ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

モノ

2022.01.14 FRI.

長く愛されるモノづくりを…、高山 都さんの“洋服との向き合い方”。

書籍の出版やラジオのパーソナリティーなど、さまざまなメディアでライフスタイルの発信を続けてきたモデル・俳優の高山 都さん。ファッションにおいても、次々と発表されるコラボレーションアイテムが毎シーズン話題をさらっています。そんな高山さんが作り手だからこそ気に掛けている“物を長く愛するために工夫していること” や、“洋服や物との向き合い方”。また、彼女が長年タッグを組んでモノづくりをしてきた〈オブレクト〉、そして〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング〉とのトリプルコラボレーションについてもお話を聞きました。

Photo: Nobuki Kawaharazaki
Hair & Make-up: Momiji Saito(eek)
Text: Mayu Sakazaki

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物を愛すること、循環させること。

─高山さんは、洋服や器選びのセンスにもファンが多いですよね。普段の生活の中で、洋服や物を長く愛用するために意識していることはありますか?

高山:それぞれの物差しがあると思うんですが、なにかを作るお仕事をしている以上、「物を買わずにミニマムに」っていうこともなかなかできないんです。でも、だからこそ買った物を長く大切にすることや、買い方や選び方の意識を高めることは、すごく重要だと思っています。

たとえば、流行や安さに振りまわされずに、飽きずに使える品質のいい物や、愛着を持てる物を選ぶこと。ずっと憧れていたけど買えなかったアイテムを少しずつ集めるのもいいですよね。最近シューズを新調したのですが、なにかを新たに手に入れたときは、古い物を誰かに譲ったり、フリマをやったりして“捨てずに循環させる”ことも意識しています。自分には必要なくなった物も、誰かが必要としているかもしれない。そういう循環を大切にしていけたらと思っています。

普段の生活でも、“地球のためにエコバッグやタンブラーを持ち歩こう!”と変に力むのではなくて、お気に入りのアイテムを気負わずに持ち歩くのがこだわりです。小さなことでも、自分ができる部分から意識を高めていくことが必ずなにかに繋がると思っています。

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高山さんの私物のタンブラーとエコバッグ。

─上質なアイテムを買って定期的にケアをしたり、手を掛ける時間も楽しいですよね。

高山:“物と真摯に向き合う”という感覚ですよね。大切に眺めているだけじゃなく、出し惜しみせず自分の生活の“仲間の一員”としてたくさん使ってあげることも、洋服を愛でるということなのかなと思います。一枚のワンピースを新調するにしても、「自分だったらこうやってレイヤードして着たい」「手持ちの洋服に合わせてこう着たい」というイメージを買う時点で膨らませておけば長く着られるんですよね。もちろんスタイリングだけじゃなくて、ホームクリーニングが可能か、お手入れは複雑じゃないかなど、しっかり確認しています。どんなに気に入っている洋服でも、毎回クリーニングに出さなくてはならないものだと着なくなってしまうと思うので、“自分が扱いきれる洋服かどうか”を見極めることが大切ですね。

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ブランドの魅力を引き出しつつ、新しい挑戦を。

─今回の〈オブレクト〉と〈グリーンレーベル リラクシング〉とのトリプルコラボレーションについてお伺いしたいのですが、最初にどんなことを考えましたか?

高山:やっぱり両者の得意なところ、魅力的なところがそれぞれ違うので、そこにわたしが好きなテイストをどう混ぜていくかということをまず考えました。いちばん気持ちよく、どのブランドのお客さまにも手に取ってもらえるシルエットや丈感、デザインなど…そういった細かい部分を擦り合わせていく作業に時間を掛けました。

─それぞれのブランドと高山さん自身に共通しているのは、「上質であること」「リラックス感」「ベーシック」など、生活の中で長く愛せるような感覚ですよね。

高山:そうですね。そこに、わたしが好きなヴィンテージの洋服のエッセンスや、ブランドにとってチャレンジになる新しいアプローチを入れていくようなイメージで制作しました。たとえば丈感をぐっと長くしたり、ギャザーやタックを多めに入れてみたり。それぞれのブランドの魅力を引き出しつつ、いままでと違う新しさを出せたらいいなと思ったんです。

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─高山さんは、これまでにもたくさんのコラボレーションを手掛けています。自分だけじゃなく、誰かと一緒にモノづくりをすることの魅力ってどういう部分でしょうか?

高山:誰かと一緒にモノづくりをすることはやはり勇気がいりますよね。挑戦すればもちろん失敗するリスクだってある。でも、自分だけではできないこともあるし、ブランドさんだけでもできないこともあるので、一緒に冒険できることが楽しいのかなと思います。いくつものエッセンスが混じることで、もしかしたら2倍にも3倍にも魅力的なアイテムができるかもしれない。そういう夢を見させてくれるのが最高ですよね。

窮屈な言い方になってしまうけれど、なにかしらの“制約”があるっていう側面もまた面白いのかもしれないですね。「冷蔵庫の中にある物でなにを作ろう?」って考えているときみたいに制約があるからこそ工夫できるし、楽しめるような気がします。お互いどこまで調整できるかをディスカッションしながらクリアしていく作業もわたしは大好きです。

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ワンピースの背面にはこだわりのタックデザイン入り。


自分らしい着方で、パズルのように楽しめる服。

ーアイテムについて具体的にお伺いしたいのですが、ワンピースとカーディガン、それぞれにこだわった点はありますか?

