ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

「TO UNITED ARROWS」“1DAY POP UP”で体感する、ブランドの現在地と未来への想い。

ウツワ

2023.09.21

「TO UNITED ARROWS」“1DAY POP UP”で体感する、ブランドの現在地と未来への想い。

女性のアクティブウェアを手掛ける〈TO UNITED ARROWS(トゥー ユナイテッドアローズ)〉(以下〈TO〉)が、9月9日(土)に一日限りのイベント「1DAY POP UP」を東京・青山で開催しました。設立2周年を迎えたいま、ブランドコンセプトでもある“WELLNESS FOR US, WELLNESS FOR THE EARTH.”をテーマに掲げた本イベントで、なにを伝えようとしたのか。ディレクターを務める浅子 智美さんに、ブランドが目指すビジョンについて伺いました。

Photo:Yuco Nakamura
Text:Hisamoto Chikaraishi(S/T/D/Y)

ブランドの想いを楽しく繋ぐ場として、一日限定でイベントを開催。

「1DAY POP UP」は、ヨガインストラクターの資格を持つ浅子さんのヨガワークショップでスタート。『吸う・吐く・動かす』に集中する独自の『太陽礼拝+α』を実施しました。呼吸と身体をリンクさせ、意識を洗練させることを目的としながらも、いちばんの目的は『参加者の皆さんと楽しい時間を共有すること』と語る。ここに、本イベントの真の意図が詰まっています。

「まずブランドについてお話すると、ブランド名の頭についた〈TO〉とは『心と身体、環境と人といったさまざまなものを繋ぐ』、『目標へ向かい、到達する』という意味を持っています。また、コンセプトとして、“TO BE BETTER, TO BE MYSELF.”=「より良い世界へ向かい、ありのままの自分へ向かう。そして、“WELLNESS FOR US, WELLNESS FOR THE EARTH.”=『地球も私たちも健康に』を掲げています。

運動をする方の多くは、健康や美しさのためにいいことをしたい、自身の意識をより高めていきたいと考えていると思います。アクティビティを行うとき、自分らしいありのままの状態でいたり、ポジティブな気持ちでいることが大切で、そのためには身につけるウェアを含めたファッションが与える影響も大きいはず。

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〈TO〉では、『可愛い』『カッコいい』という感覚とともに、わたしたちを取り巻く環境に配慮したウェアを身につけ、自身と、そして環境と繋がったベターチョイスをすることで、『わたしらしくいること』の素晴らしさや楽しさを表現したいと思っています」。

今回の「1DAY POP UP」開催の目的として、ヨガというブランドにおけるひとつの大切な軸を据えながら、自分らしくより良い選択を考えるためのさまざまなきっかけを繋げたい想いがあったといいます。

「ウェルネスやベターチョイスを実践する、表現する方法に、わたしたちはアクティブウェアを選んでいますが、ヨガ以外の運動や食べ物など別のことでもできますよね。そんな、同じ想いを持っている方たちと一緒に、楽しみながら繋がっていく場を作りたいと考え、ポップアップイベントを企画したんです。

当日は、ヨガ講師の皆さんが行うワークショップとともに、ヴィーガンフードやヴィンテージウェアの販売、整骨院の施術、水の飲み比べなど、さまざまな出展者さまにイベントを彩っていただきました」。

いま、この瞬間を感じるヨガは自分を整える最高の時間。

一日を通して行われたヨガのワークショップは、多くの参加者によって賑わいを見せました。朝一番の浅子さんに始まり、〈TO〉アンバサダーの宮城 由香さんとChicoさん、そして野村 賢吾さん、佐久間 涼子さんといった豪華講師陣がプログラムをリード。

参加者は和やかなムードの中、お互いに交流しながらヨガを楽しんでいました。それはブランドが大切にしている「繋がり」が形になって見えた瞬間。その様子をしばしば伺いながら、嬉しそうな表情を浮かべる浅子さんに、ヨガが持つ魅力を聞いてみると──。

画像 新作のオールインワンを着てプログラムをリードする宮城 由香さん。動きやすく、ヨガ中も美しいシルエットをキープ。

「これまでいろいろなスポーツに取り組んできましたが、個人的にヨガは他のスポーツと決定的な違いがあると思うんです。球技もランニングも、やっているときに、『今日、あの仕事やらなきゃ』とかいろいろなこと考えてしまう。でも、ヨガをしているときは、教えのひとつである『Stay present and empty your mind.(いま、この瞬間に身を置いて、頭を空にする)』に準じているのか、マットの上で呼吸して身体を動かしていると、なにも考えない時間ができる。その結果、インプットの余白が生まれ、新しいことと繋がる準備が整います」。

