ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

お客様の生活を豊かにするために。「TABAYAホールディングス」が描く、次のステージ。

ウツワ

2026.10.01

お客様の生活を豊かにするために。「TABAYAホールディングス」が描く、次のステージ。

2026年10月より「TABAYAホールディングス」という名でホールディング化し、新たなスタートを切る同社。ファッション企業から"高感度・高付加価値ライフスタイルグループ"へと進化することを掲げています。本企画では、TABAYAホールディングス 代表取締役社長 グループCEO 松崎善則氏にインタビュー。「TABAYAホールディングス」という新しい社名に込めた想い、好調だった今期の業績をどのように捉えているのか、新たに迎えたブランドやM&Aへの考え方、アパレルの枠を超えた新規事業への挑戦などについて伺いました。

Photo:Kousuke Matsuki
Text:Shoko Matsumoto

〈TABAYAホールディングス〉への新体制へ。

ー10月からホールディングス体制へ移行されます。まず、今回この体制に変更することにした理由を教えてください。

「創業以来ずっと、“ライフスタイルを提供していく”という大きなビジョンがありました。ただ、これまではアパレルを中心に事業を展開してきており、今期から新中期計画が始まるタイミングで、既存事業が安定的に成長できている強みを基盤に、お客様にアパレル以外の価値も提供し、より高い付加価値をお届けしていく必要がある。そのためには、〈ユナイテッドアローズ(以下、UA)〉というアパレル企業としての認知を生かしながら事業を広げていくというより、別のネーミングのもとで、より多角的に事業を展開していくほうがいいのではないかと考えました。それが、ホールディングス体制へ移行する大きな理由です。これまでも〈UA〉の事業のなかで、コスメや食器、スポーツウェアなど、ファッションアパレル以外の領域が広がってきていました。それは、お客様の潜在的なニーズを捉えながら商品やサービスを広げてきた結果でもあります。そこに可能性があるなら、もっと鮮明にしていったほうがいいと判断しました」

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ーそこで新たに掲げるのが「TABAYAホールディングス」という社名ですね。この名前にはどのような思いが込められているのでしょうか。

「ネーミングを決めるのは、ブランドでも会社でも本当に難しいですよね。今回も、〈UA〉というイメージをより生かしていくのか、それとも、〈UA〉という枠にとらわれずに広げていくのか、大きく二つの方向性がありました。そのなかで後者を選んだのは、これまでとは異なる事業展開を加速させるなら、〈UA〉ではないネーミングにしたほうがいいだろうと。ただ、まったく縁もゆかりもない造語では、社内外で認知してもらうのも難しい。そこで、社内でも馴染みのある“TABAYA(タバヤ)”に着想を得ました。〈ユナイテッドアローズ〉を日本語にすると“束ねた矢”です。そこから“TABAYA”という名前を考えました。日本企業、日本ブランドとして世界に展開していくうえでも、日本語由来の名前にはフィット感がありましたし、〈UA〉という言葉の意味からも離れていない。一方で、〈UA〉に固執しすぎることなく、これまで培ってきたものを残しながら、その先へ拡張していける。そういうイメージが持てましたので、〈TABAYAホールディングス〉という社名にしました」
ー原宿の〈TABAYA United Arrows〉ともつながっていくわけですね。

画像 2025年4月にOPENしたTABAYA United Arrows

「そうですね。もともとのユナイテッドアローズ 原宿本店を〈TABAYA United Arrows〉にしたのも、アパレルだけではなく、飲食なども含めて、お客様にさまざまな価値を伝えていくお店にしたいという思いがあったからです。ですから、意味合いとしては今回と同じです。これからは、〈TABAYAホールディングス〉を象徴するようなお店として、よりブラッシュアップしていきたいと思っています」

目指すのは高感度かつ高付加価値なライフスタイルの提供。

―ホールディングス化によって、会社として目指す未来も大きく変わっていきそうですね。

「今回のホールディングス化の大きな理由でもありますが、これから目指しているのは、高感度かつ高付加価値なライフスタイルを提供するグループになることです。これまでは、“〈UA〉らしさ”にこだわるあまり、事業を拡張しきれないところがありました。これからは、“高感度かつ高付加価値である”という軸があれば、もっと自由にライフスタイルの領域を広げていける。そういう体制が取りやすくなると思っています。“アパレル会社だよね”ではなく、“高感度なことをいろいろやっている会社” “事業を多角化して、いろいろな価値を提供している会社”と見ていただけるようになることが、望ましい未来です」
―その“高感度・高付加価値”という考え方について、もう少し具体的に教えていただけますか。

