ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ウツワ

2020.06.29 MON.

花がもたらす影響力とは。 「イウエン マトフ」ディレクター二ノ宮和佳子さんの暮らしとお店作り。

2019年春夏からスタートした〈イウエン マトフ〉は3シーズン目に突入し、6月24日(水)に開業した『ニュウマン横浜』に第1号店がオープンしました。多忙な日々を送るディレクターの二ノ宮和佳子さんは、最近までの自粛生活や新店舗準備をするなかで、小さい頃から好きだった「花」と改めて向き合うようになったそうです。花が自身のライフスタイルやブランド、新店舗にもたらす影響とは? 二ノ宮さんに話を聞きました。

Photo:Kousuke Matsuki(SHOP)
Text:Kozue Takenaka

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ーまずは第1号店のオープンおめでとうございます。とても素敵な空間ですね。カラフルな商品が並ぶなか、とくに印象的だったのが装花なのですが、これは二ノ宮さんのこだわりですか?

みなさんに助けられながらなんとかオープンすることができました。私自身、花がある生活が当たり前というようなところがあります。あるとないとでは全然違う、きれいに咲いている花がもたらすパワーってすごいなと思っていて。新店舗の内装を考えたとき、花の存在感は必要不可欠だったんです。

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ー二ノ宮さんが花を意識するようになったきっかけとは?

私は滋賀県の田舎に育ちました。家の庭にはたくさんの花が咲いていて、花が大好きだった母はよく飾る習慣がありましたし、華道も習っていたので、玄関に生けていたのもよく見ていました。なので、身のまわりに花がある生活は特別なことではなく、小さいころから身近なものでした。それから大人になった今もライフスタイルに花があることは、私にとってごく自然なことなのかなと思います。
ただ、仕事で外出が多くあまり家にいないため、インテリアの一部として観葉植物を育てていて、花は月に2回程買って飾るっていう感じでしたが、自粛生活をきっかけに、買い出しに行くスーパー近くにある街の花屋さんや、仕事の外出先で見つけたおしゃれなお店でお気に入りの花を買ってきたりして、気分だけでも上げていこうという想いで欠かさなくなりました。おかげで変わり映えしない毎日も花があることで、気持ちを明るく保つことができました。

ー選んで、飾ることってけっこう難しいですよね。二ノ宮さんが花を選ぶ基準とは?

自分の好みかどうかが前提にあります。そして、部屋のイメージや季節を意識して、バランスを考えながら選びます。この花とこの花を合わせてみようと考えるのが好きなんです。もちろん、失敗することもあります。自分の花瓶を持ち込んでできるならいいけれど、なかなか想像することも難しく…。それでも、買って飾るたびに新しい発見をしています。お花屋さんもいろんな情報を教えてくれるので、それを聞くのが楽しかったりもします。

ーどういう花が好きですか?

ちょっと個性的なものが好きです。それ1本で成立する凛とした雰囲気、可愛らしいよりもどこか強さを感じる花に魅力を感じます。色もローズやブルー系にいつも目がいきます。最近はアジサイやスモークツリーが好きです。この季節にしか咲かないものですからね。花で季節を感じることも大切だなと学びました。

ー本当、季節の花って生き生きしていますよね! 実際にご自宅ではどんなスタイリングをしていますか?

ブーケっぽくではなく、1本で見せたり、個性的な花を数本ミックスさせたり、花器とのバランスを考えたり。色々と試しながらその時の気分とマッチするものを考える、洋服のスタイリングをするイメージに近いんですかね。あとは、いただくことも多いので、その時の想い出を残したくてそのままドライフラワーにして楽しむこともあります。

345_46(左上)Timo Sarpanevaデザインの〈iittala〉。ヴィンテージのカラフェをベースにしてシンプルに。(右上)友人からプレゼントでもらった丸いベースをメインにスタイリングしています。(左下)毎シーズン生けることを欠かさない大好きなスモークツリー。ドイツのヴィンテージのベースとの相性が良くてお気に入りです。(右下)アジサイは1輪で存在感があるお気に入り。その後は、ドライにしてずっと愛でています。

ー服をデザインする際に花から影響されていることってありますか?

