ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

店舗とオンラインを循環させる提案力。DXセールスマスターが語る接客の本質。

ヒト

2025.08.28

店舗とオンラインを循環させる提案力。DXセールスマスターが語る接客の本質。

〈ユナイテッドアローズ〉熊本店の販売スタッフとして店頭に立ちながら、DX活動にも力を注ぎ、スタイリングや情報発信を通して全国のお客様との接点をつくり続ける米濱 希さん。
 「365日、同じスタイリングはしない」を信条に、SNSや接客の現場で“おしゃれ心のスイッチ”を押すような提案を届けています。今年は令和のカリスマ店員を決める「スタッフオブザイヤー2025」にも挑戦中。熊本から、オンラインとリアルを横断しながら、日々の積み重ねを続ける米濱さんの想いに迫ります。

自分らしさを活かせる場所を求めて。東京、そして熊本へ。

— まずはじめに、米濱さんの入社のきっかけについて教えてください。

北海道出身で、大学進学を機に東京へ出てきました。学生時代に接客業のアルバイトをしていたのですが、人と接する仕事が楽しくて。将来もそんな仕事ができたらと思っていました。
就職活動のときは、空間デザインや空間演出の仕事にも興味があり、実際にいくつか内定もいただいていたんです。でも、同時に昔から洋服が好きだったのでアパレルにも惹かれていて、ユナイテッドアローズ(以下、UA)社を受けることにしました。
最終的にアパレルを選んだ理由は、UA社の面接で「この仕事は自分の頑張りがすぐに結果として返ってくる仕事です」と言われたことが大きかったです。不器用な自分にとって、“結果が見える仕事”の方が向いている気がして。それでアパレルの道に進むことを決めました。

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— 入社後は、どんなキャリアを歩まれてきたのですか?

最初は二子玉川店に配属されて、その後丸の内店へ。東京での勤務は5年ほどでした。その後、結婚を機に熊本に移り住んで、もう10年近くになります。
熊本は最初こそ慣れない部分もありましたが、今ではすっかり馴染んでいて、地元のように感じています。空が広くて、人との距離感も自然で、自分にとってすごく居心地の良い場所です。

復職を機に始めたDX。“伝える”ことへの挑戦。

— DX活動を始めたきっかけと、取り組む上で意識していることはありますか?

2019年に出産を経験して、育休から復職したタイミングで店長から「DX業務をやってみない?」と声をかけていただいたのがきっかけです。当時はDX業務がどういうことなのかもよくわかっていませんでした。でも、自分がやってきたスタイリングや接客との地続きな仕事だと感じたので、チャレンジしてみることにしました。
始めたばかりの頃は、三脚を使って自撮りするのも初めてで、どこで撮るか、どう見せるか、写真に写る表情なども含めて、毎日が試行錯誤でした。
意識しているのは、「誰かの“心のスイッチ”を押せるかどうか」です。自分が発信することで、“なんだかお店に行きたくなった”“これ着てみたい”と反応があった時が一番嬉しいです。

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— 発信を続ける中で、どんな変化がありましたか?

最初の頃は、投稿してもすぐに売上に結びつくわけではなかったので、「これで合っているのかな?」と不安もありました。でも続けていくうちに、店頭で「SNS見て来ました」と声をかけていただけるようになり、確実にお客様と繋がっている実感が湧いてきたんです。
ありがたいことに、全社DXの数値が上位に初めてなったときに、「これでよかったんだ」と自信につながりました。

365日違うスタイリングを。日々に変化を生む、私のスタイリングルール。

— 日々スタイリングを組むうえで、大切にしていることはありますか?

私は「同じスタイリングは365日しない」と決めているんです。アイテムを変えなくても、色の組み合わせやバランスを変えれば、いくらでも新しいスタイリングが生まれると思っています。限られた手持ちの中でどれだけ楽しめるか、という視点で工夫することが好きなので。その積み重ねで、スタイリングを組むスピードも自然と速くなりました。

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— スタイリング投稿で発信する際に意識していることはありますか?

