
ヒト
2016.02.10 WED.
とんだ林蘭さん×アナザーエディション。
コラボ誕生秘話と裏トーク♥
2016年春、ブランド設立15周年を迎える「アナザーエディション」。そのアニバーサリーコラボレーションの相手として白羽の矢が立ったのが、今話題のアーティスト、とんだ林蘭さんです。Instagramで次々と発表されるイラストやコラージュの数々は、かわいくてポップ、そこに少しの毒っ気があるのがたまらなくキュート! 実はとんだ林さんとディレクターの神出さんが旧知の仲で、今回のコラボアイテムはふたりが感性を刺激し合ってつくり上げたもの。ふたりの出会いからコラボに至った経緯、そして恋愛観まで(?)、リラックスして語ってもらいました。
Photo_ Kengo Shimizu
Text_ Maho Honjo
感性豊かなふたりのひらめきがカタチになったら?
神出:最初の出会いは、共通の知り合いのスタイリストさんの紹介だったね。「おもしろい子がいるからごはん食べに行かない?」って言われて。蘭ちゃんの作品を見ていて、普通に話せるかな、エキセントリックな子だったらどうしようって思ってた(笑)。
とんだ林:私は「アナザーエディション」、それもディレクターさん!? ってカチコチに緊張してたのを覚えてる。でも終わってみればすごく楽しい時間でした。最初から気が合ったといえばよいのかな。
神出:だから、15周年のコラボレーション企画の話が出たときは、すぐにお願いしたいと思ったの。今回はカルチャーを感じさせるアーティストと組みたいと思ってたし、何より私がInstagramで蘭ちゃんの作品をアップしたときの反響がいつもすごくて。これはお客様が好きなテイストだからイケる! と感じて、昨年秋の個展で声をかけたんだよね。
とんだ林:そのときは、Tシャツとかの簡易的なグッズはつくっていたけど、もう少しモノ寄りの何かがつくれたらいいなと思っていたところ。いつもは自分のアートワークがどんなアイテムに合うかとかは考えないんだけど、「これとパールが絡んだら楽しいかも」とか「あ、ソックスは?」なんていうひらめきを口にしたら、それをおもしろいと言ってくれて、ラインナップはすんなり決まった気がする。
神出:特に手がけたいと話していたのがクラッチ。もともとキャンバス地のプレーンなタイプは人気があったから、ここに蘭ちゃんのグラフィックを載せたらどうだろうって。
とんだ林:見事にはまったよね。でも今回、あえてブランドらしさは意識しすぎず、つくりたいものをつくることを心がけていたの。自分の軸がブレると全体がブレてしまう気がして。
神出:私が心がけていたのは、まず“商品としての魅力があるかどうか”。そして“アーティストが納得するかどうか”。どちらにしろスムーズに進んだのは、蘭ちゃん自身が20代で、「アナザーエディション」の等身大だったこともあるのかな。
とんだ林:展示会でも普通にお洋服をオーダーしたものね。ほら、今日着ているワンピースもそう。自分と世界観が似ているブランドに仕事のフィールドを広げてもらって、すごく感謝しています。
ふたりが好きなのは、アートの現場と少々の毒。
とんだ林:神出さんはすごくアートに詳しいでしょう? どこで勉強しているの?
神出:ディレクターという仕事柄もあるけれど、ミュージアムやギャラリーを巡るのがすごく好きなの。
とんだ林:ちなみに、好きなミュージアムは?
神出:一番好きなのは、パリのモンマルトルにある美術館「アル・サン・ピエール」。「HEY!」というアウトサイダーアート専門誌があって、そのエキシビションをやるのがここ。そのマガジンはもちろん、エキシビションブックもすごく素敵で、パリに行ったときは必ず訪れているかも。少しグロテスクな表現もあるのだけど、そこを含めて最高だから、ぜひ観てほしい!
とんだ林:こうやっていつも興奮気味に教えてくれる(笑)
神出:でも逆に、蘭ちゃんは知識ではなくて感性で作品を生み出しているでしょう。いつもセンス豊かな大人たちに囲まれているよね。名付け親は「レキシ」の池ちゃん。木村カエラさんや「スカパラ」のツアーグッズデザインも手がけていて。
