ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること ヒトとモノとウツワ ユナイテッドアローズが大切にしていること

ヒト

2018.01.25 THU.

好きこそものの上手なれ。根っからのスーツ好きがスーツを売るということ。

フードや雑貨、ファッションに至るまで、さまざまなお店が軒を連ねる東京駅の八重洲地下街に、“通勤”にフォーカスしたビジネスウェアを展開する〈WORK TRIP OUTFITS GREEN LABEL RELAXING(ワークトリップ アウトフィッツ グリーンレーベル リラクシング)〉ができたのは2016年の秋のことでした。オープンから1年と数ヶ月が経過し、いまではたくさんのお客さまが足繁く通う人気店へと成長を遂げています。その原動力となっているのが、スタッフの徳山優汰さんです。「この店ができると聞いて運命的なものを感じました」とは徳山さんの言葉。彼がこのお店にもたらしたのは一体どんなものなのでしょうか? その真相に迫ってみましょう。

Photo:Takeshi Wakabayashi
Text:Yuichiro Tsuji
Special Thanks:Kazumi Toyota

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一冊の本がきっかけでスーツが好きに。

ーまずはじめに、〈ワークトリップ アウトフィッツ グリーンレーベル リラクシング〉とはどんなお店なのか教えてください。

徳山:通勤にフォーカスしたビジネスウェアを展開するお店です。毎日の通勤スタイルの幅を広げるのはもちろん、スーツには防シワやストレッチといった機能を備えているので、通勤中のストレスも解消できるような提案をしているんです。日々の通勤がより楽しい時間になるとうれしいです。

ー通勤の幅というのは?

徳山:例えば仕事中ジャケットを脱いで椅子にかけたり、手で持ちながら外回りをする状況でも、防シワ機能があればその後そのまま着ることできます。毎日家と会社を行き来するだけではなくて、買い物へいったり、ジムに行ったりと機能面からお客さまのライフスタイルをサポートして、通勤の可能性を広げられたらと思っているんです。

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ー徳山さんは、このお店に所属する前はどちらのお店にいらっしゃったんですか?

徳山:千葉にある〈グリーンレーベル リラクシング〉のお店にいました。もともとスーツが好きで、そのお店でもドレスフロアの担当だったんです。

ースーツのどんなところに惹かれているんですか?

徳山:私がスーツに興味を持ったのは学生の頃です。もともとファッションが好きでいろんな本を読みながら勉強をするうちに、1冊のスーツに関する本との出会いがありました。そこにはスーツの構造や着こなし方に関することはもちろん、歴史やそれを着る人の心構えに関しても記されていて、その精神性にすごく感銘を受けたんです。

ーいわゆるジェントルマンシップのようなものですね。

徳山:そうですね。「男たるものは」みたいな(笑)。それがすごくかっこいいなぁと思って、どんどんスーツの世界にのめり込んでいきました。いま仕事がすごく楽しいです。自分の好きなことはどんどん掘り下げる性格ですし、それを仕事に活かせるのがすごくうれしいんです。

ー〈ワークトリップ アウトフィッツ グリーンレーベル リラクシング〉ができると聞いたときに、どんなことを感じましたか?

徳山:運命的なものを感じました。体の中に電撃が走るようにビビッときて、自分が将来そこで働く姿が頭の中にすぐ浮かびました。それでオープニングスタッフとして働きたいと立候補したんです。オープンから1年とちょっとが経過しましたが、今はすごくやりがいを感じています。

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お客さまの気持ちに合わせて接客スタイルを変える。

ーお店にはどんなお客さまがいらっしゃるんですか?

徳山:丸の内、日本橋、京橋、銀座で働かれている方々や、東京駅と直結していることから出張で東京へ来られた方にもご来店いただいています。あとは就職活動でスーツを探されている学生のお客さまもいらっしゃいますね。年齢層も幅広いです。

ー店頭に立っていて、どんなことを意識しながらお客さまの接客をしているのか教えてください。

徳山:ホスピタリティーを感じていただくことを意識しています。私たちのお店はまだまだ知名度も低いですし、1店舗目ということもあってすべての環境が完璧に整っているわけではありません。そういったお店にわざわざ足を運んでくださったお客さまに感謝の気持ちを持って接する。自分の力を最大限、お客さまのために尽くすことを毎日心がけています。

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ーこれまではカジュアルウェアも展開するお店にいらっしゃいましたが、今はビジネスウェアのみの売り場にいて、接客のスタイルなどに変化はありましたか?

徳山:変わりましたね。このお店に来店されるお客さまは、お買い物を早く済ませたい方と、じっくり悩まれたい方の2種類に別れるんです。どちらのお客さまに対してもしっかりとおもてなしすることはもちろん、早く済ませたい方にはスピーディーにご案内して、じっくりのお客さまにはお悩みに対して真剣に向き合いご提案させていただくことを心がけています。

ーお客さまのお気持ちに合わせて流動的に接客をされているんですね。

徳山:そうですね。あとは自分が接客を担当したお客さまのお顔とお名前、お話した内容をノートに書いて覚えるようにしています。毎朝店頭に立つ前にそのノートを読み返して、すべてのお客さまのデータをインプットしてから仕事をはじめるようにしています。

ーそれはどうして?

