時間をかけて準備してきたので、たくさん期待してください。みなさんに楽しんでもらえたらうれしいです」

PROFILE

Cho Seohyun(チョ・ソヒョン)

Cho Seohyun(チョ・ソヒョン)

〈s/e/o(エスイーオー)〉デザイナー兼ディレクター。ファッション会社に勤務後、ネットショッピングモールを経営。2017年に〈s/e/o(エスイーオー)〉設立。ブランド名は自身のミドルネームに由来する。流行にとらわれないデザインで、自然なスタイルや個性を自分らしく表現する人々から支持を得ている。

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