「流行っているからやる、ということではないと思っています。たとえばM&Aや投資を考えるときにも、単に今人気があるというだけではなく、きちんと技術があったり、ブランドとしてのフィロソフィーがあったりすることが大事です。一時的な流行ですぐに廃れてしまうものではなく、きちんと本質的な価値を持っている“本物”であること。そこは、これからも大切にしていきたいですね」
―近年では、〈TALMA(テルマ)〉、〈Bijou de M(ビジュードエム)〉といった新しいブランドも参画されています。なぜ、この二つのブランドだったのでしょうか。
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「〈TALMA〉と〈Bijou de M〉は、ホールディングス化を決める前に、〈UA〉として事業拡大を考えるなかでM&Aをさせてもらったブランドです。どちらも日本発のブランドであることが大きな共通点です。〈TALMA〉はデザイナーズブランドなので、私たちが自分たちで生み出してきたオリジナルブランドとはまた違う可能性があります。まだ認知度はこれからですが、ものづくりに非常に長けていますし、日本のアパレルらしい技術を用いている。これからグローバルに向けていくうえでも、非常に可能性のあるブランドだと思っています。〈Bijou de M〉はアクセサリーブランドですが、こちらも日本のデザイナーズブランドです。現在は日本国内での展開が中心なので、日本のアクセサリーブランドが世界に出ていく可能性を感じています。両者に共通しているのは、高感度で高付加価値であること。そこは今後もブレずに、M&Aや共同出資などを検討していきたいと思っています」

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―今後もM&Aやブランドへの投資は積極的に進めていく方針ですか?

「積極的に検討していきたいです。M&Aや投資をするうえで大きな条件になるのは、やはり先述のように“本物であること”だと思っています。きちんと技術があり、ブランドのフィロソフィーがあり、本質的な価値を持っているブランドや会社とご一緒していきたいですね」
―ファッション領域にとどまらず、新たな事業にも挑戦されています。今後、特に可能性を感じている分野はありますか?

「これまで展開してきた〈TALMA〉や〈Bijou de M〉、あるいはシューズクリーニング、シューシャインの〈Brift H(ブリフトアッシュ)〉などは、ファッションから派生した領域です。それに加え、これからホールディングスとして挑戦していきたいのは、より明確な異業種です。そのなかでも、特に食の領域には可能性を感じています。もちろん、私たちはこれまで食を本格的にやったことがないので、自分たちで展開するハードルが高いことは承知しています。でも、何事も挑戦しなければ前に進みません。衣類もそうですが、まず人は食べずには生きていけない。人が暮らしていく、そして豊かな気持ちで暮らしていくことを考えたときに、高感度・高付加価値な『食』というのは、私たちにとっても欠かせない領域だと思っています。〈TABAYA United Arrows〉でもカフェ機能を自主運営していますが、ビジネスとして成立させるため収支をきちんと考えながら、原宿の取り組みも含めて、これからよりブラッシュアップしていく必要があると思っています」

一番の強みは〈真心と美意識〉というホスピタリティ。

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―「ライフスタイルグループ」を目指すなかで、これからお客様に提供していきたい価値とは何でしょうか。

「私たちがこれまで培ってきた一番大事な強みは、やはりホスピタリティだと思っています。〈真心と美意識〉という理念がありますが、そこが私たちの一番の強みであり、競争優位性につながる価値だと思うんです。AIやデジタルがどんどん進歩していけばいくほど、そのカウンターとして、人の真心や美意識がより重要になってくると思っています。今まではアパレルを通してお客様の生活を豊かにするお手伝いをしてきましたが、これからはさまざまな接点を持ちたい。ホールディングス化する理由を一言で言えば、結局は理念を実現するためなんです」
―松崎さんが2021年に社長に就任されてから、5年が経ちました。これまでを振り返って、ご自身の考え方や経営に対する姿勢に変化はありましたか?

