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2022.02.03 THU.
女性に寄り添うブランド「WRAY(レイ)」と考える、フェムケアの重要さ。
ここ数年で耳にする機会が増えた“フェムテック”。「女性が抱える身体的な悩みをテクノロジーの力で解決する」という意味の造語で、デジタル領域だけでなく、そこにアプローチするフェムケアアイテムも数多くリリースされています。でも、まだまだ知らない女性が多いのでは? 〈WRAY〉代表の谷内 侑希子さんは、身体的な悩みを解決するだけではない、女性をサポートするセルフケアブランドとして、プロダクトを通してさまざまな発信をし続けています。〈ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ〉が今シーズンから取り扱いをスタートする、女性に寄り添うフェムテックブランド〈WRAY(レイ)〉――その想いを代表の谷内 侑希子さんにお伺いしました。
Photo:Yutaro Yamane
Text:Mariko Urayasu
“働く女性”が光輝くきっかけづくりがしたかった。
─証券会社にコンサル、PR業を経て、フェムテックブランドの代表に。どういった経緯で〈WRAY〉をはじめることになったのでしょうか?
祖母も母も会社を経営していて「女性が舵切りをして働く」という環境で育ったので、自分も大人になったら一生懸命働くんだろうな、という意識が自然にあったんです。高校生、大学生のときもバイトをしていたし、大学卒業後も早く自立したいと考えていました。
結婚後、海外へ行くことになるのですが、その前に出産。海外へ渡り約2年間の専業主婦を経て、帰国後、コンサルティング会社、PR会社でマーケティング、経営企画などのノウハウを勉強。2020年に起業し、自分の経験を通して感じた女性の課題をテーマに〈WRAY〉をスタートさせました。
─〈WRAY〉は女性に寄り添うセルフケアブランドですが、以前のお仕事とは全く違うフィールドですよね?
〈WRAY〉はフェムテックやフェムケアに軸を置いたブランドではあるのですが、それを起点に、女性のキャリアとライフプランの両立ができるよう、長く女性をサポートしていけるブランドになれば良いな、と思っています。わたしが、いまよりももっとハードワークをしていた頃生理不順になり婦人科に行ったら、睡眠不足や生活リズムの崩れに加えて、「ストレスも原因だろうけれど、よくある話だよ」という先生の言葉にショックを受けたことがあります。
毎日一生懸命仕事をしていて、誇りも持ち、“元気にやっている”と思っていたので、「わたしって本当は弱いのかな…」と気持ちが沈んでしまったんです。その後回復はしましたが、その言葉が、心にも身体にも悪い意味で響いてしまって。生理不順がきっかけで、いままでのものが崩れてしまったような感覚でした。
結婚後、1人目の子どもは妊活の末無事授かりましたが、2人目の子どもが欲しくて妊活をはじめたら3年掛かり、精神的にも参ってしまって。時間も取られるし、ホルモン剤の影響もあったと思うのですが、気持ちが振りまわされて、メンタル面では“こんなのは自分じゃない”という感覚を覚えたことも多々ありました。
─生活と仕事を両立できないことにもどかしさというか、ご自身の想像とのズレを感じていたのでしょうか?
ずっと、成果を残そうと働いてきて、働きながら自分が思い描いてきた人生のライフプランもありました。でもそれが、女性特有の悩みをきかっけに全然うまくいかなくって。女性にとって働き方や日々の過ごし方などのライフスタイルは、健康はもちろん、妊娠出産などのライフプランにもとても強く紐づいていると感じました。同時に、生理不順や妊活を通じて女性が人生と仕事を両立させるための課題をものすごく感じました。そこで全女性、特に働く女性が、女性特有の悩みに出くわしたときに手助けができ、仕事をしていくうえで、また、女性として生きていくうえで、長く、長く寄り添えるモノを作りたい。それには女性が自分の身体のために行動を起こす、セルフケアに焦点を当てたいと思ったんです。そこで誕生したのが〈WRAY〉です。
とにかく女性の目に留まるアイテムづくりが重要。
─〈WRAY〉にはどんなアイテムがあり、どんなことをモットーにしているのでしょうか?