高山:このワンピースは、レイヤードで印象が変えられるように首元の部分だけボタンではなくホックを付けてもらっているんです。ホックを外して、夏はTシャツ、冬は厚手のタートルなどを重ねてインナーを見せることで、一年を通して長く楽しめる服になってほしいなと。背面にはタックを入れて遊びを持たせることで、ゆとりある着心地に仕上げつつ、小柄な方にも合うようにSサイズも作りました。

ーちょうどいい丈感って、意外となかったりしますよね。

高山:そうですね。たとえば背が高い方が、あえて丈が短めの小さなサイズを選んでパンツをレイヤードしてもいいし、逆に小柄な方が長い丈を選んでヒールを合わせて着てもいい。そうやって、着る人がそれぞれの“丈の正解”を自由に選んでくれたら嬉しいですね。ルックでもいろいろなレイヤードを提案しているので、自分らしいアレンジを楽しんでみてほしいです。

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─カーディガンはいかがですか?

高山:カーディガンは、〈オブレクト〉さんらしいオーガニックコットンを使いながら、〈グリーンレーベル リラクシング〉さんにとっては珍しい編地でロング丈にしてもらいました。長めの丈なら少し肌寒い日にもいいですし、ストンと落ちる縦長のラインを作れるので、小柄な方でもスタイルアップできます。ワンピースとコーディネートするのもおすすめです。

デザインとしては、袖のたっぷりしたシルエットやリブの長さがアクセントになっています。春は軽めのアウターのような感覚で羽織ったり、肌寒い日はインナーとして着込んでもいいし、パズルみたいに楽しんでもらえる一枚。ニットはどうしても着ているうちに伸びてきてしまうので、伸びる前提でポケット位置を調節しているのもポイントですね。

─同じ生地のヘアバンドも作られたんですね。

高山:わたし自身、部屋でよくヘアバンドを付けているんですが、スタイリングが面倒なときにすごく便利で(笑)。いままでヘアバンドは髪が長い方のためのアイテムというイメージがあったのですが、これくらい幅を広くしてあげるとショートやボブの方でも使いやすいんです。パジャマの上にロングカーディガンを羽織って、ヘアバンドを合わせても可愛いですよ。

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カーディガンと同素材のヘアバンドは、半分に折って幅の広さを調節できる。

─ワンピースもカーディガンも、着る人に委ねる自由さがあるのが魅力的です。

高山:そうですね。 わたしはどんな物も、使い方は自由だって思っているんです。自分が気持ちよく楽しんで使うのが大切だから、洋服にも小物にも正解はなくて、好きなようにアレンジしていいんじゃないかなって。「正しい着方」を探すよりも、「わたしはこうやって着る」っていう自分にとってベストなバランスを見つけられる人の方がおしゃれだし、それを考える過程も楽しいんですよね。

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身のまわりにある物たちが、わたしを整えてくれる。

─今後、洋服づくりで挑戦してみたいことはありますか?

高山:進行中のことでいうと、いろいろなタイプのパジャマを作りたいなと思っています。もともとルームウェアがすごく好きで、寝るときも素敵な物を身につけていたいっていう想いが強いんです。だから、オーガニックコットンのユニセックスなパジャマやネグリジェ、寝具にも興味があって。たとえばカップ付きのヴィンテージドレスみたいなネグリジェだったら普段着でワンピースとしても着れるかなとか、いろいろと妄想を膨らませてワクワクしています(笑)。

─家にいる時間が増えたことで、部屋で使うアイテムへの注目も高まっていますね。

高山:そうですね。誰に見せるわけじゃなくても、心地いいパジャマとか、素敵なデザインのアイテムが身のまわりにあるとモチベーションが変わってくる気がします。家でもいい物を着ようと思うと、自然と部屋を掃除したくなったり、ベッドルームも綺麗にしておきたくなる。身につけるアイテムは自分自身にいちばん影響を与えるとわたしは思っていて、だからこそ洋服が好きなんですよね。これからも、そうやって洋服との関わりを楽しんで生きていきたいなと思っています。

INFORMATION

oblekt(オブレクト)
 「人と環境にやさしいモノづくり」をテーマにサスティナブル素材を贅沢に使い、環境に配慮したコレクションを展開。2020年より、モデル・女優として活躍する高山 都さんをアンバサダーに、コラボレーションアイテムの製作を行っている。
https://oblekt.jp/

PROFILE

高山 都(たかやま みやこ)

1982 年生まれ。モデル、女優、ラジオパーソナリティーなど幅広く活動。趣味は料理とマラソン。
「#みやれゴハン」として料理やうつわなどを紹介するインスタグラムが人気。 趣味のマラソンでは、横浜マラソン2016を3時間41分で完走の記録を持っている。
著書『高山都の美食姿』(双葉社刊)シリーズ1〜4も好評発売中。

JP

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