ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ヒト

2022.08.19 FRI.

『スタッフオブザイヤー2022』ファイナリストが語る、接客の極意。

アパレルブランドに所属する店舗スタッフの中から、 “令和のカリスマ”店員を決めるコンテスト「スタッフオブザイヤー2022」のファイナリスト16名に選ばれた「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング ルミネ新宿店」の花嶋 知栄子さん、「ユナイテッドアローズ 名古屋店」の平田 奈実さん。全国8万人以上から勝ち抜いたふたりにとっての“接客”という仕事とは。こだわりや信条を伺うと共に、販売職の魅力ややりがいについて語ってもらいました。

Photo:Yuco Nakamura
Text:Shoko Matsumoto

お客様を惹き付ける
異なるアプローチの仕方。

—「スタッフオブザイヤー2022」のファイナリストに選ばれた感想をお聞かせください。

平田:わたしが〈ユナイテッドアローズ〉以外でどこまで通用するかという好奇心と期待が半分、昨年開催された動画を観ていたので不安な気持ちが半分ありました。大会が近づくに連れて、毎日店舗のメンバーと経験のないライブ接客の練習をしたりして、どんどん楽しみが増えていきました。これまでやったことがないことに挑戦するのが好きなので、とてもワクワクしました。

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花嶋:ランキングの動向が目で見てわかる仕組みになっていたので、最初は下位だったのですが、もしかしたらイケるかも? という雰囲気がお店の中で生まれていました。そのとき、ちょうどセールがはじまるタイミングだったのですが、SNSを投稿し続けたらどうなるんだろうと思い、より強化したらランキングが上がっていったので、やればやるほど目に見える変化があることを実感しました。ファイナリストに選ばれたよろこびというより、その数字の変化に興味がわきました。大会に関しては、今後社内でも取り組めるなにかを得られるかもしれないので、やるならとことんやろうと思いました。なにかのきっかけづくりになったらいいなと思って参加しました。

—なぜ「スタッフオブザイヤー2022」のファイナリストに選ばれたと思いますか?

平田:2020年の初め頃、スタッフスタイリングの投稿をはじめました。コロナ禍をきっかけにお客さまが店頭でお買い物を楽しむことが難しくなってしまい、でも、そんなときだからこそファッションを楽しんでほしいという気持ちでスタートしました。わたし自身、オンラインで購入する際にサイズ感などに不安を感じてしまうんです。その不安な部分を少しでも解消できるように、ひとつのアイテムをご購入いただけたら、どれだけ着まわして楽しむことができるか、限られた時間でできる限り多くコーディネートを組んでアップしました。週に2日、勤務時間の朝の時間を30分割いて、6〜7体は撮影するようにして。それがお客さまに伝わったのかなと思っています。

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花嶋:お店のスタッフでスタッフスタイリングとスタッフボイスというミニブログを分担する際、どう投稿したほうがいいのか難しそうだったからこそやってみようと挙手しました。そこになにか発見があるかもしれないと思えたからです。ネットだと素材やサイズ感、洗濯の可否などわかりやすい表記がメインになります。でも“二の腕が隠れる”とか気になる体型の悩みをカバーする”といった、お客さまが気にしているであろう情報を題名に取り入れるようにしました。そうするとわかりやすく数字にも反映されましたし、お客さまが潜在的に感じていることを題材に取り入れたことがポイントだったのかなと思います。

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—「スタッフオブザイヤー2022」に出場した際は、どんなことを意識していましたか?

平田:周りにインスタグラマーの方など、個性の強い方々がたくさんいる中でも、自分らしさと、大好きな〈ユナイテッドアローズ〉の洋服の魅力をみなさんに伝えたいという気持ちで挑みました。会社が大事にしている真心と美意識という部分は、必ず表現したいと思っていました。

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第一次審査のライブの接客シーン。

花嶋:第一審査のライブ接客は初めての挑戦だったのですが、第二次審査の接客ロールプレイングは、通常の接客という視点でいえば弊社の強みの部分だと思いましたので、そこで本領発揮できればいいなと考えていました。本番前にみなさんが発声練習などをされていて雰囲気に飲まれそうでしたが、なるべくナチュラルでいられるよう心掛けました。

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二次審査のロールプレイングのシーン お客さま役はスパイクの松浦 志穂さん、小川 暖奈さん。

—「スタッフオブザイヤー2022」に出場して、心情の変化などはありましたか?

平田:ライブ接客という、いままで経験したことがないことに挑戦をしたことで、学べることがたくさんありました。今後も機会があればトライしてみたいです。店頭での接客に関しても、これまで自分が気付かなかったこととか、こういうこともできるのか、という発見もたくさんあって、いますぐにでも現場で生かしたいと思いました。

花嶋:応援に来てくれていたスタッフが「次は自分が出られるようにがんばります」と言ってくれたことがすごく嬉しいかったですね。周りのメンバーやスタッフに、少しでもいい影響を及ぼせたのなら幸いです。わたしは店長なのですが、本望としてはお店のスタッフにもっと表に出ていってほしいと思っています。

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「ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング ルミネ新宿店」のスタッフ19名と、以前一緒に働いていたスタッフからの寄せ書き。「他の出場者は寄せ書きとか書いてもらってるらしいよ、と自分から言ってしまったんですよね(笑)。でも、実際にもらったらすごく嬉しかったです」。(花嶋)