「就任したのがコロナ明けの少し前だったので、最初の1年半から2年くらいは、会社としてかなり大きな痛手を負っていました。店舗をクローズしなければならなかったり、出社もままならなかったり。まずはどうやって業容を安定させ、収益を改善していくかということに、かなり悩み、翻弄されていたと思います。その後の中期3カ年では、“ここからさらに成長させる”“コロナ前以上に成長する”ということで、もう一度既存事業を強くすることに注力しました。その結果、社員のみんなの頑張りによって、過去3年間で業績はかなり右肩上がりになりましたし、既存事業は非常に強くなったと評価しています。そして、今年から始まった新しい中期計画では、その先に進むタイミングに入ったと考えています。より可能性を見出していくためには、事業を多角化すること、そしてグローバルに向けていくことが必要です。今回は、ホールディングス化を軸に、異業種への挑戦と海外への挑戦を進めていく、大きな変化の3年間だと思っています」
―海外については、具体的にはどのような展開を考えていますか?

画像 ユナイテッドアローズ 上海静安嘉里中心店

「まずは、日本で培ってきた〈UA〉というブランドを海外でもっと認知していただき、お客様を増やしていくことです。その方法として、〈TALMA〉や〈Bijou de M〉のように、私たちとは異なる強みを持っているブランドを組み合わせていくことも考えています。これからスタートする食の分野もそうかもしれません。そうしたコンテンツを持って海外に向けていくことが、まずはこの3カ年で考えていることです。もちろん、タイミングやチャンスがあれば、海外ブランドのM&Aも考えていきたい。ただ、それよりもまずは、自分たちが外に出ていくことをスタートとして考えています」

変わらない「真心と美意識」を、新しい時代へ。

―その先に、TABAYAホールディングスとして残していきたいもの、実現したい未来について教えてください。

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「本当に、今までお話ししてきたことの繰り返しになってしまうんですが、“真心と美意識”に尽きると思っています。東京オリンピックのときに“おもてなし”という言葉が注目されましたが、まさにそういうことだと思うんです。外国から見た日本の良さもそうですし、今、中国で店舗を展開していて、現地のお客様から評価していただいているのも、接客姿勢やホスピタリティだったりする。創業以来ずっと培ってきた、“お客様にとってどうか”という真心。そして、より品格を伴った美意識。ここでいう品格は、価格が高いとか安いとかではなく、より良い活動をして、世の中の役に立つということです。それを真心と美意識を持って提供していきたい。それは、これからも変わらないと思います。我が社の社員のメンバーは、本当に優秀なんですよ。みんな素直で真摯に取り組んでくれる。それは、理念がきちんとしているからだと思います。あまりブレないんですよね。それがこれまでの強さであり、一方で、弱点でもあったと思います。理念やUAらしさへの思いが強いからこそ、自分たちの殻を破りきれないところがありました。みんなが同じように画一化されてしまうと、組織としては強くなる一方で、事業を広げていくことは難しくなる。だからこそ、これからは次世代の感性ももっと活かしていきたいと思っています。多様な人材の力を活かしていくことは、これから事業を拡大していくうえで非常に重要です。これまで大切にしてきたものは変えない。でも、その価値観を守ることと、そこから先へ広げていくことは両立できるはずです。〈TABAYAホールディングス〉として、お客様の生活にさまざまな形で触れながら、豊かにするお手伝いをしていく。そのための新しいスタートだと思っています。

INFORMATION

PROFILE

松崎 善則

松崎 善則

株式会社TABAYAホールディングス
代表取締役社長 グループCEO
兼
株式会社ユナイテッドアローズ
代表取締役 社長執行役員

1997年に〈ユナイテッドアローズ〉にアルバイトとして入社。ユナイテッドアローズ 渋谷店、横浜店で販売職を経て、販売部へ異動。その後UA本部 販売部 部長、BY本部 事業戦略部 部長、BY本部長、2012年執行役員、2018年取締役 常務執行役員、2020年取締役 副社長執行役員などを歴任し、2021年4月代表取締役 社長執行役員 CEOに就任。2026年10月よりTABAYAホールディングスの代表取締役社長 グループCEOにも就任。

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