特定のテイストに偏らないようにしています。たとえば「アクティブに子供とお出かけするママ層」や「仕事終わりにそのまま飲みに行く30代後半の女性」など、リアルなお客様の姿を想像しながらスタイリングを組むようにしています。
実際に店頭で接客しているからこそ、“こういう方に着てもらえたら”という具体的なイメージが浮かびやすいんです。

— 店頭での接客体験がDXにどう活かされていますか?

店頭で実際にお客様と向き合っているからこそ、「リアルな感覚」が持てていると思います。たとえば、「このコーディネート、反応がいいな」と肌で感じたときは、すぐにそれを撮影して投稿します。逆に、SNSのコメントでいただいた声をもとに、次の提案に活かすこともあります。発信と接客、どちらもやっているからこそ、“感覚と反応”を行き来できるのが強みだと思っています。

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店頭の接客時には、UAアプリに「店内モード」というバーコードスキャンを使って商品の詳細情報や、スタイリングを確認できる機能を使うことがあります。その中に私がスタイリングを組んだ写真が入っていることもあるのですが、お客様にご紹介し名刺代わりに活用することもあります。その他、他のスタッフが組んでいるアイテムとは違うモノを使うようにするために確認することもあります。

“誰かのきっかけになれたら”。挑戦が生む、あたらしい循環。

— DX活動の中で、ゴールドランクに認定され、講師を務められたこともあるそうですね。

今年からゴールドランクに認定していただいたことで、社内講習で講師をさせていただいたことがあるのですが、自分の経験を言葉にするのは想像以上に難しかったです。ですが、自分で考えた言葉で伝えることで、あらためて自分自身が学べた部分も多かったです。良い機会を頂けたと思っています。

— 昨年の「スタッフオブザイヤー」に刺激を受けて、今年は挑戦されると伺いました。

はい。昨年のグランプリを受賞した栗本さんの挑戦する姿を見て、すごく感動したんです。「私も誰かの力になれる発信をしたい」と思って、自分も挑戦してみることにしました。
自分の活動が、他のスタッフにとって何かのきっかけになったら、それがいちばん嬉しいです。自分ができることを精一杯やってみようと思います。

日々を支える、小さな道具たちと特別なスポット。

— 米濱さんの仕事に欠かせないアイテムを教えてください。

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DX活動の際に欠かせないのは、やはりスマートフォンです。撮影から投稿まですべてこれひとつで完結するので、絶対に欠かせないです。あとは、肌身離さず持っているのがシルバーの名刺入れ。名刺はいつでも渡せるようにしています。撮影のときには、顔まわりの血色を良く見せるためにBBクリームとリップは必ず使用しています。自然なトーンを大事にしながら、ほんの少しだけ華やかに見えるよう意識しています。
それから、オンオフの切り替えに欠かせないのがハーブオイル。撮影前や業務の合間に使うと、ふっと気持ちが整って、スイッチが入るんです。

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アクセサリーは私物と店舗のアイテムをミックスして、その日のスタイリングに合うよう自分らしいバランスを大切にしています。お気に入りは〈ローラ ロンバルディ〉のピアス。とても軽くて、顔まわりが明るく見えます。

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—熊本でおすすめのスポットはありますか?

熊本市内にある「加藤神社」はとてもおすすめです。高台にあって、熊本城を間近に見れるロケーションです。眺めが本当に気持ちよくて、自然と背筋が伸びる場所。
私は人生の節目や迷ったときには、必ずこの神社にお参りに行くようにしています。何かを決めたいとき、気持ちを整えたいとき、ここで深呼吸すると心が落ち着くんです。

ファッションを通じて、心を動かす存在に。

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— 最後に、これから目指していきたい姿を教えてください。

店頭でもオンラインでも、お客様の「気持ちを動かす瞬間」をつくれる存在でありたいです。服を売ること以上に、“このお店に行ってみたい”と思ってもらえる体験をつくることが、私にとって大切なことなんです。
自分自身もファッションを楽しみながら、誰かの“おしゃれ心”にそっと火をつけるような、そんな発信をこれからも続けていけたらと思います。

PROFILE

米濱 希

米濱 希

2011年入社 UA 二子玉川店へ配属。その後丸の内店を経て、2015年へ現在の熊本店へ。商品担当者を経験後、2021年からDX活動に力を入れ、後輩の育成も兼務。2024年DXセールスマスターシルバー認定、今期は社内唯一のゴールド認定者となる。

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