ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ウツワ

2018.12.06 THU.

綿花の収穫祭にボランティアが大集合!
「東北コットンプロジェクト」を知っていますか?

11月24 日、晴れ渡る空のもと「東北コットンプロジェクト」の収穫祭が行われました。震災を機にはじまったプロジェクトは今年で8年目を迎え、<ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング>も発起人のひとりとして携わっています。今年は、昨年の収穫祭のときに比べ、倍以上の収穫量を記録するというメモリアルな年になりました。ただ、ここに至るまでには紆余曲折があり、たくさんの苦労があったのも事実。その喜びを分かち合うべく開催された収穫祭の様子を、生産者の方々のコメントとともにお届けします。

Photo:Takahiro Michinaka
Text:Maho Honjo

プロジェクトのはじまりは、未知の世界を切り開くことから。

「東北コットンプロジェクト」とは、震災で被害を受けた農地にコットンを植えて、農業を再開してもらうこと。さらにそのコットンを使用した商品を販売まで行い、東北に安定した雇用を生み出すこと。そうして無理なく、継続的に農家さんを応援する仕組みをつくることを目的にしたものです。2011年にスタートし、今年で8年目を迎えることになりました。<ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング>でも、2013年以降、毎年東北コットンを使用した商品の企画販売を行っています。

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今回、収穫祭に訪れたのは、宮城県東松島市にある東松島農場の綿花畑。丘陵地を切り開いてコットン栽培用に整えた農場です。ただ、これまで栽培はずっと果樹が中心。コットン用の耕作地は用意できても、育て方はまったく未知の世界でした。

というのも、コットンは海外で栽培されるものがほとんどで、国内での事例は極小。最初は試行錯誤の連続でしたが研究を重ね、農業の経験を生かすことで、この数年ようやく形になりはじめたのです。そして東松島農場で収穫6回目を迎えた今年は、天候も味方して、昨年の倍以上の収穫が見込めることに。

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この成功には、生産者の方の並々ならぬ努力と、もうひとつ大きな理由がありました。それがボランティアによる四季を通じたさまざまな活動。東北コットンのために何かできることはないかと、苗植えから収穫まで全国から集まってくれたのです。


晴れ渡る空の下で、一斉に収穫がスタート!

収穫祭当日の朝、綿花畑にはコットンボールが満開。力強い大地に純白の綿花が輝く様子は、可憐でいてどこか堂々とした、圧巻の風景が広がります。ただ、畑の空には雲が垂れ込め、小雨も降り出すあいにくの天気。それが、関係者やボランティアが集まりだすと、少しずつ雲が流れ青空がのぞいてきました。農場を人々の熱気が包みはじめると、一気に快晴に! 

収穫は、10時に一斉スタート。収穫方法や注意事項などが伝えられたのち、集まった方々は綿花畑へ散っていきます。そして実りを迎えたコットンを、ひとつひとつ手作業でていねいに収穫。ふんわりとしたコットンは触るだけで心地よく、それを優しくつまむように引っ張ると、ほわほわと広がりながら、最後はほろりと実から外れます。収穫は、そのほわほわと、ほろりの繰り返し。

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その心地よい作業に夢中になったのち、ふと綿花畑を見渡してみると、満開の風景からあっという間に収穫後の風景へ。これほどの量をすべて摘むためには、どうしてもマンパワーが必要。やはりボランティアの力あってこその収穫なのだと実感します。

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収穫の後は、生産者と主催者からの心温まるおもてなし。

さて、時は12時。そろそろお腹も空きはじめたころ、収穫は終了。大量のコットンが、会場テント前に集められます。コットンの山を前に子供たちは大はしゃぎしてダイブしたり、跳ねたり、顔をうずめたり…その素直な反応こそが、天然の心地よさ、質の高さを教えてくれるようです。

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お楽しみのランチは、カレーやジャガバター、玉コンに牡蠣の醤油焼きなどさまざま。さらにはジャズバンドの生演奏に続いて、アトラクションがスタート。収穫後のコットンを早速紡ぐ工程が見られたり、歌あり、コーラスあり、マジックショーありのユニークな催しに、皆が笑顔に包まれます。そして最後は抽選会。お米、お菓子、タオル、Tシャツほか、豊富な景品がずらり。それも、参加者全員分の数が用意されていて、当たらない方がいないという幸せな時間。生産者と主催者から、収穫を手伝う方々へのあふれる愛が感じられました。

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人と人の輪をつないでいるのが「東北コットン」。

「今年は大豊作。7月の日照時間が長かったのが功を奏したのでしょう。昨年とはまるで景色が違います。ただ、国内にマニュアルのない綿花をここまで育て上げるのは本当に大変でした。まず一本一本の剪定。そしてあまりに広い土地の除草。さらに葉っぱ一枚一枚に液肥を吹き付ける追肥まで。気の遠くなるような作業に、それが正解か不正解かもわからず、途方にくれることもありました」。

そう語るのは、この東松島農場で栽培を担当する、松岡孝記さん。

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「でも、そんななかで支えになっているのが、ずっと参加してくださるボランティアの皆さまの存在です。昨年収穫を手伝ってくれた方が、この春は苗を植えに来てくれた。その方々がこの満開の風景を見て驚いてくれたことが、すごくうれしい。心と活動の循環サイクルというのかな、それを肌で感じられるのがこの『東北コットンプロジェクト』なんですよね」。

そして松岡さんの義父であり、東松島農場の代表、そしてイーストファームみやぎの代表取締役を務める赤坂芳則さんはこう語ります。

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「ボランティアの皆さまの力がなければ、ここまでの規模拡大は絶対に無理でした。コットンを通じて全国の方とつながっている。その絆があるからここまで続けてこられたんです。“東北”と名前がついているけれど、日本全国の方々の手によってつくられている。それが『東北コットン』なんです」。

「将来、僕が理想とする綿花の栽培スタイルが見えてきました。プレッシャーもあるけれど、その分結果を残したい」と松岡さん。

「来年は今年の倍を、再来年はその倍を収穫したい。そのために皆さまの力が必要なんです」と赤坂さん。

毎年、確実に進化を遂げている「東北コットンプロジェクト」の綿花栽培と収穫祭。東日本大震災を風化させないためにも、これからもこの活動は続いていきます。

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JP

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