ブランドをスタートするにあたって、女性約100人にリサーチしたところ、PMSを感じている人が約85%もいるのに対して、それがPMSだということ自体も知らない、何も対策をしていない、知ろうともしていない、という人がとても多かったんです。そのことにとても驚いたし、そういう現実に違和感がありました。なんか話しちゃいけないような、人に言ってはいけないような雰囲気があるとも思いました。
なので、セルフケアという軸のもと、セルフケアアイテムと、LINEでの生理トラッキングサービスの二つを展開しています。セルフケアアイテムは、“ラフに手に取れて、話題にしたくなるようなアイテムづくり”という点を大切に、カテゴリーを「スキンケア」「インナーケア」「ライフスタイル」「アパレル」の4つに。本来なら1カテゴリーからはじめた方が良かったのかも知れないですが、いろいろなところにセルフケアのためのアイテムが並び、いろんなタイミングで目に飛び込んでくる状態にしたかったんです。
アイテムが入っている箱は、箱の形ごとにロゴの見え方を変え、いろいろな面を持つ女性を表現。
それからLINEで月経周期をトラッキングできるサービス(2022年2月現在は無料)は、生理開始予定日の10日前、5日前、1日前にLINEでお知らせが届きます。少し前にわかることでイライラや気分の落ち込みの原因として自覚できたり、生理に向けての準備や、その時期に合ったセルフケアの仕方がわかると好評です。お友達登録するだけで使用できるので、ぜひ使ってみていただきたいです。
〈WRAY〉は“Woman”の頭文字の「W」と、“真っ直ぐな一筋の光、放射状に広がる光”を意味する「Ray」を掛け合わせたもので、女性がまっすぐに光輝いて、それが広がっていって欲しい、という願いを込めています。その想いが伝わるようにロゴデザインには時間を掛けました。女性が羽ばたいているイメージで羽のような曲線を入れたり、力強さを感じられる文字の太さも計算したり。女性なら誰もが感じたことがあるだろう気持ちのゆらぎを表現したくて、うねりのある線を箱に描いたり。そしてそれがデザインとしておしゃれで素敵に見えて目に留まり、手に取ってもらえる、それも狙いたかったので、何度も調整しました。箱の素材は再生紙を利用したり、コンパクト化を計ったり、サステナブルの観点からも工夫をしました。
―既にたくさんのアイテムがラインナップしていますね。
生理のときやホルモンバランスの影響で感じる悩みの中から、ストレスに感じている方が多いカテゴリー順にアイテムをリリースしています。まずは、肌荒れ、次にイライラや体の冷え、最後にデリケートゾーンのケア。毎日のルーティーンに落とし込みやすいアイテムがほとんどなので、スキンケアやインナーケアはリピートしてくださる方も多いです。自分に目を向けるきっかけになればと考えていたので、作るアイテムはセルフケアに関わるものならなんでも良かったんです。でも想像以上に反響があって驚いているアイテムもありますね。
―特にどんなアイテムに反響がありましたか?
特に5本指が見えない状態になっているシルクのリブソックスは、SNSでの反響も大きかったです。5本指ソックスが良いのは知っているけれど、脱いだときに恥ずかしい、という声も聞いたりしたのですが、これはその問題が解決されている。それに加えて、どんなファッションとの相性も良いリブが入っていて、丈感も絶妙。コーディネートの中に、普段のファッションアイテムとして取り入れてくれている方が多いんです。SNSの投稿には、その日のコーディネートのひとつとして紹介されることが多く、“コーディネートしやすいおしゃれなソックス”として認知されているみたいで。それはすごく嬉しいことだなと思っています。
外からは見えない、内側の先端が5本指に分かれているソックス。汗による冷えを防いでくれるシルク素材で気になる臭いも防止。
例えば、ソックスを気に入ってくれた方がいて、「〈WRAY〉ってブランドのアイテムを他にも見てみよう」というきっかけになったり、「こんなにおしゃれなルームウェアがあるんだ」「腹巻きを巻いたら生理のときの腰の痛みが先月より軽い気がする」など、〈WRAY〉の商品を使っていただくことでそういった良い連鎖に繋がっていくのが理想です。
女性はもちろん、地球にもやさしいブランドを目指して。
─今後の新しいアイテムリリースや取り組みはありますか?商品づくりで大切にしていることは何ですか?
たくさんの方に手に取って欲しいので、作るアイテムのデザインや使い心地、着心地の良さにはとことんこだわっています。新しいアイテムに吸水ショーツがあるのですが(2022年2月中旬から販売開始)、こちらは特にこだわりすぎてかなり時間が掛かってしまいました(笑)。でも、フェムテックブランドとしての観点、さらには、いま世界中で取り組んでいるサステナブルの観点、その両面から考慮した良い商品ができたと思っています。
ちなみに、吸水ショーツについて、わたしのおすすめの使い方は、生理がくる予定の1日前くらいから使用して、“いつくるかな?”というストレスから解放されること。そうすれば、生理前にナプキンを使用して余計な蒸れに悩まされることもありません。また、実はあまり知られていませんが、ナプキンの原料はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルとすべてプラスティクゴミ。一生の間に女性一人で約1万枚ものナプキンを使用すると言われているので、一人ひとりが少しでも使用量を減らすことが環境への配慮に繋がります。
WRAYの商品は、品質やデザイン性だけではなく、環境にもやさしい商品づくりを意識しています。アイテム自体もそうですが、余分な梱包をなるべく避けたり、リサイクル素材を使用するなど、サステナビリティへの意識をもっと高めていき、女性にも地球にも寄り添えるブランドとして成長していきたいと思っています。
トラブルを繰り返す肌にアプローチして、健やかな状態に導いてくれる、保湿力の高い美容液や、デリケートゾーンの肌に合わせ、弱酸性のデリケートゾーン専用のソープ。
─2月初旬からは〈ビューティ&ユース〉の店舗でポップアップストアが開催予定ですね。
東京、横浜、大阪、神戸、福岡で開催いたします。まだまだ不安な世の中ですが、対策をしっかりしながら実際に足を運んでいただけたら嬉しいです。自分へはもちろん、大切な方へのギフトとしてもおすすめ。たくさんの方に〈WRAY〉が寄り添えることを楽しみにしています!
INFORMATION
PROFILE

谷内 侑希子
会社員、専業主婦、会社役員などを経て〈WRAY〉代表に。幅広い経験から、セルフケアブランドを介し女性のサポートを行う。Instagram @yuccoxxのフォロワーは2.8万人(2022年2月現在)を超え、ファッションやライフスタイルも人気。https://wray.jp/