ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ヒト

2019.02.12 TUE.

〈イウエン マトフ〉二ノ宮和佳子×メイクアップアーティスト早坂香須子
“個性を引き出す” 服とメイクの関係を語る。

この春、新たなウィメンズレーベル<イウエン マトフ>がデビュー。ディレクターを務めるのは、他社ブランドでPRやディレクターを経験してきた二ノ宮和佳子さん。ファッションとメイクはリンクし重要な役割を持ち、女性像を創る上で欠かせない要素であり、メイクはスタイリングの一部と考えているそう。そこで今回は二ノ宮さんが会いたかった人、メイクアップアーティストの早坂香須子さんを交え、プロの視点からみた服とメイクの関係性についてお話を伺いました。

Photo:Yuka Uesawa
Text:Kozue Takenaka

メイクと同じくらい服が好き。

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—お二人は今回初めてお会いするようですが、二ノ宮さんが対談相手として早坂さんをリクエストした理由を教えていただけますか?

二ノ宮:早坂さんのことは雑誌ではもちろん、ファッション関係の友達との会話でもお名前を耳にすることが多かったんです。とにかく常にハッピーなマインドの持ち主だと、いろんな人たちから聞くのでぜひそのマインドに触れてみたくて。

早坂:そう言ってもらえることはすごく嬉しいです! うちの母がそうだったんです。太陽みたいな人。大好きな存在だから自分も母のようになりたいと思っています。

二ノ宮:それってすごく素敵ですね。しかも早坂さんのインスタグラムを見ると、ためになる情報もたくさんあるし、何より服が大好きなんだなと伝わってきて。ますます興味が湧き、今回このような機会があったのでお会いしたいなと思いました。

早坂:そうですね、買い物大好き! 今日も<イウエン マトフ>の服を見た瞬間、カラフルなアイテムにワクワクしちゃって。お買い物に行きたい気持ちになりました。そしてメイクは服に合うようにとことん艶っぽく仕上げると素敵だろうなって想像してしまいました。

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少しの違和感をどれだけキャッチできるか。

—「服」「メイク」と別々の角度から長年プロとして携わってきて、その関係性についてはどう思いますか?

二ノ宮:ファッションやトレンドっていうのは服だけではなく、服とメイクがあってこそ成立するものだと思っています。おしゃれな服を着ているのにメイクがブラッシュアップされていない人をみるとすごくもったいないなと感じます。

早坂:確かにそうですよね。私が服とメイクのバランスが大事だと思うのは、自身がそういった失敗の経験があるからかもしれません。昔の私は普段からあまりメイクをしない方だったのですが、トークイベントのお仕事で少し気合を入れてメイクしてしまったんです。なんだかこってりとした印象になり、衣装を着た時に顔だけ別人みたいな感じになってしまって。用意していた衣装はデニムなのに、それを考えずにメイクしてたんだと思います。そこで、アイメイクを全部落として、ほとんどすっぴんに鮮やかな赤リップだけというメイクに変えたところ、衣装のデニムとすごくマッチしたんです。イベント後にお客さまから、その時のメイクに関する問い合わせもたくさんありましたね。何事もバランスって大切なんだなと身にしみて感じました。

二ノ宮:私は、幼い頃からファッションが大好きでしたが、田舎育ちなので雑誌や本をみていろんなスタイルに憧れていました。都会ってすごいなーとか(笑)。 高校生の頃はストリートファッションが人気だったので、ボーイズスタイルをよくしていました。上京して始めたプレスのお仕事で、今までとは真逆なガーリーテイストの服を着ることになったのですが、最初の頃はそんな自分が見慣れないから恥ずかしくて……。

早坂:葛藤はなかったんですか?

二ノ宮:最初は少しありました。でも、やっていくにつれ自分にも似合うかもと新しい発見になりましたし、プレスだったのでたくさんの方に知ってもらいたいという欲も出てきました。プレスをやりながら、トワルのモデルをやらせてもらっていたので、デザイナーさんやパタンナーさんの仕事ぶりを生で見れたり、意見を聞いてもらえたりと、一緒につくる経験をさせていただくことが増えてきて、だんだんつくる方に興味が湧いてきました。30歳を目前にして、プレスを担当していたブランドに対し自分の年齢には少し若いなーと違和感をもつようになり、ディレクターとして服のデザインを始めさせてもらいました。いろいろなテイストの服を着てきて、年齢を重ね環境も変わり、リアルな感情や気分を表現する大切さを感じ、今やっと自分らしいスタイルに確信がもてるようになった気がします。

早坂:“違和感をもつ”というのはとても大切ですよね。仕事現場でもそうで、いざ撮影が始まるとなんか違和感があるときがある。リップなのか、ヘアなのか、それとも靴なのか……何かがはまってないから感じるわけで。その少しの違和感をどれだけキャッチできるかというところが仕事の大切な部分だと私は思っています。みなさんにもそれを普段の生活の中で感じてもらえたらいいなと。メイクは8割までにしておいて、最後に全身鏡で見た自分のバランスを調整することをおすすめします。


抜け感のある目元にマットなリップを。

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8AEWEN MATOPH(イウエン マトフ) 2019SS

