タノシイ。けれど、ムズカシイ。
悩みを人に聞くにはハズカシイ。
でも……………どうにかしたい。
そんな装いに関するアレやコレ。
QUESTION Boxにおまかせを。

Q011.
一体どこからを“ビジカジ”と
呼ぶのでしょうか?
普段着と仕事服の境界線に
頭を悩ませています。
Answer
“ビジカジ”とは、仕事着としても通用するカジュアルコーデのこと。境界は環境によって人それぞれですが、ビジネス着として最低限の条件を押さえて上品なカジュアルウェアをミックスするのがコツです。

スーツの「単品使い」で
カタさをキープ

ジャケットとスラックスからなるセットアップスーツ。まずは、これらを上下どちらかだけで「単品使い」してみるのがおすすめ。
一定のカタさをキープしながら、合わせるアイテムで品よくカジュアルダウンすることが可能です。
カジュアルダウンして「単品使い」するセットアップスーツは、上質な生地を使用したものがベター。着崩ししても品の良さが保てることが重要です。

このセットアップスーツには、バーズアイと呼ばれる繊細な組織柄の素材を使用。遠目には無地に見えても、近づくと小さな柄に見え、着こなしに奥行きが生まれます。
ジャケットに合わせる普段着には「品」を

休日にも着用するポロシャツやコットンパンツですが、ジャケットと合わせる場合は、エレガンスを醸せるアイテムをチョイスすると、より“ビジネス”らしさが生まれます。
ここでは、ジャケットに上質ウールによるハイゲージの長袖ニットポロと、スラックス仕立てのコットンパンツを。

パープルやカーキなどのいわゆる「くすみ」カラーでトレンドを押さえつつ、靴下にはVゾーンと同系色となるライトブルーのソックスで差し色するなど、遊び心をプラスするのも一手。




足元には、名門ブランドによるスエードローファーを合わせることで、トラッドなムードを醸しつつも、まとまりのあるコーディネイトに仕上がっています。
スラックス使いには、
アンサンブルも有効

トップスにリラックス感が出せるのが、スラックス単品使いの利点。ノージャケットがOKな職種の人ならば、積極的にトライしてみたいスタイルです。
そんな場合に使えるトップスは、同素材からなるカーディガン&クルーネックニットの組み合わせ。俗に“アンサンブル”と呼ばれるニットの着こなしです。

足元には、モカシン縫いのUチップシューズ、バッグには、レザートート。合わせる革小物をシックに彩ると、よりビジネスウェアとしての“かしこまり感”が高まります。





ブラウン系スラックスに、同系色となるベージュのニットアンサンブルをオン。リラックス感と折り目正しさがブラウン系スラックスに、同系色となるベージュのニットアンサンブルをオン。リラックス感と折り目正しさが5ブラウン系スラックスに、同系色となるベージュのニットアンサンブルをオン。リラックス感と折り目正しさがF同居して、ビジネスでも違和感なく映ります。
特にオフィスワークが多い職種の人などには、重宝する着こなしになってくれるはずです。
セットアップ使用の場合は、
「襟なし」で抜く
セットアップスーツを揃いで使えば、間違いなく“ビジネス度”はアップ。
ただし、今回のテーマである「“ビジカジ”はどこまで?」に従うなら、カタい上下とのバランスを取ってインナーやシューズでハズすのが最適解と言えるでしょう。

スニーカーには、ホワイトをチョイスして、Vゾーンとともに明るさをプラス。「レフ板」効果によって、ビジネス服に欠かせない清潔感が加わります。





セットアップスーツで“ビジネス感”が担保されているぶん、襟のないクルーネックTシャツ&Vネックニットやスニーカーを合わせて、コーディネイト全体に抜け感を加えましょう。
ゆるい服なら
とにかく「セットアップ」に