人と地球のために一人ひとりができることを見つける「水会議」。

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ヨガワークショップの後は、衣食住に欠かせない“水と水環境”について知識を広げる〈クリンスイ〉水会議「水から未来を考える」を開催。ゲストに、ヴィンテージショップ〈DEPT company〉の代表であり、アクティビストのeriさん、浄水器メーカー〈クリンスイ〉の水博士こと溝原さんを招き、水資源の現状やファッションと水の関係などについて話しました。今回のトークショーを行うきっかけは今年3月に遡ります。

「〈クリンスイ〉と〈SPBS(SHIBUYA&PUBLISHING BOOKSELLERS)〉が開催し、eriさんとアーティストのコムアイさんが登壇した『クリンスイ水会議2023』で聞いた、水と水環境に関するお話に感銘を受けました。それ以来、〈TO〉に興味を持っている方にもぜひ知ってほしくて、わたしたちがイベントを開くなら、絶対に水会議を開きたいと考えていました。

今回はeriさん、水博士の溝原さんと一緒に、『世界で水道水が飲める国は日本をはじめ11カ国しかないこと』、『水道水を活用することでペットボトルのゴミを減らし、CO2削減に貢献できること』、また、『ファッションでいえば、素材を選ぶことで環境に配慮しながら、生産過程の水の使用量を削減できること』など、〈TO〉も共感する、自分と地球のことを考えるきっかけやヒントについてお話しました。来場者の皆さんには、明日からできるアクションを知ることで、気付きや発見を持って帰っていただけることを大切にしました」。

画像 〈クリンスイ〉のブースとトークショーでは、水道水と浄水の飲み比べ体験を実施。

「浄水はまろやかで、すごくおいしくて飲みやすいんです。体験した皆さんも、水道水と浄水ではぜんぜん味が違うと驚かれていました。また、ゼロ距離で飲める水道水を活用することで、市販ペットボトルの消費量、生産量を減らし、運送時に発生するCO2の削減にも貢献できます。飲料水として、水道水や浄水を選ばない理由がないですよね。そのきっかけになるよう、環境貢献活動をしている「mymizu」のアプリに登録し、給水スポットを会場に設置していただきました」。

目の前にある資源を循環させる意識を高める、衣類の回収スポットを併設。

画像 浅子さんが語る「明日からできるアクション」の形として、不要ウェアの回収スポットを設置。

「〈TO〉は地球にも人にもやさしいモノづくりを目指しており、環境負荷がより少ないオーガニックコットンや再生素材を使用するとともに、使用後のリサイクルも推進しています。普段から、不要になった〈TO〉のウェアを回収し、集められた服は回収からリサイクル、再生素材を使った洋服の販売を手掛けるブランド〈BRING™〉に納めています。服から服をつくる®〈BRING™〉の活動をこの機会に体験してほしいと考え、今回のイベントでも、回収窓口を設置しました」。

〈TO〉と同じ想いを持った多彩なジャンルの出店が実現。

ヨガワークショップ、トークショーと並び、〈TO〉の想いに賛同し、「1DAY POP UP」を華やかに彩ってくれた出展者の皆さん。ヴィ―ガンフードやヴィンテージウェア、シルクスクリーンに整体など、多岐にわたるジャンルが一堂に会した空間は、さまざまな笑顔で溢れていました。もちろんここにも、〈TO〉の「繋がる・繋げる」という気持ちが込められていました。

「やっぱり、同じ想いを持つ人たちと垣根を越えて集うことで、多くの人に〈TO〉が表現したい考えや世界観を体験していただけると思っていたので、これまで築いてきた繋がりを辿るように、さまざまなジャンルの方々にお声掛けしました」。