—お二人がこの春、注目するファッションやメイクを教えてください。

二ノ宮:<イウエン マトフ>がこの春デビューなのですが、ベースはフェミニンモードがテーマになっています。私たちの世代には、昔はギャルだったり、ストリートファッションだったり、ヴィンテージが好きだったりと、いろいろな服を着てきた人たちがいます。それを経てブラッシュアップした人がトレンドを取り入れたいなと思ったときに着てほしいという想いで作ったアイテムを数多く展開しています。ベーシックなものもあるけど、全身で取り入れるという提案よりも、自分らしさの中に<イウエン マトフ>のアイテムで遊びを取り入れてほしいです。そこに今日持ってきたTHREEのリップをポイントに使うと素敵に仕上がります。

早坂:メイクアイテムのカラーパレットのように鮮やかな服で見ているだけで楽しいですね。しかも、二ノ宮さんのメイクアイテムをひと目見て、そんな気分だよね、わかるわかるーって思ってしまいました。Shiroのアイシャドウも一見、派手すぎると思ってしまうけど、見慣れちゃえばこっちのモノみたいなところがありますよね。こういうのは家でまずトライして、自分が見慣れてから外に出るといいのかも。

二ノ宮:確かにそうですよね。今では赤やオレンジのリップが私のメイクに欠かせない定番になってはいるものの、最初はそれで人前に出るのがすごく恥ずかしかったことを覚えています。顔だけ前に出ているような気がして。でもつけると顔全体のトーンが明るくなるので、私のメイクにリップは重要な存在。シーズンごとにメイク売り場に行って、好みの色に出会うまでウロウロしています(笑)。手持ちのリップの色に飽きてきたら、他のリップと重ねて自分らしい色を作るなど、テクニックがない分そういうやり方で自分らしさを表現しています。

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早坂:リップがアイコンという意識をもつのは素敵ですね。私は目元にツヤ、唇にマットというコントラストが今年らしいなと思ってます。アンプリチュードのアイカラーは春夏のキーカラーであるグリーンが秀逸で。以前なら使いにくそうだと思ってしまうグリーンも、くすまず発色がよく、瞳がきれいに見えるんです。ライン使いをするのもおすすめ。セルヴォークのピンクやTHREEのモーヴブラウンのアイシャドウはひと塗りで凹凸感、春っぽさがでますね。目元は少し抜け感を作って、リップはマットに濃いめでふっくらさせるのが気分です。本当、女性って楽しいですね!

二ノ宮:服やメイクでいろんな自分に出逢えますからね!

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<NINOMIYA’S MAKE ITEM>
(左上から時計回り)Shiro ジンジャーアイシャドウパレット、shu uemuraルージュ アンリミテッド341、552、THREEデアリングリィディスティンクトリップスティック06(全て本人私物)

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<HAYASAKA’S MAKE ITEM>
(左上から時計回り)セルヴォーク ヴォランタリーアイズEX02、アンプリチュード コンピキュアアス アイズ07、THREE デアリングヴォヤージャー06、CHANEL ルージュ アリュール リクィッド パウダー964(すべて本人私物)


何事も試してみれば新しい自分に出会える。

—では最後に、服やメイクで“自分らしさ”を引き出すためには何が必要だと思いますか?

早坂: とにかく何でもやってみる!ということでしょうか。前にも言いましたが、私はつい最近まで自分のことに手をかけない人間だったんです。ネイルもはげてる、朝はノーメイクで仕事に行く。人をきれいにする仕事だから、自分のことは後回しでいいと思っていました。ファッションに関してもそう。私なんて……と、本当は可愛いと思っていたレースや刺しゅうには挑戦せず、少しななめに生きていた部分があったんですよね。でも、試してみるようになり新しい自分を発見できたのが40歳くらいでしょうか。結果が目に見えてわかるっていうのが服やメイクのいいところだと思います。あとは眉毛ですかね。眉毛で時代がわかりますからね。眉のトレンドに敏感になるだけでも、自分をブラッシュアップできると思います。

二ノ宮:今はファッションやメイクのお手本をすぐに探せる時代なので、気になったら真似てみて、試行錯誤していくのもいいと思います。それを続ければ最終的に自分らしさを見つけ出せるのかなと。トレンドばかりを追いかける必要はなく、ほんの少しだけその時代のものを取り入れてみると無理なく楽しめるんじゃないかなと思います。

早坂:正解を決めないで毎日少しずつ、変化してみることもおすすめです。おしゃれをして、メイクをして、きれいになることは誰も損することはない、世界平和だと思っています。女性がハッピーならそれが伝染してみんなハッピーになる。ぜひみなさんにメイクや美容をファッションとともに楽しんでいただきたいです。

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PROFILE

二ノ宮和佳子

10代からモデルとして雑誌、広告などで活躍。〈AMIW〉、〈Banner Barrett〉など、長年にわたり様々なファッションブランドのディレクションを手がける。2018年より〈AEWEN MATOPH〉のディレクターに就任。

早坂香須子

ビューティーディレクター、メイクアップアーティスト。元看護師という医学的知識と観点から、インナービューティ、オーガニックプロダクトコンサルタントなど多岐にわたり活躍。アロマやフィトテラピーにも精通し、その豊富な知識を活かした美容メソッドを提案している。「W」所属。
www.wtokyo.co.jp

JP

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