ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

更なる躍進のための挑戦。次世代に向けた新たなコミュニケーションとは

ウツワ

2024.10.02

更なる躍進のための挑戦。次世代に向けた新たなコミュニケーションとは

今年35周年を迎えるユナイテッドアローズ。長期ビジョンに向けての第一歩「美しい会社 ユナイテッドアローズ」を目指し、新たな取り組みを行っています。なぜ今、新たな取り組みのひとつである次世代に向けた企業イメージの刷新、訴求を行うのか、更なる挑戦への想いなどを、ユナイテッドアローズ 代表取締役 社長執行役員 CEOの松崎善則さんに伺いました。

Photo:Kousuke Matsuki
Edit&Text:Shoko Matsumoto

35周年の節目に、あらたな課題に取り組む

—今年35周年を迎えて、改めて感じることなどを伺わせてください。

「当社は、〝進化する老舗の創造〟を創業以来掲げてきました。老舗の定義は難しいですが、100年続く企業体を目指すためのビジョンのひとつ。100年からすると、ようやく三分の一になったなというのが率直な感想です。一般的には、30年続く企業は極少数。そう考えると、長く続いていますし、当社の経営理念が全メンバーに浸透していて、その経営理念によって進化し続けられているなと、改めて実感されます」

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—35年続いているユナイテッドアローズですが、現在抱く課題はありますか。

「当社はセレクトショップとしてスタートしました。今はスタッフもお客様も、団塊ジュニア世代になり、セレクトショップ自体が、マーケットからするとやや古い表現というか、企業体として型ができてきました。それがセレクトショップという形態だと思うのですが、100年続くための〝進化する老舗〟に向けて、新しい企業イメージや、新しい企業体を目指していく必要があるなと感じています。今後迎えるであろう50周年に、提供している価値が進化していなければならない、という危機感は感じています」


—企業イメージの刷新をおこなうため、どういう施策や取り組みをおこなっていますか。

「少し遡るのですが、わたしが社長を拝命した際、創業者から過去の資料をお借りして色々と整理していた時、当社の過去のPRや販促物を見つけました。株式上場の時に、イタリアの画家「ジャンルイジ・トッカフォンド」のブタのイラストに添えて〝デビューだブー〟というキャッチフレーズで新聞に掲載していたり、シーズンカタログで当時のムーブメントだった女子高生のルーズソックスのステッカーを制作していたり。お客様が当社に抱いているトラッドや真面目というイメージとは少し違う、ファッションを楽しむ要素がすごくあったのが印象的なんですよね。その頃すでにわたしも当社に在籍していたので、覚えていたんです。そして〝進化する老舗〟というキーワードに基づきつつも、時代潮流、時代対応が改めて大事だなと。この35周年に改めて時代潮流、時代対応に向けたファッションや、面白い側面をお客様に伝えていきたいというのが、今回のキャンペーンをおこなうきっかけ、テーマになっています」

次世代をターゲットにした施策のアイデア

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—新しい世代へ向けての施策のひとつとして、「異次元リミックス」をテーマに動画を制作されました。

「若者である次世代が、常に新しいファッションを生み出していくと思っているんです。それは過去もそうでしたし、これからもそうだと思う。いわゆる自分たち、ユナイテッドアローズの団塊ジュニア層が社員にもお客様にも多いので、ついついそこを中心に考えてしまうのですが、ファッションの楽しさを追求するには、次世代が生み出していく、生み出してきたパワーを表現したいと思い、次世代をターゲットにしました。『異次元リミックス』というテーマは、次世代のターゲットに向けて、どういう方向がいいか、実際にその世代の外部の方、クリエイターの方たちと議論を重ねました。そして今、当社に新しい側面を出すにはどうすればよいか、今までやってこなかった訴求方法や映像の作り方を取り入れ出来上がりました」


—実際に出来上がった動画を観て、どんな感想を抱きましたか。

「いい意味でこれまでのユナイテッドアローズらしくなくて良いなと思いました。当社の持つカッコよさ、時代感の表現の仕方、スピード感を残しつつ、うまく制作していただけたなと思っています」


—次世代の方たちはじめ、現在のファンの団塊ジュニア層にはどう届いてほしいですか。

「願わくば自分と同じように、〝これまでのユナイテッドアローズとちょっと違うけれど、カッコいいな〟と思ってもらえたら、一番うれしいですね。当社としての経営理念を軸に持ち続けながら、時代感もきちんとキャッチしていく。そんな側面を感じてもらえたらいいなと思っています」

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—動画に起用している4キャラクターもそれぞれ個性があります。

「10代20代の活躍はすごいですよね。経験値がないとファッションができないとか、おしゃれではない、ということはありません。これまでは社交性のほうが強く、自由度や個性は少し抑えてきたところがありました。それがユナイテッドアローズのいいところでもあり、35年続いてきた理由でもあります。ただこれからの時代、社交性はもちろん、個性や自由を会社としても表現したいという思いがあり、それがうまく表現されたクリエイティブだなと感じます」

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—〈ATTISESSION〉の店舗のオープンなど、ブランドも若い世代をターゲットにしています。

「こういう課題感を就任したときから持っていたので、〈ATTISESSION〉などは今回の広告より以前に準備をしてきました。実際にローンチするにあたり、これまでと違うお客様層から多くの評判、好評をいただいているので、これまで届けられていなかった当社の側面が浸透しつつある手応えは得られました」


—これから新しいビジュアルが世の中に発信されていきますが、それによりどんなことを期待されますか。

「第一弾として、新ビジュアルをリリースいたします。35周年という節目ではありますが、周年に限らず、新しい側面を見せ続けることができたらうれしいですね。そのために、ブランド開発はじめ、アパレル以外の取り組みにも、これまで以上に積極的に挑戦していきたいと思っています」

絶え間ない挑戦で、より良い企業へ

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—最後に、今後の展望をお聞かせください。

「会社全体の課題として、年齢軸の課題、ファッションテイストの課題、業容における課題、効率化の課題という、4つの課題を持っています。今回は、年齢軸の課題にフォーカスした施策をおこないましたが、これからアパレル以外のドメインの拡大をしていくうえでも、次世代のパワーが必要ですし、若い感性や力を引き出せる企業になっていけたらと思います。今はベテランになっていますが、自分も含め、みんな若手の頃からいろいろな仕事を任されて、新しい開発に携わってきて今があると思うと、もっと若手の活躍の場を増やしていければと思っています。少しずつ変化を重ね、時代対応していくことで、より良い企業にしていきたいと思っています」

長期ビジョンで攻めの経営を行っているユナイテッドアローズ。もう一度クリエイティブなイメージをお客様へ。企業イメージをより多層的、多面的なものに刷新し、これからも進化していきます。

PROFILE

松崎 善則<br>ユナイテッドアローズ 代表取締役 社長執行役員 CEO

松崎 善則
ユナイテッドアローズ 代表取締役 社長執行役員 CEO

1997年に〈ユナイテッドアローズ〉にアルバイトとして入社。ユナイテッドアローズ 渋谷店、横浜店で販売職を経て、販売部へ異動。その後UA本部 販売部 部長、BY本部 事業戦略部 部長、BY本部長、2012年執行役員、2018年取締役 常務執行役員、2020年取締役 副社長執行役員などを歴任し、2021年4月代表取締役 社長執行役員 CEOに就任。

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