ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

「服と生きる」ために、地球環境を学んで行動を起こす。 ユナイテッドアローズの新たなサステナビリティアクション。

ウツワ

2026.08.20

「服と生きる」ために、地球環境を学んで行動を起こす。 ユナイテッドアローズの新たなサステナビリティアクション。

ユナイテッドアローズ社(以下、UA社)が地球のため、社会のため、そして私たちが健やかな地球環境でファッションを愛し続けるため、独自に取り組んできたサステナビリティ活動、それが「SARROWS」です。2030年をゴールに設定し、意欲的に活動を続けてきた今、少しずつ結果が出て手応えを感じているのが現状。取り組み始めて5年目となる今年は、前中期の3年間を振り返って実態を把握し、指標を見直し、さらなる種を蒔く年となりました。これまでの進捗から新たに始めた具体的なアクションまで、サステナビリティ推進部の玉井 菜緒さんと振り返ります。

Photo:Yuco Nakamura
Text:Maho Honjo

サステナブルアクションと並行し、調整と見直しを図るシーズンに。

ー「SARROWS」が始まって5年目がスタートしました。これまでを振り返って、考えていることを教えてください。

2030年に達成すべき数値を定め、まずは手探りで進んだ前中期を経て、すでに目標に到達した項目もあり、しっかりと手応えを感じています。直線的にゴールを目指すことはできなくても、目標を定めて継続的に推し進めることで、ジグザグと揺らぐ期間もありながら、確実に前進ができるとわかってきました。

今必要なのは、結果が出ているものは目標達成や水準維持に向けてさらに精度を上げること。結果が十分に出ていないものは「なぜ出ていないのか」をしっかりと探ることです。また、取り組みそのものだけではなく、数値の算定方法や目標設定が適切かという視点も欠かせません。目標のために活動するのではなく、本質的な社会課題の解決につながっているかを見極めながら、より実効性の高い取り組みへと進化させていきたいと考えています。
ーでは、2025年の実績を見ながらお話を伺っていきます。「Circularity 循環するファッション」は、とても優秀な数値が出ていますね。

画像 <37期SARROWS実績>※繊維製品の廃棄率は小数第三位を四捨五入しています。

「繊維製品廃棄率」は0.00%となり、目標数値を達成しました。「商品廃棄率」も0.04%で、昨年に引き続いて継続達成した形です。特に「繊維製品廃棄率」の0.00%という数値は、繊維リサイクルのパートナー企業を見直したほか、繊維でできたバッグやキャップなどの金属やプラスチック部分を一つひとつハサミで取り除くなど、ていねいな作業を追加。見分けと仕分けを手作業で徹底的に行ったことで、効果が出ました。

一方、「環境配慮商品の構成比」は前年に比べて良化したものの、2030年の目標にはまだ及ばない数値です。さまざまな要因がありますが、環境配慮型商品の広がりが当初想定したペースには至っていないことも加味して、算定方法を品番数量から生産数量ベースに切り替えることも検討中です。それと並行して、副資材の共通利用など、今後に向けて具体的なアプローチを始めていきます。

実効性を高めるため、具体的にできるアプローチとは。

ーでは、「Carbon Neutrality カーボンニュートラルな世界へ」はいかがでしょうか。

「CO2削減 スコープ1.2」は、昨年度に目標数値を超える−32.5%を達成し、今期は−40.0%にまで到達しました。これはUAの出店先となる複数の商業施設が、再生可能エネルギーの導入が促進されたことが反映されている形です。出店による事業拡大においては、その商業施設様での再エネ導入状況が影響するので、今後もしっかり注視していきます。これは「再エネ拠点割合」にも連動して言えることです。

一方で、最も苦戦しているのが「スコープ3」です。UA社の事業活動に関連する他社のCO2排出を指しますが、サプライチェーン全体に関わるので、事業が成長し、商品の販売数が増えれば、それに伴ってCO2排出量も増える傾向にあります。そのため、多く企業が削減方法を模索しています。UA社でもより実態に近い形で排出量を把握し、効果的な削減につなげるため、算定方法の見直しを進めることにしました。複雑で膨大なデータを扱う必要があるため、AIも活用しながらより精度の高い分析に挑戦していきます。その上で、本当に効果のある削減策につなげていきたいと考えています。

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ー続いて、「Humanity 健やかに働く、暮らす」について教えてください。

取引先様の働く環境や人権を守る「行動規範同意書の取得率」は順調に数値を伸ばしていて、来期には2030年の目標達成を目指す予定です。あわせて、UA社では縫製工場様に対する工場監査を通じて、労働環境や人権への配慮状況を確認していますが、欧米のファッションブランドと取引のある工場様の中には、国際的な基準に基づく監査を受けているケースもあることが分かりました。監査を行うこと自体が目的ではありません。大切なのは、取引先様で働く方々の人権や労働環境が適切に守られていることです。UA社の求める基準を満たしていることが確認できる場合には監査の重複を減らしながら、より必要な場所に力を注ぐことで、実効性の高い取り組みにつなげていきたいと考えています。
「従業員エンゲージメントスコア(eNPS)」は前年に比べて3.4pt、「従業員意識調査 肯定的回答率」も同じく2.1pt良化しています。それぞれ波を描きながら緩やかに、かつ確実に目標数値に肉薄しているので、人事施策を実行して着実に進めていこうと考えています。