とんだ林:もともとは販売の仕事をしていたけど、それこそ池ちゃんみたいに好きなことを仕事にしている大人が周りに大勢いて、自分も何かをやりたいってずっと思ってた。25歳で「絵をやる」って宣言したときも「いいじゃん、やりなよ」って言う人しかいなかったから、その気になっちゃったというのかな。何も考えずに始めたのがよかったのかも。
神出:蘭ちゃんの作品は、女性から見たかわいらしさはもちろん、そこに少しの毒っ気がある。ちょっとギリギリな感じ。ただかわいいだけじゃない、アウトサイダーなところがすごく素敵だと思います。
とんだ林:ありがとうございます!
神出:作品をつくるときは、とにかく手を動かすところから始めるんでしょう?
とんだ林:何か描くものやつくるものを決めてしまうと、作品が固くなっちゃってうまくいかないの。今日は目玉焼きが気になる。今日はお花が気になる。その気になったものをモチーフに、まずは手を動かしてみるのが向いているみたい。逆に溜め込めない。瞬間ごとに発散というか、解放というか、そういう感覚なんです。
「やりたいことをやるから楽しい」が連鎖するふたり。
神出:私と蘭ちゃんの共通点ってなんだろう?
とんだ林:ふふ、真面目なところ?
神出:アーティストさんって、少しゆるめだったり、はたまた気難しかったりする人もいるんだけど、蘭ちゃんは真面目で志に満ちている。作品からしてぶっ飛んでいる人かと想像していたから、そこはすごく驚いたの。
とんだ林:神出さんもすごく真面目。そして意欲満々。ビジネスの話なんだけど、気持ちがこもっているのが伝わってくるから私もそれに呼応してしまうのかも。
神出:アーティストと関わるときは、その人の世界観ありきでスタートするわけだから、その人自身に納得してもらいたいという気持ちがまずある。そこを話すと蘭ちゃんもしっかり応えてくれるんだよね。
とんだ林:あ、でも恋愛面は、まったく違うね。私、恋愛体質だから。
神出:私、全然恋愛体質じゃない(笑)。
とんだ林: そうそう(笑)。だからいつも相談しあえて楽しいです。
神出:さて。蘭ちゃんとのコラボレーションは第二弾が4月に始まるのだけど、そこでは夏らしいビーチバッグやビーチサンダル、そして私たちが熱望していたコスメが登場します。蘭ちゃんといえば、真っ赤なリップ。そこでリップ&チークを3色出すことにしたんだよね。
とんだ林:コスメのパッケージデザインは夢だったので、すっごくうれしいです。
神出:今年の9月にもまた個展をやるんでしょう?
とんだ林:今年は立体物、それも保存しておける立体物を手がけようかなと思っています。今まではその場その場の瞬間的な作品が多かったので、新境地になりそう。今回のコラボレーションも、秋の個展も、自分がやりたいことだからやる。やりたいと思ったことは遠慮しないと決めているの。
神出:やりたいことをやるのは楽しい。楽しいからがんばれる。そういうモチベーションのもち方も似ているのかもね。
カルチャー色豊かな、ふたりの想いが形になる。
マグカップ
ソックス,パールアクセサリー
INFORMATION

PROFILE

とんだ林蘭
1987年生まれ。イラストやコラージュなどの作品をInstagramにて次々と発表し、フォロワーはすでに1万8千人を突破。東京を拠点に活動する、今注目の次世代アーティスト。ポップなビジュアルに少しの毒を感じさせる作風が特徴で、木村カエラ、東京スカパラダイスオーケーストラのツアーグッズなども手がけた。
オフィシャルサイト:tondabayashiran.com
インスタグラム:@tondabayashiran
ツイッター:@tondabayashiran

神出 奈央子
Another Edition クリエイティブディレクター。1984年奈良生まれ。2008年Another Editionの企画デザイナーとして入社し、オリジナルのウェアを担当。2015年より現職。趣味はキャンプとLIVE。音楽とアートを愛するサブカル女子。