オーラリーは服好きほど虜になる、贅沢なのに等身大のデイリーウェア|知っておくべきブランド

オーラリーは服好きほど虜になる、贅沢なのに等身大のデイリーウェア|知っておくべきブランド

いくら直幸


これ見よがしには主張せず、とてもシンプルな<オーラリー(AURALEE)>のアイテム。ただ、確かな存在感があり、一着一着に語り尽くせないほどの熱く深いこだわりが。ファッションのプロをも夢中にさせる、その魅力とは?

今の東京を代表する人気と実績

性別や年齢を問わず、また国内だけでなく海外にも多くのファンを抱える<オーラリー>。とりわけ目の肥えた洋服好きを魅了し、バイヤー&ショップスタッフ、スタイリストやファッションエディターといったプロからも高い支持を集めています。デビューは2015年、名のある複数のブランドで経験を積んだ岩井良太氏によってスタート。品がよくも気負わず着られるアイテムを提案し、瞬く間に人気を獲得しました。'18年には東京を拠点に国際的な活躍が期待されるデザイナーを選定する「ファッション プライズ オブ トウキョウ」を受賞し、翌年にパリコレへ進出。同年には「毎日ファッション大賞」新人賞・資生堂奨励賞も獲得するなど、輝かしい実績を誇ります。

真髄はファブリック&シルエット

<オーラリー>を語るうえで、まず挙げるべきはファブリックです。デザイナーの岩井氏自らが開発から携わり、創作期間の大半を費やすほどモノ作りの核となっています。マテリアルは世界中の産地まで足を運んで選りすぐられた、極めてハイグレードな素材ばかり。それを基に日本屈指の腕利きファクトリーと手を組み、ほとんどは糸の紡績からオーダーするなど、すべてオリジナルというこだわりよう。ひたむきな情熱と圧倒的な手間隙から生み出されるそれは、見た目にも上質感に満ち溢れ、ヤミツキになるほど至福の着心地を堪能できます。

さらに、そうしたスペシャルなファブリックをいっそう高めているのが、柔和な中間色で彩られるカラーパレット。たとえば似たような色でも濃淡や明暗、黄味が強かったり、赤味が強かったり、アイテムやシーズンによってわずかに異なる。言葉では表しがたい繊細なトーンの違いが、ラグジュアリーの風合いを一段と際立たせると同時に、その時々の世の中の気分やブランドが理想とするニュアンスを映し出します。
加えて、今の空気感を吸い込んだ流麗なシルエットも特筆したいポイントです。そもそも岩井氏はパタンナー出身であり、培われた豊かなノウハウが存分に注がれています。丹念に作り込まれたファブリックを活かしきる大胆かつ巧妙なカッティングは、着心地への配慮はもちろん、生地のドレープまでも緻密に計算。ハンガーに吊るして眺めるよりも実際に身にまとうこと、ひいては生活をしたり、街を歩いたり、日々の動きのなかでこそ美しく映え、実にエレガントかつリラクシングな佇まいを描き出します。

一方、ファブリックとシルエットの持ち味を最大限に発揮させるべく、デザインは最低限に抑えられており、ルックスはミニマルでベーシック。結果、クリーンなアイテムから古着まで幅広く合わせられ、着回しやすく、コーディネート次第で主役にも脇役にもなってくれる。洋服そのものが前面に出ることはなく、着用者にそっと寄り添い、パーソナリティを引き立て、そこはかとない知性を添える。一見すると、どこにでもありそうに思えるも、決してどこにもない、控えめでありながらも無二の存在感を放つワードローブなのです。

“ ファブリック、シルエット、デザイン ” といった洋服を形作る3本柱ひとつひとつのレベルが群を抜き、互いが絶妙なバランスで共存・共鳴して、それぞれのポテンシャルを最高点まで引き上げたアイテムたち。それでいて肩肘張らずにデイリーに楽しめることが、てらわないクオリティライフを求めるセンスのいい大人を夢中にさせる理由です。
ファッションライター いくら直幸

ファッションライター いくら直幸

人気アパレルメーカーのPRを経て、1990~2000年代に絶大な影響力を誇ったストリートファッション誌『Boon』の編集者に。現在は『Begin』『OCEANS』をはじめとするメンズ雑誌とウェブマガジンに寄稿するほか、有名ブランドや大手セレクトショップの広告&オウンドメディアなどで活動。また、日本テレビの情報バラエティ番組『ヒルナンデス!』のコーディネート対決コーナーでは審査員も務める。

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