メンバーの主体的な参画を促すため、衣類回収ボックスを設置。

ー「SARROWS」の一環として、今年から本社オフィスとその1階にある「UNITED ARROWS LTD. STORE」の2か所に衣類回収ボックスを設置しています。その経緯を教えてください。

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今年で5年目となる「SARROWS」を振り返ったときに、この活動を推進していくのは私たちUA社で働くメンバーにほかならないということをあらためて実感しました。そこで、継続的な啓発活動が必要だと思いました。どんなものがふさわしいだろうと考えて、自らアクションを起こす機会となる、従業員用の衣類回収ボックスを設置することにしたのです。

今、官公庁によるサステナブルファッションの動きも活発化していて、例えば、経済産業省が「繊維製品における資源循環ロードマップ」を掲げていたり、環境省は「サステナブルファッションの推進に向けたアクションプラン」や「リユース等の促進に関するロードマップ」を策定したりしています。そのような動きも衣類回収というアクションに着目した理由のひとつです。「考えて行動する、行動して考える。」このサイクルが当たり前になるといいなと思いました。
ーボックスがクールなシルバーカラーというのも印象的です。実際に回収された衣類はどのように活用されるのでしょうか。

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このボックスは「まだ着られる服/リユース」か「もう着られない服/リサイクル」か、自分で選んで入れるようになっています。リユースであれば国内外のマーケットで再び誰かの手に渡ることになりますし、リサイクルであれば国内のリサイクル工場へ運ばれることに。「捨てるのではなく、まだ活躍してほしいのか、役目は終えたけど資源として生かしたいのかを、自ら選んで託す」というアクションにこそ、このボックスの意味があると考えています。

「SARROWS」を知ってもらうべく、新しいターゲットにもアプローチ。

ー今年の5月には「FASHION REVOLUTION JAPAN」による冊子『服と水』とパートナーシップを組むという取り組みがありました。

「FASHION REVOLUTION」とはファッション産業の透明性を高めていくグローバルキャンペーンで、その日本における活動を総括しているのが「FASHION REVOLUTION JAPAN」です。ファッション業界におけるサステナビリティへの取り組み、またその社会づくりを目的としたイベントやレポートの発行を行っていて、今年の5月に発刊したタブロイド誌が『服と水』でした。

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先ほど話したとおり、社内啓発の必要性を感じていたとき、この団体から協賛のお話があったのです。服づくりと水は密接な関係があるけれど、おそらくその認識を深めている人はそう多くはない。ならばこういう意志ある冊子の発信のお手伝いをすることで、社内でものづくりに携わるメンバーへのメッセージになるのと同時に、サステナブルファッションに関心を寄せている生活者の方々に「SARROWS」を知ってもらえると考えました。
ー実際にこのような取り組みを行なってみて、どんなことを感じましたか。

発刊イベントにも参加しましたが、規模は小さくても確実に思いが届いている感覚があって、しっかりとした手応えを感じました。

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心豊かな暮らしは、サステナブルな環境、社会、経済の土台があってこそ。

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ーでは最後に、5年目を迎えた「SARROWS」の今後の課題と展望を教えてください。

今、ビジネスシーンでサステナブルを語る際、キーワードになるのが「人的資本投資」という言葉です。人的資本投資とは、人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すこと。私は研修の場などで、「SARROWS」について話をする機会がありますが、そこでふたつのことを伝えるようにしています。

まずひとつが、UA社が経営理念に掲げている「お客様の心豊かな暮らし」は、サステナブルな環境、社会、経済の土台があってこそ成り立つものだということ。ふたつめが、UA社がお客様に提供する高付加価値とは、商品の「プロフィール」が整っていることが前提条件であること。商品の製造過程で環境的、社会的なリスクを抑え、ポジティブな影響をもたらすことは、これからの時代の真の心地よさや美しさにつながると伝えています。

サステナブルに向けたアクションは、種を蒔き、実態を分析し、調整を続けることでしっかり数値に反映されることがわかった今、5年目以降も粛々と活動を続けていきます。

PROFILE

1999年、株式会社ユナイテッドアローズに入社。情報システム部門にてコミュニケーションツールの企画・運用を担当後、2004年より同社の社会・環境活動の推進に従事する。高校時代、学校の特別講習で環境問題や社会問題に触れ、大きな衝撃を受けたことが原点。現職はサステナビリティ推進部 部長。

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