「揃い服」が着こなしにもたらすフォーマル感は絶大です。リラックス感のある素材やつくりでも、セットアップで着用した途端、ビジネスで通用することも。
ここで紹介するのは、ウォッシャブルでリラックスシルエットを備えた、カジュアル感のあるジャケット&パンツ。
セットアップで取り入れれば、あれこれとコーディネイトに頭を悩ませることなくエフォートレスに、ビジネス服へと早変わり。

使用するフラノツイル生地は、起毛感のある優しげな表情が特徴。パッドなしの一枚仕立てジャケットのリラックスシルエットと相まって、カーディガンライクにも羽織れます。

バンドカラーのストライプシャツをインすれば、セットアップのマイルドな表情をキープしつつ、特有のきちんと感をプラス。また、足元のスエードスニーカーが、着こなし全体に落ち着きをもたらします。




共生地の組下パンツも同様にリラックスシルエットながら、写真のように「揃い」で着用することで、グッとビジネスライクな雰囲気が高まります。
スーツをノータイで着るなら
どこか一点“ニットイン”

手持ちにしても、新調するにしても、あまりくだけた仕様のスーツは買いにくい職種の人もいるはず。もちろん、きちんとしたスーツでも、“ビジカジ”の装いは可能。
ただし、単にVゾーンからタイを外しただけの“タイなしシャツ”姿は、場合によっては、間が抜けた印象を与えることも。
ならば、きちんとしたスーツをどう着るか。ここで活躍するのがハイゲージニット。そこで、ニットをインして、カタいスーツを柔らかく見せる代表的な2つの技をご紹介します。
簡単に洒落見えする
「タートルネック」

着用したスーツは、名門生地メーカーREDA社のサージ素材を用いたスーツ。サイドベンツでウエストがシェイブした2Bジャケットに、ノープリーツのベーシックな細身のパンツを用意。<グリーンレーベル リラクシング>とコラボした素材が光沢感をもたらします。
このきちんとしたスーツを適度にカジュアルダウンしてくれるのが、イタリアンブランド<GICIPI>のタートルネックニット。メランジ調の素材感がVゾーンに立体感を与えてくれます。

光沢のあるスーツと、マットな表情のハイゲージニット。ブラウン系でまとめたスーツ&ニットのコントラストは、ドレス服のミニマルな合わせの楽しさを教えてくれるでしょう。

ジャケットの胸ポケットにシルクチーフをインすれば、ドレッシーなムードが一層アップ。アッパーに飾りのついたタッセルローファーで、艶やかなムードも加わります。





スリーピース感覚でVネックをイン

着用したスーツは、細かな千鳥格子柄の入ったサージ素材のスーツ。ラペル幅の細いシャープなフロントのジャケットに、ノープリーツのパンツを備えたベーシックな一着。
グレーとブラックの配色から、遠目にミディアムグレーに映るこのスーツは、モノトーンの着こなしをチョイスすれば、シャープな印象が高まります。
スーツにシャツは合わせたい。けれど、タイは締めたくない。そんな人には、白のBDシャツに黒のVネックニットからなるVゾーンでモノトーンを構築するのがおすすめ。

タイがない間延びしたVゾーンを、Vネックニットがスリーピーススーツのヴェストよろしく、引き締めてくれるのです。
上質ウールの光沢が、千鳥格子と相まって、スタイル全体にエレガンスを与えてくれるのは言うまでもなし。

きちんとした作りのスーツを選んだなら、アウターでさらにカジュアル感を出すのもアリ。手持ちしている機能素材「ベンタイル」を使用した<バブアー>の名作「GAMEFAIR」を羽織れば、英国的なジェントルマンの雰囲気をクールに醸せます。







どこかに1点、仕事着として間違いのない仕様のウェアを取り入れながら、カジュアルな要素を持ち合わせた上品なウェアでバランスよくハズす。
身を置かれるビジネスシーンで浮かないことを意識しつつ、徐々に「抜け感」をつくることにトライしていけば、ご自身の“ビジカジ”の幅も広がっていくことでしょう。