徳山:お客さまのことを忘れないためです。再来店された際にしっかりとご案内をしたいので。はじめは大変でしたが習慣化してしまうと、楽しくなりました。それに加えて、お買い上げいただいたお客さまには必ずお手紙を差し上げるようにしています。

ーそれもまた大変そうです。

徳山:それを仕事と捉えると大変なのかもしれませんが、私はそうは思っていません。単純にお客さまへの感謝の気持ちをお伝えしたいんです。

ーなるほど。

徳山:もともと学生のときにカフェでバイトをしていたんです。そのときに接客の楽しさに気づきました。自分の気持ちや言動がお客さまの喜びに繋がる。それがなんだかうれしくて、接客が好きになりましたね。

ー〈ワークトリップ アウトフィッツ グリーンレーベル リラクシング〉では、実際に再来店されるお客さまも多いんですか?

徳山:お陰さまでたくさんのお客さまに再来店いただいています。私たちのお店はスーツのお店ですが、堅苦しい雰囲気ではありません。スタッフみんな明るく、親しみやすくて愛嬌があります。だからお客さまも足を運びやすいのかなと。

ー確かに、店内は明るい雰囲気で敷居が高いといったイメージはないですね。

徳山:それに私たちのお店では、女性スタッフが男性のお客さまをご案内したり、我々男性スタッフが女性のお客さまの接客を担当することもあるんです。異性の視点で接客をすることで、お客さまに新しい発見を提供することができて、それがお客さまにとってひとつのメリットになるのかなと考えています。


ただ正直に仕事をしているだけ。

ーオフの日はどんなことをして過ごしていますか?

徳山:丸の内を散策することが多いです。街の雰囲気がすごく好きなんです。好きなお店もありますし、カフェで友人とランチするのも大切な時間です。スーツで歩く方もたくさんいますし、そういった方々を眺めながら「こういうスーツの着方もあるんだ」と参考にしたりもできるんです。

ー徳山さん自身もお休みの日にスーツを着ていらっしゃるんですね。

徳山:なんだかスーツを着ると心が落ち着くんです。それにジャケットに袖を通すと背筋が伸びるし、「出かけよう!」っていう気持ちになります。

ー好きなスーツのスタイルなどはあるんですか?

徳山:正統派なブリティッシュスタイルも好きですし、イタリアンスタイルも好きです。そのときの気分によって色々スタイルを変えています。やはりスーツは基本が大事ですから、ルールをしっかり守った上で遊びを加えるのが楽しいですね。

ーそういった着こなしのルールと遊びをお客さまにもお伝えしたりしているんですか?

徳山:もちろんお伝えしています。ルールを知らずに着こなしで遊んでしまうと、どこかバランスの悪いスタイリングになってしまうんですが、しっかりとルールを守った上でアレンジすると、ユニークなスタイルができあがる。接客を通してそういった着こなしを提案すると、「そうなんだ!」と新しい発見をしてくださるんです。それがまたお客さまと私たちの信頼関係に繋がるのかなと思っています。

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優しくて丁寧な徳山さんに次回も担当をお願いしたい。

―顧客様の「豊田一海」様とはいつからのお付き合いなのでしょうか?

徳山:「ワークトリップ アウトフィッツ グリーンレーベル リラクシング」に異動してはじめてできた顧客さまです。

―徳山さんの魅力はどんなところですか?

豊田:徳山さんはしっかりと自分を見てくれている感覚があって、はじめて接客を受けた際に声をかけてくださるタイミングや、接客の所作が本当に見事でした。それ以来ずっと徳山さんに接客をお願いしています。

―これまでの徳山さんの接客でうれしかったことや心に残っているエピソードはございますか?

豊田:はじめての接客のあと、自宅にスーツが届いた際に手書きのメッセージが添えられていたんです。しっかりと考えられた言葉が綴られていて、今まで洋服を買ってそんなことをしてくれた人なんていなかったので、すごく感動しました。本当に丁寧で優しい方だなと思って、次もお願いしようと決めたんです。

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「東京以外にもつくってほしい」という声に応えるために。

ー“好きこそものの上手なれ”という言葉がありますが、徳山さんはまさにそれを体現していますね。

徳山:私はただ正直に仕事をしているだけなんですけどね。それが一番大事だと思っているので。

ー最後に、徳山さんの今後の目標を教えてください。

徳山:もっともっと、〈ワークトリップ アウトフィッツ グリーンレーベル リラクシング〉の認知度を上げたいです。そして私たちが扱うスーツの魅力をいろんな人に知っていただきたい。そうするにはまず、私たちが働く八重洲店で結果を残して、2店舗目をつくれるようにしたいと思います。実際にお客さまから「東京以外にもお店をつくって欲しい」という声を聞くこともあるんです。そういったご要望にお応えするためにも、しっかりと地に足を着けて毎日を頑張っていこうと思っています。

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PROFILE

徳山 優汰(とくやま ゆうた)

2015年入社。「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング 千葉オーロラモールジュンヌ店」(現在は閉店)を経て、2016年「ワークトリップ アウトフィッツ グリーンレーベル リラクシング 八重洲店」に異動。昨年、八重洲地下街主催のロールプレイングコンテストで1位を受賞。

JP

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