連載コラム【音楽のある風景】 Vol.144

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2024.04.30 

グリーンレーベル リラクシングのBGMを選曲されている、選曲家の橋本徹さんより、コラム【音楽のある風景】が届きました。
どうぞお楽しみください!


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4月の選曲は、春を楽しみながら来たる季節を心地よく素敵に彩るために。
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桜舞う季節から、陽光あふれる新緑美しい季節へ。
気候的にもすごしやすい今日この頃、皆さんも春を楽しんでいらっしゃいますか?
僕は先月先々月とこのコラムでも紹介しました、“香りと音楽のマリアージュ”をテーマにご好評いただいているコンピ『Incense Music for Bed Room』の続編となる、『Incense Music for Living Room』を鋭意制作中で、今月はその予告編として、このコンピレイションのために新録音された音源2曲について、書いてみようと思います。

まずは、ジャズとチルアウトやバレアリックを結ぶシーンの日本のトップ・アーティストとして海外でも評価の高い、今回の“Incense Music”コンピ・シリーズでは音像にこだわったマスタリングも担当してくれているCalm。
彼にカヴァーしてもらったのは、僕が2008年に編んだコンピ『Groovy Summer Of Love』や昨年初めにコンパイラー・ライフ30周年記念でリリースされた『Blessing ~ Free Soul × Cafe Apres-midi × Mellow Beats × Jazz Supreme』にもセレクトしていた、至高のジャーマン・ロックにしてサマー・バレアリカ〜オリエンタル・スロウ・グルーヴとしても絶品のホルガー・シューカイ「Persian Love」。
Calmはこの名曲を、波の音やスティールパンの音色が心地よく、ヴァイオリンやフルートも美しい、ダビーな風合いの音響的な気持ちよさも格別な、素晴らしいヴァージョンに仕上げてくれました。

もうひとつは、カフェ・アプレミディ毎月第3金曜「Friday Lounge」のレジデントDJでもある注目のブライテスト・ホープ・アーティスト、作編曲家でキーボード奏者の武田吉晴。
CalmやChari Chariこと井上薫、ワールドスタンダードの鈴木惣一朗といった錚々たる面々が絶賛した、彼の2018年のファースト・アルバム『Aspiration』のオープニングを飾った「Bliss of Landing」も、『Incense Music for Bed Room』に収録させてもらいましたが、『Incense Music for Living Room』では、ジャズ・ヴィブラフォン奏者ボビー・ハッチャーソンが名門ブルーノートに吹きこんだ不朽の名品「Montara」のカヴァーをお願いしました。
そう、やはり僕が愛してやまない、スチャダラパー「サマージャム '95」などのサンプリング・ソースとしてやマッドリブを始めとする幾多のリメイクでも知られる、コンピ『Free Soul. the classic of Blue Note』にももちろん収めている、あの曲ですね。
「Bliss of Landing」も魂の奥底にある何かに優しく触れてくれるような、幽玄の響きと悠久の調べが醸しだす桃源郷感に惹かれる名作ですが、この新しく生まれた「Montara」も、そんな彼らしさが極まったような印象で、事前に「親指ピアノなんかも使って、スピリチュアル・メロウな武田吉晴らしい感じになったら、めちゃいいよね」なんて話していたのですが、想像以上に素晴らしい、聴いているうちに心がじんわりと温かくなるような、優しさと懐かしさ、サウダージが募る好ヴァージョンに仕上がっていると思います。
余談になりますが、僕は初めて聴いたときに、みんな大好きEVISBEATS feat. 田我流「ゆれる」のような、ラップを入れたテイクも聴きたくなってしまったほどでした。

そんな感じでリード・トラックに相応しい最高の2曲が完成した今、僕は感激のあまり、『Incense Music for Living Room』のその他の収録曲のセレクションにも、かなり気合いが入りまくっているところ。
Calmと武田吉晴の2曲は、あまりに素晴らしすぎるので、配信リリースのタイミングを早めて、GW明けにもスタートさせたいと、レコード会社に動いてもらっています。
もちろんその2曲は、7インチ・レコードでのシングル・カットも予定されていて、コンピCD/LPともども、FJDによるアートワークが今回も素敵すぎますので、ぜひぜひ楽しみにしていてください。
“香りと音楽のマリアージュ”をテーマに、心安らげるアンビエント〜ジャズ〜チルアウト〜バレアリカ〜ポスト・クラシカル〜ジャジー&メロウ・ビーツの珠玉の名作群が80分間にわたって紡がれ、美しいアートワークと素晴らしいマスタリングにより、生活の中で心地よくリラックスできる“音のアロマセラピー”のように繰り返し聴きたくなる至福のライフスタイル・コンピとなった、『Incense Music for Bed Room』の続編となる、橋本徹さん選曲の素敵なコンピレイション『Incense Music for Living Room』
橋本徹さん選曲のコンピ『Incense Music for Living Room』からの先行配信シングル、Calmによるホルガー・シューカイの名曲「Persian Love」の素晴らしいカヴァー
橋本徹さん選曲のコンピ『Incense Music for Living Room』からの先行配信シングル、武田吉晴によるボビー・ハッチャーソンの名作「Montara」の素晴らしいカヴァー

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橋本徹 (SUBURBIA)

編集者/選曲家/DJ/プロデューサー。
サバービア・ファクトリー主宰。
渋谷の「カフェ・アプレミディ」「アプレミディ・セレソン」店主。
『フリー・ソウル』『メロウ・ビーツ』『アプレミディ』『ジャズ・シュプリーム』『音楽のある風景』『Good Mellows』シリーズなど、選曲を手がけたコンピCDは350枚を越える。
USENで音楽放送チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」「usen for Free Soul」を監修・制作。
著書に「Suburbia Suite」「公園通りみぎひだり」「公園通りの午後」「公園通りに吹く風は」「公園通りの春夏秋冬」などがある。

http://apres-midi.biz
http://music.usen.com/channel/d03/
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