画像 〈SUNPEDAL〉のヴィーガンバーガーは、天然酵母のバンズに、紫キャベツのさんぺだる塩ラペや蓮根ステーキなどを挟んだ体にやさしい一品。

画像 〈tsumugi 菓子〉ブースには、無農薬の柚子を使用したユズクッキーや廃棄されてしまう規格外のバナナを使ったバナナケーキなどが並んだ。

「ヴィーガン専門のケータリングやオリジナルスイーツのエナジーボールを手掛ける〈SUNPEDAL〉さんには、ヴィーガン&シュガーフリーのオリジナルバーガーをはじめ、人気のエナジーボールやさんぺだる塩を、そして相模湖で月に一度だけオープンする〈tsumugi 菓子〉さんには、オーガニックの素材で作られたヴィーガン&グルテンフリーの焼き菓子をご用意いただきました。おいしくてヘルシーなフードに、朝から多くの人が詰めかけていました」。
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左上/〈DEPT®〉ブースでは、ヴィンテージウェアに加えて、ミラーやノートといったオリジナルグッズも販売。 右上/ヨーロッパ古着や花器といったインテリアアイテムがラインナップした〈Swallow Equipments〉ブース。 左下&右下/〈Quiet time〉によるシルクスクリーンワークショップでは、“WELLNESS FOR US, WELLNESS FOR THE EARTH.”のメッセージとともに、服を自分だけの一枚にカスタム。

「eriさんがディレクターを務めるヴィンテージショップの〈DEPT®〉は、水に流しても環境に負荷をかけない泥染めを使ったアイテムなどをラインナップしていただき、ユナイテッドアローズから独立した後輩が手掛けるヴィンテージショップ〈Swallow Equipments〉は、ヨーロッパ各地で買い付けた素敵な古着を揃えてくれました。そして、当日のヨガ講師も務めた野村 賢吾さんのスシルククリーンショップ〈Quiet time〉では、〈TO〉が掲げる“WELLNESS FOR US, WELLNESS FOR THE EARTH.”のオリジナルデザインのプリントを楽しめました。ヴィンテージウェアを着たり、リメイクすることで新たな価値を与えたりと、服の循環を選ぶ機会を作れたことが嬉しかったですね」。

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「ファッション業界の方々からも人気と信頼を集める、経堂の〈はなまる整骨院〉さんは、整体や美容鍼の施術コーナーを設けました。身体への理解を深め、自身の健康をより意識する素敵な場を提供できたと思っています」。

街着との境をなくした、ベストなアクティブウェアを追求したい。

画像 会場では、〈TO〉の新作も販売。

最後にイベントを振り返り、浅子さんに「1DAY POP UP」の感想を聞くと、「来てくださった多くの方の弾けるような笑顔が見られたことが嬉しかった」と微笑む。そして、このイベントが、ブランドが次のフェーズに行くために必要なものであったと語ります。

画像 今季のウェアは自然をモチーフにした色や柄が特徴。大理石をイメージした柄を施したブラトップは、着心地や動きやすさをそのままに、ストラップを太くして街着として着られるようにデザイン。

「さまざまなジャンルで活躍する方たちの力により、〈TO〉の世界観を感じていただける一日になりました。きっと遊びに来てくださったたくさんのお客さまに『わたしも〈TO〉の仲間になれるかも』と思っていただけたと信じています」。

画像 ヨガワークショップで浅子さんが着用しているトップスは今季の新作。さりげなく入った〈TO〉のブランドロゴが目を引くレギンスは定番アイテム。

「現在わたしたちは、アクティブウェアとともに、幅広いシーンで着ていただくことを提案しています。日常の服の延長として、時に街着と運動着の境を設けることなく、アクティブウェアを自分らしくおしゃれに、気分を上げて楽しめるように。そして、人にやさしく、環境への負荷を抑えた製品開発に努めています。

この先のサステナビリティの目標に向けて、ベターチョイスを強く意識していきたい。100%を目指しながらも、そこにある課題を解決しながら、毎シーズン一歩一歩到達してくことを大事にしています。それによって、多くの方々がハッピーに過ごせるのがいちばんだなと思っています」。

INFORMATION

PROFILE

浅子 智美

浅子 智美

2006年、大学在学中にアルバイトとしてユナイテッドアローズでのキャリアをスタート。2007年にユナイテッドアローズに入社し、店舗勤務、マーケティング部門、ウィメンズ商品部でのバイヤーを経て、21年よりウィメンズのファッションディレクターへ就任し、バイヤーと兼任。同年、ライフワークであるヨガの経験を生かしたレーベル〈TO UNITED ARROWS〉を立ち上げ、ディレクターを務める。

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