花そのものをイメージしてデザインするということはありません。影響されるというよりも勉強になっているのは色彩です。自然の色はもちろん、1本の花が織りなすグラデーションとか、そんな自然で美しい色をそのまま服に反映できたら素敵なものができるんだろうなと思います。

ーさて、冒頭でもお話を伺った新店舗の内装についてもう少しお話を聞かせてください。

お店に来てくれた方がリラックスできる異空間がイメージです。スリランカのジェフリー・バワの建築が好きなんですが、開放感と異空間に女性のリアリティを混在したものを表現したく、例えば、少し無骨な石とゴールドのラックといったようなコントラストを効かせた内装にしました。〈イウエン マトフ〉の服も女性らしさとメンズライクなシルエットがポイントなので、きっと合うだろうなと思って進めました。そして、インショップには珍しく自然光が入るんです。もちろん服がやけてしまうなどの問題があるので、スモーク窓ですが。そうしたことで理想の空間を表現できたと思います。

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ー服以外も販売されているんですか?

はい。服だけでなくフラワーベースなどの雑貨も販売しているので、お店全体でブランドのイメージを楽しんでいただけるようになっています。

ースモーク窓から入る光がまた異空間をつくり上げているように思います。

フロアは石をしきつめたお庭のようだけどフィッティングは素材を変えてゆったりできるスペースに。内装を考えることは好きだったのでデザイナーさんと話をしながら進めることが楽しかったです。

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ー装花の存在感がさらにお店を特別なものへとつくり上げた感じがします。

友達の展示会に行ったときに素敵だなと思うと〈chibi〉の芳賀さんが手掛けた装花ということが多かったんです。芳賀さんがつくるものにすっかり惚れ込み、いつかタイミングが合えばお願いしたいと思っていました。お願いするのは2回目なのですが、あまりイメージをオーダーしすぎるよりも芳賀さんのクリエイティブに期待したいと思いました。

ーそこまで二ノ宮さんを夢中にさせる芳賀さんの魅力とは何でしょうか?

花単体だけでなく、花と流木、ドライフラワーと生花の中間のようなバランスといった花+αのアレンジがどれも他では見たことがない衝撃的なものが多かったんです。女性らしいのにどこか力強さを感じるところが好きです。

ーできあがった装花を見た感想を教えてください。

やっぱり芳賀さんにお願いしてよかった!!と思いましたし、私の想像していたイメージを遥かに超えたクリエイションで、服と内装と装花、それぞれがマッチしながら、それぞれが力強く個性を主張するそんな空間となり大満足です。

「二ノ宮さんとお会いしたときに感じた女性らしさと格好よさを表現できたらと思いました。そして、ブランドの服や内装を見たとき、ピンクのイメージが残っていたので、流木にきれいなブーゲンビリアをたくさん咲かせ、季節を感じるスモークツリーとミックスさせました。女性らしいだけでなくダイナミックさもあるものに仕上がったと思います」(〈chibi〉芳賀さん)

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ー花の可能性は無限大ですね。

そうですね。お店の装花は季節ごとに変わる予定です。今後も芳賀さんの装花を見ることができるのはわたし自身も嬉しいですし、より多くの人に見てパワーをもらってほしいと思っています。

※店舗内の装花は季節によって変わります。写真の装花はOPEN時のものです。

INFORMATION

イウエン マトフ 横浜店
〒220-0005 神奈川県横浜市西区南幸1-1-1 NEWoMan YOKOHAMA 5F

公式サイトはこちら

PROFILE

二ノ宮和佳子

10代からモデルとして雑誌、広告などで活躍。〈AMIW〉、〈Banner Barrett〉など、長年にわたり様々なファッションブランドのディレクションを手掛ける。2018年より〈AEWEN MATOPH〉のディレクターに就任。

JP

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