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若手からベテランまで、「ユナイテッドアローズ 名古屋店」のスタッフ総出で送られたメッセージ。「胸がいっぱいで…涙が出そうだったけど泣かないと決めていたので耐えました(笑)。仲のいいスタッフが手作りのアンクレットをくれて、大会にはお守りとして足首につけて参加しました」。(平田)


接客とは洋服を売る以上の
価値がある仕事。

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—ご自身が接客の際に心掛けていることを教えてください。

平田:わたしはスタッフ、お客さま問わず、第一印象がクールに見られがちなんです。「中身はそんなことないんだよ」というのをわかっていただくため、満面の笑顔を心掛けているのと、お客さまとの心の距離を縮められるような共通の話題探しをしています。洋服に対する不安や悩みを相談していただきやすい空気感を意識することが大切だと思っているんです。そのために見守りつつ、困っている様子を見たらさりげなくお声掛けします。そして商品の説明から入るよりは、挨拶と日常の会話から入るようにしています。

花島:わたしは雑談力を高めることと、お客さまが喋りやすい空気感を作るように心掛けています。お客さまは「なぜ探しているのですか?」「なぜそう思ったんですか?」など「なぜ?」という質問をすると、応えてくれることが多いんです。“WHY”を投げかけて、その答えを拾って、どれだけ雑談を広げるか。そうすることで、お客さま自身でも気付かなかったところに一緒に気付くことができて、共に探していくことができるんです。

—他の方にはない、ご自身なりの接客方法などありましたら教えてください。

平田:わたしはメイクやネイル、美容関係など、洋服以外も好きなので、お客さまに新作のコスメなどを紹介するようにしています。元々ネイリストだったこともあり、ネイルやメイク、アクセサリーなどトータルでのコーディネート提案をするようにしています。

花嶋:お客さまに「花嶋さんとお話すると楽しい」とおっしゃっていただくことが多いので、わたしなりの話の広げ方、距離の詰め方があるのかもしれません。あとは先ほどお話した雑談力ですね。モノを売るだけではなく、わたしと話すことで少しでも「あの店員さんの話楽しかったな」と思っていただけたら嬉しいです。ふらっとご来店くださったそのきっかけが、楽しい時間だったらまた来ていただけるかもしれません。その時だけの出会いではなく、その次に繋がる時間になるという意識でお客さまとお話しています。

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—忘れられない接客中のエピソードがありましたら教えてください。

平田:わたしのスタッフスタイリングを見て初めてご来店してくださって、接客時に着用していた洋服を気に入って一式ご購入くださり、そこからSNSもフォローしてくださって、以来頻繁にご来店くださっている顧客さまがいます。年齢が離れている方なのですが、わたしが洋服を提案するときに大事にしているモノトーン、上品さ、機能性を気に入っていただき「平田さんのおすすめは信頼できる」「メイクの仕方を教えて」など、いつも楽しく接客させていただいています。わたし自身もプライベートの相談などをするのですが、母のように見守ってくださって、また自分も刺激を受けます。洋服を売るだけではなく、人として近い関係性になれたのは忘れられない思い出です。

花嶋:〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング〉のセットアップは丸洗いもできて、シワにならず、機能性が高いんです。シンプルだし着まわしもできるし、仕事着として使い勝手がとてもいいことをわたし自身もお客さまにお伝えしていました。ところがある日、「このセットアップを着ていったら大事な会社のプレゼンに成功したので、また買いにきました」というお客さまがご来店されたんです。洋服を着ることの意味が、実用性ということだけでなく、ポジティブな感情に作用するものでした。〈ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシング〉のセットアップを着て挑んだら明るい未来が待っていたということを、わざわざ教えてくださったこともすごく嬉しかったです。身につけるものがお守り代わりになるという、洋服の持つパワーを感じました。

平田:接客は洋服を購入していただく以上の価値がある仕事ですよね。お客さまが〈ユナイテッドアローズ〉の洋服を着てどこか旅をしたら、自分も一緒に行った気分になるような気がします。

花嶋:モノを売るだけではなく、お客さまの気持ちを上げて、未来を明るくする仕事だと思います。

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—今後の展望についてお聞かせください。

平田:店頭での接客はもちろんですが、SNSをはじめたことでお客さまからDMでお悩みや質問をたくさんいただくようになりました。店頭とオンラインでの接客を両立させて、全国のお客さまをもっと魅力的にしていきたいです。またいずれは接客の仕事を通して、お客さまの声を反映させた、モノづくりにも携わってみたいです。

花嶋:わたしは平田さんのようなスタッフをもっとたくさん育てたいです。「スタッフオブザイヤー2022」をひとつのきっかけとして、がんばりたい、チャレンジしたいという人を増やしてきたいですし、そういう刺激を受ける環境を整えられるようにしていきたいです。

PROFILE

平田 奈実

2017年ユナイテッドアローズ 名古屋駅店入社、名古屋駅店の立ち上げに携わり、2021年ユナイテッドアローズ名古屋店に異動。オンラインストアのスタイリングやSNSでの発信に力を入れ、オフラインだけでなくオンライン接客に日々従事している。
Instagram:@_namihirata_

花嶋 知栄子

2005年ユナイテッドアローズ ルミネ新宿店に入社。その後様々なブランドを経て、2020年グリーンレーベルリラクシング ルミネ新宿店に異動。現在は店長を務めている。

JP

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